ナイショのお見合いは、甘くて危険な恋の駆け引き!

むらさ樹

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和泉さんの秘密?①

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仕事の昼休みに入るちょっと前。


平日の一番暇な時間帯の時、私は一緒にレジまわりにいるパートの和泉さんに気になる事を訊いてみた。



「あの、和泉さん。
和泉さんって…お見合い結婚?
それとも恋愛?」


「え?
相川さん、どうしたの急に」


いきなりそんな質問してきた私に、和泉さんもちょっと照れたように返してきた。


そりゃそうだよね。
もっと、ちゃんと前置きするばよかったかな。



「あ、いや…お見合いだったら、どんな事するのか訊いてみたかったなぁと思って…」


「え、相川さんお見合いするの?
あれ?彼氏がいたんじゃなかったっけ?」


和泉さんは私と勇さんの事は知っている。

…うーん、いっそ全てを話した方が早いかもしれないな。

「実は…









「あぁ…そういう事情なんだ」


「うちのお母さんったらヒドいよね。
でもこれで、お見合い写真からは解放されるんだぁ」


和泉さんは何でも話せる職場の一番のお友達。

些細な事とかなら、すぐに話しちゃうんだよね。



「お見合いかぁ。
わたしは恋愛って言うか、授かり婚だったからなぁ」


「授かり…婚!?」


私だって授かり婚の意味くらいは知っている。
結婚する前に、赤ちゃんができちゃったってやつだよね。

昔はできちゃった婚とか呼んでたっけ。



「…で?」


「ん。もちろん両親には猛反対されたよ。
うちの両親はそういうのうるさいから」


うわぁ…。
私だって同じようになったら、きっとお母さんに猛反対されると思う。

そういうのは、ちゃんと順序守らなきゃ世間体が~みたいにね。


「でもね、わたしも今のダンナも本気だったから。
説得には時間かかったし一時は勘当直前までいったけど、でも結局最後は納得してくれたわ」


「わ…そうなんだぁ…」


こんな話はした事ないから、和泉さんのその話にはさすがにびっくりしちゃった。


今でこそ普通に幸せそうな生活を送っている。
だからこそ、和泉さんのそんな過去には改めてびっくりなんだ。



「上手くお見合い失敗できるといいわね。
って言い方も、何か変かな?」


「あはっ。
頑張って失敗しまーす」



お互い本気なのは私と勇さんも一緒だもんね。

たとえ上手くお見合い失敗できても、勇さんを認めてくれるまでは…もうひと悶着あるかもしれないな…。










__夜も更けた深夜。


ベッドで眠っていた私は、ゴソゴソと毛布が動くのと唇の感触に気付いて目が覚めた。



「ん……あ…勇さん…」


仕事を終えて戻ってきた勇さんが、寝ようとベッドに入ってきたのだ。


そしてこの唇の感触は…




「起こしちまったな」


「ううん、いいの。
お帰りなさい。お疲れさま…」


「あぁ、ただいま」


勇さんは再び私の唇にキスをしてくれた。



勇さんが仕事から帰ったら、寝る前に私にキスを。
私が朝起きたら勇さんにキスを。


これがすれ違い生活を送っている私と勇さんの、せめてもの愛情表現。


だいたいお互い眠ったままで気付かないんだけど、こうして目が覚めたらラッキーだよね。



「ね、勇さん。
今から…抱いて」


まだちょっと覚めない頭で私は言った。


こんな時間に起きたら朝起きるのもちょっとツラくなるし、仕事中には眠くなっちゃうかもしれない。


だけど…目が覚めなければ、口もきけないまま1日が過ぎちゃう事だってある。


だったらせめて目が覚めた時ぐらい、いっぱい愛されたいの。



だって、好きだから…
心から愛してるから…

彼にはいっぱい、愛されたいの。



「大丈夫か?
まだ目が半分潰れてるぞ」


「いいのっ
そう思うんだったら…目を覚まさせて」


「…ふっ
じゃあ今度は寝かせてくれって思うくらい抱いてやるから、覚悟しろよ?」



そう言った勇さんは私の着ているパジャマのボタンを1つずつ外しながら、キスの雨を降らせていった。

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