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明後日の日曜日にはいよいよ実家にあいさつに行く日だ。
勇さんはどんな風に話すとか、そんな話は私にしていない。
だからって私があれこれ訊いたら、勇さんを信じれてないみたいだもんね。
レストランでのご飯の間も、私と勇さんは明後日の事は一切話さなかった。
仕事の事だとか、テレビの話だとか。
そんな他愛のない話をしながら、私たちはお昼ご飯デートを楽しんだの。
「……!」
…ふと、お店の窓の外に目が行った。
高梨さんが、知らない女性と一緒に歩いていたのだ。
「どうしたんだ?」
「え、あっ
別に…っ」
なんて言ったものの、私の見ていた方を勇さんも見て、高梨さんの姿を見つけてしまった。
身体を寄せ合い、高梨さんの腕にしっかりとしがみついた女性と2人で楽しそうに何か話しながら、道路を挟んだ向こうの道を歩いて行っている。
端から見ると、愛し合ってる恋人同士…そんな感じだった。
「アイツ…
優の事をあんな風に言ってた癖に、もう違う女といるのかよ」
私と同じように窓の外を見た勇さんは、そんな風に高梨さんに毒づいた。
普通に考えたら、そう思うね。
でも実際は違うんだよ。
「あんな奴に3億で優を譲れなんて言われたんだからな。
安く見られたもんだぜ」
勇さんは高梨さんのお仕事を知らない。
ホストさんのお仕事は、お店だけじゃない。時にはお昼にお客さんとデートをする事だってあるの。
だからあれはホントのデートじゃなくて、お仕事してるだけなんだよね。
本当に好きな人とは結ばれないで、お仕事とはいえ、好きでもない人と恋人ゴッコをしなきゃならない時ってどんな気持ちなのかな…。
女の子たちにひとときの夢を与える、ステキなお仕事。
ムリヤリ気持ちも抑えて身体も張って。
勇さんはあんな風に言ってるけど、それは高梨さんの事を知らないだけだから許してあげて。
でも私だけは高梨さんが頑張ってるの、ちゃんと知ってるからね。
「まったく、あんな男に寄り付く女も女だけどな」
「ん、もういいよ、その話は。
ご飯ごちそうさま。
おいしかったぁ」
ナイフとフォークをお皿の端に並べて置くと、私は手を合わせた。
これ以上勇さんに高梨さんの事を意識してほしくなかったし、せっかくのデートだもん、今は私の事だけを考えてくれた方がよかったの。
「ありがとうございます。
またお越し下さいませ」
お支払いを済ませると、私と勇さんはお店を出た。
「おいしかったね」
「まぁまぁだな。
あれなら優が作った飯の方が美味いさ」
「あは。ホントに?」
こんな感じなんだけど、勇さんは私にはとっても優しいの。
ちょっぴり言葉が悪い事があるから、誤解されがちだとは思うんだけど。
「値段ばっかり高くて、量が少ねぇんだよ」
「うーん、まぁね。
でも、私にはちょうど良かったよ」
「お前は小食だからな」
勇さんは私と違って身長も高いから、縦に列んだら多分私の姿なんて見えなくなっちゃうんだろうなぁ。
だから私よりも大きい勇さんに抱きしめられると、私なんか全身すっぽり。
でもそれが、実は結構好きだったりするんだけど。
「また、食べに来ようね」
私は勇さんの顔を見上げながら言った。
「…いや、もういいさ」
「ぇ…?」
だけど勇さんは私の顔は見る事なく、スッと手を握った。
「俺は、お前が作ってくれる飯を食ってる方が幸せだな。
これからも…俺の為に毎日作ってくれるか…?」
「勇さん…」
お前の飯をーってのは、よくあるプロポーズのセリフみたいだ。
勇さんからはもうプロポーズしてもらったし、指輪も左手薬指につけてる。
だから、まるで何回もプロポーズされてるみたいでちょっと恥ずかしいかも。
…でも、純粋に嬉しい。
「もちろんだよ。
これからも毎日、ずーっと美味しいご飯作るからね!」
私、絶対に良い勇さんのお嫁さんになるから。
明後日の日曜日、お母さんにどんな事を言われても私たちの運命は変わらないよ!
「…サンキューな、優…!」
勇さんはどんな風に話すとか、そんな話は私にしていない。
だからって私があれこれ訊いたら、勇さんを信じれてないみたいだもんね。
レストランでのご飯の間も、私と勇さんは明後日の事は一切話さなかった。
仕事の事だとか、テレビの話だとか。
そんな他愛のない話をしながら、私たちはお昼ご飯デートを楽しんだの。
「……!」
…ふと、お店の窓の外に目が行った。
高梨さんが、知らない女性と一緒に歩いていたのだ。
「どうしたんだ?」
「え、あっ
別に…っ」
なんて言ったものの、私の見ていた方を勇さんも見て、高梨さんの姿を見つけてしまった。
身体を寄せ合い、高梨さんの腕にしっかりとしがみついた女性と2人で楽しそうに何か話しながら、道路を挟んだ向こうの道を歩いて行っている。
端から見ると、愛し合ってる恋人同士…そんな感じだった。
「アイツ…
優の事をあんな風に言ってた癖に、もう違う女といるのかよ」
私と同じように窓の外を見た勇さんは、そんな風に高梨さんに毒づいた。
普通に考えたら、そう思うね。
でも実際は違うんだよ。
「あんな奴に3億で優を譲れなんて言われたんだからな。
安く見られたもんだぜ」
勇さんは高梨さんのお仕事を知らない。
ホストさんのお仕事は、お店だけじゃない。時にはお昼にお客さんとデートをする事だってあるの。
だからあれはホントのデートじゃなくて、お仕事してるだけなんだよね。
本当に好きな人とは結ばれないで、お仕事とはいえ、好きでもない人と恋人ゴッコをしなきゃならない時ってどんな気持ちなのかな…。
女の子たちにひとときの夢を与える、ステキなお仕事。
ムリヤリ気持ちも抑えて身体も張って。
勇さんはあんな風に言ってるけど、それは高梨さんの事を知らないだけだから許してあげて。
でも私だけは高梨さんが頑張ってるの、ちゃんと知ってるからね。
「まったく、あんな男に寄り付く女も女だけどな」
「ん、もういいよ、その話は。
ご飯ごちそうさま。
おいしかったぁ」
ナイフとフォークをお皿の端に並べて置くと、私は手を合わせた。
これ以上勇さんに高梨さんの事を意識してほしくなかったし、せっかくのデートだもん、今は私の事だけを考えてくれた方がよかったの。
「ありがとうございます。
またお越し下さいませ」
お支払いを済ませると、私と勇さんはお店を出た。
「おいしかったね」
「まぁまぁだな。
あれなら優が作った飯の方が美味いさ」
「あは。ホントに?」
こんな感じなんだけど、勇さんは私にはとっても優しいの。
ちょっぴり言葉が悪い事があるから、誤解されがちだとは思うんだけど。
「値段ばっかり高くて、量が少ねぇんだよ」
「うーん、まぁね。
でも、私にはちょうど良かったよ」
「お前は小食だからな」
勇さんは私と違って身長も高いから、縦に列んだら多分私の姿なんて見えなくなっちゃうんだろうなぁ。
だから私よりも大きい勇さんに抱きしめられると、私なんか全身すっぽり。
でもそれが、実は結構好きだったりするんだけど。
「また、食べに来ようね」
私は勇さんの顔を見上げながら言った。
「…いや、もういいさ」
「ぇ…?」
だけど勇さんは私の顔は見る事なく、スッと手を握った。
「俺は、お前が作ってくれる飯を食ってる方が幸せだな。
これからも…俺の為に毎日作ってくれるか…?」
「勇さん…」
お前の飯をーってのは、よくあるプロポーズのセリフみたいだ。
勇さんからはもうプロポーズしてもらったし、指輪も左手薬指につけてる。
だから、まるで何回もプロポーズされてるみたいでちょっと恥ずかしいかも。
…でも、純粋に嬉しい。
「もちろんだよ。
これからも毎日、ずーっと美味しいご飯作るからね!」
私、絶対に良い勇さんのお嫁さんになるから。
明後日の日曜日、お母さんにどんな事を言われても私たちの運命は変わらないよ!
「…サンキューな、優…!」
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