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甘くて危険な駆け引き!の先は…①
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「……ぷはぁっ
緊張したなぁ!」
大まかな話もついて、今はリビングから以前私が使っていた部屋に勇さんと移動した。
今すぐにってわけじゃないけど、同居が条件みたいになっちゃったから今や物置と化してる私の部屋も片付けないといけない。
「ホント、どうなるかと思ったね」
気まずい空気に緊張もあった対面から解放され、私の部屋でひと息ついた私たち。
何やかんや言っても、うまくいったから良かったよぉ。
「だけど…うちに帰らなきゃならなくなるんなら、アパートの物をみんな持って帰らなきゃ。
これからお腹も大きくなっちゃうから、あんまり遅くならないようにしないとね」
でもアパートを引き払って実家に帰るって事は…あの本屋さんの仕事も辞めなきゃならないし、和泉さんたちともお別れしなきゃならないんだ…。
今のアパートに越した後も、タンスやらテレビなんかはそのままここに置いてある。
実家に住んでた頃は布団で寝ていたからスペースだけはあるんだけど、アパートに置いてるベッドも持って帰らなきゃならないとなると、引っ越し作業は大変そうだなぁ。
…それとも、いっそ新しいベッドに…
「なぁ優。
全部が全部ここには置けないだろ?
要らないものはリサイクルにでも出して、新しい生活の為にも買い直さないか?
とりあえず、ベッドとか…」
「わ。
私も同じ事を考えてた。
2人で今のサイズって狭いもんねぇ。
私は勇さんとくっついて寝るの、好きだけど」
「バカ。
俺は離れて寝たいって意味で言ったんじゃねぇよ」
ギュッと抱き寄せられた身体。
全身を包み込まれたようで安心しちゃう勇さんの胸板。
「…もう、離さねぇぞ」
優しく抱きしめられた身体に優しい言葉。
…うん。
もう私たち、ずっと一緒だもん。
「…じゃあ、お腹が大きくなるまでには荷物とかぼちぼち持って帰るから」
持ってきた菓子折りを微妙な空気の中、みんなでお茶と一緒に食べた後、私と勇さんはアパートに帰る支度をした。
一番ニコニコしてたのは陸で、お父さんは変わらずの無表情。
お母さんはちょっぴりふてくされてたかな。
でもこれが、今一番丸く収まった感じだもんね。
「ぼちぼちじゃなくて、それぐらい彼に任せてさっさとしちゃいなさい!
あんたは身重なんでしょ!無理して流れちゃったらどうするの!
将来、大切なうちの跡取りになる子なのよっ」
…お腹の赤ちゃんを、もう早くも跡取り扱い?
しかも大切だなんて。
勇さんが婿養子に来てくれるってなった途端、手のひら返したような態度取るんだからぁ!
「…で?
出産の予定はいつ頃なの?」
「あ、うん
12月の中旬かな…?
まだ小さすぎるから、あまり具体的にはわかんないみたいで…」
「近くに産婦人科があるから、こっちに帰る前には紹介状書いてもらうのよ!」
「わかってるってばっ
もぉ、また電話するからっ」
まったく!
お母さんと居たら、まだまだお小言を言われそうだよ!
私と勇さんは傘を持つと、逃げるように玄関のドアを開けた。
すると……
「…わぁ」
ガラガラと開けたドアからは、眩い陽の光が差し込んだ。
来るときはあれだけ大雨が降っていたのに、帰る今はすっかり止んでいて黒い雲も見えなくなっていた。
どんより暗かった今朝までの私たちの心境から、明るく眩い未来が見えた。
そんな感じだった。
_______
_________
_________……
あれから3ヶ月後
カレンダーも7月にと変わった今日。
ホントならあともう3ヶ月は帰らない予定だった。
だけどほとんど毎日のように電話をかけてくるお母さんに急かされたのもあって、梅雨も明けてお天気も良い今日、アパートを引き払って実家に帰る運びとなった。
実家にもある家具はリサイクルショップに売って、必要なものはみんな少しずつ実家に運んだ。
後は、ホントに身の回りの荷物だけを持ってゆっくり電車で帰るだけ。
その前に、私は職場である本屋さんに行くと、最後のあいさつをした。
「長い間、お世話になりました!
人手不足なのに、辞めることになってホントすみません…っ」
「何言ってるのよ!
相川さん、頑張って元気な赤ちゃん産んでね!」
「相川さんのおかげで、仕事早く覚えられました!相川さんの分も頑張るので、安心して下さいっ」
「こっちの事は心配しないで大丈夫だよ。
またいつでも遊びにおいで」
入社からお世話になった店長さんに、たくさん相談相手になってくれた和泉さん、後輩なのに結果私をバックアップしてくれた常盤さんと、他のパートスタッフさん。
みんな優しくて頼もしくて、あったかい人たちばかり。
涙が止まらなくなりそうなあいさつになってしまったけど、でも嬉しかった。
寂しくはなるけど、また絶対みんなに会いに行くもんね!
緊張したなぁ!」
大まかな話もついて、今はリビングから以前私が使っていた部屋に勇さんと移動した。
今すぐにってわけじゃないけど、同居が条件みたいになっちゃったから今や物置と化してる私の部屋も片付けないといけない。
「ホント、どうなるかと思ったね」
気まずい空気に緊張もあった対面から解放され、私の部屋でひと息ついた私たち。
何やかんや言っても、うまくいったから良かったよぉ。
「だけど…うちに帰らなきゃならなくなるんなら、アパートの物をみんな持って帰らなきゃ。
これからお腹も大きくなっちゃうから、あんまり遅くならないようにしないとね」
でもアパートを引き払って実家に帰るって事は…あの本屋さんの仕事も辞めなきゃならないし、和泉さんたちともお別れしなきゃならないんだ…。
今のアパートに越した後も、タンスやらテレビなんかはそのままここに置いてある。
実家に住んでた頃は布団で寝ていたからスペースだけはあるんだけど、アパートに置いてるベッドも持って帰らなきゃならないとなると、引っ越し作業は大変そうだなぁ。
…それとも、いっそ新しいベッドに…
「なぁ優。
全部が全部ここには置けないだろ?
要らないものはリサイクルにでも出して、新しい生活の為にも買い直さないか?
とりあえず、ベッドとか…」
「わ。
私も同じ事を考えてた。
2人で今のサイズって狭いもんねぇ。
私は勇さんとくっついて寝るの、好きだけど」
「バカ。
俺は離れて寝たいって意味で言ったんじゃねぇよ」
ギュッと抱き寄せられた身体。
全身を包み込まれたようで安心しちゃう勇さんの胸板。
「…もう、離さねぇぞ」
優しく抱きしめられた身体に優しい言葉。
…うん。
もう私たち、ずっと一緒だもん。
「…じゃあ、お腹が大きくなるまでには荷物とかぼちぼち持って帰るから」
持ってきた菓子折りを微妙な空気の中、みんなでお茶と一緒に食べた後、私と勇さんはアパートに帰る支度をした。
一番ニコニコしてたのは陸で、お父さんは変わらずの無表情。
お母さんはちょっぴりふてくされてたかな。
でもこれが、今一番丸く収まった感じだもんね。
「ぼちぼちじゃなくて、それぐらい彼に任せてさっさとしちゃいなさい!
あんたは身重なんでしょ!無理して流れちゃったらどうするの!
将来、大切なうちの跡取りになる子なのよっ」
…お腹の赤ちゃんを、もう早くも跡取り扱い?
しかも大切だなんて。
勇さんが婿養子に来てくれるってなった途端、手のひら返したような態度取るんだからぁ!
「…で?
出産の予定はいつ頃なの?」
「あ、うん
12月の中旬かな…?
まだ小さすぎるから、あまり具体的にはわかんないみたいで…」
「近くに産婦人科があるから、こっちに帰る前には紹介状書いてもらうのよ!」
「わかってるってばっ
もぉ、また電話するからっ」
まったく!
お母さんと居たら、まだまだお小言を言われそうだよ!
私と勇さんは傘を持つと、逃げるように玄関のドアを開けた。
すると……
「…わぁ」
ガラガラと開けたドアからは、眩い陽の光が差し込んだ。
来るときはあれだけ大雨が降っていたのに、帰る今はすっかり止んでいて黒い雲も見えなくなっていた。
どんより暗かった今朝までの私たちの心境から、明るく眩い未来が見えた。
そんな感じだった。
_______
_________
_________……
あれから3ヶ月後
カレンダーも7月にと変わった今日。
ホントならあともう3ヶ月は帰らない予定だった。
だけどほとんど毎日のように電話をかけてくるお母さんに急かされたのもあって、梅雨も明けてお天気も良い今日、アパートを引き払って実家に帰る運びとなった。
実家にもある家具はリサイクルショップに売って、必要なものはみんな少しずつ実家に運んだ。
後は、ホントに身の回りの荷物だけを持ってゆっくり電車で帰るだけ。
その前に、私は職場である本屋さんに行くと、最後のあいさつをした。
「長い間、お世話になりました!
人手不足なのに、辞めることになってホントすみません…っ」
「何言ってるのよ!
相川さん、頑張って元気な赤ちゃん産んでね!」
「相川さんのおかげで、仕事早く覚えられました!相川さんの分も頑張るので、安心して下さいっ」
「こっちの事は心配しないで大丈夫だよ。
またいつでも遊びにおいで」
入社からお世話になった店長さんに、たくさん相談相手になってくれた和泉さん、後輩なのに結果私をバックアップしてくれた常盤さんと、他のパートスタッフさん。
みんな優しくて頼もしくて、あったかい人たちばかり。
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