侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw

さこの

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パーティー前夜2

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「フレデリック殿下宜しいでしょうか?」

 来客と雑談をしていたら私の執事が少し髪を乱してそっと耳打ちをしてきた。

 珍しいこともあるもんだ。来客の前では隙を見せないような男なのに。何かあったのか?



「あぁ、もちろん。それではみなさん失礼します。楽しんでくださいね」

 来客に一言声をかけるとグラスを掲げられた。そろそろリリアンを呼びに行こうかと思っていた所だった。



「どうした? 髪の毛を乱して」

 扉を閉めて、執事にそういうと

「お見苦しいところをお見せいたしました。しかしここでは話せません。王妃様がお待ちです」


 これは何かある! 急いで母の部屋へ行く。するとリリアンの兄も呼び出されているようだった。

「お待たせしました。シルヴァン殿も? どうされました?」

 みんな顔色が良くないようだ。


「リリーちゃんが攫われたわ!」


 リリが攫われる? なんの話をしているんだろうか……


「リリはどこですか! 部屋へ行くと言って侍女を伴って……王宮内はたくさんの護衛が配備されているでしょう!」

 焦る気持ちでリリの行動を振り返った。


「妹の侍女マリーは庭で見つかりました。意識がない事から何か薬品を嗅がされたようです。口元からそう言った臭いがしています。そして最低2人の足跡が残っていることから部屋へ行くまでの中庭で攫われたと調査しています。壁にも足跡が残っていて足跡を辿っていくと裏口から出て行った形跡がありました! 守衛に怪しい男達は居なかったと聞きましたが、ワインをくれた太っ腹な男2人がいたと言う事です。その男達は貴族の家に取引に行くと言っていて、今から二時間前の事です。この男達が何かを知っていると踏んでいます」


「それなら! 今すぐ行きましょう!」

 貴族街なら馬を走らせれば直ぐそこだ!


「なりません! なんの手掛かりもないのに闇雲に行ってどうするんですか! 一軒一軒回ってみるつもりですか!」

 母に止められるもの、気持ちは焦る一方だ。


「今、貴族街を中心に守衛から聞いた荷馬車の特徴を元に調べさせています。王宮騎士団を動かし最小限での行動になっております」


「……リリが攫われたと知られたら有る事無い事リリが噂をされてしまう」

 くそっ! と机を叩く。

「取り敢えず貴族街にある我が侯爵家が経営している店があるのでそちらに向かいます。早く妹を救出したいので、近くに居た方が良いと思います」

 シルヴァンも焦っているようだった。

「助かります」



 リリに渡した指輪は私の指輪と対になっている。リリの身に何かあれば指輪は激しく光るように設定されている。

 明日の婚約発表後に伝えるはずであったが、早くに言っておくべきだった。


 何か危険があったら指輪自体に傷をつける事。本人以外が指輪を外しても同様だ。


 動きやすい格好に着替え、秘密の通路から貴族街へ出ることにした。時間が勿体無いのでシルヴァン達は先に行っている。


「リリ! 無事でいてくれよ」


 忘れ物を思い出し執務室へ行った。時間のロスだ……急いで廊下を歩いていると、王女と会った。


「あら? フレデリック様お出かけですか?」

 嫌な笑い方だ。



「えぇ。少し夜風にあたりに行ってきます」


 早く去ってくれ! 時間の無駄だと適当にあしらうつもりだった。


「明日は無事にパーティーが開催されるとよろしいですわねぇ。まだわたくしがパートナーでも間に合いますわよ? それじゃぁまた明日。ごきげんよう」

 オホホホホ……


「……王女を見張れ、何か知っているかもしれん」

「御意」

 執事が別のものに指示を与えた。


「いくぞ」


******



「……ん、んんっ」

 体が重い……それに頭がガンガンする。ここはベッド? 私寝ていたの?


 うっすらと目を開けて天井を見ると、知らない天井だった。

「……っどこ?」


「ふふっ。目が覚めたみたいだね?」


「……あなたは……どなた?」


 ブラウンの髪色に同じブラウンの瞳は切長で、知り合いではなさそうだった。


「やだな……リリアン! 寝惚けているの? 私の事が分からないなんて! それともまだ薬が残ってぼんやりしているのかもしれないね!」


「薬?」

 ……そうだ!王宮で……マリーと歩いていてマリーがいなくなって


「ちょっとの間眠って貰ったんだ、暴力など 加えていないよ」

 起きあがろうとして、身体を起こすとふらっとした

「あっ……」

 頭がくらくらする。薬のせいなのかしら……キョロキョロと見渡すけれど、ここがどこだか分からない

「まだ本調子ではないのだから、寝ていた方が良い」

 男はリリアンの身体に触れようとしてきた。


「いやっ!」

 と言って手を叩いた


「どうしたの? 優しい君が暴力を働くなんて、困ったね。まぁいいか……少しずつ私の事を思い出すといい」



「あなた誰よ! あなたなんて知らないわ。マリーはどこにいるのっ!」


 だれ! だれ! 誰よっ! 思い出せない! 私の異性の友達なんてキリアン様しかいないものっ。一緒にいたマリーはどこ?!




「君に似合うドレスを用意してある。私が着せてあげたいが、レディのドレスは複雑だ」


 ドレスに泥が付いていたり所々破れている。繊細な素材だからちょっとのことで破れてしまう。でも着替えたいけれど、なんだかこの人薄気味悪い……

 パンパンと手を叩くとメイド2人がやってきて、男は立ち上がった。

「このドレスを着せてくれ」

 用意されていたのはピンクと白の可愛らしいデザインのドレスだった。


「「はい」」


 そう言って男は出て行った。

「……あのここはどこですか? それにあの方は誰?」

 答えてもらえないだろうけれどメイドらしき人に聞いてみた。国内にいるのよね? 窓を見ると夜である事は確かだった。


「お答えできません」


 やっぱり……目も合わせてくれないし、淡々と用意されたドレスに着せ替えられた。上質な素材、丁寧な縫製……こんなドレスを用意できるのは貴族で間違いはなさそうね。

 部屋の調度品も高級な物ばかり。


「準備ができました」

 1人のメイドが扉の外で待っていた男に声を掛けた。

 かちゃりと扉を開けてこちらに向かってきた。


「思った通りとても似合うよ! まるでビスクドールのようだ!」

 うっとりしながらリリアンの周りを彷徨く男。


 ……異常だ。


 ビスクドールと言うか、幼い頃に着ていたような……フリフリで膝丈。ヘッドドレスも忘れずにって。気持ち悪いぃ


 こ、この人、いい年してお人形さんで遊びたいとか……なんだかもう嫌な予感しかしないから!

 逃げても良いよね? とにかく外に出なきゃ!

 扉に向かって後退りした。


「どこにいくつもり? 逃げられるわけないでしょう? ドールは大人しく愛でられていれば良いんだ」


 腕を掴まれて嫌悪感しか湧かない! なんだか目付きもおかしい!

「何? この指輪」


 フレデリック殿下からデビューの日にプレゼントされた指輪だった。つけてて欲しいと言われて、付けている指輪だった。


 無理やり外され指輪を乱暴になげられた。

 その時だった。



「きゃぁぁっ」




 急に指輪が光り出した! 眩しい!









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