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朝を迎えました
しおりを挟む「んっ……」
昨日は、目まぐるしい1日で……ここどこだろう……見慣れない窓に見慣れないシーツ。どれもが上等で嫌な感じはしない。暖かくて寧ろ心地が、
「よく眠れた?」
! ! ちゅんちゅんとかっ! 鳥の囀りで爽やかに起きたかった。
「きゃぁぁっ!」
もごっ。口を抑えられた。むぐっ。
「お、落ち着こう! 一緒にいて欲しいと言ったのはリリじゃないか!」
むぐっ。んんっ。そうだ! こくんと頷いた。
ぷふぁ……口が開放されたわ。
「……おはよう、ございます」
恥ずかしさからかシーツで顔を隠した。
「おはよう……思い出してくれて良かったよ」
焦ったように殿下に挨拶を返された。夜着ははだけた様子もない。
昨日はあれから一人でいるのが怖くて一緒にいてもらったのだった……
ベッドに入った瞬間に眠気に襲われてそのままぐっすりと眠ってしまったようだ。
今思えばなんという事を言ってしまったのだろう。
この状況……そう思われるのが恥ずかしい。
「……今日なんだけど、任命式も事前にあるし、昨日の今日だしリリは欠席する? また改めてリリを紹介しても良いんだし」
昨日は元気に各国の要人とお会いしたのに、今日は病欠というわけにはいかないだろう。晴れの舞台なのに。
「私がいないと変な風に思われてしまいますね」
「そこは……無理しなくて良いんだ。体……酷いだろう?」
無理をしない程度なら立っていられると思う。お腹の痛みだけではなく全身が気怠い。
殿下の顔を見ると心痛な面持ちということが分かる。
「うん。でも出席する」
「無理して欲しくないけれど、リリの気持ちに任せる。出席してくれるのなら全力でフォローするよ」
頭を撫でられた。なんか、ちょっと雰囲気が……
「殿下、昨日は助けに来てくれてありがとうございました」
昨日のお礼ちゃんとしてない。こんなベッドで横たわった状態で言うのもおかしいけれど、思った時に言わないと……
「それは当然だよ。それよりもリリに謝らなければならない。王宮にいてこんな事態になるなんて……警備に穴があった事を認めざる得ない。怖い目に合わせてしまって申し訳なかった」
もしこの件が公になったら攫われた令嬢と婚約なんてしない方がいいと反対されるだろう。所謂傷物令嬢と言われるだろう。
「殿下も顔に傷が……ごめんなさい窓ガラスの砕けた破片で?」
そっとフレデリックの顔に手を遣るリリアン。
フレデリックはその手をぎゅっと握りしめて
「これくらいの傷はなんてことないよ。それよりもリリの事が心配だ」
殿下の顔にも傷をつけさせてしまったわ。
「……私、出席しない方が良いのかも。婚約はなかったことにして、殿下と家族に迷惑をかけないように修道院へ、」
「待った! なんかまたおかしな事を考えているようだから説明する。ちゃんと聞いて欲しい」
ベッドから起き上がりあぐらをかく殿下。私も起きあがろうとしたら背中を支えてくれてクッションをたくさん敷いてくれたのでクッションに身体を預けた。
殿下がクッションにならなくて良かったわ。
「この度の事は内密に済ませるつもりで、リリが攫われたと言う事は公にはならない。もし情報漏洩したところでこちらには切り札がある。今回リリを攫った男は2人。この男達はトビアス・マテスと言う男に頼まれてリリを攫ったんだ」
トビアス・マテス……? 誰? うーーん。首を傾げた。
「シバ王国からの留学生。リリと同じ学園でキリアンと同学年だ」
「お名前を聞いても分かりませんね」
お名前と顔が一致しない……国内の貴族だけで精一杯だもの。まだまだね……
「……シバ王国ではマテスは伯爵で彼の両親は亡くなっているから、彼が当主だ。シバ王国といえば、昨日リリも会ったけれど、クラウディア王女なんだけど、」
うん? こてんと首を傾げる。何か言い淀んでいるみたい。
「リリを攫った実行犯ではないけれど、クラウディア王女も犯行に加担している。証拠も揃っていて、昨日の夜遅くに強制的にシバ王国へ帰って貰った」
「王女様……そこまで殿下の事をお好きなんですね。それで私が邪魔で……」
「断ったんだよ。あちらの国王も王太子も納得しているから諦めてくれたと思ったのに……」
「それで殿下が襲われそうに……」
ってあれ? 私も……
「あのぉ……私も王女様と同じような事をしていますね……」
だってここ、殿下の寝所だし……我儘言ってここで過ごしたのだから。
「いや! あれとこれとは話が違う! リリは婚約者だし、これは添い寝だ! リリが一人でいるのが怖いと言うのなら私は毎日添い寝しても良いと思っている! それくらいの試練は乗り越えてみせよう」
「試練……?」
「……気にしなくて良い。話を戻そうか。王女とトビアス・マテスの事もシバ王国へ報告し王女との件と併せて強く抗議することになる。準備は整っている頃だろう」
昨日の今日で準備が整っているってどう言うこと? 不思議に思っているとそれを感じ取ったんだろう
「あぁ。証拠も出てきた。手紙のやりとりをしてきたようだ。トビアス・マテスの部屋から出てきた。隠すくらいなら燃やしておけばよかったのだが、こちらとしては助かった。王女の蝋印もしっかり残っていたから言い逃れはできないだろう」
「……そうですか。あの男の人は今どこにいるんですか?」
私を攫った男
「捕らえて王宮の地下牢にいる。ちゃんと生捕りにするように伝えてあるから生きているよ」
「生捕り……」
物騒な言葉だ……
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