侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw

さこの

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無事に任命式は終わりました。

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 なんとか無事に任命式が終わった。フレデリック殿下はとても堂々としていてかっこよかったです。

 いつもの姿は仮の姿なのではないか? とか別人の双子だったり? そうだと少し面白いかも。


 本当なら私も貴族側の席に座る予定だったけれど、その家の当主か代表の人が参加している任命式。ほぼ男の人で埋め尽くされていた。

 昨日の事件からどうやら男性恐怖症になったみたいで、震えが止まらなかった。

 こんな男の人ばかりの場所に……変な汗も出てきた……。

 それに気がついた王妃様はこっちの席に来たら良いわ。と言ってくださり王族の席に座る事になった。

 お兄様もそうさせてもらいなさい。と言ってくれたのでお言葉に甘えた。


 何も知らない女好きのモーリス殿下とは離れて座らされ、10歳のジェローム殿下が私の隣に座ってくれた。

 可愛らしくて癒される……でももう少しするとこんなに可愛いジェローム殿下も男の子から青年になると思ったら喜ばしいけれど悲しいわ。


 王族の席はさらに護衛がしっかりと守ってくれるから安心して、フレデリック殿下の任命式に挑めた。



「フレデリック殿下、立派ですね」

 ジェローム殿下にこそっと伝えると

「えぇ。兄様は僕の憧れです。優しくて厳しくて……リリアン姉様も僕の憧れですよ」

 にこっと笑うジェローム殿下! 天使のようだわ。


 陛下も王妃様も誇らしげにフレデリック殿下を見ていたわ。私も恥ずかしくないように頑張らなきゃ……。

 なんだかみんなに迷惑をかけてしまって、恩返しをするにはフレデリック殿下のお嫁さんになってフレデリック殿下とこの国を支えられるような人間にならないと……と思ってしまった。

 今まで甘かったわね……。どうせ私のことを貰ってくれる人なんて他にはいないのだから、お兄様が侯爵家を継いでもっと侯爵家が栄えるようにした方が良いわ。


 私を貰ってくれる人もいなければ、男性恐怖症になりつつあるこんな私だもの。これでフレデリック殿下に裏切られたら男性不信になってしまうわ……


「姉様、そろそろ僕達は戻りましょう。兄様も控室に戻ってくるそうです」

「はい。行きましょう」

 手を繋いで歩き出した。ジェローム殿下の手はまだ小さいわね。仲良く廊下を歩いていたらモーリス殿下に声をかけられた。


「ジェローム、随分リリアン嬢と仲良くなったみたいだな」


「はい。姉様は優しくて柔らかくて、可愛らしくて良い匂いがいます。僕の姉様になってくれて嬉しいです」

 あら。まぁ。なんて嬉しいことを

「わたくしもジェローム殿下の事を可愛らしい弟だと思っています」

 にこにこと二人で笑い合っていた。ほのぼのするってこの事なのね。

「勝手にしろよ。あまり仲良くしすぎると兄上から怒られるから気をつけた方がいいぞ。リリアン嬢も、兄上を本気で怒らせたら怖いと言うことだけ伝えておくよ」


 怖い? 意地悪はされたことはあるけれど、怒られたことはないわね。


「わかりましたわ。気をつけますわね」

「姉様、行こう」

 手を引いて歩き出すジェローム殿下。すると両陛下と廊下でお会いして陛下に挨拶をする。

「陛下この度は、」


「それ以上は言わなくても良い、」


 チラリとジェローム殿下を見る陛下。そうね。聞かせてはいけませんものね……


「はい」 


「フレデリックに全て任せた。私は報告を待つ。しかし気分が悪いと言う事だけは伝えておこう」


「はい」



 空気が変わったところで王妃様はジェローム殿下に

「リリーちゃんとずいぶん仲が良くなったのね」


「はい。姉様は仲良くしてくださいます。僕は姉様が出来て嬉しいです」


「あら、そう。それは良かったわね。リリーちゃんジェロームとも仲良くしてくれてありがとうね。そろそろフレデリックが戻ってくるわよ」


 フレデリック殿下が戻ってきたら立太子記念と婚約パーティーの打ち合わせだ。

 国中の貴族が皆王宮に来る事になっている。外国からのお客様も多い。

「リリ、待たせて悪かったね……ジェロームと随分仲良くなったようだね」

 手を繋いだままだった。ジェローム殿下の手は小さくて癒されるからつい。


「ジェローム殿下、つい図々しく手を繋いでおりましたわ。これから気をつけますわね。お許しください」

「姉様の手は柔らかくて大好きです。また手を繋いでくださいね」

「えぇ、もち、」
「リリ?」

 にこりと笑うフレデリック殿下

「まだジェロームは甘えたい子供なのかな? そんなに手を繋ぎたかったら母上と繋げば良い。リリは私の大事な人なんだよ。ジェロームはまだ子供だから許してあげよう。もしこれがモーリスだったら叩きのめしているところだったよ……」

 ゾワッと背中に冷たいものが伝った。

「飛び火だね! ジェローム、こっちに来い」

「兄様は心が狭いよね! 別に手くらい繋いでも減らないのに! 仲良くしたいだけなのにね!」

「はいはい、あなた達もフレデリックとリリーちゃんを紹介した時に居てもらいますからね。挨拶をしてからしばらくして退場よ! 良いわね」

「「はーい」」

「主役はフレデリックとリリーちゃん。フレデリック! しっかりエスコートするのよ!」


「はい。お任せください」



 「はい、それでは解散しますよ。各々準備を始める事!」


「父上、少し話があります」

「なんじゃ。言うてみよ」

「ここではちょっと、リリを送ってからそちらへ伺ってもいいですか?」


「分かった」



******

「送ってくれなくても良かったのに。護衛もいるし、マリーだってついてくれるし、他にメイド達も、」


「ダメ!」

「陛下を待たせて失礼じゃないの?」


「それは父上も分かってくれるから大丈夫だよ。リリはこれから王宮内であっても一人で出歩くことは禁止! どこかへ行くときはメイド長に必ず告げる事! リリの護衛は6人いる。交代制だから気にしなくても良い。リリの護衛ができるなんてと、皆誇らしく思っているんだよ。立候補してきた者もいる」


 6人…ってすごいわね。

「6人の他にリリの護衛長なる者もいる。それに女性ならではの買い物もあるだろうから女性もいる」


「何から何までありがとうございます」


 女性ならではの買い物やお店にも行けるのね! たしかに明らかなマッチョの人についてきてもらいたくないかも! 


「当然だ、また後で紹介するよ」







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