侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw

さこの

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その後のトビアス・マテス

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「マテス伯爵、貴殿が我が娘を貰ってくれると言うので、せめてもの情けじゃ」


 何を言ってるんだ? 貰ってくれる? 情け?


「向こう側の意見も取り入れておくがの」


 そして私にしか聞こえないように小声で言った。
『手を出してはいけない方に手を出したようだ。公には罰せられないからしかたがないのぅ。向こう側も納得してくれれば良いのだが……バカなことをしてくれた』


「大臣!」

「はい。ここに」

「マテス伯爵と王女の婚姻を進めるぞ」

 ちょ、ちょっと待ってくれよ! いろんなところから汗が出てきた。

「陛下、お待ちを、」


「何を言っとる。王女をアザリア王国へ呼んだのは伯爵であろう? 大臣、そうであったな?」


「はい。王女は黙って国を出て伯爵と密会をしておりました。ここで2人の愛は深まったようです。この事は他の貴族に知れ渡っておりますので、王女の降嫁先はマテス伯爵家ということになりますね」


「密会? そんな事は、」


「何を仰るのです。王女へのラブレターも発見されておりますぞ」

 懐から手紙をだし机に置く大臣。


 手紙を見たが、これは! いつかリリアンに渡そうと思っていたものではないか!


「ほぉ。一目惚れだったとな。我が娘は美しい娘であるからのぅ」


 違う! 違う、違う!! 王女じゃない!


「しかし問題がありました。王女は勝手に国を出てアザリア王国へと入国しました。入国するにあたっての入国許可証を偽造しました。偽造の手伝いは誰がしたのでしょうか」


 チラリとこちらを見る大臣と陛下。蛇に睨まれた蛙状態だ。


「困ったものだ……罪は重いぞ。この件についてアザリア王国から抗議が届いておる」


「えぇ。それにアザリア王国へ持ち込み禁止の花まで持ち込んで」


 持ち込み禁止の花? 何をやっているんだ! あの王女は!


「我が娘ながら情けない話じゃ……この件についても抗議されとる」


 目を瞑り頭を左右に振る陛下


「その花というのは禁止薬物入っている媚薬でしてな」



 ……王女に渡した媚薬 



「禁止薬物と花が栽培されている領地を特定しましたよ。伯爵」


「……なんのことか見当がつかないな」


 うちの領地ではないからな。


「伯爵に脅されてとある領地の林の中で密かに栽培されていました。湿度が大事らしいですな。脅されたとは言え栽培を許可していたことから罰金刑としました。伯爵、何か言いたい事はありますか?」

「…………」


 あいつめ! 子爵家の分際で伯爵家に楯突くとは! 見てろよっ!

「これに関して被害届が出ていますから受理されました。今後は王女の婚約者として伯爵には弁えて生活をして頂きたい」

 と大臣が言う。

「婚約者となったのだから、伯爵家に王女をやらせる。頼んだぞ伯爵」

 と陛下に言われた。嫌だ! そう言いたかった。


 その時トビアスは知らなかった。王女の罪も連帯責任となるとは。


******


 それから間もなく……


「マテス領の半分を売るだと?」


「はい。慰謝料が結構、いや……かなり嵩みまして」


 執事を筆頭に使用人が出ていってしまって、新しく雇った執事に言われた。


「慰謝料だと?! 子爵家には払っただろうが! それにやめていった奴らの給金も、退職金までっ!」


 禁止薬物を栽培させていた子爵への慰謝料は支払った。土壌の入れ替えやそれに伴う人員まで全て伯爵家で持つ羽目になった! とてつもない出費だった。

 それに辞めていった使用人達の給金及び退職金まで支払わされた。国で決められた金額を! 大きな出費となった!


「奥様が先日招待されたお茶会で、公爵家のご令嬢と言い争いになりまして、場を壊したそうです。その時一緒におられた侯爵家のご令嬢のドレスを汚されました。その時に一点ものの首飾りを引きちぎったとのことで、ご令嬢の首に傷をつけてしまいました。その首飾りは令嬢の婚約先からの贈り物だそうで、修理代と慰謝料を含め、婚約先の家からは被害届が出ております」


 公爵家に侯爵家、それに相手の家からも……


「奥様と言うがまだ結婚はしていない。私は認めていない。王女なんて我が家の居候のようなものだろう……王家はなんと?」


「伯爵家に嫁いだ娘だと返答が帰ってきております」


 それから過去の問題も相成り、領地は全て没収され最終的に爵位は男爵まで落とされた。領地収入がなくなり困窮状態だ。

 国へ帰ってきて、あっという間の出来事だった。王家に泣きついても知らぬ存ぜぬだ。王女は切り捨てられたのだろう。


 屋敷も売り払い先祖代々の家財道具を売りなんとか生計を立てている。




「またドレスなんて買いやがって! 良い加減にしろ」


 邸は元王女が住んでいるにしては見窄らしい邸だ。給金の出し渋りで平民ならばなんとか雇える。


「同じドレスを着れるわけないでしょう! なんとかして稼いできなさいよ! ろくでなし」

「なんだと!」


 バシッと王女の頬を打つ。


「打ったわね!」

 頬を庇いながらも私の頬を打ってきた。


 パンッ! パンッ!!


 頭の中の何かがプツッと切れた。




 外にも聞こえるような大喧嘩で誰が呼んだか警備隊まで出動する騒ぎとなり、トビアスは捕まり牢に入れられた。 



「出せっ! 俺を誰だと思っているんだ!」


「しばらく頭を冷やすようにとの伝言です」


「くそっ!」


 全部あの王女のせいだ! 使えない女のくせにあろう事か結婚までさせられた! 式は地味なもので、せめて初夜を回避しようとしていたらいつの間にか媚薬を盛られていたようで、手を出してしまった。


 それから地獄の日々だ……


 金遣いは荒いは問題を起こすし傲慢! 容姿だけがウリだったのにその容姿を含めても良いところが1つもない! 



 リリアンの顔を思い出し、あの穏やかな笑顔を見たいと心から思ったがそれは一生叶わない願いだった。


 

 









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