絶対に近づきません!逃げる令嬢と追う王子

さこの

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領地(家)まで来ないでくださいっ

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 風通しの良い応接室へと案内される


「王子殿下はなぜこの様な辺境へ視察へ来られたのですか?」

「伯爵領は隣国により襲撃を受けた、その後の復興が凄まじく早かったので、視察に来たまでですよ」

「そうでしたか……それではジュードに領内を案内をさせましょう」

「それは助かります。ところでアイリス嬢はお元気ですか?」

「娘ですか?えぇ、元気にしておりますよ、娘と面識がお有りでしたか?」

「えぇ、親しくさせていただいています」


「それは、聞いておりませんでした……」

「アイリス嬢はご在宅ですか?せっかくなので挨拶をしたいのですが」


「来客中でして、申し訳ございません」

「……では、待たせていただいてよろしいですか?」

「どういった御用でしょう? 王子殿下を待たせるような失礼な事は出来ません」

「……そうか」



「失礼致します。父上お呼びですか?」

 ジュードが応接室へと入る


「王子殿下これは失礼致しました」

「やぁ、ジュード」

「ジュード、王子殿下に領内を案内して差しあげなさい」


 ……早く行け!と目線を送るとこくんと頷くジュード


「王子殿下、それではこちらに」

「お、おい」

「せっかくお越しいただいたので私がしっかりとご案内させていただきます」



 廊下を歩き庭を見ると

「立派な庭だな……」

「ありがとうございます。なにせ田舎なもので、それくらいしか楽しみがございません」

 立ち止まり庭を見ると、どこからか話し声が聞こえる……やばいっ


「さ、さぁ行きましょうか」

 歩き出そうとするジュード

「待て!」

 庭に足を踏み入れ声のする方へと行くエヴァン

 ウェステリア語で話しながら、ベリーを摘むアイリスとユベールの姿



「アイリス!」

 声をかけるエヴァン

「えっ? 王子殿下……どうして」


…… なぜ邸にエヴァンがいるんだ?驚くアイリス


「随分と楽しそうだね、アイリス」

 にこっと笑うエヴァン


「ベリーを摘んで……」

「何に使うの?」

「ジャムを作ろうかと……」

「へー、アイリスが作るの?」

「はい、そうです」

「それは良いね、是非ご馳走になりたいものだよ」

「王子殿下が口にする様な物ではございません……」

「それは私が決めるから大丈夫」

「……ところで王子殿下はなぜ、此処うちにいらっしゃるのでしょうか?」


「視察にこられたんだよ!今から私が王子殿下に領内の案内するんだよ!さぁ殿下参りましょう」


 ジュードがエヴァンに言うも

「アイリス! お茶に誘うと言ったよな?なぜ領地に帰った?」

「お母様の体調が悪くて……早く帰りたくて」


「それは仕方がない、夫人は元気そうだったがな……」

 ほっとするアイリス


「……まぁいい、しばらくは視察で近くにいるからまた来る、いいな?」

「……はい」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ようこそいらっしゃいました、本日はどう言ったご用で?」

  父が表面上は和かな笑みを浮かべる


「領内を見させて貰った。大変なことを父がしたと、深く反省をした。申し訳なかった、このようなことが二度とないようにすると誓う」

 エヴァンが言う


 アイリスはさっぱり意味がわからないので、無表情である。

 こう言うときに学園で流行っている、微笑みを浮かべられれば良いのだが……。


「そうですか……それが叶えば安心です」
父が言葉少なめに返答する。

 何か思っていることがあるのだろう


「そういえばアイリス、先日の中庭で花瓶の水が落とされた件なんだが……」

「はい?」

「犯人が分かったよ、注意してあるからもうこんな事は起きないと思う、悪かったな」

「どうして王子殿下が謝罪をされるのですか?」

「まぁいい……それではまた学園で、王都に戻ってきたら連絡をくれ、いいな?」

 首を傾げるアイリス

「……はい」

 そうしてエヴァンは帰っていった


「アイリス学園で何かあったのか?」

 父が眉間に皺を寄せながら聞いてきた


「中庭でお友達と話をしていたら上から水とお花が落ちてきて、濡れたときにたまたま通りかかった王子殿下が上着を貸してくださいました」

「そんな事が、だから王子が謝罪をしたのか……」

「どう言うこと?お父様」


「アイリス、留学の時期を早める、ユベールに連絡をしておく」

「は、はいっ」

「王子殿下に近づくなと言ったよな?」

「近づいてなどいませんっ!」

「アイリスに話がある」


 父が隣国から襲撃を受けた時のことを話してくれた。

「知らなかったです……」

 驚くアイリス


「その時にお前は王宮で王子殿下に会った。王子殿下は、花冠の女の子を探している、来年には王子殿下の婚約者が決められるのは知っているな? 近いうちに、その話をされる」

「……どの話?」

「お前との婚約の話」

「……またまた、ご冗談を」

「至って本気だ」 

「嫌です……困りますっ」

「だから留学をする!王子から逃げるんだ、あの王の居るところになんて嫁にやれん」

「……はいっ」



 留学の準備が急ぎ進められた……

 王子の話を無視する行為だが王都に戻ってきたら連絡をくれと言っていた。

 戻らないのだから連絡のしようがない!
 逃げるが勝ちだ!


「アイリス迎えに来たよー」

 ユベール自ら立派な馬車で迎えに来た
見たことのない丸みを帯びた形の馬車だった


「えぇー。うちの馬車で行きます」

「まぁまぁ、せっかく用意したんだし、乗りな。乗りごごちも良い」

 ぐいぐい背中を押されて結局馬車に乗り込むこととなった。

「お父様、お母様、お兄様行ってまいります」
 
 手を振られ見送られた
 

 隣国の境界線に領土があることから、自国のシャルトルーズの文化とウェステリアの文化が混じり合うルメール領だが、ウェステリアは、どんなところなのだろうとわくわくした気持ちになった。


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