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晩餐
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「本日はお招きいただき有難うございます」
アーネスト様?! グレマン領にいた時とはまるで別人のように貴族の格好……って失礼だけど……ちゃんとしてるわ。そして花をプレゼントしてくれたの。
「あ、この花は……」
グレマンの町で見た?!
「鉢植えをプレゼントするなんて失礼かと思ったのですが、咲いているところを見たい。と言っていたのでお待ちしました」
「嬉しいですわ。どんな花が咲くのでしょうか」
この花は咲くまで何色か分からないらしくそれを聞くととても不思議な花なんだと思いました。他にもアーネスト様は自領の特産の紅茶と珍しいワインをお土産に持ってきてくださった。
それから両親も合流してまずはお茶を飲むことになった。アーネスト様に感謝の気持ちをずーっと伝えていました。
グレマン領での生活を話していたら驚かれた。
「とても楽しかったですわ」
王都での喧騒を忘れてのんびりと過ごす事ができた。乗馬をした事を話していると難しい顔をされた。乗馬をする令嬢は珍しくないのに。
「そうか。それは貴重な体験をさせて貰ったね」
「ふふっ。元々アリスはお転婆娘で庭でかけっこをしてよく転んで、犬と遊んでいて池に落ちて、居なくなったらと思ったら木の上で寝ているような子でしたのよ。でも残念ながら運動神経が悪くて、その分ジェレミーが良くて……」
「お母様! アーネスト様の前で変な事は言わないでください」
恥ずかしいわ! そんな昔のことを持ち出してくるなんて!
「アリス嬢にそういう子供時代があったのですね。幼き頃からしっかりとしていたお子さんだったのだと思っていました」
あぁ……恥ずかしい。
「子供の頃は自由にさせたかったのですよ。王子の婚約者候補になった頃から親が言うのも何ですが急に大人しくなってしまって驚きました」
「何かきっかけでもあったのですか?」
……お転婆時代のエピソードは闇に葬り去りたいけれどあの頃は楽しかった。でも王宮に行くようになって王妃様やお義姉様達のように美しくなりたいって思った。洗練された美しい所作、指先から足先に至るまで品が溢れていた。
王妃様に憧れて私は王妃様に認められるような令嬢になりたいって思ったのよね。単純だけど。
「素敵なレディになりたいって思ったのです。王妃様はそこにいるだけで華があって美しくて、お義姉様達にも憧れました」
お義姉様というのは兄弟殿下のパートナーです。と説明した。とても良くしてくださったから。
「近くにお手本になる方達がいたと言うことですね。お転婆時代のアリス嬢も可愛らしかったでしょうね」
急にいろんなことを思い出してきた。猫にちょっかいをかけていて爪を立てられたこと。隠れんぼをしていて、途中で寝てしまって暗くなって怖くなり大泣きしてショーンに迷惑をかけたこと……
「こ、この話はやめませんか? 居心地が悪いですわね」
「すみません。アリス嬢といえばしっかりとしている印象があったので微笑ましい一面があったのだと思うと妙な親近感が湧いてきました」
親近感? 今のアーネスト様からは想像つきませんわね。今日のアーネスト様は立派な貴族の子息といった感じでびしっと決まっている。これが従来のアーネスト様なのかしら?
「アリスは少しの間にアーネスト殿と親しくなったのだね」
お父様視点ではそう見えるのかしら?
「アーネスト様は面倒見が良い方なんですわ。アーネスト様のお姉様のお子様もアーネスト様を慕っていてとても良い関係に見えましたわ」
ジェシーさんとクララさんは本当に愛らしい方でしたから、楽しく過ごせた事も説明する。
「そうなんだね。グレマン閣下にもお礼に伺いますのでよろしくお伝えください。さぁ晩餐の支度ができたようですので移動しましょう」
晩餐にはお兄様もジェレミーも席につき楽しく時間を過ごせました。
晩餐が終わってからアーネスト様とお話をするために少しお酒を飲みました。私は強くありませんのでアーネスト様が持ってきて下さったお花のワインを一杯だけ。
「変わったワインですね。初めて見ましたわ。香りも良いですし甘くて飲みやすいです」
「隣国のワインで生産量が少ないのだそうです。このワインを作っている隣国の領主が毎年送ってきてくれるのです」
「隣国の領主様ともお付き合いがあるのですね」
「えぇ、まぁ。昔からの知り合いというか、少々ありまして」
これはきいてはいけない内容かも知れませんわね。数年前隣国との間にいざこざがあってそれを治めたのがグレマン家だったような? パーティーが開かれた事がありましたわよね。
って! そうだわ。あの時お父様とグレマン閣下とお話をした事があったわね。その時に隣にいたのがアーネスト様? なのかも知れない。あの時は毎日が忙しくて覚えることも一杯だった。
考えればあの時から殿下と過ごす時間が減った。お稽古に勉強にお茶会。充実していたといえばそうだけど、忙しすぎてあの時の記憶が定かではないのよね。
アーネスト様?! グレマン領にいた時とはまるで別人のように貴族の格好……って失礼だけど……ちゃんとしてるわ。そして花をプレゼントしてくれたの。
「あ、この花は……」
グレマンの町で見た?!
「鉢植えをプレゼントするなんて失礼かと思ったのですが、咲いているところを見たい。と言っていたのでお待ちしました」
「嬉しいですわ。どんな花が咲くのでしょうか」
この花は咲くまで何色か分からないらしくそれを聞くととても不思議な花なんだと思いました。他にもアーネスト様は自領の特産の紅茶と珍しいワインをお土産に持ってきてくださった。
それから両親も合流してまずはお茶を飲むことになった。アーネスト様に感謝の気持ちをずーっと伝えていました。
グレマン領での生活を話していたら驚かれた。
「とても楽しかったですわ」
王都での喧騒を忘れてのんびりと過ごす事ができた。乗馬をした事を話していると難しい顔をされた。乗馬をする令嬢は珍しくないのに。
「そうか。それは貴重な体験をさせて貰ったね」
「ふふっ。元々アリスはお転婆娘で庭でかけっこをしてよく転んで、犬と遊んでいて池に落ちて、居なくなったらと思ったら木の上で寝ているような子でしたのよ。でも残念ながら運動神経が悪くて、その分ジェレミーが良くて……」
「お母様! アーネスト様の前で変な事は言わないでください」
恥ずかしいわ! そんな昔のことを持ち出してくるなんて!
「アリス嬢にそういう子供時代があったのですね。幼き頃からしっかりとしていたお子さんだったのだと思っていました」
あぁ……恥ずかしい。
「子供の頃は自由にさせたかったのですよ。王子の婚約者候補になった頃から親が言うのも何ですが急に大人しくなってしまって驚きました」
「何かきっかけでもあったのですか?」
……お転婆時代のエピソードは闇に葬り去りたいけれどあの頃は楽しかった。でも王宮に行くようになって王妃様やお義姉様達のように美しくなりたいって思った。洗練された美しい所作、指先から足先に至るまで品が溢れていた。
王妃様に憧れて私は王妃様に認められるような令嬢になりたいって思ったのよね。単純だけど。
「素敵なレディになりたいって思ったのです。王妃様はそこにいるだけで華があって美しくて、お義姉様達にも憧れました」
お義姉様というのは兄弟殿下のパートナーです。と説明した。とても良くしてくださったから。
「近くにお手本になる方達がいたと言うことですね。お転婆時代のアリス嬢も可愛らしかったでしょうね」
急にいろんなことを思い出してきた。猫にちょっかいをかけていて爪を立てられたこと。隠れんぼをしていて、途中で寝てしまって暗くなって怖くなり大泣きしてショーンに迷惑をかけたこと……
「こ、この話はやめませんか? 居心地が悪いですわね」
「すみません。アリス嬢といえばしっかりとしている印象があったので微笑ましい一面があったのだと思うと妙な親近感が湧いてきました」
親近感? 今のアーネスト様からは想像つきませんわね。今日のアーネスト様は立派な貴族の子息といった感じでびしっと決まっている。これが従来のアーネスト様なのかしら?
「アリスは少しの間にアーネスト殿と親しくなったのだね」
お父様視点ではそう見えるのかしら?
「アーネスト様は面倒見が良い方なんですわ。アーネスト様のお姉様のお子様もアーネスト様を慕っていてとても良い関係に見えましたわ」
ジェシーさんとクララさんは本当に愛らしい方でしたから、楽しく過ごせた事も説明する。
「そうなんだね。グレマン閣下にもお礼に伺いますのでよろしくお伝えください。さぁ晩餐の支度ができたようですので移動しましょう」
晩餐にはお兄様もジェレミーも席につき楽しく時間を過ごせました。
晩餐が終わってからアーネスト様とお話をするために少しお酒を飲みました。私は強くありませんのでアーネスト様が持ってきて下さったお花のワインを一杯だけ。
「変わったワインですね。初めて見ましたわ。香りも良いですし甘くて飲みやすいです」
「隣国のワインで生産量が少ないのだそうです。このワインを作っている隣国の領主が毎年送ってきてくれるのです」
「隣国の領主様ともお付き合いがあるのですね」
「えぇ、まぁ。昔からの知り合いというか、少々ありまして」
これはきいてはいけない内容かも知れませんわね。数年前隣国との間にいざこざがあってそれを治めたのがグレマン家だったような? パーティーが開かれた事がありましたわよね。
って! そうだわ。あの時お父様とグレマン閣下とお話をした事があったわね。その時に隣にいたのがアーネスト様? なのかも知れない。あの時は毎日が忙しくて覚えることも一杯だった。
考えればあの時から殿下と過ごす時間が減った。お稽古に勉強にお茶会。充実していたといえばそうだけど、忙しすぎてあの時の記憶が定かではないのよね。
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