40 / 106
その40(意外な特技)
しおりを挟む
後日王宮に行くことになった
お茶会で二回もアラン殿下に助けていただいたお礼と、お借りしていたハンカチをお返しする為だ。
「アラン王子殿下、この度はお時間を作っていただき誠にありがとうございます」
お父様が恭しく礼をする
「アラン殿下先日はありがとうございました」
淑女の礼をする
「や、やめてくれ二人とも!!頼むからから普通にしてくれよ。」
「ですが、王宮ですし」
「良い!この件に関して誰も咎めるものなどおらん」
メイドが紅茶とお菓子を置く。
「くつろいでくれ」
とアランが言う
せっかく出してもらったので。
と紅茶を口にしてリオネルは
「私は仕事が山積しておりますので戻ります。マリー何かあったらすぐアンに言うんだよ?私は執務室にいる」
「はい」
リオネルが退席する。
「先日の茶会で少しは自信がついたか?」
「自信と言うか初めて失敗しなっかたから、嬉しかったんです。殿下が隣にいるだけで良いって言ったくれたから、楽っていうか、肩の力が抜けました!」
えへへと可愛く笑うマリー
「そ、そうか。それならまた一緒に行こう。練習になるぞ」
「はい!頼りにしています」
パァーっと頬がピンクに染まり嬉しそうに笑う
「マリーはよく表情が変わるので見ていて飽きないな」
ククク…と笑う
「あっ!マナーの先生に怒られちゃう」
「なぜだ?」
「レディはあまり表情を変えてはいけないんです…」
「私の前では良いだろう?マリーの良いところだ。笑っている顔の方がずっと良い」
「あ、ありがとう、ゴザイマス」
……あれ?アラン様ってこんな感じだったっけ?調子が狂うわ……
「あ!そうだ!殿下にハンカチをお返ししようと思ってお持ちしたんです。アンお願い」
「はい、かしこまりました」
とアンがマリーに手渡す
「殿下ハンカチをありがとうございました」
「あぁ。別に良いと言ったのに」
……苦笑いするアラン
「私が貸したのは二枚だったよな?」
三枚のハンカチを渡される
「はい。その、お借りしたのは二枚だったのですが、一枚はお礼にと私が刺繍をしました。」
「見事な出来上がりだな……正直驚いた」
……そうなのだ前世のアラサーは、手先が無駄に器用だった。
刺繍などは月に一度送られてくるセットで練習に励み没頭し中々の腕前なのだ。最終的には自分でデザインまで考えいろんなパターンを縫えるようにまでなっていた。
地味だと言われた趣味の刺繍が活かされ、お披露目できる日が来たのだ!
前世での趣味が今世で活かされるとは!やっていて無駄な事ってない!と前世の自分を褒めてやりたいと思った瞬間だった
「あの、私殿下のこと、何が好きかとか全然知らなくて、よろしかったらその、どうぞ」
「……そうだよな。全然知らないっていうのもショックだが、私の為に刺繍してくれたというのは正直嬉しい」
「あっ。失言でした。その、これから知っていけば良いですね」
あわあわと慌てふためくマリー
「これから知ってくれるのか?」
ハンカチの刺繍をじっと見ながらアランが言う
ふと顔をマリーの方に向けると可愛くラッピングした包みを持っている。
「それは、なんだ?」
「これは、クッキーを焼いてお持ちしたんですけど、王族の方に手作りの食べ物をお持ちしてはいけませんでしたね、そのうっかりしていました。」
「マリーが作ったのか?」
「はい、以前ソフィア様が邸に来られたときにお出ししたら美味しいと言っていただけたので、殿下にもお渡し出来たらと思って持ってきてしまったんで、これは持ち帰ります。アンーー」
とアンを呼ぼうとしたところ殿下がこちらに向かって包みを奪うように持っていく
「せっかく作ってくれたんだ。一緒に食べよう」
「でも、毒が入っているかもしれませんよ?」
「毒の耐性は付いている」
……えっっ?そうなの?まだ子供なのに…王子様って命がけの仕事なのね…
「王宮の調理人の作るお菓子の方が美味しいですよ?」
「しつこいな。食べさせろ」
「食べさせろってもう!怒られても知りませんからね!!」
ガサガサと包みを開けるマリー
「はい、あーん」
とクッキーを食べさそうとする
「ん、な、なんだ?」
「食べさせろって言ったから!はい」
差し出されたクッキーを口に入れるアラン
咀嚼し飲み込む
「…驚いた、、うまいな」
「本当ですか?」
「あぁ。うまい、今日は驚いてばかりだ」
…前世ではお菓子作りも趣味だったのだ。
得意としていたものは主に焼き菓子だった。
単なる食いしん坊と暇潰しが高じて作るようになった。手作りのお菓子を人に渡すのは躊躇してしまい自分で消費することが多かった。
なので人に食べてもらい、おいしいと言われたら素直に嬉しい……
「えへへ。良かった」
と素直に喜ぶマリー
「マリーのことを全く知らなかったのは私の方だな。刺繍は素晴らしいし、クッキーまで作れることを私は知らなかった」
「おあいこですね、殿下のこともいろいろ教えてくださいね」
……あれ?もしかして嬉しすぎて口が過ぎたかしら?
顔を赤くするアラン
「殿下?どうしました?」
「その、殿下という呼び方をやめてくれないか?」
「そうでした、アラン様」
「マリーも食べるか?ほら?」
とクッキーをさし出してきたのでそのまま口に入れる
……これはいわゆる食べさせ合いではないか?
顔を真っ赤にするマリー
「どうした?」
「その、とても恥ずかしいです」
と下を向く
「お前からやってきたんだろうが!」
「だって…」
「なんだよ!」
「ふふふ、ちょっと前の意地悪なアラン様みたいですね」
「あぁ、すまない」
バツの悪そうな顔をするアラン
「なんで?わざとらしくなくて良いですよ。こっちの方がアラン様っぽい」
「バレていたか……」
と二人で笑い合う
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
扉の向こうで会話をこっそり聞いていた王妃殿下は、中々良いじゃない!!
やるわね、アランったら。
お茶会で二回もアラン殿下に助けていただいたお礼と、お借りしていたハンカチをお返しする為だ。
「アラン王子殿下、この度はお時間を作っていただき誠にありがとうございます」
お父様が恭しく礼をする
「アラン殿下先日はありがとうございました」
淑女の礼をする
「や、やめてくれ二人とも!!頼むからから普通にしてくれよ。」
「ですが、王宮ですし」
「良い!この件に関して誰も咎めるものなどおらん」
メイドが紅茶とお菓子を置く。
「くつろいでくれ」
とアランが言う
せっかく出してもらったので。
と紅茶を口にしてリオネルは
「私は仕事が山積しておりますので戻ります。マリー何かあったらすぐアンに言うんだよ?私は執務室にいる」
「はい」
リオネルが退席する。
「先日の茶会で少しは自信がついたか?」
「自信と言うか初めて失敗しなっかたから、嬉しかったんです。殿下が隣にいるだけで良いって言ったくれたから、楽っていうか、肩の力が抜けました!」
えへへと可愛く笑うマリー
「そ、そうか。それならまた一緒に行こう。練習になるぞ」
「はい!頼りにしています」
パァーっと頬がピンクに染まり嬉しそうに笑う
「マリーはよく表情が変わるので見ていて飽きないな」
ククク…と笑う
「あっ!マナーの先生に怒られちゃう」
「なぜだ?」
「レディはあまり表情を変えてはいけないんです…」
「私の前では良いだろう?マリーの良いところだ。笑っている顔の方がずっと良い」
「あ、ありがとう、ゴザイマス」
……あれ?アラン様ってこんな感じだったっけ?調子が狂うわ……
「あ!そうだ!殿下にハンカチをお返ししようと思ってお持ちしたんです。アンお願い」
「はい、かしこまりました」
とアンがマリーに手渡す
「殿下ハンカチをありがとうございました」
「あぁ。別に良いと言ったのに」
……苦笑いするアラン
「私が貸したのは二枚だったよな?」
三枚のハンカチを渡される
「はい。その、お借りしたのは二枚だったのですが、一枚はお礼にと私が刺繍をしました。」
「見事な出来上がりだな……正直驚いた」
……そうなのだ前世のアラサーは、手先が無駄に器用だった。
刺繍などは月に一度送られてくるセットで練習に励み没頭し中々の腕前なのだ。最終的には自分でデザインまで考えいろんなパターンを縫えるようにまでなっていた。
地味だと言われた趣味の刺繍が活かされ、お披露目できる日が来たのだ!
前世での趣味が今世で活かされるとは!やっていて無駄な事ってない!と前世の自分を褒めてやりたいと思った瞬間だった
「あの、私殿下のこと、何が好きかとか全然知らなくて、よろしかったらその、どうぞ」
「……そうだよな。全然知らないっていうのもショックだが、私の為に刺繍してくれたというのは正直嬉しい」
「あっ。失言でした。その、これから知っていけば良いですね」
あわあわと慌てふためくマリー
「これから知ってくれるのか?」
ハンカチの刺繍をじっと見ながらアランが言う
ふと顔をマリーの方に向けると可愛くラッピングした包みを持っている。
「それは、なんだ?」
「これは、クッキーを焼いてお持ちしたんですけど、王族の方に手作りの食べ物をお持ちしてはいけませんでしたね、そのうっかりしていました。」
「マリーが作ったのか?」
「はい、以前ソフィア様が邸に来られたときにお出ししたら美味しいと言っていただけたので、殿下にもお渡し出来たらと思って持ってきてしまったんで、これは持ち帰ります。アンーー」
とアンを呼ぼうとしたところ殿下がこちらに向かって包みを奪うように持っていく
「せっかく作ってくれたんだ。一緒に食べよう」
「でも、毒が入っているかもしれませんよ?」
「毒の耐性は付いている」
……えっっ?そうなの?まだ子供なのに…王子様って命がけの仕事なのね…
「王宮の調理人の作るお菓子の方が美味しいですよ?」
「しつこいな。食べさせろ」
「食べさせろってもう!怒られても知りませんからね!!」
ガサガサと包みを開けるマリー
「はい、あーん」
とクッキーを食べさそうとする
「ん、な、なんだ?」
「食べさせろって言ったから!はい」
差し出されたクッキーを口に入れるアラン
咀嚼し飲み込む
「…驚いた、、うまいな」
「本当ですか?」
「あぁ。うまい、今日は驚いてばかりだ」
…前世ではお菓子作りも趣味だったのだ。
得意としていたものは主に焼き菓子だった。
単なる食いしん坊と暇潰しが高じて作るようになった。手作りのお菓子を人に渡すのは躊躇してしまい自分で消費することが多かった。
なので人に食べてもらい、おいしいと言われたら素直に嬉しい……
「えへへ。良かった」
と素直に喜ぶマリー
「マリーのことを全く知らなかったのは私の方だな。刺繍は素晴らしいし、クッキーまで作れることを私は知らなかった」
「おあいこですね、殿下のこともいろいろ教えてくださいね」
……あれ?もしかして嬉しすぎて口が過ぎたかしら?
顔を赤くするアラン
「殿下?どうしました?」
「その、殿下という呼び方をやめてくれないか?」
「そうでした、アラン様」
「マリーも食べるか?ほら?」
とクッキーをさし出してきたのでそのまま口に入れる
……これはいわゆる食べさせ合いではないか?
顔を真っ赤にするマリー
「どうした?」
「その、とても恥ずかしいです」
と下を向く
「お前からやってきたんだろうが!」
「だって…」
「なんだよ!」
「ふふふ、ちょっと前の意地悪なアラン様みたいですね」
「あぁ、すまない」
バツの悪そうな顔をするアラン
「なんで?わざとらしくなくて良いですよ。こっちの方がアラン様っぽい」
「バレていたか……」
と二人で笑い合う
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
扉の向こうで会話をこっそり聞いていた王妃殿下は、中々良いじゃない!!
やるわね、アランったら。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
686
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる