夢でも良いから理想の王子様に会いたかったんです

さこの

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トラブルメーカー健在

タイムリミット

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「マリー今何時だ?」
リオネルがマリーに尋ねる
「…十五時です」
「夜会は明日の何時からだ?」
「開場が十八時です」

…なんだと言うのだ!
父にまでバカにされているのか…
時間くらいは分かるし、明日の為にと王妃様からもレクチャーされているんだ!
心の中で悪態を吐くが、直接父に言おうものならば報復が怖い…

「よろしい、マリー結婚届を出して何時間以内なら取り消しできる?」
「えっと…二十四時間です」

確かそうだった筈だ…
うっかり届を出したり、相手の意思など関係なく婚姻届を出したりする人がいるので、この国では救済措置?のようなもので、二十四時間以内ならば取り消しすることが出来るのだ…
自分には関係ないと思いうっすらした記憶だったのだが…

「マリー今すぐ届けにサインをする!急げ」
アランが焦ったようにマリーの腕を取る
「侯爵、父上の所に行けば良いのか?」
「えぇ、急ぎましょう」
回廊を急いで歩く三人
「痛い、痛いよぉ、ゆっくり歩いて…」
腕を掴まれ、ヒールの靴では限界がある
「少し我慢しろよ」
アランがマリーを横抱きにする
「ひゃぁ!」
「よし!急ごう」
リオネルとアランが長い足で駆け出す
落とされないようにアランにしがみつくマリー
モルガン国王王妃エルザの待つ執務室に着くと衛兵がすぐに扉を開けた

「父上!母上!早くサインを!」
アランがマリーを抱きながら部屋に入る
「あぁ、急げ、わしらの分はもう書いてある」
アランがマリーを下ろし、ささっと書面にサインする。
「マリーはここにサインだ!」
アランにペンを渡される
「えっ?」
「早くしろ!」
リオネルに急かされ、何が何だか分からぬままにサインをする
「よし!」
アランがニヤリと笑った
どこにいたのか司祭様がいて、サインした証書を手にしている


「これでマリーちゃんは私の娘ね!義母ははと呼びなさいね!」
「えっ?」
「わしのことは義父ちちだなぁ」
「えっ?」
「娘の事を頼みます」
頭を下げるリオネル
「やだぁ!リオネルが頭を下げるなんてぇ、こちらこそアランをお願いね」
モルガン・エルザ・リオネル・アランはホッとした様子で、時計を見る

「…お父様?」
マリーがリオネルのそばに駆け寄り、腕をちょいちょいと掴む
「マリーの婚姻は正式なものだ、お前は今日からアラン殿下の妃だよ」
「えぇっ……!!」

「良かったマリー、間に合った」
ギュッと抱きしめられるマリー
「ねぇ、何のこと?分かんないんだけど」
困り顔のマリー
「アラン!あなたマリーちゃんに説明してなかったの?」
「いや?侯爵がしたよ、侯爵が来る前はマリーだって早く結婚したいって言っていた、そうだよなマリー?」
「えっ?さっきのサインは婚姻届?」
「「「「そう」」」」 
キョトンとするマリー

「本当バカだな!明日帝国の若き皇帝が花嫁探しも兼ねて来るって言っていただろうが!」
イラッとしたアランがマリーを見る

「…うん?だって私関係ないでしょ?アラン様の婚約者だもん」
「このバカ娘が!帝国の皇帝に目をつけられたら婚約者くらいじゃ、ダメなんだ!」

「えっ?だってアラン様、王太子だよ?」

「バカっ!もし目をつけられたらそのまま攫われていく可能性もあるんだよ!若き皇帝は、前国王が亡くなった後、兄弟の王子を全員殺して王になった!残虐性もある。しかし国をおさめる力とカリスマ性は高い…そんな事があっても帝国民からは、人気が高いんだ、何があるかわからん、お前はバカだからいつの間にか好かれたらどうするんだ!」
リオネルがマリーに説教をはじめる

「マリー、さっき侯爵に質問されていただろう?二十四時間以内だと結婚を取り消しする事が出来る、今は十六時だ、明日の夜会は何時からだ?」
「十八時から…あっ!そう言う事?」
がくりと肩を落とすアラン

「そうだ、もしマリーが気に入られても俺の妃だからな…あちらの国の王族は初婚じゃないと、結婚できないんだよ…」
「早く言ってよぉ~!」
「「ばか!!」」

リオネルとアランにダブルでバカと言われた
頬を膨らますマリー

「良いな!結婚したが、結婚式まで手を出すなよ?子供ができたら命がないと思えよ…」
リオネルがアランを脅す
「…ハイ、ガンバリマス」
アランの顔が白くなる…
「アランをいじめないでよ!孫が出来ても良いじゃないの!」
エルザが間を割って入る
「だから言ったろ?って!孫ができたら、死んでも代わりが出来る」
じろっとアランを睨みつけるリオネル

「お父様、こわいっ!」
ブルブルと震えるマリー
「お前も、旦那の命が惜しければ、結婚式をするまで手を出されるな!わかったな」
「こわいよぉ…」
「返事は?」
「…ハイ」

「終わったか?可哀想にな、アランよ…しかしな、式は二年後に予定が組まれ準備をしている、マリーが卒業したらすぐ結婚式だ、耐えろよ?試練だ…」
「ハイ」

「殿下とマリーは、式までは白い結婚、いいな?」
「「ハイ」」
「念のため、若き皇帝がいる間は一緒の部屋で寝ろ!手は出すな!出されるな!いいな?」
「「ハイ」」

マリーはアランと結婚した!

結婚の報告にソフィアの元へと訪れた…
「えっ?結婚したの?」
「うん」
「それって脅されて結婚したとかじゃないのよね?」
「お前は…失礼なやつだな!」
「だって、お兄様の執着が…恐ろしくて」
「でも式までは今まで通りですし、邸から学園にも通いますので…ソフィア様、不束な私ですけどよろしくお願いします…」
頭を下げるマリー
「不束ねぇ…ふふっ!私たち姉妹になったのね!お泊まり会しましょうね!」
「姉妹…ふふっ。ハイ!楽しみですね」
きゃいきゃいと話する二人
「そう言うわけで、夫婦になったから今日から頼むな、行くぞマリー」
「どこ行くのよ?まだ話し足りない!」
ソフィアが言うも
「ブロッサム家だよ!」
と言うアラン
「えっ?行くの?」
「行くよ!行ってあいつらまとめて、話してくるさ、最難関だ」
マリーの肩を抱いて馬車寄せまで歩こうとしたら、執事に呼び止められリオネルの執務室に行くように言われた
「はぁ…来てるのかよ…」

アランとマリーはリオネルの執務室に向かう
扉を開けられ入ると中には、ユーリウスとフランソワがいた

二人がソファに腰掛けるとリオネルから今回の結婚に至るまでの過程が話される。

「そう言うわけでマリーと結婚した、急だがよろしく頼む」
頭を下げるアランとマリー

「分かりました」
ユーリウスとフランソワは諦めたかのような顔つきだった
「式までは邸にいるのなら、変わらないね」
フランソワがマリーに話しかける
「うん、一緒に学園に行ってね」
「仕方がない、両陛下も絡んでるのに反対も出来ない…」
ユーリウスが二人を見る

ホッとする二人
「約束は守れるんですよね?」
ユーリウスがアランを見る
「あぁ、凄く頑張るよ、辛いけどね…」
「本人もこう言っている、さっき二人に約束させたから大丈夫だろう」
「約束…あれは脅しと言うのですよお父様」
「お前はとりあえず目をつけられないよう、いつもの通り殿下といちゃついてろ!分かったな?」
「ハイ、仰る通りに…」
「顔も頭もいいのに何でこんな天然バカになったのか…甘やかしすぎたのか」
ユーリウスが呟くと
「「「はぁーっ」」」
盛大なため息を皆が吐く


「なんでよ…甘やかしてきたのはパパじゃないの!甘えた方が嬉しいって言ったもん…」
涙で訴えるマリー
「いつまでも甘やかしたいんだよ…でもお前の成長が身長と共に止まってしまった…」
「ひどい…」
「だから王家に責任を取ってもらうことにする、お前はな将来王妃になる、大丈夫だ、まだ天然バカはバレていないから、式までの間に王妃にみっちり教育する様に言っておく、甘やかしたツケが回ってきた」
「ひどい…」

「良いか?帝国の若き皇帝が滞在している間だけでも良い、天然バカは封じ込めろ!周りをみろ、殿下にくっついておけ、それだけだ」

アランとマリーはぐったりとし、執務室から出ていくのだった










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