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ジュリアナの思惑
「お父様、教会への寄付へ行ってまいりましたわ」
お父様の営なむフロス商会へ顔を出しました。
「おぉ、ご苦労様。お茶を用意するから一緒にどうだ?」
「はい。お相手しますわ」
下働きのメイドがお茶を準備する。かちゃかちゃと音を立てて……はぁ。ジェフェリー様の側近の方とは大違いね。
優雅さに欠けるわ。もっとマシな給仕はいないのかしら。
うーん。少し煮出しすぎ? 茶葉のせいかしら……殿下のサロンで飲むお茶は美味しかったわ。この茶器は豪華で良いけどね。
「学園はどうだ? 平民と言って嫌がらせされていないか? うちは爵位はないが平民としては上級だ、そんじょそこらの家とは格が違う。だから優秀なお前が王立学園に行けたんだ」
「学園では殿下が世話役をしてくださっています。とっても良くしてくださるんですよ」
「おぉ! 殿下が! さすが我が娘!」
「とても良い方ですのよジェフェリー様。サロンへも特別に呼んでくださって、それも二度もよ?」
「なんと! いや……しかし殿下には婚約者がおられたではないか! まずいのではないか? 確か侯爵家のお姫様だったな」
「あら? だって殿下と婚約者は愛がありませんもの。家同士の繋がりですよ。だから私の世話役もしてくださるのでしょう? 必要以上に。ふふっ」
「そうなのか! 愛妾でも良い。お手付きになるだけでも……」
「お父様最低ですわね。愛妾でもだなんて! ジェフェリー様は婚約を解消しようとなさっておいでるのよ?」
「そうか! 名前呼びを許されているんだもんな! でかしたぞジュリアナ」
「私の存在が原因なら婚約解消の慰謝料も請求されるかも知れません」
「あぁ。任せておけ! そのくらいなんとかしようではないか」
「さすがお父様。頼りになります」
******
「おはようございます、セリーナ様」
「おはようございます、ジュリアナ様」
近くで見ても本当に美しい方……! でもね、美しいだけなの!
「セリーナ様は昨日教会のバザーへ行かれましたの?」
「お邪魔になるかと思って、バザーの前に帰ってきましたの。サムさんとダニエルさんにお願いしてお菓子の販売をしてもらいました。少しでも寄付に繋がればと思いまして」
「あらぁー。そうでしたの。私が教会に寄付にいった時にサムとダニエルがお菓子を売っていたのはセリーナ様のお菓子でしたのね」
「ジュリアナ様も、寄付をされにいかれたのですね。素晴らしいですわ」
「えぇ。うちは現金で寄付していますのよ」
「まぁ! そうでしたのね。お金の方が良かったのかしら…」
「余裕のあるうちは現金が基本ですわね」
「そうでしたの。知りませんでしたわ。バザーに協力することが良いのかと思っていましたもの。浅はかでしたわ。教えてくださってありがとうございます。ジュリアナ様」
頭を下げて礼をしてくるセリーナ様。ふふっなにかしら? この高揚する感じ……侯爵家の令嬢が平民に頭を下げるだなんて。
「おはようございます。セリーナ様!! どうかされましたの! 頭を上げてくださいな。ジュリアナ様何があって?!」
またいつもの令嬢ね。邪魔する気?
「おはようございますシーラ様。ジュリアナ様に私の至らないところを教えていただいたのです」
まぁ、その通りよね。教えてあげたの。世間知らずなお嬢様に。
「そんなことがあったのですね。でも頭を軽々しく下げるのはジュリアナ様のためにも良く無いと思いますわ」
「そう……ね。ここは公の場ではなく学園ですから咎める人はいないでしょう。これからは気をつけますわね」
「はい。セリーナ様、私も差し出がましい真似をして申し訳ございませんでした」
なんの話かしら? 貴族のそういうところって嫌! 謝るときは頭を下げるのは基本でしょうに……。それにジェフェリー様の婚約者でいられるのもいつまでかしらねぇ。
それにしてもこのシーラって令嬢は以前私に謝ってきたじゃないの! 何が違うのかしらね
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