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変わった人もいるものです
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「そこの貴方、少しよろしいかしら?」
本日も騎士団の練習を見に来ていました。応援隊の皆様のようにレイ様の瞳の色のグレーの扇子も用意してしまいました!
声を掛けられたこの令嬢は練習場で良く見る令嬢で子爵家の令嬢のようですわ。応援隊を取り仕切るボスといった立ち位置なのだそうです。
「まぁ、そうでしたの。わたくし存じ上げませんでご挨拶が遅れてしまいました。リュシエンヌ・モルヴァンと申します」
「知ってますわ! あの隊長と婚約をしたんですって?」
あまり良い言い方ではありませんわね……
「はい。そうですわ」
「あなた婚約破棄をされて、男漁りの末あの隊長と婚約をせざるを得なかった可哀想な令嬢なんですって? そうじゃないとあんな恐ろしい人と婚約しようなどと思わないわよね……残念な令嬢だわ」
何この方? 失礼にも程がありますわ! でも怒りに任せて騒ぎを起こしてはなりませんわね。
「隊長と婚約をしているのに他の隊員にも差し入と言って近づき、色目を使っているのでしょう? そういう行為は私達応援隊の輪を乱す行為なの! 覚えておきなさいね」
「……わかりました。騎士様達への差し入れは控えますわ。それとわたくしの事はどのように思ってくださっても結構ですが、グレイソン様の事を悪くいうのはやめていただきたいですわ」
「ふふっ。分かっているのよ? 隊長を踏み台にして見め美しい隊員に乗り移ろうとしているのでしょう? 婚約破棄は一度すると二度でも三度でも同じですものね」
何この令嬢は! そう思い令嬢を思いっきり睨む。
「それと……私のレオン様に色目を使うのはやめてね。レオン様は優しくて、今は隊長の婚約者だからあなたと仕方がなく話をしているだけなんだから」
悲しそうな顔で私を見てくる。何故だか不思議に思いましたの。だってこの方言っている事は辛辣なのに笑顔って……そう思い周りを見ました。令嬢達が遠巻きに私達の姿を見ていました。睨む私と悲しそうな顔の令嬢。周りからどう見えているか……
そういう事ですのね……分かりましたわ。私は笑顔を令嬢に向ける。
「今だけではなくグレイソン様はわたくしの大事な方ですの。お分かりいただけないのなら仕方がありません。お構いなく」
すっと礼をして令嬢の前から立ち去った。なんて失礼な令嬢なんでしょうか! 同じ空気を吸いたくありませんわね! レイ様のことを悪く言うなんて。
控えていたメイドのアデールが何かあったのかと聞いて来ましたが、答えたくありませんでしたわ。
「もう少し落ち着いてから相談に乗ってね。少し頭を冷やしたいの」
「分かりました。お嬢様の様子がおかしかったので心配しております」
アデールに心配かけてしまっているのね。ごめんなさい。心の中で謝りました。練習を見学している途中で声を掛けられたのでレイ様を見失ってしまいましたわ。
アデールに聞くと、騎士団員の方に声を掛けられて出て行ってしまったようですわ。休憩までに戻って来ませんでしたので仕方なく図書館へ向かおうとしていたら、副隊長様に声を掛けられました。
「リュシエンヌちゃん!」
「副隊長様ご機嫌よう」
副隊長様のお顔を見たら先程の令嬢を思い出してしまいましたわ……
「副隊長だなんてレオンで良いのに……」
「そう言うわけには参りませんわ」
殿方を名前呼びするなんて……婚約者はいないとお聞きしましたが、意中の方がいらした場合嫌な思いをされるでしょうし……ってまさかあの令嬢が副隊長様の?! それなら趣味が……よろしくないですわね。
「真面目なところがリュシエンヌちゃんの良いところだね。本題に入ろうか。グレイは急に仕事が入ったんだ。あと一時間ほどかかると思うから執務室で待っていて欲しいと伝言だ。ランチを一緒にとも言っていた」
だからいなくなったのですね。
「それなら図書館に行っていますわ。執務室には大事な書類などもありますでしょう? 許可を得ていても気が引けますわ」
忙しい時のお父様の執務室は書類が散乱していて、片付けたメイドが注意されていましたもの。お父様的には分かりやすいように置いてあったのだそうです。
「グレイはリュシエンヌちゃんを信頼しているから大丈夫だよ。本棚の本は自由に読んでも良いと言っていたよ」
……本棚は気になりますわね。
「どうする? それでも図書館に行くなら送って行くけど」
「……執務室でお待ちしますわ」
「そうしてくれると助かる。行こうか?」
副隊長様の後ろを歩きついて行く事になりました。
「リュシエンヌちゃん、大丈夫? 変な人に絡まれたりしてない?」
変な人……と言われてあの令嬢を思い出した。
「……問題ありませんわ」
先程の令嬢のことは伏せておいた。何かあったらレイ様に相談しようと思ったからです。
「騎士団員達に声を掛けられたりしてない? 騎士団員の中には軽いやつもいるから気をつけてね」
騎士団の方にはナンパな方もいると言うことに驚きを隠せませんでしたわ。執務室に送ってもらいお茶を出していただきました。
本棚を見るとその人が分かると言いますが、レイ様が博識なのはこの読書量なのでしょうか。兵法などの本もたくさん並んでいますわね。
「それじゃあ、仕事に戻るよ。何かあったら外に衛兵が待機しているから声を掛けてくれ」
案内してくださったことに礼を言って遠慮なく執務室で待たせてもらいます。レイ様の執務室は綺麗に片付いていました。几帳面なんですね。また、一つレイ様を知ることができました。
本日も騎士団の練習を見に来ていました。応援隊の皆様のようにレイ様の瞳の色のグレーの扇子も用意してしまいました!
声を掛けられたこの令嬢は練習場で良く見る令嬢で子爵家の令嬢のようですわ。応援隊を取り仕切るボスといった立ち位置なのだそうです。
「まぁ、そうでしたの。わたくし存じ上げませんでご挨拶が遅れてしまいました。リュシエンヌ・モルヴァンと申します」
「知ってますわ! あの隊長と婚約をしたんですって?」
あまり良い言い方ではありませんわね……
「はい。そうですわ」
「あなた婚約破棄をされて、男漁りの末あの隊長と婚約をせざるを得なかった可哀想な令嬢なんですって? そうじゃないとあんな恐ろしい人と婚約しようなどと思わないわよね……残念な令嬢だわ」
何この方? 失礼にも程がありますわ! でも怒りに任せて騒ぎを起こしてはなりませんわね。
「隊長と婚約をしているのに他の隊員にも差し入と言って近づき、色目を使っているのでしょう? そういう行為は私達応援隊の輪を乱す行為なの! 覚えておきなさいね」
「……わかりました。騎士様達への差し入れは控えますわ。それとわたくしの事はどのように思ってくださっても結構ですが、グレイソン様の事を悪くいうのはやめていただきたいですわ」
「ふふっ。分かっているのよ? 隊長を踏み台にして見め美しい隊員に乗り移ろうとしているのでしょう? 婚約破棄は一度すると二度でも三度でも同じですものね」
何この令嬢は! そう思い令嬢を思いっきり睨む。
「それと……私のレオン様に色目を使うのはやめてね。レオン様は優しくて、今は隊長の婚約者だからあなたと仕方がなく話をしているだけなんだから」
悲しそうな顔で私を見てくる。何故だか不思議に思いましたの。だってこの方言っている事は辛辣なのに笑顔って……そう思い周りを見ました。令嬢達が遠巻きに私達の姿を見ていました。睨む私と悲しそうな顔の令嬢。周りからどう見えているか……
そういう事ですのね……分かりましたわ。私は笑顔を令嬢に向ける。
「今だけではなくグレイソン様はわたくしの大事な方ですの。お分かりいただけないのなら仕方がありません。お構いなく」
すっと礼をして令嬢の前から立ち去った。なんて失礼な令嬢なんでしょうか! 同じ空気を吸いたくありませんわね! レイ様のことを悪く言うなんて。
控えていたメイドのアデールが何かあったのかと聞いて来ましたが、答えたくありませんでしたわ。
「もう少し落ち着いてから相談に乗ってね。少し頭を冷やしたいの」
「分かりました。お嬢様の様子がおかしかったので心配しております」
アデールに心配かけてしまっているのね。ごめんなさい。心の中で謝りました。練習を見学している途中で声を掛けられたのでレイ様を見失ってしまいましたわ。
アデールに聞くと、騎士団員の方に声を掛けられて出て行ってしまったようですわ。休憩までに戻って来ませんでしたので仕方なく図書館へ向かおうとしていたら、副隊長様に声を掛けられました。
「リュシエンヌちゃん!」
「副隊長様ご機嫌よう」
副隊長様のお顔を見たら先程の令嬢を思い出してしまいましたわ……
「副隊長だなんてレオンで良いのに……」
「そう言うわけには参りませんわ」
殿方を名前呼びするなんて……婚約者はいないとお聞きしましたが、意中の方がいらした場合嫌な思いをされるでしょうし……ってまさかあの令嬢が副隊長様の?! それなら趣味が……よろしくないですわね。
「真面目なところがリュシエンヌちゃんの良いところだね。本題に入ろうか。グレイは急に仕事が入ったんだ。あと一時間ほどかかると思うから執務室で待っていて欲しいと伝言だ。ランチを一緒にとも言っていた」
だからいなくなったのですね。
「それなら図書館に行っていますわ。執務室には大事な書類などもありますでしょう? 許可を得ていても気が引けますわ」
忙しい時のお父様の執務室は書類が散乱していて、片付けたメイドが注意されていましたもの。お父様的には分かりやすいように置いてあったのだそうです。
「グレイはリュシエンヌちゃんを信頼しているから大丈夫だよ。本棚の本は自由に読んでも良いと言っていたよ」
……本棚は気になりますわね。
「どうする? それでも図書館に行くなら送って行くけど」
「……執務室でお待ちしますわ」
「そうしてくれると助かる。行こうか?」
副隊長様の後ろを歩きついて行く事になりました。
「リュシエンヌちゃん、大丈夫? 変な人に絡まれたりしてない?」
変な人……と言われてあの令嬢を思い出した。
「……問題ありませんわ」
先程の令嬢のことは伏せておいた。何かあったらレイ様に相談しようと思ったからです。
「騎士団員達に声を掛けられたりしてない? 騎士団員の中には軽いやつもいるから気をつけてね」
騎士団の方にはナンパな方もいると言うことに驚きを隠せませんでしたわ。執務室に送ってもらいお茶を出していただきました。
本棚を見るとその人が分かると言いますが、レイ様が博識なのはこの読書量なのでしょうか。兵法などの本もたくさん並んでいますわね。
「それじゃあ、仕事に戻るよ。何かあったら外に衛兵が待機しているから声を掛けてくれ」
案内してくださったことに礼を言って遠慮なく執務室で待たせてもらいます。レイ様の執務室は綺麗に片付いていました。几帳面なんですね。また、一つレイ様を知ることができました。
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