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アルセーヌ
しおりを挟む「迎えにきたよ。リディ」
本当に来た! しかも正装のアルセーヌ様は素敵! カッコいい!
肩幅が強調されて逆三角形の身体……三割り増しでカッコいい。
普段も素敵なのに三割り増し! と言う事はもう見目が華やかという事!
直視できないレベル!!
「やっぱり、ちょっと……」
尻込みをしてしまうのは仕方が無いと思うの。授賞されるアルセーヌ様の隣にこんな私が居ていいのか。
「いまさらキャンセルは無理だよ。今日のリディはすごく美しいよ。自分で選んでおきながら私はセンスが良いようだ!」
お母様にも似合うと言われたし、自分でも中々だと思うけれど……
「アルセーヌ様も素敵です、よ」
「そうか? それは嬉しいね。色味を合わせてあるから、二人並ぶと中々いい感じになると思うんだけど?」
うん。それにも驚いた……
「悩むより慣れろだ! 行くぞ」
「うん」
馬車もうちのものとは違って乗り心地が良い。うちのが悪いわけでは無いけれど、侯爵家の馬車だもの。それに広い。
「リディとはよく舞踏会ごっこをしたよね。リディがお姫様で私が王子だった」
「子供の頃の恥ずかしい話をしないで!」
アルセーヌ様とお兄様が遊んでいる時によく顔を出して、相手をしてもらった。ダンスの練習の時は私はお姫様だったもの。
お兄様とアルセーヌ様は王子様……
子供の頃ってごっこ遊びが好きでしょう?
「まぁまぁ、実際に舞踏会に出られるようになったんだし、夢が叶ったじゃ無いか。リディは私と舞踏会に行ってくれると言っていたんだよ。実際は授賞式兼和平の会だけど、これからも行くチャンスはあるだろうし」
「行かない! すぐからかうんだもの。子供の頃の話を出してくるなんて卑怯です」
もっと恥ずかしい話を出してきそうだもの。恥ずかしくて体中が赤くなりました。
「でも約束だろう? 男に二言はないよ」
「子供の頃の話だから忘れました」
「嘘をつくのは嫌いなんだよね……仕事ではたまにつくけど。いや、嘘ぶいていい流れに待って行くと言うところかな? でもプライベートでは嘘をつかないよ。リディもそうだろ?」
「……うん、そうかも、演技をする事はあるけれど」
「私もそんな感じだな。時に私は俳優に向いているのではないかと思う事さえある。今回の和平もそれがいい方に行っただけだよ。ちょっと大袈裟に身振り手振りしたり……」
「……演技派なんですね」
「そういう事。だからリディも安心して嫁に来てくれて良いよ」
「な、なんの? 話を」
「アルセーヌ様と結婚する! って言ってただろう? 大人になってからもう一回聞かせてと言ったんだけど、言ってこないし、他の男と婚約するしリディの事どうやって諦めようかと思って隣国へ行って帰ってきたら婚約破棄されてるし、これは良い流れだと思ったよ」
子供の頃は身分なんてそんなに分かんないし、アルセーヌ様のこと好きだったしお兄様と結婚できないし!
親が勝手に婚約を勧めてきたし……
「もうこんなチャンスないぞ。言わなくていいのか? 会場に行くと私は有名人で娘をどうかと勧められて断れないかもしれない。私でいいのかと変に考えるのはやめて、正直になった方がいい。もうすぐで王宮に着く、考える時間はもうない、さぁどうする?」
意地悪だ! 普通婚約は男性から求婚するんじゃないの? おかしい! 優しいアルセーヌ様の言葉ではない!
「意地悪! 脅してくるなんて」
「リディが婚約なんてするからこんな事になったんだぞ! 断れば良かったものを」
「だってアルセーヌ様は侯爵家だから私なんて相応しくないと思って……性格もこんなだし」
「それはもう分かった、正直に気持ちを伝えてごらん。正直になるんだぞ。時間がない」
「うっ……好きです、」
「うん、私も好きだよ、それで?」
「……結婚して、ください」
「誰と?」
「……私と」
「よく言えたな。よし結婚しよう。まずは婚約からだな。両家のオッケーは貰っているから帰ったら書類にサインをして提出しよう」
頭を撫でられました。美しいほどの満面の笑みで。
婚約の書類まで用意されているのに、私に言わせるなんてヒドイ……悔しくて少し涙が滲んできた。
「喜びの涙だな! 今日のパーティーでは婚約者として紹介するから」
目元に軽くキスをされた。
優しいんだか、意地悪なんだか分からなくなった。
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