金魚姫【一部公開】

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　夜の森は光もなく、不気味な雰囲気を漂わせている。盗賊に襲われる、野生の獣に襲われる、暗い時間はそう言って誰も近寄ることはなかった。

　だが、そこにひっそりと佇む小屋には、小さな明かりが灯っていた。

　その中に少女が二人、少し気を緩めている様子でいた。

　誰かが使えるように存在しているのか、ベッドや調理道具が揃っている。金髪の少女──ディアは不審に思うことなく、まるで自分のもののように扱っており、それらを使って何かを作っている。慣れている様子で、無駄な動きが一切見られない。

　あっという間にできあがった二人分の食事を、アウラが待っているテーブルへと持っていく。

　湯気を出して温もりがあると主張し、長期保存可能な肉を調理したそれは、地味な見た目とは裏腹に食欲をそそる香りを発している。

　アウラは目を輝かせながら、目の前に置かれた料理をじっと眺めていた。だが、それ以上距離を縮めることなく、このままずっと動かなさそうだ。

「どうしたの？　毒は入ってないよ。美味しい保証は……半々ってところかな」