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第4章 夢幻との決戦
妲己ちゃんと合流
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我輩は京香の元へ駆けつけるために、全力で走った。途中、夢幻神社の鳥居を抜けたところで、狛犬の頭上で狐火がふわりふわりと漂っているのを見つけた。
「妲己ちゃんか!?」
「そうだよ、妲己ちゃんだよ。あたい、ジジイに捕まりそうになったけど、女神様に助けられたみたい」
「よかった、無事だったんだな」
女神達から聞いてはいたが、改めて妲己ちゃんの無事な姿を見て、我輩は安堵のため息を洩らした。
「女神様々だね。あのまま、ジジイに捕まっていたら、あたい、お嫁に行けない体にされてた」
身の毛もよだつ想像をしたのか、妲己ちゃんは炎をブルブルと震わせた。小刻みに震える狐火から、まるで花火のように火の粉が辺りに飛び散った。
「妲己ちゃん、夢幻洞の入口はどこにあるの?」
「女神様から聞いてる。後であんたに教えてやりなって言ってた。市営墓地に入口を作ってくれたみたいだね、女神様から入口を開ける呪文を聞いてるから、いつでも帰れるよ」
「妲己ちゃん、実はまだやらなくてはならないことがあるんだ」
「ジジイ好みのあの娘を助けるんだろ。あたいも手伝ったげる。ジジイに仕返ししてやるんだ」
キモい想像に身震いしていた妲己ちゃんだが、リベンジに沸き立つ闘志で、炎の色が黄色から青へと変わった。
「ところで、あんたの毛並み滅茶苦茶きれいになってない? 前からきれいだったけど、それって女神様の加護? 女神様達もさんざんジジイに弄ばれてきたみたいだし、やっぱり復讐したいんだね。これだけ女を怒らせると、あの女の敵もそろそろ終わりかな。いい世の中になるよ」
ジジイの末路に、妙に納得する妲己ちゃんだった。青い炎がバチバチとスパークを起こす。巻き込まれた狛犬が、放電を受けて石の体から煙を上げた。女を怒らせると後が怖い。
夢幻仙様は女を弄び過ぎたのかも知れない。妲己ちゃんを見ていると、我輩も夢幻仙様の末路が目に浮かんできた。我輩を七色に染めている首輪の仙宝から、熱い霊気が体内に注ぎ続ける。
「首輪の仙宝が、我輩を七色に輝かせているんだよ。これは破魔矢と言って、我輩の父からの贈り物なんだ」
「破・魔・矢ですって! それならジジイなんていちころじゃない」
どうやら、妲己ちゃんは破魔矢のことをしっているようだ。その言葉を聞いた妲己ちゃんは、勝負あったというような雰囲気をしている。
「破魔矢って、そんなに凄いのかい?」
「凄いなんてもんじゃないわよ。その矢なら天魔だって滅ぼせるわ」
興奮気味の妲己ちゃん。夢幻仙様が破魔矢で滅ぼされるイメージは、妲己ちゃんの心をいたく刺激させるらしい。よほど夢幻仙様を痛めつけたいようだ。
「天魔って、天宮を襲った魔神達だろ」
「そうだよ、その矢なら神だって殺せるよ」
我輩は半信半疑だった。確かに体内に漲る七色の霊気は、半端ない灼熱感を秘めていた。しかし、不死と噂される魔神や、無限に近い寿命を持つ仙人を滅ぼせるとはなかなか思えなかった。
「あんた、疑ってんの?······丁度いいわ、その矢で本殿のジジイを消滅させちゃいなさいよ」
強い期待を込めた口調で妲己ちゃんが言った。
「でも、ど、どうやって使うのか解らない」
「!!······あんた、女神様から教わらなかったの? ちょっと、信じらんない! あんたって本当に馬鹿犬ね、使い方くらい教わっておきなさいよ!」
先ほどまでの強気な妲己ちゃんはいずこ。放電する青い炎が、元の黄色に戻った。活発な動きを見せていた、狐火の振る舞いが重くなる。
我輩を見る妲己ちゃんの炎が、とても恨めしく揺らいでいた。
「で、でも、破魔矢から我輩の体内に、すごい量の霊力が集まっているけど······」
「けど何よ? 試しにその力であの神社を消してみなさいよ!」
我輩は肝心なことを聞き忘れてしまった。とんでもない質量の霊力が体内にあると言うのに、その使い方がさっぱり解らなかった。
念じても唸っても何も変化は起こらなかった。やっぱり、呪文を唱えるとか印を結ぶとかしないと駄目なのかも知れない。
我輩の悪戦苦闘に失望した妲己ちゃんは、非難、軽蔑、怒り、不信などの混ざりあった一瞥をくれると、我輩をおいてさっさと先を行ってしまった······
「妲己ちゃんか!?」
「そうだよ、妲己ちゃんだよ。あたい、ジジイに捕まりそうになったけど、女神様に助けられたみたい」
「よかった、無事だったんだな」
女神達から聞いてはいたが、改めて妲己ちゃんの無事な姿を見て、我輩は安堵のため息を洩らした。
「女神様々だね。あのまま、ジジイに捕まっていたら、あたい、お嫁に行けない体にされてた」
身の毛もよだつ想像をしたのか、妲己ちゃんは炎をブルブルと震わせた。小刻みに震える狐火から、まるで花火のように火の粉が辺りに飛び散った。
「妲己ちゃん、夢幻洞の入口はどこにあるの?」
「女神様から聞いてる。後であんたに教えてやりなって言ってた。市営墓地に入口を作ってくれたみたいだね、女神様から入口を開ける呪文を聞いてるから、いつでも帰れるよ」
「妲己ちゃん、実はまだやらなくてはならないことがあるんだ」
「ジジイ好みのあの娘を助けるんだろ。あたいも手伝ったげる。ジジイに仕返ししてやるんだ」
キモい想像に身震いしていた妲己ちゃんだが、リベンジに沸き立つ闘志で、炎の色が黄色から青へと変わった。
「ところで、あんたの毛並み滅茶苦茶きれいになってない? 前からきれいだったけど、それって女神様の加護? 女神様達もさんざんジジイに弄ばれてきたみたいだし、やっぱり復讐したいんだね。これだけ女を怒らせると、あの女の敵もそろそろ終わりかな。いい世の中になるよ」
ジジイの末路に、妙に納得する妲己ちゃんだった。青い炎がバチバチとスパークを起こす。巻き込まれた狛犬が、放電を受けて石の体から煙を上げた。女を怒らせると後が怖い。
夢幻仙様は女を弄び過ぎたのかも知れない。妲己ちゃんを見ていると、我輩も夢幻仙様の末路が目に浮かんできた。我輩を七色に染めている首輪の仙宝から、熱い霊気が体内に注ぎ続ける。
「首輪の仙宝が、我輩を七色に輝かせているんだよ。これは破魔矢と言って、我輩の父からの贈り物なんだ」
「破・魔・矢ですって! それならジジイなんていちころじゃない」
どうやら、妲己ちゃんは破魔矢のことをしっているようだ。その言葉を聞いた妲己ちゃんは、勝負あったというような雰囲気をしている。
「破魔矢って、そんなに凄いのかい?」
「凄いなんてもんじゃないわよ。その矢なら天魔だって滅ぼせるわ」
興奮気味の妲己ちゃん。夢幻仙様が破魔矢で滅ぼされるイメージは、妲己ちゃんの心をいたく刺激させるらしい。よほど夢幻仙様を痛めつけたいようだ。
「天魔って、天宮を襲った魔神達だろ」
「そうだよ、その矢なら神だって殺せるよ」
我輩は半信半疑だった。確かに体内に漲る七色の霊気は、半端ない灼熱感を秘めていた。しかし、不死と噂される魔神や、無限に近い寿命を持つ仙人を滅ぼせるとはなかなか思えなかった。
「あんた、疑ってんの?······丁度いいわ、その矢で本殿のジジイを消滅させちゃいなさいよ」
強い期待を込めた口調で妲己ちゃんが言った。
「でも、ど、どうやって使うのか解らない」
「!!······あんた、女神様から教わらなかったの? ちょっと、信じらんない! あんたって本当に馬鹿犬ね、使い方くらい教わっておきなさいよ!」
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我輩を見る妲己ちゃんの炎が、とても恨めしく揺らいでいた。
「で、でも、破魔矢から我輩の体内に、すごい量の霊力が集まっているけど······」
「けど何よ? 試しにその力であの神社を消してみなさいよ!」
我輩は肝心なことを聞き忘れてしまった。とんでもない質量の霊力が体内にあると言うのに、その使い方がさっぱり解らなかった。
念じても唸っても何も変化は起こらなかった。やっぱり、呪文を唱えるとか印を結ぶとかしないと駄目なのかも知れない。
我輩の悪戦苦闘に失望した妲己ちゃんは、非難、軽蔑、怒り、不信などの混ざりあった一瞥をくれると、我輩をおいてさっさと先を行ってしまった······
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