40 / 56
第4章 夢幻との決戦
前哨戦② ~破魔矢~
しおりを挟む
「お、お前、いったい何をする気だ?」
情魔は、我輩の周囲を回転する、6色のエネルギーが放つ圧力に圧倒されている。声は裏返り、張りついた恐怖の表情は、さらに深くなっている。今の情魔には不敵な悪態などついている余裕はなかった。
「······消滅か、この場を去るか選べ」
またしても遠吠えする狼のような声が、我輩の体から発せられた。回転するエネルギーの内の1つが、情魔の方へ移動して行った。赤く輝くエネルギーが情魔との距離を縮めると、そこから何本ものスパークが、空気を裂いて情魔に襲いかかった。
バチッ、バチッ!!
「ギャーーーーー !!」
雷電に撃たれた情魔は、赤熱するエネルギーに引き込まれていく。そして、左肩から下がエネルギーに触れた瞬間に、その部分が蒸発して消えてしまった。
右腕1本だけの哀れな格好の情魔は、何とかエネルギーから距離を置こうともがくが、強力な電磁石のように、身を離すことをさせてはくれなかった。
まるでエネルギーに喰われていくように、情魔の体が欠けていく。情魔の断末魔の絶叫が、夜の街の空にこだまする。消滅した部分が、恐怖と苦悶の波動となって我輩達の体を震わせた。
「ギャーーーー!!、消える、俺が消滅するーー!!」
我輩には目の前で起きていることが全く理解できなかった。それは妲己ちゃんも同じだった。妲己ちゃんは、茫然と目の前で赤いエネルギーに喰われていく情魔を眺めるだけだった。
もう威勢よく情魔とやり合っているどころではない。
何が起きているのか解らなかったが、あのエネルギーがとんでもない力を持っていることだけは解った。それが、まだ我輩の周囲で5つも回転しているのである。色は青、黄、緑、紫、橙の5色である。
「た、助けてくれーーー! お、俺が、いったい何をしたと言うんだ!」
「······口ほどにもない奴め、さっさと去れ!」
我輩の中で狼のような声が叫ぶと、赤いエネルギーは息も絶え絶えとなった情魔の破片を、遥か遠くへと弾き飛ばしてしまった。
「······邪魔は排除した。さあ南斗六星、己れの使命を全うせよ。お主が戦わねばならぬ相手がこの先にいる」
今度は回転する6色のエネルギーから声がした。そして、6つのエネルギーが回転しながら1つになった。全ての色が混ざり合って、強烈な白色光を放ち始める。その輝きは我輩も妲己ちゃんも、眼を向けていられないほど眩しかった。
エネルギーは、輝きを弱めると白色光を放つ大きな狼の形になった。それは、まるでパールちゃんと呼ばれていた我輩を、大きくしたような姿だった。
「······南斗六星、破壊仙を元の世界へと戻すのだ。我が手を貸してやろう」
「あ、あなたは、いったい誰ですか?」
「······我は破魔矢、輝く天狼星の光が具現化したもの」
「「破魔矢!!」」
我輩と妲己ちゃんが、同時に同じ言葉を口にした······
情魔は、我輩の周囲を回転する、6色のエネルギーが放つ圧力に圧倒されている。声は裏返り、張りついた恐怖の表情は、さらに深くなっている。今の情魔には不敵な悪態などついている余裕はなかった。
「······消滅か、この場を去るか選べ」
またしても遠吠えする狼のような声が、我輩の体から発せられた。回転するエネルギーの内の1つが、情魔の方へ移動して行った。赤く輝くエネルギーが情魔との距離を縮めると、そこから何本ものスパークが、空気を裂いて情魔に襲いかかった。
バチッ、バチッ!!
「ギャーーーーー !!」
雷電に撃たれた情魔は、赤熱するエネルギーに引き込まれていく。そして、左肩から下がエネルギーに触れた瞬間に、その部分が蒸発して消えてしまった。
右腕1本だけの哀れな格好の情魔は、何とかエネルギーから距離を置こうともがくが、強力な電磁石のように、身を離すことをさせてはくれなかった。
まるでエネルギーに喰われていくように、情魔の体が欠けていく。情魔の断末魔の絶叫が、夜の街の空にこだまする。消滅した部分が、恐怖と苦悶の波動となって我輩達の体を震わせた。
「ギャーーーー!!、消える、俺が消滅するーー!!」
我輩には目の前で起きていることが全く理解できなかった。それは妲己ちゃんも同じだった。妲己ちゃんは、茫然と目の前で赤いエネルギーに喰われていく情魔を眺めるだけだった。
もう威勢よく情魔とやり合っているどころではない。
何が起きているのか解らなかったが、あのエネルギーがとんでもない力を持っていることだけは解った。それが、まだ我輩の周囲で5つも回転しているのである。色は青、黄、緑、紫、橙の5色である。
「た、助けてくれーーー! お、俺が、いったい何をしたと言うんだ!」
「······口ほどにもない奴め、さっさと去れ!」
我輩の中で狼のような声が叫ぶと、赤いエネルギーは息も絶え絶えとなった情魔の破片を、遥か遠くへと弾き飛ばしてしまった。
「······邪魔は排除した。さあ南斗六星、己れの使命を全うせよ。お主が戦わねばならぬ相手がこの先にいる」
今度は回転する6色のエネルギーから声がした。そして、6つのエネルギーが回転しながら1つになった。全ての色が混ざり合って、強烈な白色光を放ち始める。その輝きは我輩も妲己ちゃんも、眼を向けていられないほど眩しかった。
エネルギーは、輝きを弱めると白色光を放つ大きな狼の形になった。それは、まるでパールちゃんと呼ばれていた我輩を、大きくしたような姿だった。
「······南斗六星、破壊仙を元の世界へと戻すのだ。我が手を貸してやろう」
「あ、あなたは、いったい誰ですか?」
「······我は破魔矢、輝く天狼星の光が具現化したもの」
「「破魔矢!!」」
我輩と妲己ちゃんが、同時に同じ言葉を口にした······
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/10:『うでどけい』の章を追加。2025/12/17の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/9:『ひかるかお』の章を追加。2025/12/16の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/8:『そうちょう』の章を追加。2025/12/15の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/7:『どろのあしあと』の章を追加。2025/12/14の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/6:『とんねるあんこう』の章を追加。2025/12/13の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/5:『ひとのえ』の章を追加。2025/12/12の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/4:『こうしゅうといれ』の章を追加。2025/12/11の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
10秒で読めるちょっと怖い話。
絢郷水沙
ホラー
ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる