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第一章:追放編
004:偏見
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「……は? もう一回言ってくれない?」
アレス達に追い出されてすぐの事。
俺は思わず、冒険者組合総合窓口受付嬢である、初めて見る新人ちゃんの前で、間抜けな声で尋ね返していた。
それだけ彼女の言った言葉が急で、荒唐無稽な話だったからだ。
「〈呪術士〉ラグナ様、貴方の持つ冒険者証明証は剥奪処分となりました。今後一切、貴方は当組合の恩恵を受ける事はできません」
「……うん、それが意味わかんないから聞いてるんだわ」
え、何?
ここでも追放されるの、俺?
最近は真面目に働いてる奴を追放するのが流行ってるのか? 誰だよそんな馬鹿な事始めた奴は。
そんでそれを間に受けてる奴もどんな脳みそしてんだよ。
いつも俺の対応をしてくれてるエリーゼさんに叱られちゃうぞ。今日はなんか本部に呼ばれていないみたいだけど。
「まず、さ。証明証の剥奪ってどういう事よ。それって重大犯罪を犯したり、規約に違反した冒険者に確実に下される処罰だよね」
「はい。その通りです」
「……何で? 俺、別に悪い事何もやってないよ」
俺、真面目に冒険者やってたよ? 幼馴染の馬鹿に無理矢理誘われて嫌々ながらやってたよ?
本当なら他にやらなきゃならない仕事が色々あったのに、それ全部泣く泣くお断りして頑張ってたんだよ? そんで明日ようやく契約が完了する予定だったんだよ?
……なのになんで俺が罰を受けなきゃなんないの?
「リルムド王国冒険者組合規約第3条に記載されていますので、今一度ご説明いたしましょう……『以下の違反を行なった者は冒険者証明証の取り消し・剥奪を行うものとする。①組合が設定した仲介料を長期にわたって滞納した場合。②組合が設定した依頼料を一定期間こなさなかった場合―――以下略。これらを行なった者の冒険者証明は、然るべき調査を持って剥奪、冒険者を名乗る事を禁じられるものとする』……以上です。ご理解いただけましたか?」
「いいえ、まったく」
真っ当な法律できっちり決まってんだから、そら従うに決まってんだろ。
違反して社会的に危うい立場になるんなら、多少おかしくても無理があっても従うもんだろ。俺はそんな危ない橋は渡らねぇよ。
「俺、仲介料ずっと払ってたよな。仕事もしてたよな。俺の担当あんたじゃないけど、俺が以来の受注してるの毎回誰か見てたはずでしょ?」
「……それに虚偽があったと発覚したからですよ、屑が」
うわっ、さっきまで無表情だった新人ちゃんがごみを見る目を向けてきた。
え、なんで?
俺、この人に対して何か気に障る事やったっけ?
……考えても分からん。
俺がいつも担当してもらってるのって別の人だし。今日は何か本部に呼び出されてるからって仕方なく別の人に頼んでるわけだし。しかもその別の人ってのもこの子じゃないし。
この子とは顔も合わせるの初めてのはずなんだけどな。
「誘ってくれた班の想いも踏み躙り、依頼達成中には全く手を貸さず、野営時にもさぼってばかり。挙句もし問題が発覚しても、自分に有利な証言をするように班の仲間を脅す……聞くに耐えない悪魔のような方ですね」
「いや、俺仕事はちゃんとして……」
あいつら、適当な嘘吹き込みやがったな。
そりゃあ、こんだけ悪印象持ってるわけだ……とはならない。
仮にも国家運営の組織の人間が、片方の話だけ聞いて判断してんじゃねぇよ。誰だよこの馬鹿女雇った奴は。
「〈呪術士〉などという怪しげな〝天職〟を持っている時点で不穏でしたが、まさか自分は何もせずに仲間の努力を横取りするような輩だったなんて……恥を知りなさい」
「……あの、俺の〝天職〟は〈呪術士〉じゃなくて〈呪ほ―――」
「《暁の旅団》の皆様の申告があってようやく明らかにできました。もう貴方に冒険者を名乗る資格はありません。当施設への入場も今後固く禁じさせていただきます」
またこいつも話聞かねぇし……俺の話をまともに聞く奴は誰もいないのか、この国には。
というか、そういう事なのね?
なるほどなるほど……この女、あの宗教にどっぷり嵌った信者、あるいは協会に関わってる人間なんだな。
こいつにとっちゃ、俺が悪事を働いていようがいまいが、赤の他人に唆されてようが関係ない。
教会の教え通り、悪しき〝異能〟の持ち主である俺を自分の職場から遠ざけたい。なんの関係もない赤の他人であっても構わず、自分の勝手な基準で排除しようしているのだ。
……ぶっちゃけ、この馬鹿に付き合う必要はない。
こいつの発言は普通に罪だし、俺がここで他の職員に話しかければこいつは外してもらえる。いまも事務所の奥でひそひそやってる奴がいるし。
「……ん、まぁ、わかった。証明証を返して出ていきゃいいんだな?」
だが俺は、言われた通りに出て行く事にした。
契約も破棄されて冒険者を続ける理由はないし、序列とか上下関係も面倒臭かったし、抜ける良い機会だわ。
新人ちゃん見たら、無表情ながら鬱陶しそうにこっち見てるし……泣くよ、流石の俺も。
「別に文句を言いたいわけじゃないんだけどさ、一方の主張だけで判断するのは如何なものかと思うよ? そっちが虚偽の報告をしてるって場合もあるんだからさ」
「お引き取りを」
「あと、あんた〈呪術士〉なんて怪しい〝天職〟だ~とか言ってたけど、そういう〝天職〟差別はやめておいた方がいいぞ。人にやられて嫌な事は自分もしちゃ駄目ってよく言うだろ」
「……お引き取りを」
「あと、俺の〝天職〟間違ったままだから早く覚え直して―――」
「さっさと出て行ってください!」
うわ、ついに吠えやがったこの女。
仕事適当にやりすぎだろ、そこらの連中の視線集めてるし……本当に試験通って受付嬢なったの? 縁故採用じゃないの?
苛つきはしたけど……もう言い返す気にもなれなかった。
もう駄目だわこの組合、長くはねぇな。
「あ~あ、やってらんねぇや……帰ろ」
関わるのも嫌だわ、こんな所。
どうせあの女もそのうちくびになるだろ。
どう考えても役所通してないし……事実調査もしないまま個人を追い出すような馬鹿、国がそのままにするわけねぇし。
何より―――俺の定めた契約を一方的に破棄した奴が、只で済むわけねぇしな。
アレス達に追い出されてすぐの事。
俺は思わず、冒険者組合総合窓口受付嬢である、初めて見る新人ちゃんの前で、間抜けな声で尋ね返していた。
それだけ彼女の言った言葉が急で、荒唐無稽な話だったからだ。
「〈呪術士〉ラグナ様、貴方の持つ冒険者証明証は剥奪処分となりました。今後一切、貴方は当組合の恩恵を受ける事はできません」
「……うん、それが意味わかんないから聞いてるんだわ」
え、何?
ここでも追放されるの、俺?
最近は真面目に働いてる奴を追放するのが流行ってるのか? 誰だよそんな馬鹿な事始めた奴は。
そんでそれを間に受けてる奴もどんな脳みそしてんだよ。
いつも俺の対応をしてくれてるエリーゼさんに叱られちゃうぞ。今日はなんか本部に呼ばれていないみたいだけど。
「まず、さ。証明証の剥奪ってどういう事よ。それって重大犯罪を犯したり、規約に違反した冒険者に確実に下される処罰だよね」
「はい。その通りです」
「……何で? 俺、別に悪い事何もやってないよ」
俺、真面目に冒険者やってたよ? 幼馴染の馬鹿に無理矢理誘われて嫌々ながらやってたよ?
本当なら他にやらなきゃならない仕事が色々あったのに、それ全部泣く泣くお断りして頑張ってたんだよ? そんで明日ようやく契約が完了する予定だったんだよ?
……なのになんで俺が罰を受けなきゃなんないの?
「リルムド王国冒険者組合規約第3条に記載されていますので、今一度ご説明いたしましょう……『以下の違反を行なった者は冒険者証明証の取り消し・剥奪を行うものとする。①組合が設定した仲介料を長期にわたって滞納した場合。②組合が設定した依頼料を一定期間こなさなかった場合―――以下略。これらを行なった者の冒険者証明は、然るべき調査を持って剥奪、冒険者を名乗る事を禁じられるものとする』……以上です。ご理解いただけましたか?」
「いいえ、まったく」
真っ当な法律できっちり決まってんだから、そら従うに決まってんだろ。
違反して社会的に危うい立場になるんなら、多少おかしくても無理があっても従うもんだろ。俺はそんな危ない橋は渡らねぇよ。
「俺、仲介料ずっと払ってたよな。仕事もしてたよな。俺の担当あんたじゃないけど、俺が以来の受注してるの毎回誰か見てたはずでしょ?」
「……それに虚偽があったと発覚したからですよ、屑が」
うわっ、さっきまで無表情だった新人ちゃんがごみを見る目を向けてきた。
え、なんで?
俺、この人に対して何か気に障る事やったっけ?
……考えても分からん。
俺がいつも担当してもらってるのって別の人だし。今日は何か本部に呼び出されてるからって仕方なく別の人に頼んでるわけだし。しかもその別の人ってのもこの子じゃないし。
この子とは顔も合わせるの初めてのはずなんだけどな。
「誘ってくれた班の想いも踏み躙り、依頼達成中には全く手を貸さず、野営時にもさぼってばかり。挙句もし問題が発覚しても、自分に有利な証言をするように班の仲間を脅す……聞くに耐えない悪魔のような方ですね」
「いや、俺仕事はちゃんとして……」
あいつら、適当な嘘吹き込みやがったな。
そりゃあ、こんだけ悪印象持ってるわけだ……とはならない。
仮にも国家運営の組織の人間が、片方の話だけ聞いて判断してんじゃねぇよ。誰だよこの馬鹿女雇った奴は。
「〈呪術士〉などという怪しげな〝天職〟を持っている時点で不穏でしたが、まさか自分は何もせずに仲間の努力を横取りするような輩だったなんて……恥を知りなさい」
「……あの、俺の〝天職〟は〈呪術士〉じゃなくて〈呪ほ―――」
「《暁の旅団》の皆様の申告があってようやく明らかにできました。もう貴方に冒険者を名乗る資格はありません。当施設への入場も今後固く禁じさせていただきます」
またこいつも話聞かねぇし……俺の話をまともに聞く奴は誰もいないのか、この国には。
というか、そういう事なのね?
なるほどなるほど……この女、あの宗教にどっぷり嵌った信者、あるいは協会に関わってる人間なんだな。
こいつにとっちゃ、俺が悪事を働いていようがいまいが、赤の他人に唆されてようが関係ない。
教会の教え通り、悪しき〝異能〟の持ち主である俺を自分の職場から遠ざけたい。なんの関係もない赤の他人であっても構わず、自分の勝手な基準で排除しようしているのだ。
……ぶっちゃけ、この馬鹿に付き合う必要はない。
こいつの発言は普通に罪だし、俺がここで他の職員に話しかければこいつは外してもらえる。いまも事務所の奥でひそひそやってる奴がいるし。
「……ん、まぁ、わかった。証明証を返して出ていきゃいいんだな?」
だが俺は、言われた通りに出て行く事にした。
契約も破棄されて冒険者を続ける理由はないし、序列とか上下関係も面倒臭かったし、抜ける良い機会だわ。
新人ちゃん見たら、無表情ながら鬱陶しそうにこっち見てるし……泣くよ、流石の俺も。
「別に文句を言いたいわけじゃないんだけどさ、一方の主張だけで判断するのは如何なものかと思うよ? そっちが虚偽の報告をしてるって場合もあるんだからさ」
「お引き取りを」
「あと、あんた〈呪術士〉なんて怪しい〝天職〟だ~とか言ってたけど、そういう〝天職〟差別はやめておいた方がいいぞ。人にやられて嫌な事は自分もしちゃ駄目ってよく言うだろ」
「……お引き取りを」
「あと、俺の〝天職〟間違ったままだから早く覚え直して―――」
「さっさと出て行ってください!」
うわ、ついに吠えやがったこの女。
仕事適当にやりすぎだろ、そこらの連中の視線集めてるし……本当に試験通って受付嬢なったの? 縁故採用じゃないの?
苛つきはしたけど……もう言い返す気にもなれなかった。
もう駄目だわこの組合、長くはねぇな。
「あ~あ、やってらんねぇや……帰ろ」
関わるのも嫌だわ、こんな所。
どうせあの女もそのうちくびになるだろ。
どう考えても役所通してないし……事実調査もしないまま個人を追い出すような馬鹿、国がそのままにするわけねぇし。
何より―――俺の定めた契約を一方的に破棄した奴が、只で済むわけねぇしな。
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