49 / 49
第五章:逆恨編
046:見送
しおりを挟む
えーと……ここをこうして、あれをああして。
……よし、これで十分だろう。
馴染みの宿屋を後にして、出発した俺と三人娘だったが、俺の方で先にやる事があったんで少し時間を作る事となった。
行きつけの飯屋の【呪い】の強化だ。
通える時は毎回〝力〟を注いで【呪い】を……特に店の中での揉め事に反応して【麻痺】をかける術式を維持していたんだが、次はいつ来るか……そもそも来るかどうかわからないからな。
俺がいない間に面倒な客がきても問題ないように、きっちり仕掛けておかねぇと。
「ありがとネ~。でも残念だネ~、もう来れないかもしれないってのは本当なノ?」
「あぁ……ちょいと面倒事を招いちまったからな。知り合いを巻き込むわけにもいくめぇ」
「寂しくなるヨ~……もし、それが片付いたらまた来てくれるのネ?」
「なるべく善処するよ」
「またのご利用をお待ちしてるヨ~」
飯屋の店主が残念そうな顔で頭を下げてくる。
……正直、俺も申し訳ねぇと思っている。
一度関わりを持った癖に、中途半端な関係のまま放ったらかしにして他所へ行こうってんだからな。
防犯対策はしておくが、今後はこの店に金を落とせない。厄介な客を追い出す手助けになるだけで、金儲けにつながるわけじゃないし。
むしろ客が減ったりしねぇかと心配なんだが……まぁ、その辺は自分でなんとかするだろう。
「……うし、終わった。悪いがこのまま行くわ。早いうちに知り合いの店、全部を回っておきたくてな」
「忙しいのネ~……気をつけてネ」
「ああ、ありがとよ……おい、こっち来いお前ら!」
俺は店の中に呼びかけて、三人娘を……何か知らねぇうちに店の中を掃除していた三人娘を呼ぶ。
特に何も言ってなかったんだが……そんなに暇だったか?
「……何やってんだお前ら」
「申し訳ありません……神様がお忙しそうにしているのを見て、私達も動きたくなりまして、この方に無理を言って」
「この子達、いい子だネ~」
どことなく、俺と目を合わせづらそうにしたシェスカが苦笑しながら掃除道具を片付ける。アリアとルルも似たような居心地悪そうな顔でそれに従う。
相変わらずの神様呼びだが……最近どうも言いにくそうだな。この間、俺の過去を話したときからそんな風に感じていたが、とうとう俺を神だと思えなくなってきたか。
いい傾向だ。どうせなら嫌わりゃ、気持ちよく別れられるだろ。
どこでその時期が来るかはわからんが……やっぱり俺みたいな奴と一緒にいるのは良くねぇよ。
「そんじゃあ、行くわ。お前の飯は本当に美味かったから、誇りに思うよ」
「……ありがとうございます……!」
店主は最後に、いつも浮かべている愛想笑いを消して、本気の感謝の表情で俺に頭を下げてくる。
いつもは客に愛想良くする事を第一に考え、何があっても顔に皺を寄せない奴が、ぐっと感情を押し殺しているような表情で礼をしてくる。
……俺が次に来る時まで、長生きしろよ。俺が言えた義理じゃないけどな。
「行くぞ、お前ら」
「は、はい!」
「ん!」
「ちょっ……待ちなさいよ!」
慌てて店を飛び出してくる三人娘を後ろに付かせ、俺は次の知り合いの元を目指す。
ここから一番近いのは……ギルバートの所だな。ついでに何人か経歴を調べて、【契約】を結ばせておくか。最後の一仕事だ。
そうだな……時期が来たら、知り合いの誰かにこの三人娘を預けていってもいいかもしれない。三人とも真面目だし、役には立つだろうから邪険にはされんだろ。
どこに誰を任せるかは……まぁ、追々考えるか。
……よし、これで十分だろう。
馴染みの宿屋を後にして、出発した俺と三人娘だったが、俺の方で先にやる事があったんで少し時間を作る事となった。
行きつけの飯屋の【呪い】の強化だ。
通える時は毎回〝力〟を注いで【呪い】を……特に店の中での揉め事に反応して【麻痺】をかける術式を維持していたんだが、次はいつ来るか……そもそも来るかどうかわからないからな。
俺がいない間に面倒な客がきても問題ないように、きっちり仕掛けておかねぇと。
「ありがとネ~。でも残念だネ~、もう来れないかもしれないってのは本当なノ?」
「あぁ……ちょいと面倒事を招いちまったからな。知り合いを巻き込むわけにもいくめぇ」
「寂しくなるヨ~……もし、それが片付いたらまた来てくれるのネ?」
「なるべく善処するよ」
「またのご利用をお待ちしてるヨ~」
飯屋の店主が残念そうな顔で頭を下げてくる。
……正直、俺も申し訳ねぇと思っている。
一度関わりを持った癖に、中途半端な関係のまま放ったらかしにして他所へ行こうってんだからな。
防犯対策はしておくが、今後はこの店に金を落とせない。厄介な客を追い出す手助けになるだけで、金儲けにつながるわけじゃないし。
むしろ客が減ったりしねぇかと心配なんだが……まぁ、その辺は自分でなんとかするだろう。
「……うし、終わった。悪いがこのまま行くわ。早いうちに知り合いの店、全部を回っておきたくてな」
「忙しいのネ~……気をつけてネ」
「ああ、ありがとよ……おい、こっち来いお前ら!」
俺は店の中に呼びかけて、三人娘を……何か知らねぇうちに店の中を掃除していた三人娘を呼ぶ。
特に何も言ってなかったんだが……そんなに暇だったか?
「……何やってんだお前ら」
「申し訳ありません……神様がお忙しそうにしているのを見て、私達も動きたくなりまして、この方に無理を言って」
「この子達、いい子だネ~」
どことなく、俺と目を合わせづらそうにしたシェスカが苦笑しながら掃除道具を片付ける。アリアとルルも似たような居心地悪そうな顔でそれに従う。
相変わらずの神様呼びだが……最近どうも言いにくそうだな。この間、俺の過去を話したときからそんな風に感じていたが、とうとう俺を神だと思えなくなってきたか。
いい傾向だ。どうせなら嫌わりゃ、気持ちよく別れられるだろ。
どこでその時期が来るかはわからんが……やっぱり俺みたいな奴と一緒にいるのは良くねぇよ。
「そんじゃあ、行くわ。お前の飯は本当に美味かったから、誇りに思うよ」
「……ありがとうございます……!」
店主は最後に、いつも浮かべている愛想笑いを消して、本気の感謝の表情で俺に頭を下げてくる。
いつもは客に愛想良くする事を第一に考え、何があっても顔に皺を寄せない奴が、ぐっと感情を押し殺しているような表情で礼をしてくる。
……俺が次に来る時まで、長生きしろよ。俺が言えた義理じゃないけどな。
「行くぞ、お前ら」
「は、はい!」
「ん!」
「ちょっ……待ちなさいよ!」
慌てて店を飛び出してくる三人娘を後ろに付かせ、俺は次の知り合いの元を目指す。
ここから一番近いのは……ギルバートの所だな。ついでに何人か経歴を調べて、【契約】を結ばせておくか。最後の一仕事だ。
そうだな……時期が来たら、知り合いの誰かにこの三人娘を預けていってもいいかもしれない。三人とも真面目だし、役には立つだろうから邪険にはされんだろ。
どこに誰を任せるかは……まぁ、追々考えるか。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(4件)
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
041話の最後の方、組合長の容姿説明で「歴戦の戦士も角田」とありますが、「歴戦の戦士もかくや」ではありませんか?まぁ、空手家の角田氏をイメージしての事であれば、あながち間違いでは無いかと思いますがwww
感想、ありがとうございます。
わけわかんない文で大変申し訳ありません(笑)。
元仲間の重戦士は000では「レンカ」となっていますが、「レッカ」が正解ですか?
失礼、修正しておきます。
最初はレンカだったのですが、あとでレッカの方が多くなったのでレッカに変更しました。
見切り発車なので多めに見てくださいな(笑)。
テンポが良くて、主人公の職種も珍しいかもと思ってしまいました。
ざまぁ展開も男女関係なく、読んでいてすっきりです。
続きが楽しみです。
感想、ありがとうございます。
ざまぁされる側の話ももっと増やしていくつもりです。