12 / 85
序章(プロローグ)
第12話 異世界三日目 一日三十六時間?!
しおりを挟む
まだ真夜中というのに目が冴えて眠れないので、そのまままた泉の辺りで魔法の試運転をする事にした。
とりあえず、使える魔法はすべて試してみるつもりである。全属性・全魔法が使えるので、数が多い。それをすべて把握して、使い熟せるようにならなければならない。
興味を引く魔法から順番に試していくと結構面白く、やがて空が明るくなってきた。
ただ、妙な事に気付いた。ふと時計を見たら、九時と表示されていたのだ。まだ夜は明けていないのに???
不思議に思った俺は、何か設定とか解説とか出ないかと時刻部分をタップしてみたが…何も起きない。
今度は長押ししてみた。すると…
…時計の表示がアナログに変わった。
「おお……そういう事か!」
アナログ時計の文字盤を見て理解した。文字盤の数字は、なんと12時間ではなく18時間表示となっていたのだ。
「つまり一日が三十六時間……いや、十八時間の可能性もあるか…?」
とりあえず、一日三十六時間と仮定して……
「えーっと……十二等分が十八等分になるんだから、九時は…六時…かにゃ???」
ちょっと混乱してきたので、地面に十二時間時計と十八時間時計を描いて考えてみた。と言っても定規や分度器があるわけではなく、フリーハンドなのでかなりアバウトな図であるが、別にそれで問題はない。
慣れ親しんだ十二時間時計は簡単に描ける。十八時間の文字盤は、ステータス画面の時計の文字盤を見ながら描き写してみた。
文字盤を見比べてみると難しい事はなかった。
十二時間時計の二時間が、十八時間時計では三時間になっているだけである。
十八分の十二。イコール三分の二。
要するに、異世界時間を三分の二すれば地球時間になるという事だ。
つまり、この世界の二時は、地球時間なら一時二十分、九時は六時と言う事である。
その後、時間をチェックしながら一日過ごしてみて、一日は三十六時間である事が分かった。文字盤二周で一日が過ぎたのである。
「んー慣れれば大丈夫かにゃ…」
だが、その後ずっこける事になってしまった。
十八時間アナログ表示だったのを、もう一度デジタル表示に戻そうと思って長押ししてみたら、今度は地球と同じ十二時間表示のアナログ時計表示になったのだ。これで解決!
……だが、待て待て待て。
まだ問題がある。
それは、一日の長さである。
時計の表示は、一日の長さを何等分しているか、というだけの話。では、その一日の長さはどれくらいなのか? 一時間の長さは地球と同じか?
だが……色々知恵を絞ってみたものの、それを測る手段がまったく思いつかない。
それはそうである。この世界から、地球時間を観測する手段がまったくないのだから。
地球に居た頃、平静時の心拍数からおよそ一分間を割り出すという手法があるのを知っていた。だが、それは人間=地球人であるから使える手法である。
そもそも今の肉体は人間ですらない。また平常時の脈拍数がどれくらいかも分からない…。
ステータス画面にある時計の十二時間表示は、十八時間表示とピッタリリンクしている。つまり、この世界の一日を十二等分して表示しているだけで、地球の十二時間とは長さが違うようであった。
最初、地球からの転移者である自分に分かりやすく表示してくれる都合の良いサービス機能かと思ったのだが、良く見たら、時計の文字盤の中央に小さく「ルーシス時間」と書いてあった。
てっきり時計のメーカー名のロゴかと思って見過ごしてしまっていたのだが。
十八時間表示のほうの文字盤には「アルカ時間」と書いてあった。
つまり……もしかして、この世界には、異なる時間制度や暦を使う国や地域がある、ということなのかも知れない…。
考えてみれば、地球だって、文明が未発達で離れた地域と交流がなかった時代は、それぞれの国や地域で異なる暦を使っていた事もあったはずだ。
それでも、だいたい似通った暦や時間になっているのは、天体の動きを観測して一日、一年の長さを区切ったからであろう。
だが、例えば一日の長さは同じでも、一日を二十四時間ではなく例えば二十時間で区切る事も不可能ではないわけである。
例えば、江戸時代の時刻表示は、干支を使った十二等分だが、二周で一日ではなく、一周で一日、二十四時間だったはず。しかも、何故か読み方は四・五・六・七・八・九の六つの数字の繰り返しで、しかも九から始まって八つ、七つ、と少なくなっていくという謎の表現だった。(※学生時代、時代劇の時間の表現について調べる機会があって、意味が分からんと思って印象に残っていた。)
しかも、江戸時代は一日を均等に十二等分しているのではなく、太陽が出ている時間と出ていない時間をそれぞれ六等分していたのだそうだ。そのため、夏場は昼間の一時間が長く、夜の一時間が短い。冬場は昼の一時間が短く夜の一時間が長くなる仕様であったそうだ。
とまぁ、暇にまかせて色々と考察してみたものの……
「まぁ、それほど気にする必要もないにゃ。仕事に行く必要もにゃいし。時間に追われる事はにゃいのだから…」
■その後の日々
それからしばらくは、泉の辺りで魔法の訓練を続けた。
それから泉の周辺も少し探索してみたところ、最初に見つけた木以外にも、果実の生る木をみつけた。
まずは鑑定。見た目は美味そうだが、毒だったら困るからだ。結果は…
――――――――――――
【モネードの実】
食用
非常に美味
食べると魔力が上がる効果がある
――――――――――――
魔力が、回復するのではなく上がるとある。試しに食べてみると、ステータスに表示される魔力の上限値が10上昇しているのが確認できた。
この実を毎日食べ続ければ、魔力の上限をアップできるということか。これは助かる。毎日食べよう。
それから、数日過ごしてみたが、泉の周辺には一切動物の姿は見えなかった。(泉に水を飲みに来る動物とか居るのではないかと警戒していたのだが、皆無であった。)
確かこの世界には動物と、その他に魔物も居るはずだが、どちらも今のところまったく見えない。
まぁ出ないならそれで生活に何の支障もないので、当面は気にしない事にした。
とりあえず、使える魔法はすべて試してみるつもりである。全属性・全魔法が使えるので、数が多い。それをすべて把握して、使い熟せるようにならなければならない。
興味を引く魔法から順番に試していくと結構面白く、やがて空が明るくなってきた。
ただ、妙な事に気付いた。ふと時計を見たら、九時と表示されていたのだ。まだ夜は明けていないのに???
不思議に思った俺は、何か設定とか解説とか出ないかと時刻部分をタップしてみたが…何も起きない。
今度は長押ししてみた。すると…
…時計の表示がアナログに変わった。
「おお……そういう事か!」
アナログ時計の文字盤を見て理解した。文字盤の数字は、なんと12時間ではなく18時間表示となっていたのだ。
「つまり一日が三十六時間……いや、十八時間の可能性もあるか…?」
とりあえず、一日三十六時間と仮定して……
「えーっと……十二等分が十八等分になるんだから、九時は…六時…かにゃ???」
ちょっと混乱してきたので、地面に十二時間時計と十八時間時計を描いて考えてみた。と言っても定規や分度器があるわけではなく、フリーハンドなのでかなりアバウトな図であるが、別にそれで問題はない。
慣れ親しんだ十二時間時計は簡単に描ける。十八時間の文字盤は、ステータス画面の時計の文字盤を見ながら描き写してみた。
文字盤を見比べてみると難しい事はなかった。
十二時間時計の二時間が、十八時間時計では三時間になっているだけである。
十八分の十二。イコール三分の二。
要するに、異世界時間を三分の二すれば地球時間になるという事だ。
つまり、この世界の二時は、地球時間なら一時二十分、九時は六時と言う事である。
その後、時間をチェックしながら一日過ごしてみて、一日は三十六時間である事が分かった。文字盤二周で一日が過ぎたのである。
「んー慣れれば大丈夫かにゃ…」
だが、その後ずっこける事になってしまった。
十八時間アナログ表示だったのを、もう一度デジタル表示に戻そうと思って長押ししてみたら、今度は地球と同じ十二時間表示のアナログ時計表示になったのだ。これで解決!
……だが、待て待て待て。
まだ問題がある。
それは、一日の長さである。
時計の表示は、一日の長さを何等分しているか、というだけの話。では、その一日の長さはどれくらいなのか? 一時間の長さは地球と同じか?
だが……色々知恵を絞ってみたものの、それを測る手段がまったく思いつかない。
それはそうである。この世界から、地球時間を観測する手段がまったくないのだから。
地球に居た頃、平静時の心拍数からおよそ一分間を割り出すという手法があるのを知っていた。だが、それは人間=地球人であるから使える手法である。
そもそも今の肉体は人間ですらない。また平常時の脈拍数がどれくらいかも分からない…。
ステータス画面にある時計の十二時間表示は、十八時間表示とピッタリリンクしている。つまり、この世界の一日を十二等分して表示しているだけで、地球の十二時間とは長さが違うようであった。
最初、地球からの転移者である自分に分かりやすく表示してくれる都合の良いサービス機能かと思ったのだが、良く見たら、時計の文字盤の中央に小さく「ルーシス時間」と書いてあった。
てっきり時計のメーカー名のロゴかと思って見過ごしてしまっていたのだが。
十八時間表示のほうの文字盤には「アルカ時間」と書いてあった。
つまり……もしかして、この世界には、異なる時間制度や暦を使う国や地域がある、ということなのかも知れない…。
考えてみれば、地球だって、文明が未発達で離れた地域と交流がなかった時代は、それぞれの国や地域で異なる暦を使っていた事もあったはずだ。
それでも、だいたい似通った暦や時間になっているのは、天体の動きを観測して一日、一年の長さを区切ったからであろう。
だが、例えば一日の長さは同じでも、一日を二十四時間ではなく例えば二十時間で区切る事も不可能ではないわけである。
例えば、江戸時代の時刻表示は、干支を使った十二等分だが、二周で一日ではなく、一周で一日、二十四時間だったはず。しかも、何故か読み方は四・五・六・七・八・九の六つの数字の繰り返しで、しかも九から始まって八つ、七つ、と少なくなっていくという謎の表現だった。(※学生時代、時代劇の時間の表現について調べる機会があって、意味が分からんと思って印象に残っていた。)
しかも、江戸時代は一日を均等に十二等分しているのではなく、太陽が出ている時間と出ていない時間をそれぞれ六等分していたのだそうだ。そのため、夏場は昼間の一時間が長く、夜の一時間が短い。冬場は昼の一時間が短く夜の一時間が長くなる仕様であったそうだ。
とまぁ、暇にまかせて色々と考察してみたものの……
「まぁ、それほど気にする必要もないにゃ。仕事に行く必要もにゃいし。時間に追われる事はにゃいのだから…」
■その後の日々
それからしばらくは、泉の辺りで魔法の訓練を続けた。
それから泉の周辺も少し探索してみたところ、最初に見つけた木以外にも、果実の生る木をみつけた。
まずは鑑定。見た目は美味そうだが、毒だったら困るからだ。結果は…
――――――――――――
【モネードの実】
食用
非常に美味
食べると魔力が上がる効果がある
――――――――――――
魔力が、回復するのではなく上がるとある。試しに食べてみると、ステータスに表示される魔力の上限値が10上昇しているのが確認できた。
この実を毎日食べ続ければ、魔力の上限をアップできるということか。これは助かる。毎日食べよう。
それから、数日過ごしてみたが、泉の周辺には一切動物の姿は見えなかった。(泉に水を飲みに来る動物とか居るのではないかと警戒していたのだが、皆無であった。)
確かこの世界には動物と、その他に魔物も居るはずだが、どちらも今のところまったく見えない。
まぁ出ないならそれで生活に何の支障もないので、当面は気にしない事にした。
361
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる