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L's rule. Side Akiha.
俺にもあなたに話せないことがあります 3
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「スイさん」
スイの部屋のベッドの端に彼を下ろして、アキは向かい合うようにベッドの下に膝をついて座った。その顔を覗きこむ。風呂上がりで髪を下ろしているから、いつもと印象が違う。酷く無防備に見えるのが、自分にすべて許してくれているからなのかと思うと堪らない。
「また、軽くなったんじゃない? 無理してないか?」
逸る気持ちをおさえて、優しく頬を撫でると、少し擽ったそうに首をすくめて、スイは首を横に振った。
「無理なんてしてない。すごく幸せだよ」
本当に幸せそうなスイの表情に安堵する。強がることが得意なスイだけれど、幸せだと言った言葉に嘘はないと思う。
「……あの……さ。アキ君」
頬を撫でるアキの手に自分の手を重ねて、スイが言う。頬が赤い。きっと、風呂上がりだから。ではない。
「……その。……うまく……できなかったら……ごめん」
少し不安げに言うスイが愛おしくて、アキはその細い身体を強く抱き締めた。
「スイさんが、俺を許してくれるだけで。俺だって、幸せだ」
そして、その思いのまま、優しくスイをベッドに横たえる。心が逸って乱暴にしてしまうのが怖くて、ことさら優しく。それから、額にかかる長い髪をそっと手で梳いてそこにキスを落とす。
「アキ……くん」
瞼に、頬に、鼻先に、最後に自分の名を呟く唇に。一度、二度。三度目からは口づけは深いものに変わった。
「……んん……っん」
舌先が絡み合って、水音が響く。スイの喉奥から、子猫の鳴くような声が漏れて、その声に煽られて、キスがより深くなっていった。
苦しげに寄せた眉も、熱い舌の感触も、その甘い声も、縋るようにアキの服を握る細い手も、所在なげにすり合わせた脚も、堪らない。全部がアキの中の雄の部分を煽って、性急になってしまうのを抑えるのがやっとだ。
「……ん……ぁ」
ゆったりとしたTシャツの裾から、そっと脇腹に手を入れた時だった。
「……あ」
スイが僅かに身を捩る。くすぐったいのだろうかと思う。だから、そのまま手を進めると、急にスイの身体が強張った。
「……ま……って……あ、やだっ」
アキの身体を両手で拒絶するように押しのけようとして、はっとしてスイが固まる。自分のしてしまったことが信じられないとでも言うように、見開かれた目で、自分自身の手を見つめている。
「……あ。ごめ……あの」
そのスイの手は僅かに震えていた。
「あ。悪い。やだった?」
正直、拒絶されたことがショックで、アキは傷ついたという表情を隠せていなかったと思う。スイも自分と身体を重ねることを幸せだと思ってくれていると思っていたから。それとも、やっぱり、自分のために無理をしていたんだろうか。
「ちが……っ。あの……」
スイの瞳にみるみる涙がたまっていく。
スイの部屋のベッドの端に彼を下ろして、アキは向かい合うようにベッドの下に膝をついて座った。その顔を覗きこむ。風呂上がりで髪を下ろしているから、いつもと印象が違う。酷く無防備に見えるのが、自分にすべて許してくれているからなのかと思うと堪らない。
「また、軽くなったんじゃない? 無理してないか?」
逸る気持ちをおさえて、優しく頬を撫でると、少し擽ったそうに首をすくめて、スイは首を横に振った。
「無理なんてしてない。すごく幸せだよ」
本当に幸せそうなスイの表情に安堵する。強がることが得意なスイだけれど、幸せだと言った言葉に嘘はないと思う。
「……あの……さ。アキ君」
頬を撫でるアキの手に自分の手を重ねて、スイが言う。頬が赤い。きっと、風呂上がりだから。ではない。
「……その。……うまく……できなかったら……ごめん」
少し不安げに言うスイが愛おしくて、アキはその細い身体を強く抱き締めた。
「スイさんが、俺を許してくれるだけで。俺だって、幸せだ」
そして、その思いのまま、優しくスイをベッドに横たえる。心が逸って乱暴にしてしまうのが怖くて、ことさら優しく。それから、額にかかる長い髪をそっと手で梳いてそこにキスを落とす。
「アキ……くん」
瞼に、頬に、鼻先に、最後に自分の名を呟く唇に。一度、二度。三度目からは口づけは深いものに変わった。
「……んん……っん」
舌先が絡み合って、水音が響く。スイの喉奥から、子猫の鳴くような声が漏れて、その声に煽られて、キスがより深くなっていった。
苦しげに寄せた眉も、熱い舌の感触も、その甘い声も、縋るようにアキの服を握る細い手も、所在なげにすり合わせた脚も、堪らない。全部がアキの中の雄の部分を煽って、性急になってしまうのを抑えるのがやっとだ。
「……ん……ぁ」
ゆったりとしたTシャツの裾から、そっと脇腹に手を入れた時だった。
「……あ」
スイが僅かに身を捩る。くすぐったいのだろうかと思う。だから、そのまま手を進めると、急にスイの身体が強張った。
「……ま……って……あ、やだっ」
アキの身体を両手で拒絶するように押しのけようとして、はっとしてスイが固まる。自分のしてしまったことが信じられないとでも言うように、見開かれた目で、自分自身の手を見つめている。
「……あ。ごめ……あの」
そのスイの手は僅かに震えていた。
「あ。悪い。やだった?」
正直、拒絶されたことがショックで、アキは傷ついたという表情を隠せていなかったと思う。スイも自分と身体を重ねることを幸せだと思ってくれていると思っていたから。それとも、やっぱり、自分のために無理をしていたんだろうか。
「ちが……っ。あの……」
スイの瞳にみるみる涙がたまっていく。
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