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80話
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「アッシュ!わたしに…キスできるの?」
お祖母様は隣で「なんてことを言うの?」と呆れた顔を私に向けた。
「ビアンカにキス?……うーん………頬なら」
ニヤッと笑ったアッシュ。
「だよね?政略結婚ならまだお互い歩み寄れるけど、私と一生を共にするなんて無理でしょう?そこに愛は芽生えないもの」
「ビアンカに愛はあるぞ」
「親愛?それとも家族愛?」
「両方だ」
「ふふ。私もアッシュのこと大好きだわ。もしアッシュが病気になったら一晩中でも看護してあげたいし、辛くて泣いていたら抱きしめてあげたい」
「バァカ!俺が泣くわけないだろう?」
「うん、でもそれくらいアッシュのことは大事」
「俺もお前が泣いていたら、陛下だってフェリックスだって殴りにいくぞ」
「やめて、もういいの。少しずつだけど気持ちの整理をしているわ」
「ビアンカ、ごめんなさいね、わたくしったらバカなことを言ったわ。二人が仲が良いから、ついビアンカがこの屋敷にずっといてくれるならそれがいいかななんて思ってしまったの」
頭を横に振る。
「わかってる……みんなが心配してくれていることはとても感謝しています……でも前を向かないと……」
「お、いつものビアンカに戻ってきたか?」
「うん、私ね、このままここで甘えて暮らすのは嫌なの。だからと言ってお父様の住む伯爵家に戻りたいとは思えないし、この国から逃げたくない。
飛び級して卒業する。学校にも申請を出していて、進級のための単位を取って、試験を全てパスして卒業資格も取ったんだ」
「まぁいつの間に?」
「本当はフェリックス様と一緒に卒業できたらいいなぁなんて思ってみんなに内緒で進めていたんだけど……丁度良かったわ。私ね、侯爵家の領地で暮らしたいの。自然も豊かだしあそこはお母様が育った場所でしょう?あの場所で一から始めたい!」
「じゃあ、俺のサポートとして領地で働いてくれるのか?」
「もちろん喜んで。事務的なお仕事ならいくらでもできるわ。クーパー侯爵家では屋敷のお金の管理も任されていたし、事務仕事もしていたので得意よ」
「まああ、そんなことまでさせられていたの?」
「侯爵夫人は私が何かあっても一人で生きていけるようにといろんなことをさせてくださったの。皿洗いやお料理、掃除もできるわ。あの屋敷では使用人たちと共に暮らしたから」
お祖母様はなぜかショックを受けていた。
だけどアッシュは大笑いして「侯爵令嬢がそんなことまで出来たら使用人はのんびりと仕事ができなくなるな」と言った。
そばにいたメイド二人は顔を見合わせて顔を引き攣らせていた。
「二人とも大丈夫よ?人の仕事に対していちいち文句なんて言わないから!ここのお屋敷の使用人はみんなとてもよく働いてくれていることは知っているもの」
アッシュがいるとちょっとしたこともなんだか話が大きくなる。
楽しいのだけど、周りに気を遣わなくちゃいけなくて疲れる。
お祖母様は私が領地へ行くことを反対はしないけど少し寂しそうにしていた。
「ビアンカが領地に行くならわたくしも向こうで静養しようかしら?」
「まあ素敵です!二人で森を散策したり屋敷のお庭を手入れしたり、あとせっかくだから田舎町の整備をして観光客を増やしたいんです!
あの町は今は寂しい町だけど、王都からは行きやすい場所だし、美味しい食べ物がたくさんあるし、美しい湖や景色の良い丘もあるし、観光客に来てもらえるような宿やお店、素敵な公園を一から作って、領民たちの収入を増やしてあげたいんです」
「お前そんなことを考えていたのか?」
呆れるアッシュに私は「うん」と答えた。
「予算なら私の私財から払えるわ。もちろん利益が出たら返してもらうから安心して」
「お前そんなに金持ちだったのか?」
「ダイガットのおかげで侯爵家から慰謝料をもらったの。結婚はしていなかったけど彼は結婚していると思っていたくせに浮気したでしょう?
かなりの金額が払われたの。
それから……ミラー伯爵家からも……カルソン公爵が廃爵になったでしょう?その時に向こうからかなりのお金が伯爵家へ振り込まれたらしいわ………お母様の慰謝料と賠償金として……伯爵がそのまま私にくれたの」
「そうだったわね」
「本当はそんなお金いらないんだけど、突き返すのも悔しいし、そのままにしていたんだ。だからいっそのこと領民のために使ったらいいんじゃないかと思って」
「まぁ、とりあえずビアンカが正式に卒業出来ると決まってからだな」
「あら?失礼ね?私、これでも優等生なのよ?」
「わかってる、あんまり先を急ぐな。ゆっくりと話し合ってから決めたらいい」
「うん」
もうすぐ卒業。
ここにいればずっと何かと二人と顔を合わせる暮らしが続く。フェリックス様とミリル殿下の仲睦まじい姿を見なくてすむようになるなら、領地行きも悪くないかな。
お祖母様は隣で「なんてことを言うの?」と呆れた顔を私に向けた。
「ビアンカにキス?……うーん………頬なら」
ニヤッと笑ったアッシュ。
「だよね?政略結婚ならまだお互い歩み寄れるけど、私と一生を共にするなんて無理でしょう?そこに愛は芽生えないもの」
「ビアンカに愛はあるぞ」
「親愛?それとも家族愛?」
「両方だ」
「ふふ。私もアッシュのこと大好きだわ。もしアッシュが病気になったら一晩中でも看護してあげたいし、辛くて泣いていたら抱きしめてあげたい」
「バァカ!俺が泣くわけないだろう?」
「うん、でもそれくらいアッシュのことは大事」
「俺もお前が泣いていたら、陛下だってフェリックスだって殴りにいくぞ」
「やめて、もういいの。少しずつだけど気持ちの整理をしているわ」
「ビアンカ、ごめんなさいね、わたくしったらバカなことを言ったわ。二人が仲が良いから、ついビアンカがこの屋敷にずっといてくれるならそれがいいかななんて思ってしまったの」
頭を横に振る。
「わかってる……みんなが心配してくれていることはとても感謝しています……でも前を向かないと……」
「お、いつものビアンカに戻ってきたか?」
「うん、私ね、このままここで甘えて暮らすのは嫌なの。だからと言ってお父様の住む伯爵家に戻りたいとは思えないし、この国から逃げたくない。
飛び級して卒業する。学校にも申請を出していて、進級のための単位を取って、試験を全てパスして卒業資格も取ったんだ」
「まぁいつの間に?」
「本当はフェリックス様と一緒に卒業できたらいいなぁなんて思ってみんなに内緒で進めていたんだけど……丁度良かったわ。私ね、侯爵家の領地で暮らしたいの。自然も豊かだしあそこはお母様が育った場所でしょう?あの場所で一から始めたい!」
「じゃあ、俺のサポートとして領地で働いてくれるのか?」
「もちろん喜んで。事務的なお仕事ならいくらでもできるわ。クーパー侯爵家では屋敷のお金の管理も任されていたし、事務仕事もしていたので得意よ」
「まああ、そんなことまでさせられていたの?」
「侯爵夫人は私が何かあっても一人で生きていけるようにといろんなことをさせてくださったの。皿洗いやお料理、掃除もできるわ。あの屋敷では使用人たちと共に暮らしたから」
お祖母様はなぜかショックを受けていた。
だけどアッシュは大笑いして「侯爵令嬢がそんなことまで出来たら使用人はのんびりと仕事ができなくなるな」と言った。
そばにいたメイド二人は顔を見合わせて顔を引き攣らせていた。
「二人とも大丈夫よ?人の仕事に対していちいち文句なんて言わないから!ここのお屋敷の使用人はみんなとてもよく働いてくれていることは知っているもの」
アッシュがいるとちょっとしたこともなんだか話が大きくなる。
楽しいのだけど、周りに気を遣わなくちゃいけなくて疲れる。
お祖母様は私が領地へ行くことを反対はしないけど少し寂しそうにしていた。
「ビアンカが領地に行くならわたくしも向こうで静養しようかしら?」
「まあ素敵です!二人で森を散策したり屋敷のお庭を手入れしたり、あとせっかくだから田舎町の整備をして観光客を増やしたいんです!
あの町は今は寂しい町だけど、王都からは行きやすい場所だし、美味しい食べ物がたくさんあるし、美しい湖や景色の良い丘もあるし、観光客に来てもらえるような宿やお店、素敵な公園を一から作って、領民たちの収入を増やしてあげたいんです」
「お前そんなことを考えていたのか?」
呆れるアッシュに私は「うん」と答えた。
「予算なら私の私財から払えるわ。もちろん利益が出たら返してもらうから安心して」
「お前そんなに金持ちだったのか?」
「ダイガットのおかげで侯爵家から慰謝料をもらったの。結婚はしていなかったけど彼は結婚していると思っていたくせに浮気したでしょう?
かなりの金額が払われたの。
それから……ミラー伯爵家からも……カルソン公爵が廃爵になったでしょう?その時に向こうからかなりのお金が伯爵家へ振り込まれたらしいわ………お母様の慰謝料と賠償金として……伯爵がそのまま私にくれたの」
「そうだったわね」
「本当はそんなお金いらないんだけど、突き返すのも悔しいし、そのままにしていたんだ。だからいっそのこと領民のために使ったらいいんじゃないかと思って」
「まぁ、とりあえずビアンカが正式に卒業出来ると決まってからだな」
「あら?失礼ね?私、これでも優等生なのよ?」
「わかってる、あんまり先を急ぐな。ゆっくりと話し合ってから決めたらいい」
「うん」
もうすぐ卒業。
ここにいればずっと何かと二人と顔を合わせる暮らしが続く。フェリックス様とミリル殿下の仲睦まじい姿を見なくてすむようになるなら、領地行きも悪くないかな。
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