【完結】[改稿版]内緒で死ぬことにしたーーいつか思い出してください…わたしがここにいた事を。

たろ

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キリアン。

 カレンは助けられ、大泣きをしたまま疲れて眠ってしまった。

 青白い顔をしたまま、何度もうなされていた。

「熱い……助けて……」

「や、やだ……」

 閉じた瞳からは涙が滲んでいた。

 キリアンはカレンから離れずにずっと手を優しく握りしめていた。

 足は包帯でぐるぐる巻きになっていた。

 足の裏は軽いやけどと擦り傷だが、炎症を起こしてしまい熱が下がらない。

 キリアンはまだ魔法がうまく使えない。
 今のキリアンには魔力があまり残っていなかった。
 癒しの魔法は昨日からカレンとエマにかけ続けたため魔力はあまり残っていなかったのだ。

「ごめんな、カレン」

 自分の未熟さに悔しくてカレンを握る手もつい力が入ってしまう。

 目の前で苦しむカレン。子供の時のアイシャの記憶は不思議なくらい残っていた。

 優しい綺麗な人だった。とても綺麗な……あまりにも心まで綺麗で、でも消えていなくなりそうで子供心に不安だった。

 そしてキリアンを助けて、自分は亡くなってしまった。

 幼いながらに悲しかったことだけはいまだに記憶に残る。

 カレンがエマのお腹に入ってから不思議なくらいアイシャの魂を感じた。

 そして家の近くの森は喜びで木々は生き生きとなり、動物たちはいつもキリアンの家を遠くから見守るようになった。

 その動物たちの視線は優しく、カレンを産む時にもう命はないだろうと言われたエマの命を繋いでくれたのも森の力だったのかもしれない。

 キリアンはカレンを妹として、そして自分の命を守ってくれたアイシャへの感謝と慕う気持ちをそのままカレンに向け、慈しみ大切にしてきた。

 なのにカレンを狙う者たちがいる。

 それは王妃であり、アイシャを殺した犯人。

 目星はついていた。

 陛下から話は聞いていた。まだ子供のキリアンだが、魔法使いとしては半人前でもこの国では重宝される。

 だから、ゴードンたちと共に話に加わった。

 自分が帰国する時に共に連れてきてしまったリサとカイザ。

 二人はキリアンにとって恩師であるしまだまだ越えられないとても大きな存在でもあった。

 今回の森の火事はまだ早朝の出来事だった。

 昼頃には陛下から手配された魔法使いがやってきてリサたちの企みを阻止する予定だった。

 なのに、こんな早くに手を出してくるなんて。

 森は精霊が命をかけて守った。また時間をかけて美しい森へと戻るだろう。

 だけど精霊は消え、カレンは心の傷を残した。

 もし目が覚めても……

 カレンのあの可愛らしい笑顔は元に戻らないかもしれない。

 エマも自分が寝込んでしまいカレンが薬草を採りに行ったことを知ってショックを受けていた。

 明るくて元気だった母が体を壊し病に伏せてから、カレンは寂しさの中必死で笑顔で過ごそうとしてきた。

 キリアンはカレンの頑張りを知っていたからこそ、静かに見守っていた。

 子供ながらに大人へ気遣う気持ちを踏み躙りたくなくて。

 なのに……リサは許せない。

 ルビラ王国ではとてもよくしてもらった。

 寮に入る予定だったがカイザの屋敷に住まわせてもらい、学校へも通わせてもらった。

 休日はたくさんのところへ連れて行ってもらったし、魔法もたくさん教えてもらった。

 リサはキリアンにとても優しかった。カイザも祖父のような温かい人だった。

 なのに………どうして?

 カレンが息苦しそうに眠る姿を見てキリアンは胸が締め付けられる。

 苦しくて悔しくて……いまだに信じられなくて………

 それでも……絶対にリサたちを許すことはできない。








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