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子供達。
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「はっ……」
目が覚めた。
なんだか怖い夢を見ていた。わたしなのにわたしじゃない。あれは記憶の一つ……
だけど……思い出せない。
ただただ苦しくて、悲しくて、自分で自分がコントロールできなくて、泣いてばかりいた気がする。
「あっ……ティア様、目覚めましたか?良かった……」
タバサがうっすらと涙をためて心配そうにわたしを見た。
「ごめんなさい、また心配かけちゃったわね……
あの子供達はどうしているのかしら?」
「まだしばらくは手当が必要なのですが……大人を怖がって近づくとお二人とも震えて触らせてくれないらしいのです」
「わたし、会いに行ってみてもいいかしら?」
「で、でも、まだ病み上がりですし子供達は大人を怖がっています」
「うん、だけど、あのノエル君を抱っこして助けたのはわたしよ?それにアリスちゃんもわたしの手を握ってくれたわ、もしかしたらわたしなら助けた人だから怖がらないかもしれないでしょう?」
「旦那様が……許可をいただいてからにした方がいいのではないかと思うのですが……」
タバサは子供達のところへ行くことが反対なのね。だけど、手当を嫌がってたら治るものも治らないわ。
それにあの二人がとても気になるもの。旦那様はわたしのことなんて興味すらなさそうだもの。
たぶん無理やり結婚したから、わたしのことなんて興味もないのよ。
だってあの氷の騎士様と言われたお方だもの。きっと怖くて意地悪で最悪なんじゃないかしら?
子供達のこともあんな酷い虐待されているのに放ったらかしにしていたんだもの。あの女性は旦那様の愛人だとしたら牢に入れてしまったことも旦那様は怒っているかしら?
「さってとっ、行ってこよう」
わたしは寝巻きを脱ぎ捨ててワンピースに着替えた。
タバサは困った顔をしながらももう止めるのを諦めてベッドの上に置かれた寝巻きを畳んでいた。
まだよく屋敷の中がわからないわ。
「ねぇタバサ、あの子達はどこの部屋にいるのかしら?」
「あちらですわ」
指さされたのはわたしの部屋から少し離れたところだった。
ここなら一人で行けるわ。
扉をノックしたけど中からもちろん返事はない。
「アリスちゃん、昨日のお姉ちゃんだよ。入ってもいいかな?」
「…………」
扉に耳を当てて中の様子を窺ったけど返事は聞こえてこない。
だけど動いている音は聞こえる。
「入るよ?」
カチャッと扉を開けるとベッドの上で毛布を被っている塊があった。
ーー隠れてるのね?
「あーーー、お腹空いた。プリンを持って来たけど二人ともいないみたいだから仕方ないなあ。一人で食べよう」
わざとらしくため息をついて、テーブルにプリンとリンゴジュースを置いた。
椅子に座ると「いっただきまぁす」と大きな声を出して食べ始めた。
「美味しい!」
「うわぁ、あっまーい!」
「いいのかなぁ、なくなっちゃいそう。いいや、全部食べちゃえ」
「………………ダ、ダメ」
「………タベルゥ」
ふふっ、可愛い声が聞こえて来たわ。
チラッとベッドの方へ目を向けると毛布から顔を半分だけ出して二人ともこつちを見てる。
「わたしはティアよ。アリスちゃん、ノエル君だよね?一緒にプリン食べよう?」
お行儀が悪いのはわかってるけど、ベッドにプリンを持っていってスプーンを二人に近づけた。
「はい、一口。アーンして?」
「…………」
ノエル君は真っ青な顔をして毛布を被ってしまった。
でもアリスちゃんは私のこと覚えてくれているみたいで「………イル……」と言って怖々と口を開けた。
「はい、どうぞ」
小さなお口にスプーンでプリンを食べさせてあげると……
「オイシイ………」
目がキラキラしてとっても可愛い笑顔を向けてくれた。
ーーうわぁ、可愛い!
そして隣にいるノエル君に「…タベヨウ?」と一生懸命声をかけてる。
「あーー、もうなくなりそう!いいのかなあ?」
大きな声で言うと「たべる!」とさっきよりも大きな声が聞こえて来た。
毛布から急いで可愛いお顔が見えた。
「うん、どうぞ」
アーンしたお口にプリンを食べさせてあげると横にいるアリスちゃんも口を開けた。
二人に交互に食べさせたらお皿のプリンはすぐになくなった。
「テーブルにまだプリンがあるから椅子に座ろうか?」
「………うん」
「まだたべたい」
美味しいものってやっぱり幸せな気持ちになれるわよね。二人の目がさっきまで怖がって目も合わせてくれなかったのに、餌付けされた雛のようにわたしについて来た。
ベッドからまだ降りれないノエル君に「おいで」と手を差し出すと、戸惑いながらもわたしの腕の中にきて、抱っこされた。
やっぱりまだ軽い。まともに食べさせてもらっていなかったみたい。
この部屋に来てからも何も食べようとしなかったとタバサが教えてくれた。
本当は栄養のあるものを少しずつ食べた方がいいのだろうけど、プリンなら喉越しもいいし食べやすいだろうとこの屋敷の料理長が用意してくれた。
わたしも病気をした時料理長が作ってくれるプリンが大好きだった。
子供達も椅子に座り美味しそうに食べている。その姿が可愛すぎてわたしは思わずニコニコしながら見ていた。
ノエル君はまだ3歳。スプーンの使い方が下手くそでプリンをお皿からこぼした。
「ご、ご、めんなさい………」
わたしの顔を見て必死で謝るノエル君。
「たたかないで、ごめんなさい、ごめんなさい」
ガタガタ震え出したノエル君。横にいたアリスちゃんはわたしの顔を見て「ノエルのかわりにわたしをたたいて!」と言い出した。
ーーえっ?なになに?
ちょっとプリンをこぼしたくらいで叩くなんてありえないのだけど?そんなことで怒るわけないのに。
わたしが驚いて声を出さなかったのが怒っているように思えたみたいで、二人は椅子から降りて床に座り必死で謝り出した。
「「ごめんなさい」」
「もうにどと、こぼしません」
二人は涙をいっぱいためて必死で謝り始めた。わたしは慌てて二人を抱きしめた。
「えっ、ええ?やめて!そんなことで怒るわけないじゃない?二人ともやめて!泣かないで!」
「だって……」
「わるいことをしたら、バシッて……」
「そんなことしないわ!そんなことで怒られるならわたしなんて何十回も怒られないといけないわ!子供なんだからこぼして当たり前なの!それよりも美味しく食べてくれた方がいいの!」
「………た、たたかない?」
「バシッ、は?」
「ないない!あの女、そんなことばかりしていたの?許せないわ!」
「ご、ごめんなさい」
「………ごめんなさい」
わたしの声にやっと泣き止んだ二人がまた驚いて泣き出した。
「泣かないで!わたしが守ってあげるから、泣かないで!」
二人の姿を見てたらなんだかわたしまで泣けて来た。
傷だらけで二人で必死で耐えて来たんだろう。そう思うとわたしまで悲しくて……
二人の体は温かくて柔らかい。
ーーこの子達をなんとか守ってあげたい。
この小さな体で必死で耐えて来た二人に笑顔でいて欲しい。
タバサが後ろでどんな顔をしているかなんて気にしないわ!いざとなったら二人を連れて実家に帰ろう。
お父様とお兄様ももう5年も経ったら落ち着いているわよね?記憶をなくす前はあまり行き来をしていなかったらしいけど今のわたしには関係ないもの。
会いたいな。
わたしはこの時全く知らなかった。
お父様が亡くなっていることもお兄様が随分前に亡くなっていることも知らなかった。
目が覚めた。
なんだか怖い夢を見ていた。わたしなのにわたしじゃない。あれは記憶の一つ……
だけど……思い出せない。
ただただ苦しくて、悲しくて、自分で自分がコントロールできなくて、泣いてばかりいた気がする。
「あっ……ティア様、目覚めましたか?良かった……」
タバサがうっすらと涙をためて心配そうにわたしを見た。
「ごめんなさい、また心配かけちゃったわね……
あの子供達はどうしているのかしら?」
「まだしばらくは手当が必要なのですが……大人を怖がって近づくとお二人とも震えて触らせてくれないらしいのです」
「わたし、会いに行ってみてもいいかしら?」
「で、でも、まだ病み上がりですし子供達は大人を怖がっています」
「うん、だけど、あのノエル君を抱っこして助けたのはわたしよ?それにアリスちゃんもわたしの手を握ってくれたわ、もしかしたらわたしなら助けた人だから怖がらないかもしれないでしょう?」
「旦那様が……許可をいただいてからにした方がいいのではないかと思うのですが……」
タバサは子供達のところへ行くことが反対なのね。だけど、手当を嫌がってたら治るものも治らないわ。
それにあの二人がとても気になるもの。旦那様はわたしのことなんて興味すらなさそうだもの。
たぶん無理やり結婚したから、わたしのことなんて興味もないのよ。
だってあの氷の騎士様と言われたお方だもの。きっと怖くて意地悪で最悪なんじゃないかしら?
子供達のこともあんな酷い虐待されているのに放ったらかしにしていたんだもの。あの女性は旦那様の愛人だとしたら牢に入れてしまったことも旦那様は怒っているかしら?
「さってとっ、行ってこよう」
わたしは寝巻きを脱ぎ捨ててワンピースに着替えた。
タバサは困った顔をしながらももう止めるのを諦めてベッドの上に置かれた寝巻きを畳んでいた。
まだよく屋敷の中がわからないわ。
「ねぇタバサ、あの子達はどこの部屋にいるのかしら?」
「あちらですわ」
指さされたのはわたしの部屋から少し離れたところだった。
ここなら一人で行けるわ。
扉をノックしたけど中からもちろん返事はない。
「アリスちゃん、昨日のお姉ちゃんだよ。入ってもいいかな?」
「…………」
扉に耳を当てて中の様子を窺ったけど返事は聞こえてこない。
だけど動いている音は聞こえる。
「入るよ?」
カチャッと扉を開けるとベッドの上で毛布を被っている塊があった。
ーー隠れてるのね?
「あーーー、お腹空いた。プリンを持って来たけど二人ともいないみたいだから仕方ないなあ。一人で食べよう」
わざとらしくため息をついて、テーブルにプリンとリンゴジュースを置いた。
椅子に座ると「いっただきまぁす」と大きな声を出して食べ始めた。
「美味しい!」
「うわぁ、あっまーい!」
「いいのかなぁ、なくなっちゃいそう。いいや、全部食べちゃえ」
「………………ダ、ダメ」
「………タベルゥ」
ふふっ、可愛い声が聞こえて来たわ。
チラッとベッドの方へ目を向けると毛布から顔を半分だけ出して二人ともこつちを見てる。
「わたしはティアよ。アリスちゃん、ノエル君だよね?一緒にプリン食べよう?」
お行儀が悪いのはわかってるけど、ベッドにプリンを持っていってスプーンを二人に近づけた。
「はい、一口。アーンして?」
「…………」
ノエル君は真っ青な顔をして毛布を被ってしまった。
でもアリスちゃんは私のこと覚えてくれているみたいで「………イル……」と言って怖々と口を開けた。
「はい、どうぞ」
小さなお口にスプーンでプリンを食べさせてあげると……
「オイシイ………」
目がキラキラしてとっても可愛い笑顔を向けてくれた。
ーーうわぁ、可愛い!
そして隣にいるノエル君に「…タベヨウ?」と一生懸命声をかけてる。
「あーー、もうなくなりそう!いいのかなあ?」
大きな声で言うと「たべる!」とさっきよりも大きな声が聞こえて来た。
毛布から急いで可愛いお顔が見えた。
「うん、どうぞ」
アーンしたお口にプリンを食べさせてあげると横にいるアリスちゃんも口を開けた。
二人に交互に食べさせたらお皿のプリンはすぐになくなった。
「テーブルにまだプリンがあるから椅子に座ろうか?」
「………うん」
「まだたべたい」
美味しいものってやっぱり幸せな気持ちになれるわよね。二人の目がさっきまで怖がって目も合わせてくれなかったのに、餌付けされた雛のようにわたしについて来た。
ベッドからまだ降りれないノエル君に「おいで」と手を差し出すと、戸惑いながらもわたしの腕の中にきて、抱っこされた。
やっぱりまだ軽い。まともに食べさせてもらっていなかったみたい。
この部屋に来てからも何も食べようとしなかったとタバサが教えてくれた。
本当は栄養のあるものを少しずつ食べた方がいいのだろうけど、プリンなら喉越しもいいし食べやすいだろうとこの屋敷の料理長が用意してくれた。
わたしも病気をした時料理長が作ってくれるプリンが大好きだった。
子供達も椅子に座り美味しそうに食べている。その姿が可愛すぎてわたしは思わずニコニコしながら見ていた。
ノエル君はまだ3歳。スプーンの使い方が下手くそでプリンをお皿からこぼした。
「ご、ご、めんなさい………」
わたしの顔を見て必死で謝るノエル君。
「たたかないで、ごめんなさい、ごめんなさい」
ガタガタ震え出したノエル君。横にいたアリスちゃんはわたしの顔を見て「ノエルのかわりにわたしをたたいて!」と言い出した。
ーーえっ?なになに?
ちょっとプリンをこぼしたくらいで叩くなんてありえないのだけど?そんなことで怒るわけないのに。
わたしが驚いて声を出さなかったのが怒っているように思えたみたいで、二人は椅子から降りて床に座り必死で謝り出した。
「「ごめんなさい」」
「もうにどと、こぼしません」
二人は涙をいっぱいためて必死で謝り始めた。わたしは慌てて二人を抱きしめた。
「えっ、ええ?やめて!そんなことで怒るわけないじゃない?二人ともやめて!泣かないで!」
「だって……」
「わるいことをしたら、バシッて……」
「そんなことしないわ!そんなことで怒られるならわたしなんて何十回も怒られないといけないわ!子供なんだからこぼして当たり前なの!それよりも美味しく食べてくれた方がいいの!」
「………た、たたかない?」
「バシッ、は?」
「ないない!あの女、そんなことばかりしていたの?許せないわ!」
「ご、ごめんなさい」
「………ごめんなさい」
わたしの声にやっと泣き止んだ二人がまた驚いて泣き出した。
「泣かないで!わたしが守ってあげるから、泣かないで!」
二人の姿を見てたらなんだかわたしまで泣けて来た。
傷だらけで二人で必死で耐えて来たんだろう。そう思うとわたしまで悲しくて……
二人の体は温かくて柔らかい。
ーーこの子達をなんとか守ってあげたい。
この小さな体で必死で耐えて来た二人に笑顔でいて欲しい。
タバサが後ろでどんな顔をしているかなんて気にしないわ!いざとなったら二人を連れて実家に帰ろう。
お父様とお兄様ももう5年も経ったら落ち着いているわよね?記憶をなくす前はあまり行き来をしていなかったらしいけど今のわたしには関係ないもの。
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