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22話 ジェフと殿下編
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「ではエリーゼが処刑されたのは、別の理由かもしれませんね」
「うん、そうだね。処刑は必要なかったよね、君と息子は殺してもエリーゼを処刑する必要はなかった。たぶん個人的な恨みだよね」
「オーリスですか?」
「君もそう思う?」
「はい、それしかないですね」
「どういうことですか?」
殿下がわたし達を見て問いかけた。
「ハウエル公爵とオーリスは幼馴染なんだ。公爵はオーリスを愛していたんだ。だがわたしと政略結婚をしたんだ。政略ではあったがわたし達はお互い良い関係を築き、仲の良い夫婦だったんだ。
だがエリーゼを産んでからオーリスは体を壊した。そして衰弱していって亡くなった。
ハウエル公爵は、わたしが彼女を蔑ろにして死んだと思っている。亡くなった原因はエリーゼの所為だと思っているんだ」
「そんな……エリーゼは何も悪くないのに……」
殿下は理不尽な話に驚いていた。
陛下は言う。
「人の気持ちなんて嫉妬と独占欲、傲慢、我儘、自尊心などの欲で出来ているんだ。それが今回の事件の原因だろう。そしてわたしが体調を崩した原因がわからないのは、少しずつ少量の何か薬物を接種し続けたのではないかと思っている」
「では、今も接種している可能性もありますね」
「ああ、妻のユリシスの仕業かな……メイドか……まだ誰か特定は出来ない。影に動いてもらおう」
「そうですね、わたし達も情報収集はしていますが、まだ10年先の事件なのであまり今は情報がないところです。ただ、貴族派の者達の動きは情報屋に頼み見張らせています。これからは皇后の実家のニューベル公爵の動きも調べないといけませんね」
「わたしの影とお前の情報屋、二つを合わせて今から見て行こう。まだ先は長い。慌ててこちらの動きが相手方に気づかれては困る、慎重に動くとしよう」
「クロードは今まで通り、皇后に甘え、ニューベル公爵にも甘えてくれ。懐に入るのが一番動きがわかるからな」
「父上、まだ信じられませんが………了解しました」
中身が18歳の殿下だ。
子どもと話していても中身は対等の大人だ。
これからは演技をしてもらい、子どもとして情報を集めてもらうとしよう。
「ところでエリーゼはヴィクトリアの下で暫く過ごしてもらう。お前達は、あの子との接近は禁止させて貰う」
「エリーゼは、孤児院に住むようになってから表情豊かになっています。わたしのそばではあんな笑顔見た事がありませんでした。……異存はありませんが遠くから見守ることは許していただきたい」
「では僕も遠くからでもみたい。今回は僕はエリーゼに会うことも婚約することも出来ないかもしれません。それでもまだ諦めたくはないんです。せめて謝りたい」
「クロード、お前がしたことは人として最低なことだと思う。だが、わたしも同じだった。好きでもない女を抱いてわたしは愛する女性を失い、好きでもない女に殺されるかもしれない。お前は好きでもない女を抱いて愛する者を殺される」
殿下は苦渋の中で、ギュッと握り拳を作り耐えていた。
「……今回は死なせない。何があっても守ります」
「わたしもエリーゼに対して放置して接していなかった。そしてあの子の感情は無くなっていったんだ。わたしもあの子には謝ることしかできない。必ず今回は守ります、この命に変えても守り抜きます」
とりあえず今できることをしていこう。
そして陛下には信頼できる者以外からは、食べ物も飲み物も受け取らないようにすることと、薬などももう一度改めることにした。
そして部屋に飾られる花なども、もう一度調べ直して徹底した管理をすることにした。
どこから陛下を害するものが何処に混入しているのかわからない今とにかく自衛する他なかった。
そうして、ニューベル公爵とハウエル公爵、ユシリス皇后の動きを探ることになった。
そして気がつけばエリーゼは10歳になっていた。
3年半もの間、娘に会うことはなかった。
遠くから見守るエリーゼは、とても幸せそうでもうわたしもスコットも必要がないのだと感じるしかなかった。
◆ ◆ ◆
『騎士様はいつも不機嫌 ~アラン二度目の恋~』
今日から始まります。
が!……こちらはゆっくり更新予定です。
よろしくお願いします。
「うん、そうだね。処刑は必要なかったよね、君と息子は殺してもエリーゼを処刑する必要はなかった。たぶん個人的な恨みだよね」
「オーリスですか?」
「君もそう思う?」
「はい、それしかないですね」
「どういうことですか?」
殿下がわたし達を見て問いかけた。
「ハウエル公爵とオーリスは幼馴染なんだ。公爵はオーリスを愛していたんだ。だがわたしと政略結婚をしたんだ。政略ではあったがわたし達はお互い良い関係を築き、仲の良い夫婦だったんだ。
だがエリーゼを産んでからオーリスは体を壊した。そして衰弱していって亡くなった。
ハウエル公爵は、わたしが彼女を蔑ろにして死んだと思っている。亡くなった原因はエリーゼの所為だと思っているんだ」
「そんな……エリーゼは何も悪くないのに……」
殿下は理不尽な話に驚いていた。
陛下は言う。
「人の気持ちなんて嫉妬と独占欲、傲慢、我儘、自尊心などの欲で出来ているんだ。それが今回の事件の原因だろう。そしてわたしが体調を崩した原因がわからないのは、少しずつ少量の何か薬物を接種し続けたのではないかと思っている」
「では、今も接種している可能性もありますね」
「ああ、妻のユリシスの仕業かな……メイドか……まだ誰か特定は出来ない。影に動いてもらおう」
「そうですね、わたし達も情報収集はしていますが、まだ10年先の事件なのであまり今は情報がないところです。ただ、貴族派の者達の動きは情報屋に頼み見張らせています。これからは皇后の実家のニューベル公爵の動きも調べないといけませんね」
「わたしの影とお前の情報屋、二つを合わせて今から見て行こう。まだ先は長い。慌ててこちらの動きが相手方に気づかれては困る、慎重に動くとしよう」
「クロードは今まで通り、皇后に甘え、ニューベル公爵にも甘えてくれ。懐に入るのが一番動きがわかるからな」
「父上、まだ信じられませんが………了解しました」
中身が18歳の殿下だ。
子どもと話していても中身は対等の大人だ。
これからは演技をしてもらい、子どもとして情報を集めてもらうとしよう。
「ところでエリーゼはヴィクトリアの下で暫く過ごしてもらう。お前達は、あの子との接近は禁止させて貰う」
「エリーゼは、孤児院に住むようになってから表情豊かになっています。わたしのそばではあんな笑顔見た事がありませんでした。……異存はありませんが遠くから見守ることは許していただきたい」
「では僕も遠くからでもみたい。今回は僕はエリーゼに会うことも婚約することも出来ないかもしれません。それでもまだ諦めたくはないんです。せめて謝りたい」
「クロード、お前がしたことは人として最低なことだと思う。だが、わたしも同じだった。好きでもない女を抱いてわたしは愛する女性を失い、好きでもない女に殺されるかもしれない。お前は好きでもない女を抱いて愛する者を殺される」
殿下は苦渋の中で、ギュッと握り拳を作り耐えていた。
「……今回は死なせない。何があっても守ります」
「わたしもエリーゼに対して放置して接していなかった。そしてあの子の感情は無くなっていったんだ。わたしもあの子には謝ることしかできない。必ず今回は守ります、この命に変えても守り抜きます」
とりあえず今できることをしていこう。
そして陛下には信頼できる者以外からは、食べ物も飲み物も受け取らないようにすることと、薬などももう一度改めることにした。
そして部屋に飾られる花なども、もう一度調べ直して徹底した管理をすることにした。
どこから陛下を害するものが何処に混入しているのかわからない今とにかく自衛する他なかった。
そうして、ニューベル公爵とハウエル公爵、ユシリス皇后の動きを探ることになった。
そして気がつけばエリーゼは10歳になっていた。
3年半もの間、娘に会うことはなかった。
遠くから見守るエリーゼは、とても幸せそうでもうわたしもスコットも必要がないのだと感じるしかなかった。
◆ ◆ ◆
『騎士様はいつも不機嫌 ~アラン二度目の恋~』
今日から始まります。
が!……こちらはゆっくり更新予定です。
よろしくお願いします。
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