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65話 過去戻り編
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「お姉ちゃん、そばに居てくれる?
そしたら頑張るから!」
「分かったわ」
ユシリス様と約束して手を離した。
またユシリス様はベッドの上で、体の痛みと痛んだ心でとても辛そうにしている。
「ユシリス様、そばに居ます。ゆっくり今は寝てください」
わたしはユシリス様のそばにある椅子に座り見守っていた。
「お姉ちゃん、わたし頑張るね」
安心したのか今日は少しいつもよりぐっすりと寝たようだ。
しばらくしてお二人がユシリス様の様子を見にきた。
「少し落ち着いたのかしら?いつもより気持ち良さそうに寝ている気がするわ」
「まだこんな小さいのに……見えないところは傷だらけだった。もし逃げ出せずにいれば死んでいたかもしれない………それに……」
お祖父様はお祖母様を寝室から出るように促した。
二人は居間のソファに座った。
「先程マリアンヌ様の使いの者から手紙が届いた……」
お祖父様はテーブルに肘を付き両手を握りしめて俯いた額において、どう妻に伝えようか悩んでいるみたいだった。
「あの男はとんでもない奴だった」
わたしはそんなこと今更知ったの?
この二人はあの糞気持ち悪い公爵のことを何にも知らなかったと思うとなんだか腹が立った。
「セリーヌを溺愛していたのは事実だ。だがユシリスを産んで体調を崩してからは、他の女に溺れていたみたいだ。
それでもセリーヌには愛情があり大切にしてくれてはいたみたいだ。ただ、ユシリスのことは使用人任せでほとんど愛情はなかったみたいだ。
セリーヌはユシリスを可愛がっていたからユシリスも辛い思いはしなかったらしい。
でもセリーヌが亡くなった瞬間、あの男は死んだのはユシリスが生まれたせいだと、怒り出して部屋に閉じ込めたらしい。
毎日ユシリスの泣き叫ぶ声と悲鳴、そして謝罪の言葉が聞こえてきていたらしい。
使用人達はあまりにも可哀想でなんとか止めようとしたが、あの男はそんな使用人達を鞭で打ち、恐怖で逆らわないようにしてしまった」
「そんな酷い……セリーヌが亡くなったことはとても悲しいことよ。でもユシリスが悪いのではないわ。ユシリスはわたし達が今度はセリーヌが亡くなったのは貴女の所為だと言って、責められると怖がっているのかしら?」
「そうかも知れないな、母親を亡くし寂しく辛いのに、そこに父親から殺したかのように責められて暴力を振るわれたんだ。
誰も信じられなくなると思う」
「なんとかあの子を救ってあげたいわ、マリアンヌ様にご迷惑をおかけするけど、彼女ならユシリスを救い出してくれると信じるわ」
「わたし達の力では帝国の者とはいえ、ニューベル公爵には逆らうことは難しい。
マリアンヌ様なら力添えしてくださるだろう……そしてあの男の罪を今洗いざらい探し出してくれている………あの男は屑だ。
………あれは幼子に性的暴力を犯しているらしいんだ……貧乏でお金に困った平民から子どもを買取り、別邸に住まわせて色々とやっているらしい……
自らも子どもに手を出しているが、客をとらせたりしているらしいんだ……
ユシリスは我が子とはいえ、その別邸に連れて行って客を取らせるつもりだったらしい」
「そんな……我が子を売春させようと言うのですか?」
「別邸の者達にもうすぐ娘もここで働かせる、その前にみんなで一度楽しんでしまおうと言っていたらしい」
わたしはその話を聞いて、思い出した。
あの魔石に映ったユシリス様の気が狂ったような話。
聞いていられない辛い過去。
まだ語られなかった話は、今聞いた話に繋がっているのだろう。
あの糞気持ち悪い男!
処刑されて死ぬのが25年以上ずっと先なんて許せない!
この男の所為でどれだけの人間が犠牲にならないといけないのか考えただけでムカつく!
そしたら頑張るから!」
「分かったわ」
ユシリス様と約束して手を離した。
またユシリス様はベッドの上で、体の痛みと痛んだ心でとても辛そうにしている。
「ユシリス様、そばに居ます。ゆっくり今は寝てください」
わたしはユシリス様のそばにある椅子に座り見守っていた。
「お姉ちゃん、わたし頑張るね」
安心したのか今日は少しいつもよりぐっすりと寝たようだ。
しばらくしてお二人がユシリス様の様子を見にきた。
「少し落ち着いたのかしら?いつもより気持ち良さそうに寝ている気がするわ」
「まだこんな小さいのに……見えないところは傷だらけだった。もし逃げ出せずにいれば死んでいたかもしれない………それに……」
お祖父様はお祖母様を寝室から出るように促した。
二人は居間のソファに座った。
「先程マリアンヌ様の使いの者から手紙が届いた……」
お祖父様はテーブルに肘を付き両手を握りしめて俯いた額において、どう妻に伝えようか悩んでいるみたいだった。
「あの男はとんでもない奴だった」
わたしはそんなこと今更知ったの?
この二人はあの糞気持ち悪い公爵のことを何にも知らなかったと思うとなんだか腹が立った。
「セリーヌを溺愛していたのは事実だ。だがユシリスを産んで体調を崩してからは、他の女に溺れていたみたいだ。
それでもセリーヌには愛情があり大切にしてくれてはいたみたいだ。ただ、ユシリスのことは使用人任せでほとんど愛情はなかったみたいだ。
セリーヌはユシリスを可愛がっていたからユシリスも辛い思いはしなかったらしい。
でもセリーヌが亡くなった瞬間、あの男は死んだのはユシリスが生まれたせいだと、怒り出して部屋に閉じ込めたらしい。
毎日ユシリスの泣き叫ぶ声と悲鳴、そして謝罪の言葉が聞こえてきていたらしい。
使用人達はあまりにも可哀想でなんとか止めようとしたが、あの男はそんな使用人達を鞭で打ち、恐怖で逆らわないようにしてしまった」
「そんな酷い……セリーヌが亡くなったことはとても悲しいことよ。でもユシリスが悪いのではないわ。ユシリスはわたし達が今度はセリーヌが亡くなったのは貴女の所為だと言って、責められると怖がっているのかしら?」
「そうかも知れないな、母親を亡くし寂しく辛いのに、そこに父親から殺したかのように責められて暴力を振るわれたんだ。
誰も信じられなくなると思う」
「なんとかあの子を救ってあげたいわ、マリアンヌ様にご迷惑をおかけするけど、彼女ならユシリスを救い出してくれると信じるわ」
「わたし達の力では帝国の者とはいえ、ニューベル公爵には逆らうことは難しい。
マリアンヌ様なら力添えしてくださるだろう……そしてあの男の罪を今洗いざらい探し出してくれている………あの男は屑だ。
………あれは幼子に性的暴力を犯しているらしいんだ……貧乏でお金に困った平民から子どもを買取り、別邸に住まわせて色々とやっているらしい……
自らも子どもに手を出しているが、客をとらせたりしているらしいんだ……
ユシリスは我が子とはいえ、その別邸に連れて行って客を取らせるつもりだったらしい」
「そんな……我が子を売春させようと言うのですか?」
「別邸の者達にもうすぐ娘もここで働かせる、その前にみんなで一度楽しんでしまおうと言っていたらしい」
わたしはその話を聞いて、思い出した。
あの魔石に映ったユシリス様の気が狂ったような話。
聞いていられない辛い過去。
まだ語られなかった話は、今聞いた話に繋がっているのだろう。
あの糞気持ち悪い男!
処刑されて死ぬのが25年以上ずっと先なんて許せない!
この男の所為でどれだけの人間が犠牲にならないといけないのか考えただけでムカつく!
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