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5話
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ロウトが連れて行ってくれた医務室で、わたしを診てくれたのは、新人の先生だった。
(よかった、お母様の知り合いではないみたい)
「なんて酷い怪我なんだ。女の子なのに……」
と心配してくれた。
「どうしてこんな酷い怪我をしたんだい?」
わたしは面倒になるので
「歩いていて転んでテーブルの角に頭をぶつけました」と答えた。
「うーんこれはしばらく入院した方がいいと思う。王立病院へ連絡するから待っていなさい」
「え?大丈夫です、血だけ止めてくれたらいいので!」
「頭はね、打ちどころが悪ければ死んでしまうこともあるんだ、突然頭が痛くなったりした時に対処できるように一週間ほど入院しなさい」
わたしはそのままロウトに王立病院へ連れて行かれてしまった。
お母様に会わずにすみますように……とここらの中でお願いしながら。
病院にはさっき診てくれた先生も引き継ぎのためについてきてくれた。
「女の子なので傷が残らないように癒しを使える先生か回復魔法を使える先生がいいと思います」
「わかりました、ではレオンバルド先生にお願いしてみますね」
引き継ぎの先生から話を聞いて看護師さんがお母様を呼びに行った。
「あ……」
わたしは止めようとしたが、体調がよくなくて声を出すことが出来なかった。
「アイシャ様、諦めてリサ様に治療してもらいましょう」
ロウトはわたしを診察台にそっと寝かせてくれた。
「うん?レオンバルド先生をご存知なのですか?」
診療所の先生が聞いてきた。
「アイシャ様のお母上です」
診療所の先生はわたしをまじまじと見て、
「全く似ていない親子っているんですね」
と、わたしが今一番聞きたくない言葉を言われてしまった。
(大丈夫、大丈夫、いつも言われている言葉。こんなことで泣いてはだめ)
わたしは壁の方に横を向いた。
目から流れる涙を誰にも見せたくなかった。
「怪我をした患者さんはここかしら?」
お母様の声が聞こえた。
「……あら?ロウトじゃない?」
お母様はロウトに気づき、急いでわたしのいる診察台に来て覗き込んだ。
「ア、アイシャ……どうしたの?その怪我は……」
わたしは何も答えなかった。
理由を言えばわたしが王子に意地悪されていることまでお母様に知られてしまう。
わたしは必死で黙っていた。
「ふう、それよりも先に怪我を治しましょう」
そう言うと、わたしの頭に触れるか触れないギリギリのところに両手をかざした。
なんと言っていいのかわからない、ほわっとして温かくてなんとも気持ちがいい。
「アイシャ、一度に怪我を治すとアイシャの体に負担がかかってしまうの、また明日かけにくるから大人しく寝ていなさいね」
わたしは「コクッ」と頷くとそのまま意識を手放した。
「アイシャを寝かせたわ、ロウト、この怪我はいったいどう言うことか説明して」
「アイシャ様はリサ様に知られたくないみたいです。アイシャ様の護衛騎士であるわたしがアイシャ様を裏切ることは出来ません、どうぞお許しください」
「あなたも融通が聞かないわね……先程の医師は確か…王立図書館の診療所の先生ね、もういいわロウト、メリッサを呼んできて。そしてあなたは屋敷に戻っていなさい
「かしこまりました、あとでアイシャ様の荷物をお持ちいたします」
ロウトは怪我の理由を話さず帰って行った。
わたしは頭がズキズキ痛くて目が覚めた。
外は真っ暗になっていた。
部屋には小さな灯りが灯されていた。
「アイシャ様!起きられましたか?」
メリッサがわたしを見てホッとして、
「痛かったでしょう?ロウトに聞きました。
よく我慢なさいました。でも理由は奥様にお伝えしてもいいと思います」
「王子にやられたことは言ってもいいの。でも理由は言いたくないの」
「どうして殿下はいつもアイシャ様に意地悪をするのでしょう……ターナ様もそれを見て一緒になってされています……」
「どう言うこと?」
そこにはお母様が両手を腰に当て、もの凄い怖い顔で立っていた。
「お、奥様……」
「お母様……」
(あ、怒られる)
わたしは思わず下を向いて毛布をギュッと掴んで震えていた。
「アイシャ、ずっとおかしいと思っていたの、最近のアイシャは無理して明るく振る舞っていたから。でもわたし達に気付かれたくないと思っているのもわかっていたからお父様と二人で見守っていたの……まさか殿下とターナがあなたを虐めていたなんて……」
わたしは下を向いて涙がポロポロ落ちてきて、鼻水も出て、頭もなんだか痛くて、どうしていいかわからなくなっていた。
(よかった、お母様の知り合いではないみたい)
「なんて酷い怪我なんだ。女の子なのに……」
と心配してくれた。
「どうしてこんな酷い怪我をしたんだい?」
わたしは面倒になるので
「歩いていて転んでテーブルの角に頭をぶつけました」と答えた。
「うーんこれはしばらく入院した方がいいと思う。王立病院へ連絡するから待っていなさい」
「え?大丈夫です、血だけ止めてくれたらいいので!」
「頭はね、打ちどころが悪ければ死んでしまうこともあるんだ、突然頭が痛くなったりした時に対処できるように一週間ほど入院しなさい」
わたしはそのままロウトに王立病院へ連れて行かれてしまった。
お母様に会わずにすみますように……とここらの中でお願いしながら。
病院にはさっき診てくれた先生も引き継ぎのためについてきてくれた。
「女の子なので傷が残らないように癒しを使える先生か回復魔法を使える先生がいいと思います」
「わかりました、ではレオンバルド先生にお願いしてみますね」
引き継ぎの先生から話を聞いて看護師さんがお母様を呼びに行った。
「あ……」
わたしは止めようとしたが、体調がよくなくて声を出すことが出来なかった。
「アイシャ様、諦めてリサ様に治療してもらいましょう」
ロウトはわたしを診察台にそっと寝かせてくれた。
「うん?レオンバルド先生をご存知なのですか?」
診療所の先生が聞いてきた。
「アイシャ様のお母上です」
診療所の先生はわたしをまじまじと見て、
「全く似ていない親子っているんですね」
と、わたしが今一番聞きたくない言葉を言われてしまった。
(大丈夫、大丈夫、いつも言われている言葉。こんなことで泣いてはだめ)
わたしは壁の方に横を向いた。
目から流れる涙を誰にも見せたくなかった。
「怪我をした患者さんはここかしら?」
お母様の声が聞こえた。
「……あら?ロウトじゃない?」
お母様はロウトに気づき、急いでわたしのいる診察台に来て覗き込んだ。
「ア、アイシャ……どうしたの?その怪我は……」
わたしは何も答えなかった。
理由を言えばわたしが王子に意地悪されていることまでお母様に知られてしまう。
わたしは必死で黙っていた。
「ふう、それよりも先に怪我を治しましょう」
そう言うと、わたしの頭に触れるか触れないギリギリのところに両手をかざした。
なんと言っていいのかわからない、ほわっとして温かくてなんとも気持ちがいい。
「アイシャ、一度に怪我を治すとアイシャの体に負担がかかってしまうの、また明日かけにくるから大人しく寝ていなさいね」
わたしは「コクッ」と頷くとそのまま意識を手放した。
「アイシャを寝かせたわ、ロウト、この怪我はいったいどう言うことか説明して」
「アイシャ様はリサ様に知られたくないみたいです。アイシャ様の護衛騎士であるわたしがアイシャ様を裏切ることは出来ません、どうぞお許しください」
「あなたも融通が聞かないわね……先程の医師は確か…王立図書館の診療所の先生ね、もういいわロウト、メリッサを呼んできて。そしてあなたは屋敷に戻っていなさい
「かしこまりました、あとでアイシャ様の荷物をお持ちいたします」
ロウトは怪我の理由を話さず帰って行った。
わたしは頭がズキズキ痛くて目が覚めた。
外は真っ暗になっていた。
部屋には小さな灯りが灯されていた。
「アイシャ様!起きられましたか?」
メリッサがわたしを見てホッとして、
「痛かったでしょう?ロウトに聞きました。
よく我慢なさいました。でも理由は奥様にお伝えしてもいいと思います」
「王子にやられたことは言ってもいいの。でも理由は言いたくないの」
「どうして殿下はいつもアイシャ様に意地悪をするのでしょう……ターナ様もそれを見て一緒になってされています……」
「どう言うこと?」
そこにはお母様が両手を腰に当て、もの凄い怖い顔で立っていた。
「お、奥様……」
「お母様……」
(あ、怒られる)
わたしは思わず下を向いて毛布をギュッと掴んで震えていた。
「アイシャ、ずっとおかしいと思っていたの、最近のアイシャは無理して明るく振る舞っていたから。でもわたし達に気付かれたくないと思っているのもわかっていたからお父様と二人で見守っていたの……まさか殿下とターナがあなたを虐めていたなんて……」
わたしは下を向いて涙がポロポロ落ちてきて、鼻水も出て、頭もなんだか痛くて、どうしていいかわからなくなっていた。
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