【完結】あなたとの離縁を目指します

たろ

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離縁してください

【18】


 ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ソニア殿下✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎


「ねぇ誰か………」

 何回助けを呼んだかしら?

 こんなところに連れてこられて!

 もう絶対あの騎士達が可愛いわたしに嫌がらせをしたのよ。

 不敬でみんな捕まえて牢に入れてやるから!

 わたしをこんなところに入れて、どうするつもりなの?

 でも……怒っているとお腹が空いたわ……
 それに……喉も乾いたし、こんなカビ臭いところずっといたくないわ。

 窓ははめ殺しになっていて開かない。

 もう、もう、なんなの!

 お父様が用意してくれた素敵な部屋に早く行きたい!アレックがそばにいてくれたらこんなことにはならなかったのに。

「……アレック」
 一人っきりの汚い部屋は寂しくて心細い。

 何時間だったのだろう。

 声を出すのも疲れて簡素なベッドに横たわっていた。

 眠い訳ではないけど、目をつぶってうとうとしていたら、扉が開く音が聞こえた。

 小さな電球が灯された暗い部屋。扉の方へ目線を向けると侍女が恐る恐る入ってきた。

「何今頃やってきたの!!!!」

 わたしは怒りと腹立たしさと空腹から八つ当たりのように怒鳴った。

「申し訳ありません……陛下からの命令でこの部屋には誰も近づくなと言われておりました」

「お父様がそんなこと言うはずないわ!お父様はわたしのために新しい部屋を用意してくださったのよ?わたしがもうすぐ愛する人と結婚するまで過ごせるようにと!」

 ーー何が命令よ!そんなこと言う訳ないじゃないの!

「陛下からの伝言です。
 『食事は一日一回のみ、これまでの自分を省みなさい』とのことです」

「食事が一回?馬鹿なことは言わないで!わたしもうここから出て自分の部屋に戻るわ!
 退きなさい!」

 イライラする。思わず侍女を振り払った。侍女はわたしの手が当たってよろけて転んだ。

 それをチラリと横目で見た。

 なんだか間抜けな転び方をしていたから思わず踏んづけたら「ぎゃっ!」って言うと痛さで呻いていた。

 イライラが少しだけスカッとして、次は足でお腹を目掛けて蹴り上げた。

「あ゛……ぁっ」

 ーー間抜けな声ね?
 クスクス笑いが出た。

 すると扉から……お兄様が……

「ソニア!」

「あら?お兄様?」

「お前は反省というものがないのか?」

「反省?わたしが何を反省するというのですか?」

「父上はお前を叱ってこの部屋に入れたんだろう?」

「お父様がわたしを叱る?そんなことする訳ないじゃないですか?わたしを愛しているお父様が……わたしが結婚するまで新しい部屋でゆっくり過ごすようにと言ってくださったのにこんな汚い部屋に連れてこられたんです!それに食事は一日一回なんて馬鹿なことを言う侍女がここにいるのよ?本当に酷いわ!だから罰を与えていたんですわ」

「はあ~、父上ははっきりと言わなかったのか。あの人は面倒なことを嫌うからな」
 ーーお兄様ってなんだか嫌な言い方をするわ。何が言いたいのかしら?

「面倒とは?何をおっしゃっているのですか?」

「お前はもうすぐ結婚するだろう?」

「ええ、そうね。幸せになるつもりですわ」

「そうか……その心構えがあるんだな」

 ーー心構え?って??

「もちろんよ、やっと結婚できるのだもの」
 ーーアレックとやっともうぐが結ばれるの!

「お前がそんなに前向きに考えてるなら応援しよう」

「あら?嬉しいわ、お兄様はあまりわたしに優しくしてくださらないから賛成していないのかと思ったわ」

「賛成か……それは複雑だった……再婚になってしまうしな」
 お兄様がニヤッと笑った。ほんと、何?この嫌な感じ!

「再婚なんて気にしないわ。だって愛があれば関係ないもの」

「わかった、じゃあ俺は行く」
 そう言うと扉の近くにいたお兄様は部屋を出て扉を閉めようとした。

「えっ?何言ってるのかしら?早くわたしを別の部屋に連れて行ってよ」

「お前は結婚するまでこの部屋にいなければならない」
 振り返り冷たく言った。

「い、嫌よ!どうして?」

「どうしてなのか考えろ!」

 お兄様が扉を閉めた。さっきの侍女は話している間にいなくなっていた。

 わたしを世話する人はいない。

 ベッドしかない部屋、あとはトイレだけ。入浴はどうすればいいのかしら?着替えは?
 わたしの髪は誰が綺麗にしてくれるの?

 それに、目の前にある食事はパンとスープ、あとは水差しに入ったお水。

 一日一回、これだけ?

 あり得ないわ。お父様がそんなことをするなんて絶対!
 わたしのことを愛しているのよ!それに反省って何?
 もうすぐ幸せになるのに、何も反省することなんてないわ。
 お兄様があんな意地悪だったなんて……

 お父様に全て言いつけてやるわ。




 だけど………


 わたしは本当にここから出してもらえないなんて思ってもみなかった。




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