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嫌です。別れません
15話
「ああ、もう!最低!わたしの時間を返して欲しいわ!待ってろなんて言ったくせに!」
道を歩きながら一人叫んだ。
道ゆく人がわたしをチラチラと見ている。
それはそうだよね、涙と鼻水がどんどん溢れて、誰が見てもみっともないもの。でも止まらない。
だって待ってたんだよ?死んだと聞いても信じなかったし、ずっと探してた。
なのに、どうして?
リオがいるのに、子供を作って……わたし達を捨てた。
リオにどう伝えたらいいんだろう?
ううん、何も伝えずこのまま去ろう。
わたしは魔女さんのところから出ることを決めた。もちろんダンの家も。
薬師としてまた知らない土地で暮らしていこう。
グズッ……ズルズルッ。
目を擦り、鼻水を啜りながら歩いた。
村に着いた頃には涙も枯れ果て目は真っ赤になって瞼は腫れて、鼻は鼻水のせいで真っ赤になっていたけど、とりあえず気持ちは前向きになった……気がする。
「ただいまぁ」
家に帰ると魔女さんが待っていてくれた。リオは学校から帰ってきて夕食を食べて勉強をして疲れて眠ってしまった。
「お帰り。あんたのその泣き腫らした顔、会ったのか?ダンに?」
「………ダンには家族がいました」
思い出すとまた涙が……
「ふうん、そうかい?あのバカ男、そんなことになってるのかい?ほんと、バカはずっとバカでしかないんだね」
まるでダンのことを知っているかのように話す魔女さん。
「魔女さん?」
「うん?」
「魔女さんはダンのこと知らないはずですよね?だってダンのこと詮索する気はないから調べなかったって言ってましたよね?」
「あ、ああ、そう言ったね」
なんだかいつもの魔女さんらしくない。誤魔化そうとしてる?
でも、もう、どうでもいいかな。
「魔女さん、わたし、とてもお世話になっているのに…こんな事言ってごめんなさい。でも……リオとこの国を出ようかと思っています」
「へぇ、やっとあの男を見限る気持ちになったのかい?遅かったねぇ」
「やっぱり遅かったですかね?浮気されても帰ってこなくても、ずっと待ってたんだけど、子供と奥さんがいたなんて……思わず両頬を叩いて『クソ男!』って怒鳴って帰ってきました」
「クククククっ……あの男、顔を引き攣らせていただろうね。あたしも見たかったよ」
「どうでしょう?わたし……ダンと離縁することになってもリオだけは渡したくないんです。だってリオはわたしが大切に育てた息子なんです。ただ、リオがせっかく友達もできて楽しそうに学校へ行き出したのに、わたしの都合で引っ越しすることになることがとても気が重いんですよね」
「子供は新しい環境にすぐ慣れるさ。それにあんたがリオを手放さないと言ってくれることがリオにとっては一番幸せなことだよ。あたしももちろんついて行くよ」
「魔女さんが?でも……この国でのお仕事がありますよね?」
「マナ、あんたあたしを置いて行くつもりだったのかい?」
「……ついて来て欲しいなんて、わたしのわがままでしかないから……」
この数年、魔女さんとリオとの三人生活が続いている。
嫌だなんて思っていない。本当は二人でこの国を出るのはとても心細いし寂しい。
「魔女さん、この国との契約は?」
「別に、あたしは縛られてるわけじゃない。あんた達がいない生活なんて面白くもないからね」
「魔女さん!嬉しい」
離縁証は平民用しかわたしには用意できない。貴族用になると王宮の総務課に貰いに行き提出しなければいけないらしい。
「どうしたらいいの」
途方に暮れていたわたしに、「そんな紙切れも用意できないのかい?」と言って魔女さんが「待ってな」とニヤッとわらった。
離縁証は魔女さんにお願いして一人黙々とこの家の荷物整理を始めた。
ほとんどのものは売るか捨てるかしかない。女子供三人での移動にたくさんの荷物は不要になる。必要な着替えだけ鞄に詰めて旅立つ予定だ。
リオには詳しい説明はできなかった。
言えないよね。ダンの色々は。
『とうちゃんと離縁するつもり。リオがむこうと暮らしたいのならかあちゃんが話をしに行ってくる』
『え?、離縁?かあちゃんがそれで幸せになるならいいと思う』
リオはキッパリと言い切った。
『いいの?会いたくないの?』
『うーん、僕、かあちゃんの方が大切なんだ』
リオはわたしについて来てくれると言ってくれた。学校はまた新しい土地で通いたい、勉強はどこでもできるからと言ってくれた。
あのダンとの再会から1週間後にわたし達はこの国を出るため旅立つことにした。
「魔女さん、この離縁証なんだけどサインは書いたの。でもダンに渡しに行くの何だか嫌だな。また幸せそうな姿を見るのは辛いもの」
明後日には旅立つ。
その前にダンとの離縁。叩き渡してこの国を出ようと意気込んでいたけど、会うのはやっぱり嫌だし悩んでいた。
「マナはまだ悩んでいたのかい?」
「ええ、ダンにはもう会いたくないの」
「離縁証かい?この国を出る時にダンの住んでいるところに届くように手紙に入れて出せばいいよ。ダンに届いた頃にはもうあたし達はこの国には居ないんだ。あとはしったことではない」
道を歩きながら一人叫んだ。
道ゆく人がわたしをチラチラと見ている。
それはそうだよね、涙と鼻水がどんどん溢れて、誰が見てもみっともないもの。でも止まらない。
だって待ってたんだよ?死んだと聞いても信じなかったし、ずっと探してた。
なのに、どうして?
リオがいるのに、子供を作って……わたし達を捨てた。
リオにどう伝えたらいいんだろう?
ううん、何も伝えずこのまま去ろう。
わたしは魔女さんのところから出ることを決めた。もちろんダンの家も。
薬師としてまた知らない土地で暮らしていこう。
グズッ……ズルズルッ。
目を擦り、鼻水を啜りながら歩いた。
村に着いた頃には涙も枯れ果て目は真っ赤になって瞼は腫れて、鼻は鼻水のせいで真っ赤になっていたけど、とりあえず気持ちは前向きになった……気がする。
「ただいまぁ」
家に帰ると魔女さんが待っていてくれた。リオは学校から帰ってきて夕食を食べて勉強をして疲れて眠ってしまった。
「お帰り。あんたのその泣き腫らした顔、会ったのか?ダンに?」
「………ダンには家族がいました」
思い出すとまた涙が……
「ふうん、そうかい?あのバカ男、そんなことになってるのかい?ほんと、バカはずっとバカでしかないんだね」
まるでダンのことを知っているかのように話す魔女さん。
「魔女さん?」
「うん?」
「魔女さんはダンのこと知らないはずですよね?だってダンのこと詮索する気はないから調べなかったって言ってましたよね?」
「あ、ああ、そう言ったね」
なんだかいつもの魔女さんらしくない。誤魔化そうとしてる?
でも、もう、どうでもいいかな。
「魔女さん、わたし、とてもお世話になっているのに…こんな事言ってごめんなさい。でも……リオとこの国を出ようかと思っています」
「へぇ、やっとあの男を見限る気持ちになったのかい?遅かったねぇ」
「やっぱり遅かったですかね?浮気されても帰ってこなくても、ずっと待ってたんだけど、子供と奥さんがいたなんて……思わず両頬を叩いて『クソ男!』って怒鳴って帰ってきました」
「クククククっ……あの男、顔を引き攣らせていただろうね。あたしも見たかったよ」
「どうでしょう?わたし……ダンと離縁することになってもリオだけは渡したくないんです。だってリオはわたしが大切に育てた息子なんです。ただ、リオがせっかく友達もできて楽しそうに学校へ行き出したのに、わたしの都合で引っ越しすることになることがとても気が重いんですよね」
「子供は新しい環境にすぐ慣れるさ。それにあんたがリオを手放さないと言ってくれることがリオにとっては一番幸せなことだよ。あたしももちろんついて行くよ」
「魔女さんが?でも……この国でのお仕事がありますよね?」
「マナ、あんたあたしを置いて行くつもりだったのかい?」
「……ついて来て欲しいなんて、わたしのわがままでしかないから……」
この数年、魔女さんとリオとの三人生活が続いている。
嫌だなんて思っていない。本当は二人でこの国を出るのはとても心細いし寂しい。
「魔女さん、この国との契約は?」
「別に、あたしは縛られてるわけじゃない。あんた達がいない生活なんて面白くもないからね」
「魔女さん!嬉しい」
離縁証は平民用しかわたしには用意できない。貴族用になると王宮の総務課に貰いに行き提出しなければいけないらしい。
「どうしたらいいの」
途方に暮れていたわたしに、「そんな紙切れも用意できないのかい?」と言って魔女さんが「待ってな」とニヤッとわらった。
離縁証は魔女さんにお願いして一人黙々とこの家の荷物整理を始めた。
ほとんどのものは売るか捨てるかしかない。女子供三人での移動にたくさんの荷物は不要になる。必要な着替えだけ鞄に詰めて旅立つ予定だ。
リオには詳しい説明はできなかった。
言えないよね。ダンの色々は。
『とうちゃんと離縁するつもり。リオがむこうと暮らしたいのならかあちゃんが話をしに行ってくる』
『え?、離縁?かあちゃんがそれで幸せになるならいいと思う』
リオはキッパリと言い切った。
『いいの?会いたくないの?』
『うーん、僕、かあちゃんの方が大切なんだ』
リオはわたしについて来てくれると言ってくれた。学校はまた新しい土地で通いたい、勉強はどこでもできるからと言ってくれた。
あのダンとの再会から1週間後にわたし達はこの国を出るため旅立つことにした。
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