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嫌です。別れません
17話 マナとリオ編
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「……かあちゃん」
リオの泣きながらわたしを呼ぶ声が聞こえる。
微睡のなか、リオが悲しそうにわたしを呼ぶ声が。最近は熟睡することはない。
体がキツいのにあまり眠れない。いや、体調が悪すぎて眠ることもできないでいた。それでも、不思議とリオがそばに居てくれるだけで、うとうとと眠りにつける。
リオはわたしが起きている間はいつも元気に楽しそうに笑って過ごしていた。
わたしが眠っている間に泣いているなんて気が付かなかった。
ごめんね。心配かけて。
でもね、わたしはリオが元気で居てくれたら、それだけで満足なの。
どれくらい眠っていたのだろう。
目が覚めるとそこはわたしが暮らしていた家ではなかった。
いつの間にここに運ばれたのかしら?
見知らぬ部屋は、わたしが暮らしいていた部屋よりもずっと綺麗で広い。
眠っているベッドだって一人で寝るのにちょうどいい広さだったはずが、大の大人が二人ゆっくり眠れる広いベッドになっていた。
かけられた布団だってとても肌触りが良くて暖かい。
家具も綺麗な細工を施された丁寧に作られたことがわかるものばかり。
ここは……貴族かお金持ちの家?
わたしは死にかけていたはず。なのにどうして?
体もだるくない。
ベッドから起き上がり、降りて立とうとした。
ガタッ。
足に力が入らない。転んで今度は起き上がれない。
「……あっ…」
この体は体調はいいのに、自分の体なのに自分の体じゃないみたいに思うように動かない。
「……ううっ」
なんとか立ちあがろう。必死で足を動かす。
でも体に力が入らない。
誰か助けて!
声が出ない。喋り方を忘れてしまったかのように話せない。
「………あっ」
リオ?
魔女さん?
誰もいないの?お願い、ここはどこ?二人はどこへ行ったの?誰か、教えて!
わたしは必死で動こうとしたけど動けずに疲れてしまい、またそのまま意識を失った。
✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎
「リオ、あんたの母ちゃんはこのままでは死んでしまう」
魔女さんが僕にそう言った。
母ちゃんが具合が悪くなり寝込むことが増えた。僕の前ではいつもキツくても笑っているかあちゃん。
かあちゃんが僕の本当の母親でないことは知っていた。だってかあちゃんと僕は似ていない。
全くどこも。
とうちゃんは家に帰ってこない。
父ちゃんのことを聞こうとすると悲しそうに「待っていてあげようね」とぼくの頭を撫でてぎゅっと抱きしめる。
いつも時間が余るとかあちゃんは玄関の扉の方へと目を向ける。
帰ってくるはずがない、ここにくるはずがないのに。もう諦めればいいのにと僕は思っていた。
だけどかあちゃんは、とうちゃんが大好きだと言った。
自分を助け出してくれた優しい人なんだと。
『ずっと大好きで愛しているの。必ず迎えにきてくれるからここで待っていようね』
魔女さんは「はんっ!」と鼻で笑う。
『あの男はもう帰ってきやしないさ、あんたに誰の子かわからないリオを押し付けて!』
夜、目が覚めておしっこに行こうと部屋を出て廊下を歩いているとかあちゃんと魔女さんが薬草の調合の仕事をしながら話しているのが聞こえてきた。
『ダンはリオのこともいつか説明してくれると思うの。もう、わたしにとってリオは大切な息子よ。血は繋がっていなくてもリオは息子だし、一緒に暮らしていなくてもダンは夫なの。わたしの大切な家族なの』
『浮気男だろう?あんたの旦那は?またどっかの女のところに転がり込んでいるんじゃないのかい?』
『………わからない…ダンはわたしのことを愛してくれているけどそれは…恋愛の愛情じゃないと思う。でも、それでも、ダンが好きなの。リオのことも可愛くて仕方ないの。わたしが守ってあげたい、大切な息子なの』
『はああ、あんたはバカだね。そんなバカを気に入ってここに置いてやっているんだ。頑張って働いてリオを立派に育てるしかないね』
『ええ、リオも7歳になっていろんなことがわかるようになってきたわ。わたし、リオのためにまたあの村に戻ろうと思ってるの』
『学校かい?』
『リオは賢い子だから少しでも勉強をさせてあげたいの』
『迷いの森のここならリオとあんたの姿を隠せるけど村へ行けば危険も伴うことになる。いいのかい?』
『ずっとここで守られ続けながら暮らすことはリオにとってよくないと思うの。わたしはこの場所が好きだけどリオにはまだまだ可能性がたくさんあるもの。それを潰してしまいたくはないの』
『………仕方ないね。あたしもあんたたちについて行くしかないね』
『魔女さんもきてくれるの?』
『リオはあたしにとっても大切な家族だからね』
口を塞ぎながら僕は二人のやり取りを聞いていた。思わず声が出そうになった。飛び出して二人に、「なんで?どうして?僕は一体誰の子?」と聞きたくなった。
でも話を聞いていると僕が誰の子かわからないみたいだ。かあちゃんは僕のことをとても愛してくれている。
……だから、僕は何も知らずに今のままかあちゃんの息子としていよう。
ずっとずっと僕のことを守ってくれていたかあちゃん。
そんなかあちゃんが倒れた。
旅をして新しい国に辿り着いてやった新しい生活を始めたのに。
そして魔女さんにかあちゃんが死ぬといわれた。
なんとなく理解はしていた。
食欲もなく青白い顔をしている母ちゃん。痩せ細りベッドから起き上がることもできない。
なのに無理して微笑みかけてくるかあちゃん。
僕に今できること。それは笑っていること。
それしかできない。
リオの泣きながらわたしを呼ぶ声が聞こえる。
微睡のなか、リオが悲しそうにわたしを呼ぶ声が。最近は熟睡することはない。
体がキツいのにあまり眠れない。いや、体調が悪すぎて眠ることもできないでいた。それでも、不思議とリオがそばに居てくれるだけで、うとうとと眠りにつける。
リオはわたしが起きている間はいつも元気に楽しそうに笑って過ごしていた。
わたしが眠っている間に泣いているなんて気が付かなかった。
ごめんね。心配かけて。
でもね、わたしはリオが元気で居てくれたら、それだけで満足なの。
どれくらい眠っていたのだろう。
目が覚めるとそこはわたしが暮らしていた家ではなかった。
いつの間にここに運ばれたのかしら?
見知らぬ部屋は、わたしが暮らしいていた部屋よりもずっと綺麗で広い。
眠っているベッドだって一人で寝るのにちょうどいい広さだったはずが、大の大人が二人ゆっくり眠れる広いベッドになっていた。
かけられた布団だってとても肌触りが良くて暖かい。
家具も綺麗な細工を施された丁寧に作られたことがわかるものばかり。
ここは……貴族かお金持ちの家?
わたしは死にかけていたはず。なのにどうして?
体もだるくない。
ベッドから起き上がり、降りて立とうとした。
ガタッ。
足に力が入らない。転んで今度は起き上がれない。
「……あっ…」
この体は体調はいいのに、自分の体なのに自分の体じゃないみたいに思うように動かない。
「……ううっ」
なんとか立ちあがろう。必死で足を動かす。
でも体に力が入らない。
誰か助けて!
声が出ない。喋り方を忘れてしまったかのように話せない。
「………あっ」
リオ?
魔女さん?
誰もいないの?お願い、ここはどこ?二人はどこへ行ったの?誰か、教えて!
わたしは必死で動こうとしたけど動けずに疲れてしまい、またそのまま意識を失った。
✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎
「リオ、あんたの母ちゃんはこのままでは死んでしまう」
魔女さんが僕にそう言った。
母ちゃんが具合が悪くなり寝込むことが増えた。僕の前ではいつもキツくても笑っているかあちゃん。
かあちゃんが僕の本当の母親でないことは知っていた。だってかあちゃんと僕は似ていない。
全くどこも。
とうちゃんは家に帰ってこない。
父ちゃんのことを聞こうとすると悲しそうに「待っていてあげようね」とぼくの頭を撫でてぎゅっと抱きしめる。
いつも時間が余るとかあちゃんは玄関の扉の方へと目を向ける。
帰ってくるはずがない、ここにくるはずがないのに。もう諦めればいいのにと僕は思っていた。
だけどかあちゃんは、とうちゃんが大好きだと言った。
自分を助け出してくれた優しい人なんだと。
『ずっと大好きで愛しているの。必ず迎えにきてくれるからここで待っていようね』
魔女さんは「はんっ!」と鼻で笑う。
『あの男はもう帰ってきやしないさ、あんたに誰の子かわからないリオを押し付けて!』
夜、目が覚めておしっこに行こうと部屋を出て廊下を歩いているとかあちゃんと魔女さんが薬草の調合の仕事をしながら話しているのが聞こえてきた。
『ダンはリオのこともいつか説明してくれると思うの。もう、わたしにとってリオは大切な息子よ。血は繋がっていなくてもリオは息子だし、一緒に暮らしていなくてもダンは夫なの。わたしの大切な家族なの』
『浮気男だろう?あんたの旦那は?またどっかの女のところに転がり込んでいるんじゃないのかい?』
『………わからない…ダンはわたしのことを愛してくれているけどそれは…恋愛の愛情じゃないと思う。でも、それでも、ダンが好きなの。リオのことも可愛くて仕方ないの。わたしが守ってあげたい、大切な息子なの』
『はああ、あんたはバカだね。そんなバカを気に入ってここに置いてやっているんだ。頑張って働いてリオを立派に育てるしかないね』
『ええ、リオも7歳になっていろんなことがわかるようになってきたわ。わたし、リオのためにまたあの村に戻ろうと思ってるの』
『学校かい?』
『リオは賢い子だから少しでも勉強をさせてあげたいの』
『迷いの森のここならリオとあんたの姿を隠せるけど村へ行けば危険も伴うことになる。いいのかい?』
『ずっとここで守られ続けながら暮らすことはリオにとってよくないと思うの。わたしはこの場所が好きだけどリオにはまだまだ可能性がたくさんあるもの。それを潰してしまいたくはないの』
『………仕方ないね。あたしもあんたたちについて行くしかないね』
『魔女さんもきてくれるの?』
『リオはあたしにとっても大切な家族だからね』
口を塞ぎながら僕は二人のやり取りを聞いていた。思わず声が出そうになった。飛び出して二人に、「なんで?どうして?僕は一体誰の子?」と聞きたくなった。
でも話を聞いていると僕が誰の子かわからないみたいだ。かあちゃんは僕のことをとても愛してくれている。
……だから、僕は何も知らずに今のままかあちゃんの息子としていよう。
ずっとずっと僕のことを守ってくれていたかあちゃん。
そんなかあちゃんが倒れた。
旅をして新しい国に辿り着いてやった新しい生活を始めたのに。
そして魔女さんにかあちゃんが死ぬといわれた。
なんとなく理解はしていた。
食欲もなく青白い顔をしている母ちゃん。痩せ細りベッドから起き上がることもできない。
なのに無理して微笑みかけてくるかあちゃん。
僕に今できること。それは笑っていること。
それしかできない。
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