【完結】あなたとの離縁を目指します

たろ

文字の大きさ
112 / 156
嫌です。別れません

19話  リオ編

しおりを挟む
 城の中をグルグル歩いて回ってなんとか王様がいる部屋に辿り着いた。外にはたくさんの騎士たちが厳重に守っていた。なのに誰にも気づかれずに簡単に入れた。

 中に入ると騎士がまた数人立っていた。

 僕はどうしようか悩んだけど、指輪をそっと撫でた。

「こんにちは」

 大きな声で王様に声をかけた。

 騎士たちがすぐに反応して僕に剣を向けた。

 うわぁ、首のところスレスレだ。ちょっと動くだけで刺されちゃう。

「僕に触れないで。僕に触れると魔女さんの呪いで触れたところから腐っていくらしいんだ」

 ニコッと笑うと、指輪を王様に向けた。

「この指輪は、僕の母親?の形見らしいんだ。魔女さんに王様にこれを見せれば僕のことわかると言われました」

 王様はなぜか僕のことを見つめて固まったままだった。

「生きていたのか……」

 小さな声で呟いた。

「剣をおろせ、この子はわたしの息子だ」

「しかしっ」「突然現れたのですよ?」
「魔法で惑わせているのでは?」

 騎士たちが王様の言葉に戸惑いをみせている。

「リスティナ………によく似ているじゃないか……」

「リスティナ?それが僕を産んだ人ですか?」

「ああ、わたしの最愛で今もずっと愛し続けている人だ」

「ふうん、そんなに愛していたのに僕はずっと命を狙われていたんだ」

「………すまない……王妃を排除するためお前の叔父に命令して今けりをつけようとしていたんだ」

「叔父さん……とうちゃんのことですよね?」

「とうちゃん?ダンのことか?」

「はい、とうちゃんはかあちゃんと結婚して僕をかあちゃんに預けてほとんど帰ってきていません。僕はかあちゃんと魔女さんに育てられました。あなたの奥さんが僕の命を狙っていたから僕はずっと隠れるように暮らしていました」

 王様は驚いた顔をしていた。何も知らされず今まで過ごしていたの?

「わたしは……何も知らずにいたのか……」

 大きく息を吐き僕を見た。

「ダンにお前は死んだと聞かされていたんだ。だが王妃はお前が死ぬまで命を狙っていたと聞いていた。だからこのままにして置けないと思い、王妃の罪を、証拠を見つけ、廃妃するつもりだった」

「王様の話は……どうでもいいんです」

「な、不敬な!」「陛下!この子は!」

「黙れ!お前たちがわたしの息子にこれ以上剣を向けたり声を荒げればお前たちを罪に問うぞ」

「しかしっ!」

「黙れ!!」

「「「「………………」」」」

 騎士たちは仕方なく口を閉じた。だけど僕を見る目はとても鋭くて王様の息子だなんて認めていないのがわかった。

 だけどそんなことどうでもいい。

 そんなことより僕には重要な仕事があるんだ。

「僕は、『時を止める』魔道具をお借りしたくてここにきました」

「はっ?何を言い出すんだ?」
 さっきまで僕に優しく語りかけていたはずの王様が冷たい言葉をはいた。

「魔女さんが王様に借りてくるようにと言いました」

「あの魔女、わかっててお前をここに来らせたんだな」

「どう言うことですか?」

「あの魔道具は魔女が作ったものだ。そして国の宝として未だに宝物庫に眠っている。誰も使うことができない、唯一使えるのは魔女だけだ」

「誰も使えない魔道具……だったら宝物庫に入れていても勿体無いじゃないですか」

「もう何百年も前の物だ。魔女が………王妃だった頃の……」

 魔女さんが王妃だった?キョトンとしたまま王様へ視線を向けた。

「その指輪には魔女の守りの魔法が付与されている。もしわたしが断れば……ふむ……わたしも呪われるか?」

 王様は僕の指輪を見ながら苦笑した。

「……あ、あの、魔道具は?」

「魔女からの頼みだ。断れば禍しかない。持っていけばいい」

「陛下、なりません!」
「おやめください!」

「リオはこの国の王子だ、そして魔女はわたしの……ははっ、何代前の祖母になるのかな?迷いの森から消えた……今この国は少しずつ衰退を始めている。魔女に捨てられればこの国はいつか……なあ、リオ。魔女はもう帰ってはこないのか?」

「魔女さんはかあちゃんについてこの国から出て行った。とうちゃんが浮気ばかりするから!」

「ダンか……それは…そうか……すまない……王妃から今離れられないでいる……それもそろそろ終わりだ。王妃は廃妃して処分するからな…ダン、とうちゃんは、お前たちを愛しているよ、そしてリオわたしも君を愛している」

「僕は大人になったら魔女さんとかあちゃんを守る立派な大人になる。王様やとうちゃんみたいに浮気する大人は嫌いだ!」

「………お前も大人になれば、愛にも色々あるとわかるはずだ」
 王様は悲しそうに言ったけど、同情なんてしてやらない。

 かあちゃんを苦しめたのはとうちゃんだけかと思ったけど、この人のせいでもあるみたい。

 絶対許さない!だけど魔道具をすんなり貸してくれたから僕はそれを袋に入れて背中に背負って隠してあった箒に乗った。

 王様はそんな僕を見送った。

「とうちゃんを早めに返すから」

「とうちゃんは要らない。返さなくていいよ、だから帰ってこないで!と言っておいて!」









しおりを挟む
感想 155

あなたにおすすめの小説

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

【完結】亡くなった人を愛する貴方を、愛し続ける事はできませんでした

凛蓮月
恋愛
【おかげさまで完全完結致しました。閲覧頂きありがとうございます】 いつか見た、貴方と婚約者の仲睦まじい姿。 婚約者を失い悲しみにくれている貴方と新たに婚約をした私。 貴方は私を愛する事は無いと言ったけれど、私は貴方をお慕いしておりました。 例え貴方が今でも、亡くなった婚約者の女性を愛していても。 私は貴方が生きてさえいれば それで良いと思っていたのです──。 【早速のホトラン入りありがとうございます!】 ※作者の脳内異世界のお話です。 ※小説家になろうにも同時掲載しています。 ※諸事情により感想欄は閉じています。詳しくは近況ボードをご覧下さい。(追記12/31〜1/2迄受付る事に致しました)

【完結】私が貴方の元を去ったわけ

なか
恋愛
「貴方を……愛しておりました」  国の英雄であるレイクス。  彼の妻––リディアは、そんな言葉を残して去っていく。  離婚届けと、別れを告げる書置きを残された中。  妻であった彼女が突然去っていった理由を……   レイクスは、大きな後悔と、恥ずべき自らの行為を知っていく事となる。      ◇◇◇  プロローグ、エピローグを入れて全13話  完結まで執筆済みです。    久しぶりのショートショート。  懺悔をテーマに書いた作品です。  もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません~死に戻った嫌われ令嬢は幸せになりたい~

桜百合
恋愛
旧題:もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません〜死に戻りの人生は別の誰かと〜 ★第18回恋愛小説大賞で大賞を受賞しました。応援・投票してくださり、本当にありがとうございました! 10/24にレジーナブックス様より書籍が発売されました。 現在コミカライズも進行中です。 「もしも人生をやり直せるのなら……もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません」 コルドー公爵夫妻であるフローラとエドガーは、大恋愛の末に結ばれた相思相愛の二人であった。 しかしナターシャという子爵令嬢が現れた途端にエドガーは彼女を愛人として迎え、フローラの方には見向きもしなくなってしまう。 愛を失った人生を悲観したフローラは、ナターシャに毒を飲ませようとするが、逆に自分が毒を盛られて命を落とすことに。 だが死んだはずのフローラが目を覚ますとそこは実家の侯爵家。 どうやらエドガーと知り合う前に死に戻ったらしい。 もう二度とあのような辛い思いはしたくないフローラは、一度目の人生の失敗を生かしてエドガーとの結婚を避けようとする。 ※完結したので感想欄を開けてます(お返事はゆっくりになるかもです…!) 独自の世界観ですので、設定など大目に見ていただけると助かります。 ※誤字脱字報告もありがとうございます! こちらでまとめてのお礼とさせていただきます。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

お飾りな妻は何を思う

湖月もか
恋愛
リーリアには二歳歳上の婚約者がいる。 彼は突然父が連れてきた少年で、幼い頃から美しい人だったが歳を重ねるにつれてより美しさが際立つ顔つきに。 次第に婚約者へ惹かれていくリーリア。しかし彼にとっては世間体のための結婚だった。 そんなお飾り妻リーリアとその夫の話。

処理中です...