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キース編 守りたい。
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16歳になったダイアナは美しく成長した。
黒髪を嫌う年寄り達もまだまだいるが、彼女の髪はとても綺麗で憧れを抱いている少女達も多い。
翠色の瞳は彼女の性格を表すように凛として誰にも惑わされない意思をしっかり持っている。
そんな彼女を俺は黙って見守っていた。
王妃様からも王宮で不審な動きがないか目を見張っているようにと言われていた。
彼女は珍しいその容姿のせいで事件に巻き込まれやすい。本人には自覚がないようだが目立つ彼女は何かと注目されている。
特に王妃様のお気に入りなので、彼女に取り入ろうとする者は後を経たない。
「キース、ダイアナに群がるハエ達はすべて排除なさい」
王妃はとても優しい笑顔で人に接している。この優しい笑顔の裏に冷淡な顔があるなんてみんな知らないだろう。
「かしこまりました」
そして俺との婚約でダイアナを襲ったのは……
「あれはあのクソジジイの仕業だと思うわ。あのクソジジイ、ダイアナのことを孫だと思っていないのよ。捨て駒のようにしか思っていないの。貴方と婚約したせいでダイアナを好きに動かせないのが気に入らないのよ。ほんとクソジジイなんだから」
ダイアナの祖父はダイアナを嫌っている。ただ生かしていれば使い物になると思っていたのに、王妃の策略で好きにできないことに苛立ちを覚えているようだ。
この国で公爵家はかなりの力を持っている。クソジジイはいまだにその権力を息子に渡さずに自分が持っている。
ただあの人に対抗出来るだけの力を持つ者はこの国では少ない。
ダイアナがブラン王国の王族の娘だとしても、彼女の祖父の力には及ばないかもしれない。
もちろん国を巻き込んで戦えばブラン王国にも勝利はあるだろうが、孫娘のためにそこまではできないだろう。
王妃はずっと前公爵の行動を追っていつか罪を暴くために証拠集めをしている。
そして俺はダイアナの周囲を守ることを王妃に求められていた。
だからダイアナとの婚約を了承した。
婚約者になれば近くで守りやすい。そこにあるのはダイアナを守ってあげたいという妹を見るような愛情だったのだと思う。
まさか婚約したと同時に、ジャスティア殿下の護衛になるとは思っていなかった。彼女は俺を気に入っていて何度も俺をそばに置きたいと言って来ていた。
王妃はそれを断っていたのだが婚約が決まってお互い近くにいる必要はないだろうと陛下が俺を配置換えしたのだった。
「キース、貴方はわたしを守るのよ?」
殿下はご機嫌で俺をペットのように扱う。
「ねえ、足が疲れたの。抱っこして部屋に連れて行ってちょうだい」
「殿下のお身体をむやみに触ることは出来かねます」
俺が断ると「キースって融通がきかないのね」と、ぷくっと膨れる。
「このお菓子美味しいの。アーンして、キース」
「仕事中ですので食べることはできません」
「ふうん、あ、そ!」
こんなやり取りが毎日続く。
俺は騎士として仕事を全うしたいのに殿下には俺の気持ちが伝わらない。
俺は騎士として働き、2年間の間、ダイアナを悪から守りたい。彼女が18歳になれば成人する。自分の力で生きていくこともできる。
ブラン王国へ渡るのもいいだろう、何か仕事を探すこともできる。
前公爵も成人したダイアナに対して強く出ることはできない。この国では成人すれば自分の意思で選び生きていく権利を持つことができる。
俺はその間彼女を守ってやりたい。
黒髪を嫌う年寄り達もまだまだいるが、彼女の髪はとても綺麗で憧れを抱いている少女達も多い。
翠色の瞳は彼女の性格を表すように凛として誰にも惑わされない意思をしっかり持っている。
そんな彼女を俺は黙って見守っていた。
王妃様からも王宮で不審な動きがないか目を見張っているようにと言われていた。
彼女は珍しいその容姿のせいで事件に巻き込まれやすい。本人には自覚がないようだが目立つ彼女は何かと注目されている。
特に王妃様のお気に入りなので、彼女に取り入ろうとする者は後を経たない。
「キース、ダイアナに群がるハエ達はすべて排除なさい」
王妃はとても優しい笑顔で人に接している。この優しい笑顔の裏に冷淡な顔があるなんてみんな知らないだろう。
「かしこまりました」
そして俺との婚約でダイアナを襲ったのは……
「あれはあのクソジジイの仕業だと思うわ。あのクソジジイ、ダイアナのことを孫だと思っていないのよ。捨て駒のようにしか思っていないの。貴方と婚約したせいでダイアナを好きに動かせないのが気に入らないのよ。ほんとクソジジイなんだから」
ダイアナの祖父はダイアナを嫌っている。ただ生かしていれば使い物になると思っていたのに、王妃の策略で好きにできないことに苛立ちを覚えているようだ。
この国で公爵家はかなりの力を持っている。クソジジイはいまだにその権力を息子に渡さずに自分が持っている。
ただあの人に対抗出来るだけの力を持つ者はこの国では少ない。
ダイアナがブラン王国の王族の娘だとしても、彼女の祖父の力には及ばないかもしれない。
もちろん国を巻き込んで戦えばブラン王国にも勝利はあるだろうが、孫娘のためにそこまではできないだろう。
王妃はずっと前公爵の行動を追っていつか罪を暴くために証拠集めをしている。
そして俺はダイアナの周囲を守ることを王妃に求められていた。
だからダイアナとの婚約を了承した。
婚約者になれば近くで守りやすい。そこにあるのはダイアナを守ってあげたいという妹を見るような愛情だったのだと思う。
まさか婚約したと同時に、ジャスティア殿下の護衛になるとは思っていなかった。彼女は俺を気に入っていて何度も俺をそばに置きたいと言って来ていた。
王妃はそれを断っていたのだが婚約が決まってお互い近くにいる必要はないだろうと陛下が俺を配置換えしたのだった。
「キース、貴方はわたしを守るのよ?」
殿下はご機嫌で俺をペットのように扱う。
「ねえ、足が疲れたの。抱っこして部屋に連れて行ってちょうだい」
「殿下のお身体をむやみに触ることは出来かねます」
俺が断ると「キースって融通がきかないのね」と、ぷくっと膨れる。
「このお菓子美味しいの。アーンして、キース」
「仕事中ですので食べることはできません」
「ふうん、あ、そ!」
こんなやり取りが毎日続く。
俺は騎士として仕事を全うしたいのに殿下には俺の気持ちが伝わらない。
俺は騎士として働き、2年間の間、ダイアナを悪から守りたい。彼女が18歳になれば成人する。自分の力で生きていくこともできる。
ブラン王国へ渡るのもいいだろう、何か仕事を探すこともできる。
前公爵も成人したダイアナに対して強く出ることはできない。この国では成人すれば自分の意思で選び生きていく権利を持つことができる。
俺はその間彼女を守ってやりたい。
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