43 / 76
キースVSお祖父様
しおりを挟む
ダイアナの寝顔を見て焦る気持ちを落ち着かせた。
前公爵を捕まえるためにもまずは王宮へ行き報告をして全体の話をまとめないと動くことは出来ない。
自室で睡眠をとらずに報告書をまとめた。
日が昇り始めた頃、一人着替えて屋敷を出た。
「ダイアナを頼む。彼女が不安がるかもしれない。出来るだけそばにいてやってくれ」
我が家の侍女長にダイアナのことをくれぐれも頼んで王宮へ急ぎ向かった。
ダイアナの事件の報告をしている時にジャスティア殿下の事件も前公爵の仕業だとわかったのは団長が頭を抱えて話してくれたからだ。
ジャスティア殿下をいいように操っていたのはバイゼント伯爵だが、このバイゼント伯爵をいいように動かしているのも前公爵だと言うことがわかった。
ジャスティア殿下に「この薬はとても疲れた体に素早く効く薬」と紹介させたのはバイゼント伯爵に前公爵の声掛けがあったからだ。
前公爵にとっては王妃が可愛がっている義娘が犯罪を犯せば王妃がダイアナに構うだけの余裕がなくなるだろうと予測してだった。
さらにジャスティア殿下の犯罪は陛下と王妃への脅しのネタになると踏んでいた。
もし捕まってもバイゼント伯爵だけで自分が捕まる事はない。
元々バイゼント伯爵がやっていた違法薬物の売買、前公爵は何も犯罪は犯していない。ただ殿下にどうかと軽く口添えしただけ。証拠もない。
バイゼント伯爵の周辺を調べていて彼の子飼いの商会の一人を取り調べてわかったことで、自供はあっても証拠がない。前公爵ほどの力を持った人をこの事件で捕まえるのは難しい。
「やはりダイアナの件で捕まえるしかない。ミリア様の尋問は?」
他の騎士達に聞くと
「始めてはいるのですが、何も答えようとしません。ただ笑っているだけなんです」
「笑ってる?」
「はい、捕まったくらいで動揺していないし自分は悪くないと思っている感じです」
「じゃあ俺が交代するよ」
「お願いします」
昨夜、ダイアナを助けてから騎士団の中では慌ただしい時間が流れている。
王妃様が付けてくれていた「影」の報告書もまとめられている。ほぼ前公爵の犯罪の証拠がない中、「影」の見てきたことだけが証拠として残ることになるだろう。
ただジャスティア殿下の犯罪は「影」を付けて調べていない。「影」が見たことは誤魔化すことができない。「影」は真実だけを述べるのでこの国で絶対的な証拠とされる。
だからジャスティア殿下が違法薬物での売買をしていたことも証言されることは避けなせればいけない。
前公爵は狡賢い狸だ。
陛下達の弱みであるジャスティア殿下を使い犯罪をさせる。その弱みにつけ入り脅しのネタを手に入れる。
陛下は殿下を切り捨てると言っている。王妃様は何があっても助けたいと頑張っている。
ただ甘やかして与えるだけの愛情、不利になれば切り捨てる陛下。
厳しくも愛情をかけていた義母である王妃様は、最後まで見捨てずになんとか助けようとしている。
俺は殿下に対してなんの感情も湧かないが王妃様が足掻くのなら俺はそれに従うつもりだ。
「団長、とにかく前公爵を捕まえられるだけの証拠は揃っています。「影」のおかげで前公爵の発言が犯罪を犯していると立証されました。捕まえに行きましょう」
「早まるな、前公爵は狡猾だ。自分が捕まらないようにしているはずだ。勇足で捕まえられるはずの者を逃すことだけはしたくない」
「でも、早く捕まえないと!」
「そろそろ前公爵に付いているもう一人の「影」から報告があるはずだ。もう少しだけ待て」
「バイゼント伯爵の方ももうすぐ取り押さえる。前公爵とは今の所証拠がなく繋がっていないが何かしら口を割らせるつもりだ。
そしてジャスティア殿下にはしばらく夜会やお茶会などの活動は自粛してもらうことになっている。本人にも今日話すことになっている。殿下がそれを知って少しでも反省してくれれば王妃様の気持ちも伝わるのだろうが、甘やかされて育った殿下にどこまで話が通じるのか……難しいところだな」
「わかりました、「影」の報告を待ちます」
一旦話終わると、俺は前公爵についていた「影」からの報告書に目を通した。
そこにはダイアナを鉱山を手に入れるために売る発言など腹立たしい報告が多かったが、信じられない彼の発言の報告も書かれていた。
『エレファ様を犯していた』
『ダニエルに媚薬を盛りミリアとの関係を強要していた』
『ダイアナに対しても何度となく性的な関係を強要しようとしたがダニエルがなんとか会わせないようにしていた』
『跡取りをミリアとの間に産ませることを強要していた』
など、前公爵の人と思えない行動だった。
息子の妻を犯す?
それも脅していたらしい。
あの美しく優しいエレファ様は脅されて無理やり犯されていたのか?夫は他の女を抱いていて?
報告書を投げ捨てたい気持ちになりながら、前公爵をなんとかしなければダイアナが安心して暮らすことは出来ないとしみじみ思った。
酷い父親でしかない公爵も本能的に前公爵とダイアナを会わせないようにしていたのだろう。
公爵自身は父親のしていたことを全て知らないようだ。公爵自身も父親の言いなりになっていた、そんな中で唯一ダイアナに対してだけは手を出させないようにしていたらしい。
ただそのやり方はダイアナには伝わらないだろう。
前公爵を捕まえるためにもまずは王宮へ行き報告をして全体の話をまとめないと動くことは出来ない。
自室で睡眠をとらずに報告書をまとめた。
日が昇り始めた頃、一人着替えて屋敷を出た。
「ダイアナを頼む。彼女が不安がるかもしれない。出来るだけそばにいてやってくれ」
我が家の侍女長にダイアナのことをくれぐれも頼んで王宮へ急ぎ向かった。
ダイアナの事件の報告をしている時にジャスティア殿下の事件も前公爵の仕業だとわかったのは団長が頭を抱えて話してくれたからだ。
ジャスティア殿下をいいように操っていたのはバイゼント伯爵だが、このバイゼント伯爵をいいように動かしているのも前公爵だと言うことがわかった。
ジャスティア殿下に「この薬はとても疲れた体に素早く効く薬」と紹介させたのはバイゼント伯爵に前公爵の声掛けがあったからだ。
前公爵にとっては王妃が可愛がっている義娘が犯罪を犯せば王妃がダイアナに構うだけの余裕がなくなるだろうと予測してだった。
さらにジャスティア殿下の犯罪は陛下と王妃への脅しのネタになると踏んでいた。
もし捕まってもバイゼント伯爵だけで自分が捕まる事はない。
元々バイゼント伯爵がやっていた違法薬物の売買、前公爵は何も犯罪は犯していない。ただ殿下にどうかと軽く口添えしただけ。証拠もない。
バイゼント伯爵の周辺を調べていて彼の子飼いの商会の一人を取り調べてわかったことで、自供はあっても証拠がない。前公爵ほどの力を持った人をこの事件で捕まえるのは難しい。
「やはりダイアナの件で捕まえるしかない。ミリア様の尋問は?」
他の騎士達に聞くと
「始めてはいるのですが、何も答えようとしません。ただ笑っているだけなんです」
「笑ってる?」
「はい、捕まったくらいで動揺していないし自分は悪くないと思っている感じです」
「じゃあ俺が交代するよ」
「お願いします」
昨夜、ダイアナを助けてから騎士団の中では慌ただしい時間が流れている。
王妃様が付けてくれていた「影」の報告書もまとめられている。ほぼ前公爵の犯罪の証拠がない中、「影」の見てきたことだけが証拠として残ることになるだろう。
ただジャスティア殿下の犯罪は「影」を付けて調べていない。「影」が見たことは誤魔化すことができない。「影」は真実だけを述べるのでこの国で絶対的な証拠とされる。
だからジャスティア殿下が違法薬物での売買をしていたことも証言されることは避けなせればいけない。
前公爵は狡賢い狸だ。
陛下達の弱みであるジャスティア殿下を使い犯罪をさせる。その弱みにつけ入り脅しのネタを手に入れる。
陛下は殿下を切り捨てると言っている。王妃様は何があっても助けたいと頑張っている。
ただ甘やかして与えるだけの愛情、不利になれば切り捨てる陛下。
厳しくも愛情をかけていた義母である王妃様は、最後まで見捨てずになんとか助けようとしている。
俺は殿下に対してなんの感情も湧かないが王妃様が足掻くのなら俺はそれに従うつもりだ。
「団長、とにかく前公爵を捕まえられるだけの証拠は揃っています。「影」のおかげで前公爵の発言が犯罪を犯していると立証されました。捕まえに行きましょう」
「早まるな、前公爵は狡猾だ。自分が捕まらないようにしているはずだ。勇足で捕まえられるはずの者を逃すことだけはしたくない」
「でも、早く捕まえないと!」
「そろそろ前公爵に付いているもう一人の「影」から報告があるはずだ。もう少しだけ待て」
「バイゼント伯爵の方ももうすぐ取り押さえる。前公爵とは今の所証拠がなく繋がっていないが何かしら口を割らせるつもりだ。
そしてジャスティア殿下にはしばらく夜会やお茶会などの活動は自粛してもらうことになっている。本人にも今日話すことになっている。殿下がそれを知って少しでも反省してくれれば王妃様の気持ちも伝わるのだろうが、甘やかされて育った殿下にどこまで話が通じるのか……難しいところだな」
「わかりました、「影」の報告を待ちます」
一旦話終わると、俺は前公爵についていた「影」からの報告書に目を通した。
そこにはダイアナを鉱山を手に入れるために売る発言など腹立たしい報告が多かったが、信じられない彼の発言の報告も書かれていた。
『エレファ様を犯していた』
『ダニエルに媚薬を盛りミリアとの関係を強要していた』
『ダイアナに対しても何度となく性的な関係を強要しようとしたがダニエルがなんとか会わせないようにしていた』
『跡取りをミリアとの間に産ませることを強要していた』
など、前公爵の人と思えない行動だった。
息子の妻を犯す?
それも脅していたらしい。
あの美しく優しいエレファ様は脅されて無理やり犯されていたのか?夫は他の女を抱いていて?
報告書を投げ捨てたい気持ちになりながら、前公爵をなんとかしなければダイアナが安心して暮らすことは出来ないとしみじみ思った。
酷い父親でしかない公爵も本能的に前公爵とダイアナを会わせないようにしていたのだろう。
公爵自身は父親のしていたことを全て知らないようだ。公爵自身も父親の言いなりになっていた、そんな中で唯一ダイアナに対してだけは手を出させないようにしていたらしい。
ただそのやり方はダイアナには伝わらないだろう。
383
あなたにおすすめの小説
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
【本編完結・番外編不定期更新】
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
私があなたを好きだったころ
豆狸
恋愛
「……エヴァンジェリン。僕には好きな女性がいる。初恋の人なんだ。学園の三年間だけでいいから、聖花祭は彼女と過ごさせてくれ」
※1/10タグの『婚約解消』を『婚約→白紙撤回』に訂正しました。
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
愛を求めることはやめましたので、ご安心いただけますと幸いです!
風見ゆうみ
恋愛
わたしの婚約者はレンジロード・ブロフコス侯爵令息。彼に愛されたくて、自分なりに努力してきたつもりだった。でも、彼には昔から好きな人がいた。
結婚式当日、レンジロード様から「君も知っていると思うが、私には愛する女性がいる。君と結婚しても、彼女のことを忘れたくないから忘れない。そして、私と君の結婚式を彼女に見られたくない」と言われ、結婚式を中止にするためにと階段から突き落とされてしまう。
レンジロード様に突き落とされたと訴えても、信じてくれる人は少数だけ。レンジロード様はわたしが階段を踏み外したと言う上に、わたしには話を合わせろと言う。
こんな人のどこが良かったのかしら???
家族に相談し、離婚に向けて動き出すわたしだったが、わたしの変化に気がついたレンジロード様が、なぜかわたしにかまうようになり――
私の愛した婚約者は死にました〜過去は捨てましたので自由に生きます〜
みおな
恋愛
大好きだった人。
一目惚れだった。だから、あの人が婚約者になって、本当に嬉しかった。
なのに、私の友人と愛を交わしていたなんて。
もう誰も信じられない。
さようなら、私の愛したあなた。
希猫 ゆうみ
恋愛
オースルンド伯爵家の令嬢カタリーナは、幼馴染であるロヴネル伯爵家の令息ステファンを心から愛していた。いつか結婚するものと信じて生きてきた。
ところが、ステファンは爵位継承と同時にカールシュテイン侯爵家の令嬢ロヴィーサとの婚約を発表。
「君の恋心には気づいていた。だが、私は違うんだ。さようなら、カタリーナ」
ステファンとの未来を失い茫然自失のカタリーナに接近してきたのは、社交界で知り合ったドグラス。
ドグラスは王族に連なるノルディーン公爵の末子でありマルムフォーシュ伯爵でもある超上流貴族だったが、不埒な噂の絶えない人物だった。
「あなたと遊ぶほど落ちぶれてはいません」
凛とした態度を崩さないカタリーナに、ドグラスがある秘密を打ち明ける。
なんとドグラスは王家の密偵であり、偽装として遊び人のように振舞っているのだという。
「俺に協力してくれたら、ロヴィーサ嬢の真実を教えてあげよう」
こうして密偵助手となったカタリーナは、幾つかの真実に触れながら本当の愛に辿り着く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる