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キースVSお祖父様②
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屋敷では公爵本人も含めダイアナと接しないようにしてきた。ダイアナに冷たくすることが彼なりの愛情なんて誰も気が付かないだろう。
そのおかげで監視役のミリアもダイアナと夫の関係は壊れていると思っていたし前公爵もなかなか手が出せずにいたが、家族との関係が希薄なダイアナなら、いずれは簡単に自分の思い通りになると考えていたようだ。
今回の無理やりの拉致も前公爵からすれば、ダイアナは喜んで他国へ嫁入りするだろうと安易に考えていたようだ。
自分の思い通りになって当たり前の人。愛を求めている寂しいダイアナなら簡単に扱えると思っていたのだ。
人を自分の思うように好き勝手にしてきた前公爵。
ダイアナのことは何があっても守る。俺にとってはダイアナは妹のように守ってやりたい存在だった。でも今は……大切にしたい、常にあの笑顔を守ってやりたい。
いつからか一人の女性として見ていた。それに気がついたのは最近。そろそろ約束の期限も過ぎる、婚約解消の時期だと思うと、婚約解消などせずにずっと彼女の横にいたい、離したくないと感じていることに気がついた。
だけどダイアナは俺のこの気持ちなど全く知らない。今回の事件が解決したら、今度は契約ではなく本当に愛しているから結婚して欲しいとプロポーズするつもりだ。
その時彼女はどんな顔をするのだろう?
嫌がられるか断られるか?
つい悪い方ばかり考えてしまう。
だけどダイアナを手放してはあげられない。
俺はミリア様の尋問を始めた。
「貴女はダイアナを屋敷から攫い監禁した疑いがあります」
「わたし?わたしは何もしていないわ。ダイアナは娘よ?二人で出かけただけだわ」
「では何故ダイアナは納屋の地下にいたのですか?」
「知らないわ。ダイアナが勝手に居なくなったのだもの」
ミリア様はどうしてこんなに平気でいられるのか?
やはり前公爵の力がこの人をこんな態度にさせているのだろうか。
「バーランド前公爵は貴女のことを見捨てますよ?彼にとって不利になる人を庇うわけがありません。彼なら切り捨てるでしょう」
「……え?」
「貴女ほどの優秀な人ならわかっているはずでしょう?前公爵ならどう動くか?」
「……わたしは切り捨てられる?もしくは……口封じ?」
あれだけ横柄な態度をとっていたミリア様も自分が切り捨てられるなどとは思っていなかったようだ。
それだけ前公爵のために尽くしてきたのだろう。だからこそ自分は信頼されていると思っていたようだ。
「自分なら色々知っている貴女は邪魔でしかない。そう思いますね」
「……そんな……」
「貴女の自供次第で助けることはできます。貴女が何も話さないでこの王宮から出ていけば貴女の命はすぐに消えると思いませんか?」
ミリア様は黙って考え込んでいた。
こちらとしてはある程度「影」の証言があるので罪は問える。しかし細かいことはわからないし昔の前公爵のしたことはわからない。
だからこそこの女の証言が必要だった。
「何を話せばわたしの命を保証してくれるの?重要なことを話せばもちろんわたしの罪は少しは軽くしてくれるのでしょうね?」
「……もちろんです」
そう答えて「考えておきます」と聞こえるか聞こえない程度の小さな声で付け加えた。
「だったら話すわ。約束は忘れないでね、貴方は近衛騎士団の副団長なのでしょう?力はあるはずよ、それにわたしは貴方の義母になるのだから」
そう言って俺に擦り寄ってくる。女を出して俺の腕に手を添えてきた。
本当は気持ち悪いと払い除けたいのだが機嫌よくして話を聞くのが先だ。
「ミリア様、話していただけますか?」
普段なら絶対しない、笑顔で彼女に話しかけた。
そして聞かされた事実は……公爵を薬で無理やり子作りさせて、エレファ様を裏切らせていた。
ずっと公爵とダイアナの監視をしていたこと。
今回ダイアナを嫁がせたら、自分は大金をもらって外国へ行き贅沢に暮らす予定だったらしい。
自分が産んだ子供に愛情などない。さっさと捨てたかったのにお金のために我慢していた。
聞いているだけで腹が立ち、何度もこの女を殴りつけたくなる衝動を押さえ込むのに必死だった。
そんな時、別の報告が入ってきた。
ミリア様の産んだ二人の子供を無理やり前公爵が自分の屋敷に連れて帰ったらしい。保護の目的だと理由をつけて。
まだ怪我のため屋敷に公爵が帰っていないと分かっていて無理やり連れ帰ったらしい。
それも「影」の報告では子供達を地下牢に別々に入れているらしい。
俺はミリア様の尋問を終わらせて団長のところへ向かった。
「前公爵を捕らえましょう」
「そうだな、子供達を助けるのが先だ。ある程度証拠も揃った、言い逃れは出来ないだろう」
俺たちはかなりの人数を集めて前公爵の屋敷へと向かった。
「この事件が終わったらゆっくりとダイアナに会いたい」
そう思いながら。
ダイアナのためにも前公爵の息の根を止めなければダイアナは安心して過ごせない。
全力で潰してやる。
この国で陛下の次に力を持つ前公爵を潰すために動き始めた。
そのおかげで監視役のミリアもダイアナと夫の関係は壊れていると思っていたし前公爵もなかなか手が出せずにいたが、家族との関係が希薄なダイアナなら、いずれは簡単に自分の思い通りになると考えていたようだ。
今回の無理やりの拉致も前公爵からすれば、ダイアナは喜んで他国へ嫁入りするだろうと安易に考えていたようだ。
自分の思い通りになって当たり前の人。愛を求めている寂しいダイアナなら簡単に扱えると思っていたのだ。
人を自分の思うように好き勝手にしてきた前公爵。
ダイアナのことは何があっても守る。俺にとってはダイアナは妹のように守ってやりたい存在だった。でも今は……大切にしたい、常にあの笑顔を守ってやりたい。
いつからか一人の女性として見ていた。それに気がついたのは最近。そろそろ約束の期限も過ぎる、婚約解消の時期だと思うと、婚約解消などせずにずっと彼女の横にいたい、離したくないと感じていることに気がついた。
だけどダイアナは俺のこの気持ちなど全く知らない。今回の事件が解決したら、今度は契約ではなく本当に愛しているから結婚して欲しいとプロポーズするつもりだ。
その時彼女はどんな顔をするのだろう?
嫌がられるか断られるか?
つい悪い方ばかり考えてしまう。
だけどダイアナを手放してはあげられない。
俺はミリア様の尋問を始めた。
「貴女はダイアナを屋敷から攫い監禁した疑いがあります」
「わたし?わたしは何もしていないわ。ダイアナは娘よ?二人で出かけただけだわ」
「では何故ダイアナは納屋の地下にいたのですか?」
「知らないわ。ダイアナが勝手に居なくなったのだもの」
ミリア様はどうしてこんなに平気でいられるのか?
やはり前公爵の力がこの人をこんな態度にさせているのだろうか。
「バーランド前公爵は貴女のことを見捨てますよ?彼にとって不利になる人を庇うわけがありません。彼なら切り捨てるでしょう」
「……え?」
「貴女ほどの優秀な人ならわかっているはずでしょう?前公爵ならどう動くか?」
「……わたしは切り捨てられる?もしくは……口封じ?」
あれだけ横柄な態度をとっていたミリア様も自分が切り捨てられるなどとは思っていなかったようだ。
それだけ前公爵のために尽くしてきたのだろう。だからこそ自分は信頼されていると思っていたようだ。
「自分なら色々知っている貴女は邪魔でしかない。そう思いますね」
「……そんな……」
「貴女の自供次第で助けることはできます。貴女が何も話さないでこの王宮から出ていけば貴女の命はすぐに消えると思いませんか?」
ミリア様は黙って考え込んでいた。
こちらとしてはある程度「影」の証言があるので罪は問える。しかし細かいことはわからないし昔の前公爵のしたことはわからない。
だからこそこの女の証言が必要だった。
「何を話せばわたしの命を保証してくれるの?重要なことを話せばもちろんわたしの罪は少しは軽くしてくれるのでしょうね?」
「……もちろんです」
そう答えて「考えておきます」と聞こえるか聞こえない程度の小さな声で付け加えた。
「だったら話すわ。約束は忘れないでね、貴方は近衛騎士団の副団長なのでしょう?力はあるはずよ、それにわたしは貴方の義母になるのだから」
そう言って俺に擦り寄ってくる。女を出して俺の腕に手を添えてきた。
本当は気持ち悪いと払い除けたいのだが機嫌よくして話を聞くのが先だ。
「ミリア様、話していただけますか?」
普段なら絶対しない、笑顔で彼女に話しかけた。
そして聞かされた事実は……公爵を薬で無理やり子作りさせて、エレファ様を裏切らせていた。
ずっと公爵とダイアナの監視をしていたこと。
今回ダイアナを嫁がせたら、自分は大金をもらって外国へ行き贅沢に暮らす予定だったらしい。
自分が産んだ子供に愛情などない。さっさと捨てたかったのにお金のために我慢していた。
聞いているだけで腹が立ち、何度もこの女を殴りつけたくなる衝動を押さえ込むのに必死だった。
そんな時、別の報告が入ってきた。
ミリア様の産んだ二人の子供を無理やり前公爵が自分の屋敷に連れて帰ったらしい。保護の目的だと理由をつけて。
まだ怪我のため屋敷に公爵が帰っていないと分かっていて無理やり連れ帰ったらしい。
それも「影」の報告では子供達を地下牢に別々に入れているらしい。
俺はミリア様の尋問を終わらせて団長のところへ向かった。
「前公爵を捕らえましょう」
「そうだな、子供達を助けるのが先だ。ある程度証拠も揃った、言い逃れは出来ないだろう」
俺たちはかなりの人数を集めて前公爵の屋敷へと向かった。
「この事件が終わったらゆっくりとダイアナに会いたい」
そう思いながら。
ダイアナのためにも前公爵の息の根を止めなければダイアナは安心して過ごせない。
全力で潰してやる。
この国で陛下の次に力を持つ前公爵を潰すために動き始めた。
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