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じゅうろく
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買い物から帰ってきてみんなでおやつパーティーをした。
ーーイライラした時は美味しいものを食べるに限るわよね。
最近いいことなんてない。
「今日はダイエットのことなんて忘れてお腹いっぱい食べましょう」
使用人達にケーキやクッキーを振る舞っていると横からサマンサが
「ライナ様、後で後悔しても知りませんからね」
と、低い声でボソッと呟いた。
「運動すればいいのよ。ずっと食べれなくて最近は痩せていたのだもの。まだ大丈夫な……はずだわ、うん」
バズールが毎日のようにお見舞いと称して食べ物の差し入れが続いている。
おかげで体重も増えてきて……
ーーううっ、たぶんまだいける!うん、今日までは我慢しないで食べよう。
口を大きく開けて美味しく頂いていると
「ライナ!差し入れ!……」
バズールがわたしの顔を見て大笑いをした。
「お前、何その顔?」
ーーか、顔?
「口にクリームついてるしあほ面して面白い顔して!」
ーーひ、酷い!
文句を言いたいのにケーキが口の中に入ったままで何も言えない!
急いでのみ込んで、ハンカチで口を拭いた。
「こんなに甘いものを食べるようになったのはバズールの所為よ!毎日美味しいものを持ってくるからつい食べてしまうんだもの」
「うわ、人の所為にして!ま、元気になってきてよかったな」
わたしの髪をぐしゃっとしてニヤッと笑うバズール。
「うん、おかげさまで元気になったわ。今日ね買い物に行ったらリーリエ様のところで働いているカイゼンさんに会ったの」
「カイゼン?たしか子爵家の人だったよね?」
「うん、シエルと同期なんだけど……噂のこと少し話されたわ、何があるかわからないので気をつけろと言われたわ、それから……シエルのことも少しね」
「気をつけろって何を?シエル?何か言ってたの?」
「うん、誰がそんな噂を流したのかわからないらしいの。でも伯爵家ではもうみんな知っているみたいなの、それに社交界でもわたしの悪い噂が流れているらしいわ」
「……俺はライナと親戚だから耳に入ってきていないのかな……父上達は今そんな噂を流した奴らを探している。
あのリーリエ様も悪意の塊だから『わたしはただ少し噂で聞いたことを言っただけなの』なんて言いながら噂話を広めてるんだろうな」
「くすっ、バズールったらリーリエ様の話し方に似てるわ」
わたしだって噂の出所はリーリエ様と奥様だと思っている。でも友人がわたしのことを無視しているのはそのことが原因なのかしら?他に何かあるのかもしれない。
ーーふう、考えてもよくわからないわ。辞めたわたしに絡んでくるリーリエ様にもうんざりだけど、庇ってもくれなくてさらに一緒になってわたしを責めるシエルにももう愛想が尽きた。
「バズールは大丈夫なの?リーリエ様にとっても好かれているのでしょう?」
「………あれは自分に靡かない俺をなんとか自分のおもちゃにしようとしてるんだよ。あんなお子ちゃまに靡いたりしないのにね、よっぽど自分のこと可愛いと思ってどんな男も素直になんでも言うことを聞くと思ってるんだろうね」
「考えただけでうんざりだ」と呟きながら
「あーー、迷惑。人の気持ちなんて考えないでグイグイ迫ってきて、今何人の男を攻めてると思う?」
「貴方とシエル?」
「彼女は目の前にいる男にあのうるうるした瞳で声をかけてるんだぜ。それに引っ掛かる男はいつも彼女のそばにいるよ。もちろんあの子に興味がない俺みたいなのもたくさんいるけどね」
「ふうん、そうなの。だったらシエルは引っかかってしまったのね」
「さっき言ってたカイゼンもどっちかわからないから気をつけた方がいいぞ。君が働いていた伯爵家は君を悪者にしようとしているんだ。誰が敵かなんてわかったものではないからね」
「一緒に働いた仲間まで疑わないといけないなんて……なんだか嫌だわ」
「……仕方がないさ。今は用心した方がいいと思うよ、ライナのことそこまでするなんて何か理由があるのかもしれない。それともリーリエ嬢が君を気に入らなかったのかな?」
「何それ?」
「シエルが君を好きだったのがプライドが許さなかったとか?使用人で自分より下だろう?」
「わたしは確かに男爵家だし使用人だったもの。リーリエ様よりも身分は下だわ。だけどそんなことでわたしを目の敵にするのかしら?」
「さあ、あの人の頭の中開けてみたら真っ黒な花畑が出てくるんじゃない?」
「なんだかそれとっても怖いんだけど」
ーーイライラした時は美味しいものを食べるに限るわよね。
最近いいことなんてない。
「今日はダイエットのことなんて忘れてお腹いっぱい食べましょう」
使用人達にケーキやクッキーを振る舞っていると横からサマンサが
「ライナ様、後で後悔しても知りませんからね」
と、低い声でボソッと呟いた。
「運動すればいいのよ。ずっと食べれなくて最近は痩せていたのだもの。まだ大丈夫な……はずだわ、うん」
バズールが毎日のようにお見舞いと称して食べ物の差し入れが続いている。
おかげで体重も増えてきて……
ーーううっ、たぶんまだいける!うん、今日までは我慢しないで食べよう。
口を大きく開けて美味しく頂いていると
「ライナ!差し入れ!……」
バズールがわたしの顔を見て大笑いをした。
「お前、何その顔?」
ーーか、顔?
「口にクリームついてるしあほ面して面白い顔して!」
ーーひ、酷い!
文句を言いたいのにケーキが口の中に入ったままで何も言えない!
急いでのみ込んで、ハンカチで口を拭いた。
「こんなに甘いものを食べるようになったのはバズールの所為よ!毎日美味しいものを持ってくるからつい食べてしまうんだもの」
「うわ、人の所為にして!ま、元気になってきてよかったな」
わたしの髪をぐしゃっとしてニヤッと笑うバズール。
「うん、おかげさまで元気になったわ。今日ね買い物に行ったらリーリエ様のところで働いているカイゼンさんに会ったの」
「カイゼン?たしか子爵家の人だったよね?」
「うん、シエルと同期なんだけど……噂のこと少し話されたわ、何があるかわからないので気をつけろと言われたわ、それから……シエルのことも少しね」
「気をつけろって何を?シエル?何か言ってたの?」
「うん、誰がそんな噂を流したのかわからないらしいの。でも伯爵家ではもうみんな知っているみたいなの、それに社交界でもわたしの悪い噂が流れているらしいわ」
「……俺はライナと親戚だから耳に入ってきていないのかな……父上達は今そんな噂を流した奴らを探している。
あのリーリエ様も悪意の塊だから『わたしはただ少し噂で聞いたことを言っただけなの』なんて言いながら噂話を広めてるんだろうな」
「くすっ、バズールったらリーリエ様の話し方に似てるわ」
わたしだって噂の出所はリーリエ様と奥様だと思っている。でも友人がわたしのことを無視しているのはそのことが原因なのかしら?他に何かあるのかもしれない。
ーーふう、考えてもよくわからないわ。辞めたわたしに絡んでくるリーリエ様にもうんざりだけど、庇ってもくれなくてさらに一緒になってわたしを責めるシエルにももう愛想が尽きた。
「バズールは大丈夫なの?リーリエ様にとっても好かれているのでしょう?」
「………あれは自分に靡かない俺をなんとか自分のおもちゃにしようとしてるんだよ。あんなお子ちゃまに靡いたりしないのにね、よっぽど自分のこと可愛いと思ってどんな男も素直になんでも言うことを聞くと思ってるんだろうね」
「考えただけでうんざりだ」と呟きながら
「あーー、迷惑。人の気持ちなんて考えないでグイグイ迫ってきて、今何人の男を攻めてると思う?」
「貴方とシエル?」
「彼女は目の前にいる男にあのうるうるした瞳で声をかけてるんだぜ。それに引っ掛かる男はいつも彼女のそばにいるよ。もちろんあの子に興味がない俺みたいなのもたくさんいるけどね」
「ふうん、そうなの。だったらシエルは引っかかってしまったのね」
「さっき言ってたカイゼンもどっちかわからないから気をつけた方がいいぞ。君が働いていた伯爵家は君を悪者にしようとしているんだ。誰が敵かなんてわかったものではないからね」
「一緒に働いた仲間まで疑わないといけないなんて……なんだか嫌だわ」
「……仕方がないさ。今は用心した方がいいと思うよ、ライナのことそこまでするなんて何か理由があるのかもしれない。それともリーリエ嬢が君を気に入らなかったのかな?」
「何それ?」
「シエルが君を好きだったのがプライドが許さなかったとか?使用人で自分より下だろう?」
「わたしは確かに男爵家だし使用人だったもの。リーリエ様よりも身分は下だわ。だけどそんなことでわたしを目の敵にするのかしら?」
「さあ、あの人の頭の中開けてみたら真っ黒な花畑が出てくるんじゃない?」
「なんだかそれとっても怖いんだけど」
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