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久しぶり。
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リヴィとの初顔合わせ。
思い出しただけでもムカつく。
ミルヒーナはマックに「とにかく断ってちょうだい!」と何度もお願いした。
「いやいや、それは、なぁ、まぁ、少し考えてからでもいいだろう?」
「どうして?今までのお見合い相手はもちろん向こうが断ってくるのも多かったけど、わたくしが嫌だと言ったら『わかった』と言ってくださったじゃないですか?」
「うん、そうだけど、リヴィのところとはお互い昔から仲もいいし、それに……なぁ…?」
「お互い共同出資で始めた仕事のこともあってわたくしとリヴィの結婚話は大切だから断れないとでも言いたいのですか?」
「おっ、さすが才女のミルヒーナ!」
マックは額に冷や汗を掻きながら我が娘のご機嫌を取ろうと頑張った。
「お父様、まだまだお若いのにその髪の毛……さらにハゲても知りませんわよ?」
ミルヒーナは少しだけ薄くなってきたマックの髪の毛をじっと見つめた。
「な、なに?うちの可愛いミルがそんな怖い顔をするなんて……」
マックは大切な髪の毛を守るように手を頭に置いた。
「お父様、もうわたくしもう子供じゃないからその薄~くなり始めた髪の毛に何かするなんてこと……ありませんわ………」
「…………ムシッテヤル」
ボソッとミルヒーナが呟いてぷいっとマックから目を逸らし、ミルヒーナは部屋を出て行った。
「はあ~、ミルはそんなにリヴィとの婚約が嫌なのか……この結婚はリヴィが何度も頭を下げてお願いしてきたんだが……わたしだってミルがこんなに嫌がるのを知っていたらこの話受けなかったのに……」
実はマックはリヴィとの婚約など考えてもいなかった。
リヴィは優秀な魔法使いで伯爵家の嫡男。魔法学校を優秀な成績で卒業した後、魔術師団に入りいずれは団長になれるだけの器がある。
その妻ともなればそれなりの魔法使いがなるであろうと考えられる。
だから魔法が使えないミルヒーナを妻に迎えることはないだろうと思っていた。それに、リヴィと結婚すれば苦労するのも目に見えている。周りから好奇な目で見られながら過ごすこともあるだろう。陰口を言われ笑われることもある。あえて苦労させることがわかっているリヴィと結婚させようとは思っていなかった。
リヴィが毎日マックに会いにきて
『全ての悪からぼくが守ります』
『愛しているんです。幸せにしますから』
と言い続けた。
マックは幼い頃から知るリヴィなら魔法が使えないミルヒーナを守ってくれるかもしれないと考えを変えるようになった。
幼い頃、『リヴィのお嫁さんになるの』と言っていたミルヒーナの言葉も覚えていて後押しした。
まさかミルヒーナがリヴィのことを嫌がっているなど思ってもいなかった。
だから今回の婚約を機に、共同出資で輸入業を始めた。国内にはまだ入ってきていない食べ物や宝石、絵画などを輸入して売るための商会を作ったばかりだった。
今更やめるとも言えない。
「はあー、父の心子知らず。だな」
マックは「まずは毛生え薬でも輸入しようかな」と一人呟いた。
◆ ◆ ◆
感想いただいた方の案、採用しました!
まだ、ムシってはいませんが!
いつもいいね、エール、感想ありがとうございます。
思い出しただけでもムカつく。
ミルヒーナはマックに「とにかく断ってちょうだい!」と何度もお願いした。
「いやいや、それは、なぁ、まぁ、少し考えてからでもいいだろう?」
「どうして?今までのお見合い相手はもちろん向こうが断ってくるのも多かったけど、わたくしが嫌だと言ったら『わかった』と言ってくださったじゃないですか?」
「うん、そうだけど、リヴィのところとはお互い昔から仲もいいし、それに……なぁ…?」
「お互い共同出資で始めた仕事のこともあってわたくしとリヴィの結婚話は大切だから断れないとでも言いたいのですか?」
「おっ、さすが才女のミルヒーナ!」
マックは額に冷や汗を掻きながら我が娘のご機嫌を取ろうと頑張った。
「お父様、まだまだお若いのにその髪の毛……さらにハゲても知りませんわよ?」
ミルヒーナは少しだけ薄くなってきたマックの髪の毛をじっと見つめた。
「な、なに?うちの可愛いミルがそんな怖い顔をするなんて……」
マックは大切な髪の毛を守るように手を頭に置いた。
「お父様、もうわたくしもう子供じゃないからその薄~くなり始めた髪の毛に何かするなんてこと……ありませんわ………」
「…………ムシッテヤル」
ボソッとミルヒーナが呟いてぷいっとマックから目を逸らし、ミルヒーナは部屋を出て行った。
「はあ~、ミルはそんなにリヴィとの婚約が嫌なのか……この結婚はリヴィが何度も頭を下げてお願いしてきたんだが……わたしだってミルがこんなに嫌がるのを知っていたらこの話受けなかったのに……」
実はマックはリヴィとの婚約など考えてもいなかった。
リヴィは優秀な魔法使いで伯爵家の嫡男。魔法学校を優秀な成績で卒業した後、魔術師団に入りいずれは団長になれるだけの器がある。
その妻ともなればそれなりの魔法使いがなるであろうと考えられる。
だから魔法が使えないミルヒーナを妻に迎えることはないだろうと思っていた。それに、リヴィと結婚すれば苦労するのも目に見えている。周りから好奇な目で見られながら過ごすこともあるだろう。陰口を言われ笑われることもある。あえて苦労させることがわかっているリヴィと結婚させようとは思っていなかった。
リヴィが毎日マックに会いにきて
『全ての悪からぼくが守ります』
『愛しているんです。幸せにしますから』
と言い続けた。
マックは幼い頃から知るリヴィなら魔法が使えないミルヒーナを守ってくれるかもしれないと考えを変えるようになった。
幼い頃、『リヴィのお嫁さんになるの』と言っていたミルヒーナの言葉も覚えていて後押しした。
まさかミルヒーナがリヴィのことを嫌がっているなど思ってもいなかった。
だから今回の婚約を機に、共同出資で輸入業を始めた。国内にはまだ入ってきていない食べ物や宝石、絵画などを輸入して売るための商会を作ったばかりだった。
今更やめるとも言えない。
「はあー、父の心子知らず。だな」
マックは「まずは毛生え薬でも輸入しようかな」と一人呟いた。
◆ ◆ ◆
感想いただいた方の案、採用しました!
まだ、ムシってはいませんが!
いつもいいね、エール、感想ありがとうございます。
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