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やっぱり幼馴染なんだから。
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「ええ、言われなくても帰るわ!」
ミルヒーナは追い出すように言われてムッとした。
「このお菓子、お見舞いだから食べてちょうだい!今すぐに食べられなくても日持ちするものだから!」
扉に向かって帰ろうとしたけど……足を止めて振り返りズカズカとリヴィのベッドにもう一度戻った。
リヴィの手に自分の手を重ねて置くこと数分。
「じゃあ、帰るわね?」
ミルヒーナはリヴィに「明日もお見舞いに来てあげるわ。次はリヴィ、わたしがパイを焼いてきてあげるわね」と言って手を振り帰って行った。
リヴィは黙ったままベッドから起き上がった。さっきまで真っ青だった顔も赤みがさし始めた。
意識すら朦朧となっていて話すのもキツい状態だったのに今はなんともない。
ただ火傷がズキズキと痛むだけだった。
「ミル、あいつわかってたんだ」
魔力が欠乏して火傷すら治せない状態だったことも、もうまともに動けなくなっていることも知っていた。
(俺が気を遣わないようにわざとあんな言い方をしたんだ。明日もまた会える……)
リヴィは自分でも諦めが悪いとわかっていた。だけど長年の想いは簡単には消えない。ずっとミルヒーナが好きで好き過ぎて拗らせてきた。マルシアのことはあったけど、あんなの恋愛じゃない。無理やり恋人役をさせられただけで好きではなかった。
(明日は素直にお礼を言おう)
部屋にいたメイドが「お見舞いのお菓子はどうしましょうか?」と聞くので「一つ食べたい」と答えた。
皿に出されたお菓子は幼い頃二人でよく食べていたフィナンシェだった。
「…………美味しい」
懐かしい味、幸せだった時間。思い出されるのは二人でいつも笑い合っていた事。
それを全てダメにしたのは自分だった。もうすぐこの国からいなくなるミルヒーナのことを考えると胸が苦しくてせっかく魔力を分けてくれたのに、元気が出ない。
甘いお菓子のフィナンシェは何故かしょっぱくて塩辛い。
「くそっ、この歳になって泣くなんて……」
メイドは下がらせて一人になっているからよかったものの、恥ずかしくてこんな姿、人には見せられない。
「あーー、俺ってほんと馬鹿だよな。こんなにミルのことが大好きなのに……今更どうすることもできない、助けたつもりが最後は助けられるなんて格好悪いよ」
涙が止まらない。悔しくて自分が情けなくて……
次の日ミルヒーナはもう一度お見舞いにやってきた。
もうベッドから起き上がり動くこともできたがミルヒーナが来るのでベッドの中で待っていた。
(まだ火傷は治っていないし、一応病人だからな)
そう言い訳をして。
「あら?顔色がよくなったみたいね?」
「ああ、ミル、ありがとう。昨日の君の【譲渡】のおかげで助かったよ」
「わたしの方こそ守ってくれていたんでしょう?シエロが教えてくれたの。シエロ達使用人は、リヴィのところの使用人と仲がいいみたいなの。あなたが内緒にしていてもしっかり情報は入ってくるのよ?」
ミルヒーナはクスクス笑いながら屈託のない笑顔をリヴィに向けた。
そしてすぐに【譲渡】の魔法をもう一度リヴィにかけると、リヴィの魔力は完全に満たされて顔色も体調もほとんど元に戻った。
火傷くらいならすぐに自分で治癒できる状態になって「ありがとう」とお礼を言った。
(何年ぶりだろう?ミルが俺に笑いかけるのは……どんなにこの笑顔を見たかったか……)
「俺、みっともない。カッコつけてミルを陰から守ってきたつもりなのに最後はミルに助けられて……かっこ悪すぎだよな」
「リヴィはずっとかっこいいよ。魔法が上手で頑張り屋でみんなに優しくて……まぁわたしにだけは意地悪だったけど?いつも女の子達に囲まれて……男の子達にも慕われていたわ。わたしにはない憧れの世界で生きていた人だと思うわ………わたしも意地ばかり張って素直じゃなかった。
リヴィ、守ってくれてありがとう。そしてごめんなさい……今頃素直になっても遅すぎたけど、あなたもオリソン国にはたくさんの知人が出来たと思うの。だから遊びに来てちょうだい。待っているわ」
「いいのか?会いに行っても?」
「もちろんよ。ギルさんはとても喜ぶと思うわ。わたし向こうに住んだらルイスと一緒に仕事を始めるつもりなの」
「………ルイスと?」
「ええ、ガトラが商売に興味があるらしくてルイスやお父様が協力して立ち上げることになったの。
魔道具って魔力がなければ使えないけど、そこに貯めて魔道具を使えば魔法のない国でも魔道具を使えると思うの。友達の魔道具師が今魔力を貯めた石を使う魔道具を開発しているの」
「魔力を貯めた石?」
「石を使えば魔力を貯められるの。魔道具と魔法石を売るつもりなの」
「そんなことができるのか?」
「うん、わたしが魔法の練習をしている時に使用人達が手伝ってくれたの。
その時に魔力を他人に【譲渡】できないかみんな練習したのだけどやっぱり無理で、じゃあ、庭にあった石にしてみようと言うことになってやってみたら偶然出来たの!でも石ならなんでもいいと言うわけではなかったみたい。
庭にあった石の中の煙水晶……スモーキークォーツという茶色や黒っぽい煙がかったような色の石にしか魔力が込められなかったの」
「ふうん、その石はどうやって取るの?」
「うーん、それは川で、なんかよくわかんないんだけどガマっていう穴が空いているのを探して根気よく見つけるんだって」
「それは大変な仕事だな」
「うん、だけど平民の人にとっては仕事になるから有難いと言われたわ。いろんな鉱物が取れるらしいの、それを高額で買ってくれるなら喜んで仕事をすると言ってくれているわ」
「そうか、これから大変だけどやりがいのある仕事を見つけたんだ」
「これはリヴィの家との共同事業のおかげだよ。仕事の楽しさを教わったんだもの」
「ミルは俺と結婚している時もずっと事業の手伝いをしてくれていたもんな」
「とても楽しいわ。オリソン国は特に男とか女とか平民とか貴族とかあまり拘らないで能力があれば認めてもらえる国でしょう?魔法が使えなくても生きていけるわ。だけどみんなに守ってもらうばかりの生活より自分の身は自分で守れるようになりたい。
だから向こうへ行ったら魔法も頑張るけど、体術とかも頑張るつもり」
「俺、会いに行くよ。ミルの新しい世界を見てみたい」
「うん、ぜひ、会いに来て。わたし……後悔していたの。
あんな別れ方をしてしまって……リヴィとはずっとずっと一緒だと幼い頃約束したのに、もう二度と話すこともない関係になってしまって……今更だけど……もう一度幼馴染に戻りたい」
「俺は……ずっとミルが好きで間違った態度しか取れなかった。もう一度ミルと幼馴染から始めたい。
………そして、いつかミルにもう一度……」
(俺にチャンスが欲しい)
だけどその言葉は飲み込んだ。これだけ片思いし続けてきた。あと数年片思いしてもいいんじゃないか?
リヴィは心の中で開き直ることにした。ミルにとことん嫌われてどん底まで落ちたんだからもう落ちようがない。
だったらもう一回頑張って今度フラれたら諦めよう。それまでにミルヒーナに認められる男になると決めた。
ミルヒーナは追い出すように言われてムッとした。
「このお菓子、お見舞いだから食べてちょうだい!今すぐに食べられなくても日持ちするものだから!」
扉に向かって帰ろうとしたけど……足を止めて振り返りズカズカとリヴィのベッドにもう一度戻った。
リヴィの手に自分の手を重ねて置くこと数分。
「じゃあ、帰るわね?」
ミルヒーナはリヴィに「明日もお見舞いに来てあげるわ。次はリヴィ、わたしがパイを焼いてきてあげるわね」と言って手を振り帰って行った。
リヴィは黙ったままベッドから起き上がった。さっきまで真っ青だった顔も赤みがさし始めた。
意識すら朦朧となっていて話すのもキツい状態だったのに今はなんともない。
ただ火傷がズキズキと痛むだけだった。
「ミル、あいつわかってたんだ」
魔力が欠乏して火傷すら治せない状態だったことも、もうまともに動けなくなっていることも知っていた。
(俺が気を遣わないようにわざとあんな言い方をしたんだ。明日もまた会える……)
リヴィは自分でも諦めが悪いとわかっていた。だけど長年の想いは簡単には消えない。ずっとミルヒーナが好きで好き過ぎて拗らせてきた。マルシアのことはあったけど、あんなの恋愛じゃない。無理やり恋人役をさせられただけで好きではなかった。
(明日は素直にお礼を言おう)
部屋にいたメイドが「お見舞いのお菓子はどうしましょうか?」と聞くので「一つ食べたい」と答えた。
皿に出されたお菓子は幼い頃二人でよく食べていたフィナンシェだった。
「…………美味しい」
懐かしい味、幸せだった時間。思い出されるのは二人でいつも笑い合っていた事。
それを全てダメにしたのは自分だった。もうすぐこの国からいなくなるミルヒーナのことを考えると胸が苦しくてせっかく魔力を分けてくれたのに、元気が出ない。
甘いお菓子のフィナンシェは何故かしょっぱくて塩辛い。
「くそっ、この歳になって泣くなんて……」
メイドは下がらせて一人になっているからよかったものの、恥ずかしくてこんな姿、人には見せられない。
「あーー、俺ってほんと馬鹿だよな。こんなにミルのことが大好きなのに……今更どうすることもできない、助けたつもりが最後は助けられるなんて格好悪いよ」
涙が止まらない。悔しくて自分が情けなくて……
次の日ミルヒーナはもう一度お見舞いにやってきた。
もうベッドから起き上がり動くこともできたがミルヒーナが来るのでベッドの中で待っていた。
(まだ火傷は治っていないし、一応病人だからな)
そう言い訳をして。
「あら?顔色がよくなったみたいね?」
「ああ、ミル、ありがとう。昨日の君の【譲渡】のおかげで助かったよ」
「わたしの方こそ守ってくれていたんでしょう?シエロが教えてくれたの。シエロ達使用人は、リヴィのところの使用人と仲がいいみたいなの。あなたが内緒にしていてもしっかり情報は入ってくるのよ?」
ミルヒーナはクスクス笑いながら屈託のない笑顔をリヴィに向けた。
そしてすぐに【譲渡】の魔法をもう一度リヴィにかけると、リヴィの魔力は完全に満たされて顔色も体調もほとんど元に戻った。
火傷くらいならすぐに自分で治癒できる状態になって「ありがとう」とお礼を言った。
(何年ぶりだろう?ミルが俺に笑いかけるのは……どんなにこの笑顔を見たかったか……)
「俺、みっともない。カッコつけてミルを陰から守ってきたつもりなのに最後はミルに助けられて……かっこ悪すぎだよな」
「リヴィはずっとかっこいいよ。魔法が上手で頑張り屋でみんなに優しくて……まぁわたしにだけは意地悪だったけど?いつも女の子達に囲まれて……男の子達にも慕われていたわ。わたしにはない憧れの世界で生きていた人だと思うわ………わたしも意地ばかり張って素直じゃなかった。
リヴィ、守ってくれてありがとう。そしてごめんなさい……今頃素直になっても遅すぎたけど、あなたもオリソン国にはたくさんの知人が出来たと思うの。だから遊びに来てちょうだい。待っているわ」
「いいのか?会いに行っても?」
「もちろんよ。ギルさんはとても喜ぶと思うわ。わたし向こうに住んだらルイスと一緒に仕事を始めるつもりなの」
「………ルイスと?」
「ええ、ガトラが商売に興味があるらしくてルイスやお父様が協力して立ち上げることになったの。
魔道具って魔力がなければ使えないけど、そこに貯めて魔道具を使えば魔法のない国でも魔道具を使えると思うの。友達の魔道具師が今魔力を貯めた石を使う魔道具を開発しているの」
「魔力を貯めた石?」
「石を使えば魔力を貯められるの。魔道具と魔法石を売るつもりなの」
「そんなことができるのか?」
「うん、わたしが魔法の練習をしている時に使用人達が手伝ってくれたの。
その時に魔力を他人に【譲渡】できないかみんな練習したのだけどやっぱり無理で、じゃあ、庭にあった石にしてみようと言うことになってやってみたら偶然出来たの!でも石ならなんでもいいと言うわけではなかったみたい。
庭にあった石の中の煙水晶……スモーキークォーツという茶色や黒っぽい煙がかったような色の石にしか魔力が込められなかったの」
「ふうん、その石はどうやって取るの?」
「うーん、それは川で、なんかよくわかんないんだけどガマっていう穴が空いているのを探して根気よく見つけるんだって」
「それは大変な仕事だな」
「うん、だけど平民の人にとっては仕事になるから有難いと言われたわ。いろんな鉱物が取れるらしいの、それを高額で買ってくれるなら喜んで仕事をすると言ってくれているわ」
「そうか、これから大変だけどやりがいのある仕事を見つけたんだ」
「これはリヴィの家との共同事業のおかげだよ。仕事の楽しさを教わったんだもの」
「ミルは俺と結婚している時もずっと事業の手伝いをしてくれていたもんな」
「とても楽しいわ。オリソン国は特に男とか女とか平民とか貴族とかあまり拘らないで能力があれば認めてもらえる国でしょう?魔法が使えなくても生きていけるわ。だけどみんなに守ってもらうばかりの生活より自分の身は自分で守れるようになりたい。
だから向こうへ行ったら魔法も頑張るけど、体術とかも頑張るつもり」
「俺、会いに行くよ。ミルの新しい世界を見てみたい」
「うん、ぜひ、会いに来て。わたし……後悔していたの。
あんな別れ方をしてしまって……リヴィとはずっとずっと一緒だと幼い頃約束したのに、もう二度と話すこともない関係になってしまって……今更だけど……もう一度幼馴染に戻りたい」
「俺は……ずっとミルが好きで間違った態度しか取れなかった。もう一度ミルと幼馴染から始めたい。
………そして、いつかミルにもう一度……」
(俺にチャンスが欲しい)
だけどその言葉は飲み込んだ。これだけ片思いし続けてきた。あと数年片思いしてもいいんじゃないか?
リヴィは心の中で開き直ることにした。ミルにとことん嫌われてどん底まで落ちたんだからもう落ちようがない。
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