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番外編 結婚しました。後編
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カイにみんなを任せてリヴィとミルヒーナは二人だけで過ごすことにした。
ミルヒーナを狙う者はもうこの国にはいない。それはミルヒーナが魔法を使えるようになり反撃できるようになったから。
もちろん体には防御のための魔道石もたくさん身につけている。
イヤリングやネックレス、指輪に至るまでプレゼントをしたのはリヴィ。
リヴィが魔道石と宝石を合わせたものを作り出した。
『魔導士になったのはミルを守るためだからね。これからもミルのために必要なものを考えて作り出すからね』
彼の仕事の原動力は全てミルヒーナがいるから。
「ねえ、久しぶりに幼い頃によく遊んだ湖に行かない?」
「懐かしいな、うん、今から?」
「だめ?魔道車で行きましょうよ」
これもリヴィが考えだしたもの。
魔導石を馬の代わりに使った車。
これを作ったのを見た陛下がすぐに気に入り「欲しい」と何度も頼んだのに「これは妻のためのものです」と絶対譲らなかった。
でも、あまりにも懇願されて仕方なく今2台目を製作中で急がなければいけない案件なのだけど、今回のみんなでの旅行のため、ミルヒーナと一緒にいたいと言う理由で1週間休みをとっている。
「休みをくれなければもう作りません。魔導士の仕事を辞めます」
と脅すと「はあああ」と大きな溜息を吐いた上司が仕方なく休みをくれた。
そんな事情は全く知らないミルヒーナはリヴィと充実した時間を楽しんでいた。
まだ二人が仲が良かった頃、互いの両親と共にみんなで遊びに来ていた湖。
ボートがあり周りには宿泊施設がありカフェやレストランもある。
二人でのんびりボートに乗ってゆっくりとした時間が流れた。
このボートにも魔道具が使われていてオールが自動で動くので手が疲れることがない。方向だけを自分で動かすだけなので人気がありたくさんの人がこの湖にも遊びに来るようになった。
「なんだかどんどん便利になっていくわよね」
「うん、だけど全て全自動にするわけではないんだ、少しは自分で動かすところもないとせっかくのデートなのに男の見せ場がなくなるからね」
「変なところで格好をつけるのね?」
「俺、オリソン国で魔法が使えないと『ただの人』だったんだ……みんなしっかり体を鍛えてる。魔法は便利だけどいざとなったらやっぱり自分自身の体力だと思った……ミルを守るためにももっと鍛えるつもりだ」
「リヴィ、わたし、自分が守られてばかりの人生なんて嫌だわ」
「えっ?でも、俺君を傷つけてきた。だから今度は傷つけないようにしたいんだ」
「うーん、もう、十分反省したんでしょう?わたしもしっかりリヴィを傷つけたし気にしないで欲しいの」
「わかってはいるんだ……俺さギルさんって凄いと思うんだ」
「どうして?」
「だってどんな時でも前向きだろう?本当は悔しいことや辛い時もあると思うんだ。それなのにいつも周りを明るくさせて……ちょっとうるさいけど……」
「わたしもギルさん大好きだわ」
「ふうん……やっぱり俺ギルさん嫌いかも」
突然ムスッとしたリヴィにクスクス笑うミルヒーナ。
「リヴィったらわたしはあなたが一番大好きよ?」
「えっ?ほんと?」
「もちろんよ。覚えてる?5歳の時この湖で二人で誓い合った時のこと」
「ああ、忘れないよ。『ずっと一緒にいよう』と約束したんだ。その時俺はミルに初めてキスをした」
「そうよ、それなのにあなたはわたし以外の人ともキスをしたのよね?それにいつもたくさんの女の子をそばに置いていたわ」
「あ、あれは……無理やり巻き込まれただけだし、女の子は……ミルにヤキモチを焼いて欲しかったから……全く妬いてもらえなかったし、さらに嫌われてしまったし、俺ってほんと最低だよな」
「ふふっ、お互い思い出話しはあの頃になってしまうわね?わたしはリヴィが嫌いで苦手だった。そんなわたしの態度にリヴィはさらに拗らせて意地悪な態度が酷くなって……もうそんなことがないようにお互いしっかり話し合いましょうね?」
「もちろんさ、俺はどんなに仕事が忙しくても夜は君のベッドの隣に帰ってくると決めているんだ」
「うん、待ってるわ……リヴィ……愛しているわ……あのね、ここであなたに伝えたかったの」
「なに?」
「わたしのお腹には赤ちゃんがいるの、あと半年したらリヴィはパパになるのよ?」
「…………………」
リヴィは声を出さずに目を逸らし横を向いた。
「リヴィ……どうして返事をしてくれないの?」
ミルヒーナはまさかそんな態度を取られるとは思わず悲しくなり不安になってしまった。
「………………あーーーー、ご、ごめん………」
リヴィはミルヒーナの手を握りしめていた。
その目からは涙が溢れて声が掠れていた。
「ま、まさか………そんな幸せな話を聞かされるなんて…………」
「喜んでくれるの?」
「当たり前だろう?急いでオリソン国へ帰ろう。もうみんなのことなんてどうでもいいよ」
「やだ、いきなり何を言い出すの?」
「もうミルが魔法を使うのは禁止だ。ベッドで大人しく寝ていなければいけないだろう?あ、仕事もルイス兄さんに全て託そう。ガトラだってもう大人だからしっかり働いてもらわないと」
「ガトラはまだ学生です!成人にもなっていないのに働くなんて!今でもしっかり手伝いはしてくれているわ。それに妊娠は病気ではないのよ?産まれるまでベッドの中にいるなんて有り得ないわ!」
「じゃあどうすればいいんだ?あ、俺が代わりに子供を産む?そんな魔法がすぐにあみ出せるわけはないし……ミル、とりあえず魔道車に戻ろう」
「もう!だから安定期になるまで内緒にしているつもりだったのよ!お母様達が早く知らせてあげなさいと言うからせっかくだからこの思い出の場所で話そうと思ったのに……リヴィなんて嫌い!二人でこの湖で過ごしたかったのに……帰るなんて言うから!馬鹿!」
結局二人はいつものように言い合いになってしまった。だけど魔道車の中では疲れて眠るミルヒーナを優しく抱き寄せ自分にもたれ掛けさせて眠らせてご満悦のリヴィ。
ミルヒーナの髪を何度も優しく触り「愛してる」「無理はしないで」と声をかけた。
スヤスヤ眠る愛する妻の寝顔を見ながら、今度は赤ちゃんのための魔道具を作ろうと考えていた。
そしてみんなをオリソン国へ送るのを反対したリヴィは数回に分けて送ることにした。しかし魔力が足りなくなり結局ミルヒーナに【譲渡】してもらうしかなくなり。
「だから最初からわたしが一回で送ってあげたほうがいいと言ったのよ!」
とリヴィは叱られてみんなから生温かい目で見られてしまった。
妊娠しても魔法を使うのは当たり前のことで全く体に異変は起こらないし体調を崩すこともない。
結局オリソン国に帰るのに最後はまとめてミルヒーナが送ることになった。
「俺が先に父親になったんだからこれからリヴィにアドバイスしてやるよ」
ギルの言葉に間髪入れず「いえ、結構です」と断ったリヴィ。
それを見てイアンとイーサンは大笑いをした。
「なんで俺のアドバイスを聞いてくれないんだよ」
いじけているギルにオリエは言った。
「ギルを見ていたらどんないいアドバイスでも信用できなくなるからよ」
オリエにポンっと肩を叩かれ「酷い…」と落ち込んでいた。
「ギルさん、わたしはギルさんのアドバイスとても助かってますよ?
『妊娠は病気じゃない!いっぱい動いて元気な赤ちゃんを産むんだ!』その言葉を参考にしていますよ」
ミルヒーナがニコニコしながら言った。
「それはアンが騎士で出産ギリギリまで我が家で働いていたからでしょう?アンは妊娠してからは騎士の仕事はさせていなかったわよ!うちで子供達の面倒を見てもらったの!ギル、あなた間違ってるわ!」
「ええ?そうなの?いつもアンが元気に仕事行ってたからそれでいいと思っていたんだけど?」
「妊娠は病気ではないから動いてもいいの。でもねずっと元気なわけではないわ、やっぱり疲れやすいし無理して流産したり早産したりすることもあるのよ?出産で亡くなることもあるの。だからミルも気をつけてね?」
「……ですよね?」
ーーわかってはいるのだけど……リヴィがこれからものすごく過保護になりそうで……怖すぎるわ。
「ほら、ミル、早く帰って横になろう」
リヴィはほら見たことかと言う顔をしてミルヒーナの手を握った。
「過保護になりすぎても元気な赤ちゃんは産めないわ!リヴィ、ずっと部屋から出さないなんてしたらミルが体力落ちて死ぬかもしれないからね!」
「えっ?」
(なんでバレたんだ?ずっと部屋に閉じ込めて囲うつもりだったのに)
リヴィが思わず振り返るとみんなが頭を縦にコクコクと頷いた。
「……………わかりました……でも今日は疲れているだろうから帰ります」
「皆さん、楽しい時間を過ごせて良かったです。またぜひ次は食事会でもしましょう」
「もちろんよ。いろいろアドバイスさせてね?」
「ありがとうございます」
「リヴィ、早く起きてちょうだい!ユリウスが泣いているわ!」
「………う、うん……」
(ハァ、さっき泣き止んで寝てくれたと思ったのに……)
お腹にいる時はミルヒーナが心配で堪らなかったのに、生まれてきた可愛いはずの息子は自分にそっくりで、ミルヒーナを生まれてからずっと独占している。
悔しくて今夜は自分がミルクを飲ませると言ったはいいけど、ベッドに置くとすぐに泣き出す。
仕方なくずっと抱っこをしていたが疲れて限界になり寝ているのでベッドに置くと5分も経たずにまた泣き出した。
「うとうとすらさせてもらえないなんて……」
「だからわたしが面倒をみるって言ったのに……今から交代しましょう?」
「嫌だよ、俺が言い出したんだ。それにミルにずっと抱っこされるなんてユリウスはずるいよ。俺だって最近は一緒に寝ていないんだ、俺はミル不足で寂しいんだ」
「変なこと言わないで!赤ちゃんがいるんだから夜泣きでうるさいからあなたのために別の部屋で過ごしているだけでしょう?」
「それが寂しいんだ。今夜からは三人一緒に寝よう、うん、それがいい」
安心したのかリヴィはユリウスをもう一度寝かしつけると意識を失うように眠ってしまった。
「リヴィ、あなたって……ほんとわたしのことが大好きなのね………
でも、こんなんじゃ先が思いやられるわ」
「かあしゃま!だっこぉ」
「お前はリラに抱っこして貰えばいい。ミルは俺のものだ!」
「やっ!とうしゃま、きらい!」
「俺だってお前よりミルの方が好きだ!お前は二番目だ!」
「ユリも、いっちばんは、かあしゃま!」
◆ ◆ ◆
読んでいただきありがとうございました。
いいね、エール、感想ありがとうございました。
ミルヒーナを狙う者はもうこの国にはいない。それはミルヒーナが魔法を使えるようになり反撃できるようになったから。
もちろん体には防御のための魔道石もたくさん身につけている。
イヤリングやネックレス、指輪に至るまでプレゼントをしたのはリヴィ。
リヴィが魔道石と宝石を合わせたものを作り出した。
『魔導士になったのはミルを守るためだからね。これからもミルのために必要なものを考えて作り出すからね』
彼の仕事の原動力は全てミルヒーナがいるから。
「ねえ、久しぶりに幼い頃によく遊んだ湖に行かない?」
「懐かしいな、うん、今から?」
「だめ?魔道車で行きましょうよ」
これもリヴィが考えだしたもの。
魔導石を馬の代わりに使った車。
これを作ったのを見た陛下がすぐに気に入り「欲しい」と何度も頼んだのに「これは妻のためのものです」と絶対譲らなかった。
でも、あまりにも懇願されて仕方なく今2台目を製作中で急がなければいけない案件なのだけど、今回のみんなでの旅行のため、ミルヒーナと一緒にいたいと言う理由で1週間休みをとっている。
「休みをくれなければもう作りません。魔導士の仕事を辞めます」
と脅すと「はあああ」と大きな溜息を吐いた上司が仕方なく休みをくれた。
そんな事情は全く知らないミルヒーナはリヴィと充実した時間を楽しんでいた。
まだ二人が仲が良かった頃、互いの両親と共にみんなで遊びに来ていた湖。
ボートがあり周りには宿泊施設がありカフェやレストランもある。
二人でのんびりボートに乗ってゆっくりとした時間が流れた。
このボートにも魔道具が使われていてオールが自動で動くので手が疲れることがない。方向だけを自分で動かすだけなので人気がありたくさんの人がこの湖にも遊びに来るようになった。
「なんだかどんどん便利になっていくわよね」
「うん、だけど全て全自動にするわけではないんだ、少しは自分で動かすところもないとせっかくのデートなのに男の見せ場がなくなるからね」
「変なところで格好をつけるのね?」
「俺、オリソン国で魔法が使えないと『ただの人』だったんだ……みんなしっかり体を鍛えてる。魔法は便利だけどいざとなったらやっぱり自分自身の体力だと思った……ミルを守るためにももっと鍛えるつもりだ」
「リヴィ、わたし、自分が守られてばかりの人生なんて嫌だわ」
「えっ?でも、俺君を傷つけてきた。だから今度は傷つけないようにしたいんだ」
「うーん、もう、十分反省したんでしょう?わたしもしっかりリヴィを傷つけたし気にしないで欲しいの」
「わかってはいるんだ……俺さギルさんって凄いと思うんだ」
「どうして?」
「だってどんな時でも前向きだろう?本当は悔しいことや辛い時もあると思うんだ。それなのにいつも周りを明るくさせて……ちょっとうるさいけど……」
「わたしもギルさん大好きだわ」
「ふうん……やっぱり俺ギルさん嫌いかも」
突然ムスッとしたリヴィにクスクス笑うミルヒーナ。
「リヴィったらわたしはあなたが一番大好きよ?」
「えっ?ほんと?」
「もちろんよ。覚えてる?5歳の時この湖で二人で誓い合った時のこと」
「ああ、忘れないよ。『ずっと一緒にいよう』と約束したんだ。その時俺はミルに初めてキスをした」
「そうよ、それなのにあなたはわたし以外の人ともキスをしたのよね?それにいつもたくさんの女の子をそばに置いていたわ」
「あ、あれは……無理やり巻き込まれただけだし、女の子は……ミルにヤキモチを焼いて欲しかったから……全く妬いてもらえなかったし、さらに嫌われてしまったし、俺ってほんと最低だよな」
「ふふっ、お互い思い出話しはあの頃になってしまうわね?わたしはリヴィが嫌いで苦手だった。そんなわたしの態度にリヴィはさらに拗らせて意地悪な態度が酷くなって……もうそんなことがないようにお互いしっかり話し合いましょうね?」
「もちろんさ、俺はどんなに仕事が忙しくても夜は君のベッドの隣に帰ってくると決めているんだ」
「うん、待ってるわ……リヴィ……愛しているわ……あのね、ここであなたに伝えたかったの」
「なに?」
「わたしのお腹には赤ちゃんがいるの、あと半年したらリヴィはパパになるのよ?」
「…………………」
リヴィは声を出さずに目を逸らし横を向いた。
「リヴィ……どうして返事をしてくれないの?」
ミルヒーナはまさかそんな態度を取られるとは思わず悲しくなり不安になってしまった。
「………………あーーーー、ご、ごめん………」
リヴィはミルヒーナの手を握りしめていた。
その目からは涙が溢れて声が掠れていた。
「ま、まさか………そんな幸せな話を聞かされるなんて…………」
「喜んでくれるの?」
「当たり前だろう?急いでオリソン国へ帰ろう。もうみんなのことなんてどうでもいいよ」
「やだ、いきなり何を言い出すの?」
「もうミルが魔法を使うのは禁止だ。ベッドで大人しく寝ていなければいけないだろう?あ、仕事もルイス兄さんに全て託そう。ガトラだってもう大人だからしっかり働いてもらわないと」
「ガトラはまだ学生です!成人にもなっていないのに働くなんて!今でもしっかり手伝いはしてくれているわ。それに妊娠は病気ではないのよ?産まれるまでベッドの中にいるなんて有り得ないわ!」
「じゃあどうすればいいんだ?あ、俺が代わりに子供を産む?そんな魔法がすぐにあみ出せるわけはないし……ミル、とりあえず魔道車に戻ろう」
「もう!だから安定期になるまで内緒にしているつもりだったのよ!お母様達が早く知らせてあげなさいと言うからせっかくだからこの思い出の場所で話そうと思ったのに……リヴィなんて嫌い!二人でこの湖で過ごしたかったのに……帰るなんて言うから!馬鹿!」
結局二人はいつものように言い合いになってしまった。だけど魔道車の中では疲れて眠るミルヒーナを優しく抱き寄せ自分にもたれ掛けさせて眠らせてご満悦のリヴィ。
ミルヒーナの髪を何度も優しく触り「愛してる」「無理はしないで」と声をかけた。
スヤスヤ眠る愛する妻の寝顔を見ながら、今度は赤ちゃんのための魔道具を作ろうと考えていた。
そしてみんなをオリソン国へ送るのを反対したリヴィは数回に分けて送ることにした。しかし魔力が足りなくなり結局ミルヒーナに【譲渡】してもらうしかなくなり。
「だから最初からわたしが一回で送ってあげたほうがいいと言ったのよ!」
とリヴィは叱られてみんなから生温かい目で見られてしまった。
妊娠しても魔法を使うのは当たり前のことで全く体に異変は起こらないし体調を崩すこともない。
結局オリソン国に帰るのに最後はまとめてミルヒーナが送ることになった。
「俺が先に父親になったんだからこれからリヴィにアドバイスしてやるよ」
ギルの言葉に間髪入れず「いえ、結構です」と断ったリヴィ。
それを見てイアンとイーサンは大笑いをした。
「なんで俺のアドバイスを聞いてくれないんだよ」
いじけているギルにオリエは言った。
「ギルを見ていたらどんないいアドバイスでも信用できなくなるからよ」
オリエにポンっと肩を叩かれ「酷い…」と落ち込んでいた。
「ギルさん、わたしはギルさんのアドバイスとても助かってますよ?
『妊娠は病気じゃない!いっぱい動いて元気な赤ちゃんを産むんだ!』その言葉を参考にしていますよ」
ミルヒーナがニコニコしながら言った。
「それはアンが騎士で出産ギリギリまで我が家で働いていたからでしょう?アンは妊娠してからは騎士の仕事はさせていなかったわよ!うちで子供達の面倒を見てもらったの!ギル、あなた間違ってるわ!」
「ええ?そうなの?いつもアンが元気に仕事行ってたからそれでいいと思っていたんだけど?」
「妊娠は病気ではないから動いてもいいの。でもねずっと元気なわけではないわ、やっぱり疲れやすいし無理して流産したり早産したりすることもあるのよ?出産で亡くなることもあるの。だからミルも気をつけてね?」
「……ですよね?」
ーーわかってはいるのだけど……リヴィがこれからものすごく過保護になりそうで……怖すぎるわ。
「ほら、ミル、早く帰って横になろう」
リヴィはほら見たことかと言う顔をしてミルヒーナの手を握った。
「過保護になりすぎても元気な赤ちゃんは産めないわ!リヴィ、ずっと部屋から出さないなんてしたらミルが体力落ちて死ぬかもしれないからね!」
「えっ?」
(なんでバレたんだ?ずっと部屋に閉じ込めて囲うつもりだったのに)
リヴィが思わず振り返るとみんなが頭を縦にコクコクと頷いた。
「……………わかりました……でも今日は疲れているだろうから帰ります」
「皆さん、楽しい時間を過ごせて良かったです。またぜひ次は食事会でもしましょう」
「もちろんよ。いろいろアドバイスさせてね?」
「ありがとうございます」
「リヴィ、早く起きてちょうだい!ユリウスが泣いているわ!」
「………う、うん……」
(ハァ、さっき泣き止んで寝てくれたと思ったのに……)
お腹にいる時はミルヒーナが心配で堪らなかったのに、生まれてきた可愛いはずの息子は自分にそっくりで、ミルヒーナを生まれてからずっと独占している。
悔しくて今夜は自分がミルクを飲ませると言ったはいいけど、ベッドに置くとすぐに泣き出す。
仕方なくずっと抱っこをしていたが疲れて限界になり寝ているのでベッドに置くと5分も経たずにまた泣き出した。
「うとうとすらさせてもらえないなんて……」
「だからわたしが面倒をみるって言ったのに……今から交代しましょう?」
「嫌だよ、俺が言い出したんだ。それにミルにずっと抱っこされるなんてユリウスはずるいよ。俺だって最近は一緒に寝ていないんだ、俺はミル不足で寂しいんだ」
「変なこと言わないで!赤ちゃんがいるんだから夜泣きでうるさいからあなたのために別の部屋で過ごしているだけでしょう?」
「それが寂しいんだ。今夜からは三人一緒に寝よう、うん、それがいい」
安心したのかリヴィはユリウスをもう一度寝かしつけると意識を失うように眠ってしまった。
「リヴィ、あなたって……ほんとわたしのことが大好きなのね………
でも、こんなんじゃ先が思いやられるわ」
「かあしゃま!だっこぉ」
「お前はリラに抱っこして貰えばいい。ミルは俺のものだ!」
「やっ!とうしゃま、きらい!」
「俺だってお前よりミルの方が好きだ!お前は二番目だ!」
「ユリも、いっちばんは、かあしゃま!」
◆ ◆ ◆
読んでいただきありがとうございました。
いいね、エール、感想ありがとうございました。
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