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イザベラ編
ふふ、セレナ様が離縁して公爵家を出て行ったわ。
学生の時はスティーブを脅して彼女に近寄らないようにした。
だってスティーブはわたしの気持ちを知っていながらこんな酷いことを言ったのだもの。
『母上に女の子には優しくしないといずれセレンに嫌われるからと言われたんだ。
セレンが帰ってきた時に僕はセレンを大切にしたい。だから周りにいる女の子にも優しくすることで変わろうとしただけなんだ』
こんなこと許されるはずがないわ。
だってスティーブはわたしが好きなはずなのに。
『僕が好きなのはセレンだ。僕の初恋で何があっても大切にしたい女の子なんだ』
わたしはどうしても許せなかった。だから部屋のものを投げたりして暴れた。
『セレン様をもし大切にしたら、あの子に何をするかわからないわ。覚えておいて。絶対に許さないわ』
『君がセレンに何をすると言うんだ?セレンは僕の大切な婚約者だ!君と婚約することもないし君を好きになることもない!』
『許さない、絶対許さない。セレンを大切にしたらセレンを殺してやるわ』
『ふざけるな!僕の家は公爵家だ。君の侯爵家より上なんだ。父上達に言ってとめてもらう』
『ふん!子供の戯言を本気で受け止めてくれるかしら?わたしは親の前ではとても大人しくていい子なの。そんなことスティーブが言っても誰も信じないわ』
『…………セレンに何もするな。手を出すな。でもどんなに脅されてもセレンとの婚約は解消されないし君を好きになることもない。軽蔑するだけだ。それでもいいの?』
『好きになってもらえないならセレンもスティーブも辛い思いをしたらいいのよ。わたしだけ辛くて悲しいなんて絶対に嫌!みんな不幸になればいいのよ!』
それからのスティーブはセレン様に対して冷たい態度を取ってくれたわ。
私がそばに居るのが当たり前になってセレン様が関わってくることはなかった。
これで婚約解消してわたしがお嫁さんになれると思ったのに、やっぱりセレン様と結婚したスティーブ。
おば様がどうしてもセレン様を嫁にと言い張ったらしいとお母様が教えてくれた。
「イザベラ、もう諦めなさい。16歳にもなったのだからそろそろ本気で婚約者をみつけないと行き遅れになってしまうわ」
「お母様…わたしはスティーブのお嫁さんになりたいの」
「何を言っているの。スティーブ様はもう結婚したのよ?」
「スティーブが好きなのはわたしなの。無理やり政略結婚をさせられたのよ?本当はわたしと結婚したかったはずなの。だから離縁させてやるわ」
わたしは決心した。
何があっても二人の新婚生活の邪魔をしてやるの。
なのに……何故かセレン様はわたしに協力的だった。
嫌がりもせずわたしが来てもニコニコしていたし、おば様と仲良くして仕事の邪魔をしても、スティーブにベッタリと引っ付いていても無反応。
それどころか「いずれイザベラ様が公爵夫人になるのだから」と言って仕事を押し付けてきた。
「そ、そうよ、わたくしは公爵夫人になるのよ」
そう思ってセレン様の仕事を手伝ってみた。
なんて大変な仕事。
もう二度としたくない。そう思ってもまた振ってくる。
あの根性は見上げたものね。
わたしなら絶対に嫌だわ。
わたしはスティーブの横で何もせず幸せに微笑んで暮らしたいだけだもの。
離縁が決まる少し前、ストマが公爵家の使用人や騎士の間で流行ってみんな体調を崩した。
重症になれば死ぬこともある。軽症のうちに薬さえ飲めば治る病気。
時折り流行するのでどこの屋敷でも薬を常備しているのに今回は人数が多すぎて薬が足りなかった。
「セレン様が癒しの魔法で治療しているの?」
いつものようにスティーブの近くにくっついていると使用人がそんな報告をしてきた。
スティーブはセレン様が癒しの魔法を使えることを知っていたようだ。そんな重要なことを知っていたなんて……まるでスティーブとセレン様は夫婦のようだわ。
そう思うと腹が立ち悔しかった。
どんなにスティーブの近くに居てもヤキモチすら妬かないセレン。
ーーそれがなんだかイライラする。
スティーブは
どんなに色仕掛けをしても靡いてくれない。我儘を言っても聞いてくれているように見えて実はわたしに興味がなく使用人に「適当にしておいてくれ」と言って相手にもしてくれない。
セレンはこの屋敷で使用人に慕われ好かれているのがわかる。それでもスティーブとの関係が冷え切っているのでわたしがつけ入る隙はあると思っているのに、二人にはしっかり重要なことを話す信頼関係があるのだと知り、焦りを感じた。
そしてわたしもおば様もスティーブもストマになった。
お腹の激しい痛み。
なのにわたしは薬で治すと言われた。
ーーはあ?セレン様の癒しの力なら一瞬で治せるのにどうしてわたしだけが薬なの?
「わたしを先に助けなさい」
わたしの言葉など無視するセレン様。
「誰か、この人の口に薬を突っ込んでください!そしてわたしの目の前から見えないところに連れて行ってください、邪魔です、迷惑です」
ーーカチンときた。なんて言葉を!
腹が立つし悔しいし、お腹は痛いし!
「はあ?邪魔!ふざけないで!わたしを誰だと思っているの?レテーシア様に似ているからとおじ様が選んで結婚させてもらって、次期公爵夫人なんて言われてるけどスティーブ様に愛されることもなくもうすぐ離縁されるって噂でみんなあんたのことなんか見下しているのよ!」
この言葉は言ってはいけなかった。
おば様が突然暴れ始めた。
学生の時はスティーブを脅して彼女に近寄らないようにした。
だってスティーブはわたしの気持ちを知っていながらこんな酷いことを言ったのだもの。
『母上に女の子には優しくしないといずれセレンに嫌われるからと言われたんだ。
セレンが帰ってきた時に僕はセレンを大切にしたい。だから周りにいる女の子にも優しくすることで変わろうとしただけなんだ』
こんなこと許されるはずがないわ。
だってスティーブはわたしが好きなはずなのに。
『僕が好きなのはセレンだ。僕の初恋で何があっても大切にしたい女の子なんだ』
わたしはどうしても許せなかった。だから部屋のものを投げたりして暴れた。
『セレン様をもし大切にしたら、あの子に何をするかわからないわ。覚えておいて。絶対に許さないわ』
『君がセレンに何をすると言うんだ?セレンは僕の大切な婚約者だ!君と婚約することもないし君を好きになることもない!』
『許さない、絶対許さない。セレンを大切にしたらセレンを殺してやるわ』
『ふざけるな!僕の家は公爵家だ。君の侯爵家より上なんだ。父上達に言ってとめてもらう』
『ふん!子供の戯言を本気で受け止めてくれるかしら?わたしは親の前ではとても大人しくていい子なの。そんなことスティーブが言っても誰も信じないわ』
『…………セレンに何もするな。手を出すな。でもどんなに脅されてもセレンとの婚約は解消されないし君を好きになることもない。軽蔑するだけだ。それでもいいの?』
『好きになってもらえないならセレンもスティーブも辛い思いをしたらいいのよ。わたしだけ辛くて悲しいなんて絶対に嫌!みんな不幸になればいいのよ!』
それからのスティーブはセレン様に対して冷たい態度を取ってくれたわ。
私がそばに居るのが当たり前になってセレン様が関わってくることはなかった。
これで婚約解消してわたしがお嫁さんになれると思ったのに、やっぱりセレン様と結婚したスティーブ。
おば様がどうしてもセレン様を嫁にと言い張ったらしいとお母様が教えてくれた。
「イザベラ、もう諦めなさい。16歳にもなったのだからそろそろ本気で婚約者をみつけないと行き遅れになってしまうわ」
「お母様…わたしはスティーブのお嫁さんになりたいの」
「何を言っているの。スティーブ様はもう結婚したのよ?」
「スティーブが好きなのはわたしなの。無理やり政略結婚をさせられたのよ?本当はわたしと結婚したかったはずなの。だから離縁させてやるわ」
わたしは決心した。
何があっても二人の新婚生活の邪魔をしてやるの。
なのに……何故かセレン様はわたしに協力的だった。
嫌がりもせずわたしが来てもニコニコしていたし、おば様と仲良くして仕事の邪魔をしても、スティーブにベッタリと引っ付いていても無反応。
それどころか「いずれイザベラ様が公爵夫人になるのだから」と言って仕事を押し付けてきた。
「そ、そうよ、わたくしは公爵夫人になるのよ」
そう思ってセレン様の仕事を手伝ってみた。
なんて大変な仕事。
もう二度としたくない。そう思ってもまた振ってくる。
あの根性は見上げたものね。
わたしなら絶対に嫌だわ。
わたしはスティーブの横で何もせず幸せに微笑んで暮らしたいだけだもの。
離縁が決まる少し前、ストマが公爵家の使用人や騎士の間で流行ってみんな体調を崩した。
重症になれば死ぬこともある。軽症のうちに薬さえ飲めば治る病気。
時折り流行するのでどこの屋敷でも薬を常備しているのに今回は人数が多すぎて薬が足りなかった。
「セレン様が癒しの魔法で治療しているの?」
いつものようにスティーブの近くにくっついていると使用人がそんな報告をしてきた。
スティーブはセレン様が癒しの魔法を使えることを知っていたようだ。そんな重要なことを知っていたなんて……まるでスティーブとセレン様は夫婦のようだわ。
そう思うと腹が立ち悔しかった。
どんなにスティーブの近くに居てもヤキモチすら妬かないセレン。
ーーそれがなんだかイライラする。
スティーブは
どんなに色仕掛けをしても靡いてくれない。我儘を言っても聞いてくれているように見えて実はわたしに興味がなく使用人に「適当にしておいてくれ」と言って相手にもしてくれない。
セレンはこの屋敷で使用人に慕われ好かれているのがわかる。それでもスティーブとの関係が冷え切っているのでわたしがつけ入る隙はあると思っているのに、二人にはしっかり重要なことを話す信頼関係があるのだと知り、焦りを感じた。
そしてわたしもおば様もスティーブもストマになった。
お腹の激しい痛み。
なのにわたしは薬で治すと言われた。
ーーはあ?セレン様の癒しの力なら一瞬で治せるのにどうしてわたしだけが薬なの?
「わたしを先に助けなさい」
わたしの言葉など無視するセレン様。
「誰か、この人の口に薬を突っ込んでください!そしてわたしの目の前から見えないところに連れて行ってください、邪魔です、迷惑です」
ーーカチンときた。なんて言葉を!
腹が立つし悔しいし、お腹は痛いし!
「はあ?邪魔!ふざけないで!わたしを誰だと思っているの?レテーシア様に似ているからとおじ様が選んで結婚させてもらって、次期公爵夫人なんて言われてるけどスティーブ様に愛されることもなくもうすぐ離縁されるって噂でみんなあんたのことなんか見下しているのよ!」
この言葉は言ってはいけなかった。
おば様が突然暴れ始めた。
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