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夢の中。1話
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「王妃様!早く逃げてください!」
侍女長が真っ青な顔をして深夜に執務室へとやって来た。
まだ仕事が残っていて明日の議会のための資料を読み込んでいた。家臣達に隙を見つけられ突っ込まれないようにしっかりと把握する必要があった。
国政は乱れ家臣達は何か少しでも不備や間違いがあれば粗を探し、これ幸いとやじや暴言が飛んでくる。そして王家を引きずり下ろそうと考えている。
夫の国王は今、他国へと協議のため行っている。
愛する側妃と共に。
王妃はその間一人この国を守っている。
たくさんの老獪なたぬき達との攻防に疲れ果てていたが、あと少し踏ん張れば他国からの援助が来るだろうと期待していた。
協議というのは建前で、この国の災害がもたらした大不況をなんとかしようと近隣諸国に援助を求めていた。
なんとか上手くいきそうだと早馬で知らせが来ていた。
あと少し……あと少し、粘れば……
「クーデターですか?」
「は、はい……たくさんの人々が城に押し寄せて来ております。兵士たちがなんとか抑えておりますが多勢に無勢でこのままではいつ占拠されても仕方がない状況です」
「そう……間に合わなかったのね」
国民達は貧困と空腹で不満を漏らしていた。
もう少し我慢さえしたら、穀物や野菜、炭など最低限の生活に必要な物資がくるはずだった。
「仕方がないわ。わたくしはここで静かに待っています。あなた達だけでもお逃げなさい」
王妃は静かにまた資料に目を通し始めた。
怖くないわけがない。たくさんの憎悪を一人で受け止めることなんてできるわけがない。
それでも王妃として、この国を預かる者として逃げることなく最後まで正々堂々としていなければならない。
机の上に置かれた手は小刻みに震えていた。
護衛騎士達が「逃げてください」と言ってきた。
騎士達も闘いの合間に王妃を心配して駆けつけてくれた。
血を流しながらも城を守ろうとしてくれていることに感謝しながら王妃は言った。
「命を大切にしてほしい。無駄な争いはやめましょう。一人でも命を救えるのならわたくしが皆の前に顔を出します」
椅子から立ち上がり護衛騎士達に静かに微笑んだ。
「貴族も庶民も関係ない。命はとても尊いのです。同じ国民同士なのに血を流し合うなどあってはならないことです」
石がたくさん投げつけられた。
体中に石が当たる。それでも王妃は民衆の前に静かだった。
そして頭を深々と下げた。
「あと少しあと少しだけお待ちいただけませんか?」
「あと少し?いつまでだ?」
「同じ言葉ばかり繰り返しているがいつ物資が届くんだ?」
「嘘つき!」
「子供達がお腹を空かせて死にそうなんだ!」
「ふざけるな!」
「お前なんか死んでしまえ!」
殺意と憎悪に王妃の心は怯え、本当は逃げ出したいくらいだった。
それでも「守る」と約束した。
だから何があっても最後まで逃げない。
✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎
「はああ、また嫌な夢を見た」
ベッドから起き上がり頭を掻いた。
嫌な気分の中、家に帰った。
空腹でイライラしているのかもしれないととりあえずサンドイッチとスープを飲み……また寝てしまった。
嫌なことはとりあえず放って、寝るのが一番。
なのにさらに嫌な気分。
今日の夢はあまりにも現実離れしているはずなのに胸が苦しい。
まるで自分が王妃にでもなったような気分だ。
チラリと時計を見るとまだ正午を過ぎたばかり。
お腹は空かないけど冷蔵庫は空っぽ。真面目に買い物でもしないとやばい。
あれだけ料理を頑張っていたはずなのに元彼との別れからどうでもよくなった。
「買い物にもう一度行くしかないか……」
化粧をして服を着替えた。
「うん、二日酔いの顔には見えないわ」
いつものコンビニじゃなく少し歩いたスーパーへ買い物に行こうとドアを開けた。
「………なんであんたがいるの?」
侍女長が真っ青な顔をして深夜に執務室へとやって来た。
まだ仕事が残っていて明日の議会のための資料を読み込んでいた。家臣達に隙を見つけられ突っ込まれないようにしっかりと把握する必要があった。
国政は乱れ家臣達は何か少しでも不備や間違いがあれば粗を探し、これ幸いとやじや暴言が飛んでくる。そして王家を引きずり下ろそうと考えている。
夫の国王は今、他国へと協議のため行っている。
愛する側妃と共に。
王妃はその間一人この国を守っている。
たくさんの老獪なたぬき達との攻防に疲れ果てていたが、あと少し踏ん張れば他国からの援助が来るだろうと期待していた。
協議というのは建前で、この国の災害がもたらした大不況をなんとかしようと近隣諸国に援助を求めていた。
なんとか上手くいきそうだと早馬で知らせが来ていた。
あと少し……あと少し、粘れば……
「クーデターですか?」
「は、はい……たくさんの人々が城に押し寄せて来ております。兵士たちがなんとか抑えておりますが多勢に無勢でこのままではいつ占拠されても仕方がない状況です」
「そう……間に合わなかったのね」
国民達は貧困と空腹で不満を漏らしていた。
もう少し我慢さえしたら、穀物や野菜、炭など最低限の生活に必要な物資がくるはずだった。
「仕方がないわ。わたくしはここで静かに待っています。あなた達だけでもお逃げなさい」
王妃は静かにまた資料に目を通し始めた。
怖くないわけがない。たくさんの憎悪を一人で受け止めることなんてできるわけがない。
それでも王妃として、この国を預かる者として逃げることなく最後まで正々堂々としていなければならない。
机の上に置かれた手は小刻みに震えていた。
護衛騎士達が「逃げてください」と言ってきた。
騎士達も闘いの合間に王妃を心配して駆けつけてくれた。
血を流しながらも城を守ろうとしてくれていることに感謝しながら王妃は言った。
「命を大切にしてほしい。無駄な争いはやめましょう。一人でも命を救えるのならわたくしが皆の前に顔を出します」
椅子から立ち上がり護衛騎士達に静かに微笑んだ。
「貴族も庶民も関係ない。命はとても尊いのです。同じ国民同士なのに血を流し合うなどあってはならないことです」
石がたくさん投げつけられた。
体中に石が当たる。それでも王妃は民衆の前に静かだった。
そして頭を深々と下げた。
「あと少しあと少しだけお待ちいただけませんか?」
「あと少し?いつまでだ?」
「同じ言葉ばかり繰り返しているがいつ物資が届くんだ?」
「嘘つき!」
「子供達がお腹を空かせて死にそうなんだ!」
「ふざけるな!」
「お前なんか死んでしまえ!」
殺意と憎悪に王妃の心は怯え、本当は逃げ出したいくらいだった。
それでも「守る」と約束した。
だから何があっても最後まで逃げない。
✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎
「はああ、また嫌な夢を見た」
ベッドから起き上がり頭を掻いた。
嫌な気分の中、家に帰った。
空腹でイライラしているのかもしれないととりあえずサンドイッチとスープを飲み……また寝てしまった。
嫌なことはとりあえず放って、寝るのが一番。
なのにさらに嫌な気分。
今日の夢はあまりにも現実離れしているはずなのに胸が苦しい。
まるで自分が王妃にでもなったような気分だ。
チラリと時計を見るとまだ正午を過ぎたばかり。
お腹は空かないけど冷蔵庫は空っぽ。真面目に買い物でもしないとやばい。
あれだけ料理を頑張っていたはずなのに元彼との別れからどうでもよくなった。
「買い物にもう一度行くしかないか……」
化粧をして服を着替えた。
「うん、二日酔いの顔には見えないわ」
いつものコンビニじゃなく少し歩いたスーパーへ買い物に行こうとドアを開けた。
「………なんであんたがいるの?」
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