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城。陛下との再会。
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「国王両陛下にご挨拶申し上げます」
両陛下の前で挨拶をした。
お二人は座ったまま静かに私を見下ろしていた。
「頭を上げなさい」
「はい」
「突然押しかけてきて無礼だとは思わないのか?」
不機嫌そう。当たり前よね?
この城に連れて来られてから、ずっと王宮内には近寄ろうともしなかったのに、突然押しかけたんだもの。
「申し訳ございません。こうでもしなければお会いすることもできませんので。わたくしは馬小屋で暮らす汚らしい女ですので」
そう言って二人に視線を向けた。
「それでも残念ながら、わたくしの体には王族の血が流れております。見捨てられようと蔑まれようと、両陛下にお会いする権利くらいはございましょう?」
「は?お前は突然何を言い出しておるんだ?」
陛下は肘掛けに肘をついて不機嫌を隠さない。
そして王妃は、何を考えているのかわからないくらい表情が読めない。
淡々とわたしの姿を見ていた。
この二人にわたしは前世で必死に愛を求め、ほんの少しでも愛してほしい、認めてほしいと願い、そして大国であるルワナ王国へと嫁いだのだった。
身を粉にして働いて、国民にも夫にも裏切られて処刑された。
わたしは前世を思い出すだけで握りしめていた拳からじわっと汗がでる。
「ご存知でしょう?常に見張りがついているのですから、報告は届いているはずですわ」
白々しい。
厩舎の周囲でいつも感じた視線はわたしを監視していたのじゃない。
オリビア様や令嬢達の発した言葉や、わたしに部屋に戻るようにと言いに来た侍女や、使用人達の態度も全て把握しているはず。
頭を下げてくる人もいたけど、横柄な態度をとった者だっていたわ。
「勝手にこの城から逃げ出して、連れ戻したら機嫌が悪く厩舎で過ごすお前のご機嫌など、誰がとると言うのだ?」
「この城にいたわたくしには、人としての人権などありませんでした。部屋に閉じ込められ、まともに世話もしてもらえず、まともに食事も与えてもらえないのなら、逃げ出すしかございませんよね?一人の人間すら食べさせることもできない貧しい城なのですから、逃げ出すのは仕方のないことでは?」
「は?何を言っておる?」
「オリビア様を養女に迎え、不要になったわたくしを軟禁して、虐げて、弱らせて殺すつもりだったのでしょう?」
この反応からすると、あの頃のわたしの置かれた状況をこの二人は知らないようね。
先ほどまで表情を変えなかった王妃が目を見開いて驚きを隠さない。
あの頃、わたしを殺すつもりなんてないのはわかってる。だって、大切な駒だもの。殺すわけないもの。いずれは利用して、見捨てるんだもの。
「殺す?お前を?」
「はい、わたくしはそう感じてこの城から逃げ出したのです。それなのに、なんとか一人で生きてきたわたくしを無理やり連れ帰って、今度は人々の笑い物として過ごさせようと思われているのですね?」
「お、お前は……」
怒りでプルプルと体を震わせる陛下に、目を離そうとしないで見つめた。
「どうかわたくしのことなど、今まで通り捨て置いていただきたいのです。この国には聖女であり、王女のオリビア様がおります。不要なわたくしに一銭のお金すらかけるのは惜しいのでしょう?」
クスッと嘲るように笑った。
真っ赤な顔をして怒りを抑えている陛下。真っ青な顔をしてわたしを見つめる王妃。
ここまで酷い言葉を言ったのだから……
怒鳴られ鞭打ち?
また軟禁?
周囲にいる騎士や臣下の者達は、ただこの状況を恐恐と見守っていた。
わたしのこのあまりにも不敬である発言に、恐れながらも目を離せないようだ。
「もう一度調べさせよう」
二人はそう言うと立ち上がり、わたしの目の前から去って行った。
二人の後ろ姿をじっといなくなるまで見つめた。
「はああああ」
かなり緊張していたみたい。ホッとして床に座り込んだ。
「怖かった」
そう呟いて、しばらく動けない。
頭上に笑い声が聞こえた。
誰?
重い頭を仕方なく持ち上げる。
「………」
ネルヴァン様……
ふうん、見ていたのね。
わたしは床に手をつきながら「よいしょ」と立ち上がった。
彼を無視して周囲に向けて「お騒がせ致しました」と言ってから王宮を後にした。
厩舎へと帰る。
ふと自分の服装が気になった。おじちゃんから借りている作業服。
こんな格好でよく平然と王宮に入ったものだ。
両陛下はそのことを指摘しなかった。
なんだか、可笑しくなって笑った。
素直で無知な前世のわたし。
まさかこんなに強気な発言をするなんて自分でも思ってもみなかった。
二度も殺されてかなり心も強くなったのかも。大人しくしていたら殺される。ならば足掻くしかないもの。
両陛下の前で挨拶をした。
お二人は座ったまま静かに私を見下ろしていた。
「頭を上げなさい」
「はい」
「突然押しかけてきて無礼だとは思わないのか?」
不機嫌そう。当たり前よね?
この城に連れて来られてから、ずっと王宮内には近寄ろうともしなかったのに、突然押しかけたんだもの。
「申し訳ございません。こうでもしなければお会いすることもできませんので。わたくしは馬小屋で暮らす汚らしい女ですので」
そう言って二人に視線を向けた。
「それでも残念ながら、わたくしの体には王族の血が流れております。見捨てられようと蔑まれようと、両陛下にお会いする権利くらいはございましょう?」
「は?お前は突然何を言い出しておるんだ?」
陛下は肘掛けに肘をついて不機嫌を隠さない。
そして王妃は、何を考えているのかわからないくらい表情が読めない。
淡々とわたしの姿を見ていた。
この二人にわたしは前世で必死に愛を求め、ほんの少しでも愛してほしい、認めてほしいと願い、そして大国であるルワナ王国へと嫁いだのだった。
身を粉にして働いて、国民にも夫にも裏切られて処刑された。
わたしは前世を思い出すだけで握りしめていた拳からじわっと汗がでる。
「ご存知でしょう?常に見張りがついているのですから、報告は届いているはずですわ」
白々しい。
厩舎の周囲でいつも感じた視線はわたしを監視していたのじゃない。
オリビア様や令嬢達の発した言葉や、わたしに部屋に戻るようにと言いに来た侍女や、使用人達の態度も全て把握しているはず。
頭を下げてくる人もいたけど、横柄な態度をとった者だっていたわ。
「勝手にこの城から逃げ出して、連れ戻したら機嫌が悪く厩舎で過ごすお前のご機嫌など、誰がとると言うのだ?」
「この城にいたわたくしには、人としての人権などありませんでした。部屋に閉じ込められ、まともに世話もしてもらえず、まともに食事も与えてもらえないのなら、逃げ出すしかございませんよね?一人の人間すら食べさせることもできない貧しい城なのですから、逃げ出すのは仕方のないことでは?」
「は?何を言っておる?」
「オリビア様を養女に迎え、不要になったわたくしを軟禁して、虐げて、弱らせて殺すつもりだったのでしょう?」
この反応からすると、あの頃のわたしの置かれた状況をこの二人は知らないようね。
先ほどまで表情を変えなかった王妃が目を見開いて驚きを隠さない。
あの頃、わたしを殺すつもりなんてないのはわかってる。だって、大切な駒だもの。殺すわけないもの。いずれは利用して、見捨てるんだもの。
「殺す?お前を?」
「はい、わたくしはそう感じてこの城から逃げ出したのです。それなのに、なんとか一人で生きてきたわたくしを無理やり連れ帰って、今度は人々の笑い物として過ごさせようと思われているのですね?」
「お、お前は……」
怒りでプルプルと体を震わせる陛下に、目を離そうとしないで見つめた。
「どうかわたくしのことなど、今まで通り捨て置いていただきたいのです。この国には聖女であり、王女のオリビア様がおります。不要なわたくしに一銭のお金すらかけるのは惜しいのでしょう?」
クスッと嘲るように笑った。
真っ赤な顔をして怒りを抑えている陛下。真っ青な顔をしてわたしを見つめる王妃。
ここまで酷い言葉を言ったのだから……
怒鳴られ鞭打ち?
また軟禁?
周囲にいる騎士や臣下の者達は、ただこの状況を恐恐と見守っていた。
わたしのこのあまりにも不敬である発言に、恐れながらも目を離せないようだ。
「もう一度調べさせよう」
二人はそう言うと立ち上がり、わたしの目の前から去って行った。
二人の後ろ姿をじっといなくなるまで見つめた。
「はああああ」
かなり緊張していたみたい。ホッとして床に座り込んだ。
「怖かった」
そう呟いて、しばらく動けない。
頭上に笑い声が聞こえた。
誰?
重い頭を仕方なく持ち上げる。
「………」
ネルヴァン様……
ふうん、見ていたのね。
わたしは床に手をつきながら「よいしょ」と立ち上がった。
彼を無視して周囲に向けて「お騒がせ致しました」と言ってから王宮を後にした。
厩舎へと帰る。
ふと自分の服装が気になった。おじちゃんから借りている作業服。
こんな格好でよく平然と王宮に入ったものだ。
両陛下はそのことを指摘しなかった。
なんだか、可笑しくなって笑った。
素直で無知な前世のわたし。
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