3 / 26
3話
しおりを挟む
やっと学校になれた頃、マリーナが街に買い物へ行こうと声をかけてくれた。
初めての友達とのお出かけに、わたしはソワソワしていた。
「お母様、このお洋服でいいでしょうか?」
わたしは何を着て街へ行けばいいのかわからずにメイド達にアドバイスをもらい、淡いイエローの小さな花柄のワンピースを着ていくことにした。
このワンピースは王都で王子妃教育の一環で市井を見て回る時にと購入したもの。
街中でドレスを着て回ると、貴族令嬢だと分かってしまうので、目立たないようにと何枚かワンピースを購入していた。
ドレスと違って締め付けず楽で動きやすくて着心地もいい。
「ジェシカは何を着ても可愛いわよ」
「お母様、お褒めいただきありがとうございます」
今日はお母様の顔色も良くてわたしは安心してお出掛けが出来そう。
「美味しいお菓子のお土産楽しみにしていてくださいね」
「楽しみにしているわ、気をつけて行ってきてね」
馬車に乗り街へ行く。
噴水公園でマリーナと待ち合わせをしていた。
「少し早かったかしら?」
一人護衛が付いてきてくれているけど、少し離れたところにいてくれる。
ベンチに座りのんびりと周りを見ていた。
花壇に咲いているパンジーの花が可愛い。
その花を2歳くらいの子供が父親と楽しそうに見ている。
ーーわたしにはお父様との楽しい思い出なんてないわ……
「………………シカ?」
「あ……マリーナ、ごめんなさい。気が付かなかったわ」
「ジェシカったら、花壇をじっと睨んでいたわよ」
「に、睨む?」
「うん、何か考え事でもしていたの?」
「あー、ううん、こんなのんびりした時間を過ごせる日がくるなんて……とても幸せだなと思っていたの」
「あら?今から買い物をしたりカフェに行ったりしてもっと楽しい時間を過ごすのよ」
「ふふ、今日は一日中幸せな時間を過ごせそうね」
マリーナのおかげでクラスメイトとも仲良くなれた。
少しずつ人前でも意識しないで笑うことができるようになった。
カフェに入ると、お店の中はとても可愛らしかった。
木のテーブルとイス、テーブルクロスは淡いピンク。
白くてまん丸の可愛い花瓶に色とりどりの短く切った花を活けてある。
木の壁は、白いペンキで塗られていて、白い窓枠に付いているカーテンにはフリルをたっぷりあしらった花柄の可愛いカーテン。
ケーキ皿には小さめのケーキが何種類か盛られていて、なかなか手が込んでいた。
食べると甘さ控えめで食べやすい。
これなら何個でも食べられそう。
「ジェシカって実は顔に出るタイプなのね」
「え?顔に出る?」
「うん、だって、ケーキ大好きでしょう?もの凄く幸せそうな顔をして食べてるわよ」
「……っう、恥ずかしいわ、そんな変な顔していたのかしら?」
「えー?違うわとても可愛らしかったの。最近のジェシカは初めて会った時とは全然違うもの」
「………王都にいる時は、王子妃教育に追われていたし、同じ学園の同級生とは馴れ合ってはいけないと言われていたの。実際仲良くなる暇なんてなかったのだけど」
「……あ、ごめんなさい」
「気にしないで。わたし、婚約解消出来たことホッとしているの。好きでもない殿下とこのまま結婚するのかと思っていたのよ、嫌いだったわけではないの。ただ好きとかよくわからなかったの。
でも殿下がエルミナ様とご一緒に居る時の姿がとても幸せそうで、羨ましかったな。
わたしもあんな恋をしてみたいと初めて思ったの。
だからお二人のこと祝福しているのよ?」
「そうなの?失恋してこっちに来たのかと思ってた」
「ううん、でも、あっちにいれば殿下もわたしと顔を合わせ辛いと思うの。わたしも周りに色々言われるのは嫌だし……面倒くさいじゃない?
それよりもお母様のそばで暮らしてみたかったの」
「ジェシカってマザコンなの?」
「うん、小さい頃にお母様はこちらに療養で来て、会えるのは一年に数日だけだったからお母様と暮らしてみたかった。これってマザコンかもね」
「……ごめん、知らなかったわ」
「大丈夫よ、だってわたし今とっても幸せなの。毎日好きなことが出来るって楽しいことなのね」
「じゃあ、次は何処に行く?」
「マリーナのお勧めの場所は?」
「うーん、雑貨屋さんに行ってみない?ここのお店に置いてある小物もそこに行けばあるの。わたしの友達の親がしているお店なのよ?」
「うん、是非行ってみたいわ。お母様にお土産も買いたかったの」
ーーーーー
お店の中はカフェに置いてあった可愛い小物や他にもたくさんあった。
花瓶やティーカップ、お皿。
タンスやテーブルなど、見て回るだけで楽しい。
ハンカチも一枚一枚綺麗に刺繍されていた。
ブローチやイヤリング、女の子が好みそうな物が安価で売られていた。
「これ……」
何故かわからないけど思わず手に取ってしまった。
わたしと同じ瞳の翡翠色のブローチ。
金を使ったフラワーデザインのブローチ。小さな翡翠色の宝石が使われていた。
「ジェシカ?気になるのを見つけたの?」
マリーナはわたしの手元にあるブローチを見て微笑んだ。
「うん、このブローチ……よくわからないけど懐かしいって言うか……どうしてなんだろう?」
心がぎゅっと切なくなるこの気持ちはなんだろう?
「それジェシカの色ね?」
「え?」
「だってブロンドの髪に翡翠色の瞳。同じでしょう?」
「………そうね、だから気になるのかしら?」
「うーん、よくわからないけど?」
値段をチラッとみるとなんとかわたしでも買えそう値段だった。
「これ買うわ」
「おっ、さすが公爵令嬢!」
マリーナも値段をみて流石に自分では手が出せないと思ったのだろう。
「わたしはお金を持たせてもらったことがないの。でもお兄様がこちらでは必要だろうとこっそり持たせてくださったの。
使うつもりはなかったのだけど……これはどうしても欲しい」
「一目惚れね」
「………うん」
お兄様に貰った金貨から5枚。
平民の一年分の給金くらいだとマリーナが教えてくれた。
それからお母様には、ケーキ屋さんに行ってケーキとクッキーをたくさん買った。
離れの使用人達と一緒にみんなで食べるつもりだ。
「マリーナ、楽しかったわ。わたしそろそろ待ち合わせの時間だから馬車乗り場に行くわ」
「うん、わたしはお兄様のお迎えが来るまでここでお茶でもしているわね」
ケーキ屋さんで別れて、わたしは護衛騎士と二人で馬車乗り場へ向かった。
「お嬢様、雨が降りそうです、傘がありません、少し急ぎますけど大丈夫ですか?」
「わかりました、急ぎましょう」
街の中は夕方の買い物客で賑わっていた。
わたし達は雨の中小走りで馬車乗り場へ向かった。
「…あっ!」
走っていて小さな男の子に気が付かなかった。
「ごめんなさい、大丈夫?」
男の子はわたしにぶつかり転んで、膝から血が出ていた。
雨に滲み血が止まらない。
痛いのにグッと我慢して目に涙を溜めていた。
膝をついて屈み込み、わたしはポケットからハンカチを取り出して、急いで男の子の膝の血を拭いて、もう一枚の予備に持っていたハンカチを使って包帯がわりに膝にハンカチを巻いた。
「痛いのによく我慢したわね、偉かったわね」
わたしは、声を出さずに泣いている男の子の頭を撫でた。
「お父様かお母様は近くに居るのかな?」
すると泣きながら周りをキョロキョロとして男の子はまた泣き出した。
「お、おかあさま…」
逸れてしまったのね?
ーーあ、そういえばわたしも……
キョロキョロと周りを見たけどわたしの護衛騎士の姿も見えなくなってしまった。
ーーどうしよう?
わたしもこの男の子も迷子になってしまったわ。
初めての友達とのお出かけに、わたしはソワソワしていた。
「お母様、このお洋服でいいでしょうか?」
わたしは何を着て街へ行けばいいのかわからずにメイド達にアドバイスをもらい、淡いイエローの小さな花柄のワンピースを着ていくことにした。
このワンピースは王都で王子妃教育の一環で市井を見て回る時にと購入したもの。
街中でドレスを着て回ると、貴族令嬢だと分かってしまうので、目立たないようにと何枚かワンピースを購入していた。
ドレスと違って締め付けず楽で動きやすくて着心地もいい。
「ジェシカは何を着ても可愛いわよ」
「お母様、お褒めいただきありがとうございます」
今日はお母様の顔色も良くてわたしは安心してお出掛けが出来そう。
「美味しいお菓子のお土産楽しみにしていてくださいね」
「楽しみにしているわ、気をつけて行ってきてね」
馬車に乗り街へ行く。
噴水公園でマリーナと待ち合わせをしていた。
「少し早かったかしら?」
一人護衛が付いてきてくれているけど、少し離れたところにいてくれる。
ベンチに座りのんびりと周りを見ていた。
花壇に咲いているパンジーの花が可愛い。
その花を2歳くらいの子供が父親と楽しそうに見ている。
ーーわたしにはお父様との楽しい思い出なんてないわ……
「………………シカ?」
「あ……マリーナ、ごめんなさい。気が付かなかったわ」
「ジェシカったら、花壇をじっと睨んでいたわよ」
「に、睨む?」
「うん、何か考え事でもしていたの?」
「あー、ううん、こんなのんびりした時間を過ごせる日がくるなんて……とても幸せだなと思っていたの」
「あら?今から買い物をしたりカフェに行ったりしてもっと楽しい時間を過ごすのよ」
「ふふ、今日は一日中幸せな時間を過ごせそうね」
マリーナのおかげでクラスメイトとも仲良くなれた。
少しずつ人前でも意識しないで笑うことができるようになった。
カフェに入ると、お店の中はとても可愛らしかった。
木のテーブルとイス、テーブルクロスは淡いピンク。
白くてまん丸の可愛い花瓶に色とりどりの短く切った花を活けてある。
木の壁は、白いペンキで塗られていて、白い窓枠に付いているカーテンにはフリルをたっぷりあしらった花柄の可愛いカーテン。
ケーキ皿には小さめのケーキが何種類か盛られていて、なかなか手が込んでいた。
食べると甘さ控えめで食べやすい。
これなら何個でも食べられそう。
「ジェシカって実は顔に出るタイプなのね」
「え?顔に出る?」
「うん、だって、ケーキ大好きでしょう?もの凄く幸せそうな顔をして食べてるわよ」
「……っう、恥ずかしいわ、そんな変な顔していたのかしら?」
「えー?違うわとても可愛らしかったの。最近のジェシカは初めて会った時とは全然違うもの」
「………王都にいる時は、王子妃教育に追われていたし、同じ学園の同級生とは馴れ合ってはいけないと言われていたの。実際仲良くなる暇なんてなかったのだけど」
「……あ、ごめんなさい」
「気にしないで。わたし、婚約解消出来たことホッとしているの。好きでもない殿下とこのまま結婚するのかと思っていたのよ、嫌いだったわけではないの。ただ好きとかよくわからなかったの。
でも殿下がエルミナ様とご一緒に居る時の姿がとても幸せそうで、羨ましかったな。
わたしもあんな恋をしてみたいと初めて思ったの。
だからお二人のこと祝福しているのよ?」
「そうなの?失恋してこっちに来たのかと思ってた」
「ううん、でも、あっちにいれば殿下もわたしと顔を合わせ辛いと思うの。わたしも周りに色々言われるのは嫌だし……面倒くさいじゃない?
それよりもお母様のそばで暮らしてみたかったの」
「ジェシカってマザコンなの?」
「うん、小さい頃にお母様はこちらに療養で来て、会えるのは一年に数日だけだったからお母様と暮らしてみたかった。これってマザコンかもね」
「……ごめん、知らなかったわ」
「大丈夫よ、だってわたし今とっても幸せなの。毎日好きなことが出来るって楽しいことなのね」
「じゃあ、次は何処に行く?」
「マリーナのお勧めの場所は?」
「うーん、雑貨屋さんに行ってみない?ここのお店に置いてある小物もそこに行けばあるの。わたしの友達の親がしているお店なのよ?」
「うん、是非行ってみたいわ。お母様にお土産も買いたかったの」
ーーーーー
お店の中はカフェに置いてあった可愛い小物や他にもたくさんあった。
花瓶やティーカップ、お皿。
タンスやテーブルなど、見て回るだけで楽しい。
ハンカチも一枚一枚綺麗に刺繍されていた。
ブローチやイヤリング、女の子が好みそうな物が安価で売られていた。
「これ……」
何故かわからないけど思わず手に取ってしまった。
わたしと同じ瞳の翡翠色のブローチ。
金を使ったフラワーデザインのブローチ。小さな翡翠色の宝石が使われていた。
「ジェシカ?気になるのを見つけたの?」
マリーナはわたしの手元にあるブローチを見て微笑んだ。
「うん、このブローチ……よくわからないけど懐かしいって言うか……どうしてなんだろう?」
心がぎゅっと切なくなるこの気持ちはなんだろう?
「それジェシカの色ね?」
「え?」
「だってブロンドの髪に翡翠色の瞳。同じでしょう?」
「………そうね、だから気になるのかしら?」
「うーん、よくわからないけど?」
値段をチラッとみるとなんとかわたしでも買えそう値段だった。
「これ買うわ」
「おっ、さすが公爵令嬢!」
マリーナも値段をみて流石に自分では手が出せないと思ったのだろう。
「わたしはお金を持たせてもらったことがないの。でもお兄様がこちらでは必要だろうとこっそり持たせてくださったの。
使うつもりはなかったのだけど……これはどうしても欲しい」
「一目惚れね」
「………うん」
お兄様に貰った金貨から5枚。
平民の一年分の給金くらいだとマリーナが教えてくれた。
それからお母様には、ケーキ屋さんに行ってケーキとクッキーをたくさん買った。
離れの使用人達と一緒にみんなで食べるつもりだ。
「マリーナ、楽しかったわ。わたしそろそろ待ち合わせの時間だから馬車乗り場に行くわ」
「うん、わたしはお兄様のお迎えが来るまでここでお茶でもしているわね」
ケーキ屋さんで別れて、わたしは護衛騎士と二人で馬車乗り場へ向かった。
「お嬢様、雨が降りそうです、傘がありません、少し急ぎますけど大丈夫ですか?」
「わかりました、急ぎましょう」
街の中は夕方の買い物客で賑わっていた。
わたし達は雨の中小走りで馬車乗り場へ向かった。
「…あっ!」
走っていて小さな男の子に気が付かなかった。
「ごめんなさい、大丈夫?」
男の子はわたしにぶつかり転んで、膝から血が出ていた。
雨に滲み血が止まらない。
痛いのにグッと我慢して目に涙を溜めていた。
膝をついて屈み込み、わたしはポケットからハンカチを取り出して、急いで男の子の膝の血を拭いて、もう一枚の予備に持っていたハンカチを使って包帯がわりに膝にハンカチを巻いた。
「痛いのによく我慢したわね、偉かったわね」
わたしは、声を出さずに泣いている男の子の頭を撫でた。
「お父様かお母様は近くに居るのかな?」
すると泣きながら周りをキョロキョロとして男の子はまた泣き出した。
「お、おかあさま…」
逸れてしまったのね?
ーーあ、そういえばわたしも……
キョロキョロと周りを見たけどわたしの護衛騎士の姿も見えなくなってしまった。
ーーどうしよう?
わたしもこの男の子も迷子になってしまったわ。
84
あなたにおすすめの小説
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
【完結】冷遇・婚約破棄の上、物扱いで軍人に下賜されたと思ったら、幼馴染に溺愛される生活になりました。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
恋愛
【恋愛151位!(5/20確認時点)】
アルフレッド王子と婚約してからの間ずっと、冷遇に耐えてきたというのに。
愛人が複数いることも、罵倒されることも、アルフレッド王子がすべき政務をやらされていることも。
何年間も耐えてきたのに__
「お前のような器量の悪い女が王家に嫁ぐなんて国家の恥も良いところだ。婚約破棄し、この娘と結婚することとする」
アルフレッド王子は新しい愛人の女の腰を寄せ、婚約破棄を告げる。
愛人はアルフレッド王子にしなだれかかって、得意げな顔をしている。
誤字訂正ありがとうございました。4話の助詞を修正しました。
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
【溺愛のはずが誘拐?】王子様に婚約破棄された令嬢は引きこもりましたが・・・お城の使用人達に可愛がられて楽しく暮らしています!
五月ふう
恋愛
ザルトル国に来てから一ヶ月後のある日。最愛の婚約者サイラス様のお母様が突然家にやってきた。
「シエリさん。あなたとサイラスの婚約は認められないわ・・・!すぐに荷物をまとめてここから出ていって頂戴!」
「え・・・と・・・。」
私の名前はシエリ・ウォルターン。17歳。デンバー国伯爵家の一人娘だ。一ヶ月前からサイラス様と共に暮らし始め幸せに暮していたのだが・・・。
「わかったかしら?!ほら、早く荷物をまとめて出ていって頂戴!」
義母様に詰め寄られて、思わずうなずきそうになってしまう。
「な・・・なぜですか・・・?」
両手をぎゅっと握り締めて、義母様に尋ねた。
「リングイット家は側近として代々ザルトル王家を支えてきたのよ。貴方のようなスキャンダラスな子をお嫁さんにするわけにはいかないの!!婚約破棄は決定事項です!」
彼女はそう言って、私を家から追い出してしまった。ちょうどサイラス様は行方不明の王子を探して、家を留守にしている。
どうしよう・・・
家を失った私は、サイラス様を追いかけて隣町に向かったのだがーーー。
この作品は【王子様に婚約破棄された令嬢は引きこもりましたが・・・お城の使用人達に可愛がられて楽しく暮らしています!】のスピンオフ作品です。
この作品だけでもお楽しみいただけますが、気になる方は是非上記の作品を手にとってみてください。
女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る
小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」
政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。
9年前の約束を叶えるために……。
豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。
「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。
本作は小説家になろうにも投稿しています。
他人の婚約者を誘惑せずにはいられない令嬢に目をつけられましたが、私の婚約者を馬鹿にし過ぎだと思います
珠宮さくら
恋愛
ニヴェス・カスティリオーネは婚約者ができたのだが、あまり嬉しくない状況で婚約することになった。
最初は、ニヴェスの妹との婚約者にどうかと言う話だったのだ。その子息が、ニヴェスより年下で妹との方が歳が近いからだった。
それなのに妹はある理由で婚約したくないと言っていて、それをフォローしたニヴェスが、その子息に気に入られて婚約することになったのだが……。
今さら遅いと言われる側になったのは、あなたです
有賀冬馬
恋愛
夜会で婚約破棄された私は、すべてを失った――はずだった。
けれど、人生は思いもよらない方向へ転がる。
助けた騎士は、王の右腕。
見下されてきた私の中にある価値を、彼だけが見抜いた。
王城で評価され、居場所を得ていく私。
その頃、私を捨てた元婚約者は、転落の一途をたどる。
「間違いだった」と言われても、もう心は揺れない。
選ばれるのを待つ時代は、終わった。
あの、初夜の延期はできますか?
木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」
私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。
結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。
けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。
「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」
なぜこの人私に求婚したのだろう。
困惑と悲しみを隠し尋ねる。
婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。
関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。
ボツネタ供養の短編です。
十話程度で終わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる