【完結】氷の騎士は忘れられた愛を取り戻したい〜愛しています〜令嬢はそれぞれの愛に気づかない

たろ

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3話

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やっと学校になれた頃、マリーナが街に買い物へ行こうと声をかけてくれた。

初めての友達とのお出かけに、わたしはソワソワしていた。
「お母様、このお洋服でいいでしょうか?」

わたしは何を着て街へ行けばいいのかわからずにメイド達にアドバイスをもらい、淡いイエローの小さな花柄のワンピースを着ていくことにした。
このワンピースは王都で王子妃教育の一環で市井を見て回る時にと購入したもの。

街中でドレスを着て回ると、貴族令嬢だと分かってしまうので、目立たないようにと何枚かワンピースを購入していた。

ドレスと違って締め付けず楽で動きやすくて着心地もいい。

「ジェシカは何を着ても可愛いわよ」

「お母様、お褒めいただきありがとうございます」

今日はお母様の顔色も良くてわたしは安心してお出掛けが出来そう。

「美味しいお菓子のお土産楽しみにしていてくださいね」

「楽しみにしているわ、気をつけて行ってきてね」


馬車に乗り街へ行く。
噴水公園でマリーナと待ち合わせをしていた。

「少し早かったかしら?」

一人護衛が付いてきてくれているけど、少し離れたところにいてくれる。

ベンチに座りのんびりと周りを見ていた。
花壇に咲いているパンジーの花が可愛い。

その花を2歳くらいの子供が父親と楽しそうに見ている。
ーーわたしにはお父様との楽しい思い出なんてないわ……

「………………シカ?」

「あ……マリーナ、ごめんなさい。気が付かなかったわ」

「ジェシカったら、花壇をじっと睨んでいたわよ」

「に、睨む?」

「うん、何か考え事でもしていたの?」

「あー、ううん、こんなのんびりした時間を過ごせる日がくるなんて……とても幸せだなと思っていたの」

「あら?今から買い物をしたりカフェに行ったりしてもっと楽しい時間を過ごすのよ」

「ふふ、今日は一日中幸せな時間を過ごせそうね」

マリーナのおかげでクラスメイトとも仲良くなれた。
少しずつ人前でも意識しないで笑うことができるようになった。

カフェに入ると、お店の中はとても可愛らしかった。

木のテーブルとイス、テーブルクロスは淡いピンク。

白くてまん丸の可愛い花瓶に色とりどりの短く切った花を活けてある。

木の壁は、白いペンキで塗られていて、白い窓枠に付いているカーテンにはフリルをたっぷりあしらった花柄の可愛いカーテン。

ケーキ皿には小さめのケーキが何種類か盛られていて、なかなか手が込んでいた。
食べると甘さ控えめで食べやすい。

これなら何個でも食べられそう。

「ジェシカって実は顔に出るタイプなのね」

「え?顔に出る?」

「うん、だって、ケーキ大好きでしょう?もの凄く幸せそうな顔をして食べてるわよ」

「……っう、恥ずかしいわ、そんな変な顔していたのかしら?」

「えー?違うわとても可愛らしかったの。最近のジェシカは初めて会った時とは全然違うもの」

「………王都にいる時は、王子妃教育に追われていたし、同じ学園の同級生とは馴れ合ってはいけないと言われていたの。実際仲良くなる暇なんてなかったのだけど」

「……あ、ごめんなさい」

「気にしないで。わたし、婚約解消出来たことホッとしているの。好きでもない殿下とこのまま結婚するのかと思っていたのよ、嫌いだったわけではないの。ただ好きとかよくわからなかったの。
でも殿下がエルミナ様とご一緒に居る時の姿がとても幸せそうで、羨ましかったな。
わたしもあんな恋をしてみたいと初めて思ったの。
だからお二人のこと祝福しているのよ?」

「そうなの?失恋してこっちに来たのかと思ってた」

「ううん、でも、あっちにいれば殿下もわたしと顔を合わせ辛いと思うの。わたしも周りに色々言われるのは嫌だし……面倒くさいじゃない?
それよりもお母様のそばで暮らしてみたかったの」

「ジェシカってマザコンなの?」

「うん、小さい頃にお母様はこちらに療養で来て、会えるのは一年に数日だけだったからお母様と暮らしてみたかった。これってマザコンかもね」

「……ごめん、知らなかったわ」

「大丈夫よ、だってわたし今とっても幸せなの。毎日好きなことが出来るって楽しいことなのね」

「じゃあ、次は何処に行く?」

「マリーナのお勧めの場所は?」

「うーん、雑貨屋さんに行ってみない?ここのお店に置いてある小物もそこに行けばあるの。わたしの友達の親がしているお店なのよ?」

「うん、是非行ってみたいわ。お母様にお土産も買いたかったの」

ーーーーー

お店の中はカフェに置いてあった可愛い小物や他にもたくさんあった。

花瓶やティーカップ、お皿。

タンスやテーブルなど、見て回るだけで楽しい。

ハンカチも一枚一枚綺麗に刺繍されていた。

ブローチやイヤリング、女の子が好みそうな物が安価で売られていた。

「これ……」

何故かわからないけど思わず手に取ってしまった。

わたしと同じ瞳の翡翠色のブローチ。

金を使ったフラワーデザインのブローチ。小さな翡翠色の宝石が使われていた。

「ジェシカ?気になるのを見つけたの?」
マリーナはわたしの手元にあるブローチを見て微笑んだ。

「うん、このブローチ……よくわからないけど懐かしいって言うか……どうしてなんだろう?」

心がぎゅっと切なくなるこの気持ちはなんだろう?

「それジェシカの色ね?」

「え?」

「だってブロンドの髪に翡翠色の瞳。同じでしょう?」

「………そうね、だから気になるのかしら?」

「うーん、よくわからないけど?」

値段をチラッとみるとなんとかわたしでも買えそう値段だった。

「これ買うわ」

「おっ、さすが公爵令嬢!」

マリーナも値段をみて流石に自分では手が出せないと思ったのだろう。

「わたしはお金を持たせてもらったことがないの。でもお兄様がこちらでは必要だろうとこっそり持たせてくださったの。
使うつもりはなかったのだけど……これはどうしても欲しい」

「一目惚れね」

「………うん」

お兄様に貰った金貨から5枚。
平民の一年分の給金くらいだとマリーナが教えてくれた。

それからお母様には、ケーキ屋さんに行ってケーキとクッキーをたくさん買った。

離れの使用人達と一緒にみんなで食べるつもりだ。

「マリーナ、楽しかったわ。わたしそろそろ待ち合わせの時間だから馬車乗り場に行くわ」

「うん、わたしはお兄様のお迎えが来るまでここでお茶でもしているわね」

ケーキ屋さんで別れて、わたしは護衛騎士と二人で馬車乗り場へ向かった。

「お嬢様、雨が降りそうです、傘がありません、少し急ぎますけど大丈夫ですか?」

「わかりました、急ぎましょう」

街の中は夕方の買い物客で賑わっていた。

わたし達は雨の中小走りで馬車乗り場へ向かった。

「…あっ!」

走っていて小さな男の子に気が付かなかった。

「ごめんなさい、大丈夫?」

男の子はわたしにぶつかり転んで、膝から血が出ていた。
雨に滲み血が止まらない。

痛いのにグッと我慢して目に涙を溜めていた。

膝をついて屈み込み、わたしはポケットからハンカチを取り出して、急いで男の子の膝の血を拭いて、もう一枚の予備に持っていたハンカチを使って包帯がわりに膝にハンカチを巻いた。

「痛いのによく我慢したわね、偉かったわね」
わたしは、声を出さずに泣いている男の子の頭を撫でた。

「お父様かお母様は近くに居るのかな?」

すると泣きながら周りをキョロキョロとして男の子はまた泣き出した。

「お、おかあさま…」

逸れてしまったのね?

ーーあ、そういえばわたしも……
キョロキョロと周りを見たけどわたしの護衛騎士の姿も見えなくなってしまった。

ーーどうしよう?
わたしもこの男の子も迷子になってしまったわ。






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