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4話
キョロキョロと周りを見たけどわたしの護衛騎士の姿は見えなくなってしまった。
ーーどうしよう?
わたしもこの男の子も迷子になってしまったわ。
男の子に話しかけた。
「おうちはわかる?」
「うっ、わ、わかんない」
「わたしもわからないの!」
「おねえちゃまも?まいご?ぼくといっしよ!」
泣いていた4歳くらいの男の子は、大きなわたしが迷子だと知って泣くのをやめてクスクスと笑い出した。
「わたしもこの国に来て初めてこの街に来たの。だから迷子になっちゃった。さあ、どうしようかしら?」
わたしはとりあえず雨宿りのために、お店の前の屋根の下に二人で手を握り合って立った。
たぶん逸れたことに気がついた護衛がわたしを探しに来てくれると思う。
それよりも男の子はどうしよう。
男の子は金髪に翠色の瞳、服も濡れているけど高価な服を着ている。話し方がとても綺麗だしどこかの貴族の子息だと思う。
たぶんこの男の子も護衛騎士が探しているだろう。
「たぶん待っていたら探してくれると思うの。でも服が濡れて寒いからせめて暖まりたいわね。先程入ったカフェに戻ろうかしら?」
カフェはすぐそこ。マリーナがいるケーキ屋さんは少し離れていた。
「走りましょう!」
わたしは男の子を抱き抱えると雨の中走った。
「おねえちゃま、ぼくおもいよ?」
「大丈夫よ、すぐそこだから!」
店の扉のベルのところにわたしのスカーフを結ばせてもらった。
中に入るとお店の人がタオルを貸してくれた。
「ありがとうございます。あの……フォーダンの屋敷と連絡を取りたいのですが……」
「フォーダン様のところのお方ですか?」
「あ、はい、ジェシカ・フォーダンと申します。護衛騎士と逸れてしまったのです。一応わたしのスカーフを扉のベルのところに結んだのでみつけてもらえるかもしれないのですが……服が濡れているしこの男の子も迷子みたいで……なんとか連絡を取りたいのですが……」
「フォーダン公爵様のところのお嬢様?」
「あ、はい」
「すぐに連絡を取って来ますのでこちらでお待ちください!」
「あ、あの、馬車乗り場に我が家の馬車が待ってくれていると思うのですが、馬車乗り場もわからなくて……」
「ぼくといっしょのまいごなんだ!」
「ふふふ、そうね。同じ迷子さんなのよね?」
「うん!」
「ところで僕のお名前は?」
「僕は、エイル・マーサン!」
「マーサン?誰か知っている?」
お店の人に聞いたけど首を横に振る。
「そっか、みんな知らないのね。どこから来たの?」
「うーんとね、大きな船で来たの!」
「船?そうなのね。外国の貴族の子息だったら今頃大変な騒ぎになっているわね」
ーー屋敷に戻れば誰かわかる人もいるからなんとかなりそうね。でも今も探しているわよね?
「ねえ、エイル君、ここのお姉さん達と待っていてくれる?わたし表に出てエイル君を探している人がいないか見て来るわ」
「うん、わかった」
そう言うとわたしは急いで表に出て、彼を探している人がいないかキョロキョロとして回った。
傘を貸してもらってこれ以上は濡れないですむが、しっかり濡れた体は寒くて、傘を持つ手が震えていた。
しばらく外を歩いていると
「ジェシカ⁉︎」とわたしを呼ぶ声が聞こえた。
振り返るとそこには驚いた顔をした人が立っていた。
「セルジオ兄様?」
「そんな濡れた姿で一人でどうして歩いているんだ?」
兄様は慌ててわたしのそばに来ると上着を脱ぎかけてくれた。
「ありがとうございます。
兄様は騎士様ですよね?迷子の男の子を探している方はいませんか?エイル・マーサンと言うのですが、たぶん貴族の子で外国から来ている子ではないかと思うのです。エイルくんのことを探している人がいたら困ると思って表にいるのです」
「エイル様?まさしく今俺たちが探し回っているところなんだ」
「………そう…よかった……すぐそこのカフェで雨宿りをさせてもらっています……こちらです、ついて来てもらえますか?」
わたしは寒くて震える体を誤魔化しながら歩き出した。
すると「大丈夫か?」と、心配そうにわたしの顔を覗き込む兄様。
「大丈夫です、貸していただいた兄様の服のおかげで暖かいです」
服は暖かい。でも、濡れた服がピッタリと肌にくっついて体温を下げる。
わたしはなんとか兄様をカフェまで連れて行った。
「おねえちゃま、おかえりなさい」
わたしの顔を見るとホッとしのか嬉しそうにエイルくんが走ってきた。
「エイルくん、君を探している騎士様を連れてきたわ」
「きしさま?ほんもの?」
さすが貴族の子息、まずは知らない人のことは疑うことから。これは鉄則。
「エイルくん、こちらの騎士さんはわたしの従兄弟なの。だから本物よ」
「おねえちゃまのいとこならほんものだ。おとうさまのところ、かえれる?」
兄様はエイルくんの前に跪くと、いつも無愛想な顔がふわっと優しい顔になり
「わたしはセルジオ・フォーダンと申します。そこにいるおねえちゃまとは従兄妹同士です。あなたの父上であるエルビス・マーサン様からの依頼でエイル様をお探ししておりました」
「そっかあ、おとうさま、さがしてくれたんだね」
嬉しそうにエイルくんが笑った。
「いっしよにいこう、おねえちゃまもまいごだもん」
「え?わたし?わたしは……お迎えの馬車が来てくれると思うの。ただ……ここがどこだかよくわからなくて……今家に連絡をしてもらっているの」
わたしは恥ずかしくて兄様をチラッと見て下を向いてしまった。
「ジェシカ、君も迷子?」
驚いた兄様がわたしを見た。
「雨が降り出して護衛の人と急いで走っていたらエイルくんとぶつかって気がついたら二人とも迷子になっていたの。馬車の止まっているところがわからなくて……それでとりあえず一度きたカフェに入って……それで……」
ブツブツと言い訳をしていたら、兄様がプッと笑った。
ーー兄様の笑った顔……初めて見たかも。
カッコよくて綺麗な顔の兄様、でもいつも表情が硬い。笑ったところなんて見たことがない。
ティム曰くすっごくモテるんだけど、あまりにもクールなのでご令嬢達も近付きにくいらしい。
「ヘックシュン」
わたしは寒くて大きなくしゃみが出た。
「あら、大変。服が濡れているから寒いんでしょう?うちには仕事着しかありませんが濡れているよりはマシだと思います。急いで着替えてください」
お店の方の好意で服を貸してもらい着替えることにした。
エイルくんはその間、りんごジュースを飲みながら美味しそうにケーキを食べていた。
兄様はエイルくんに捕まり、色々話しかけられて困った顔をしながらも二人で仲良く話をしていたみたいだ。
「お待たせしてすみますん」
わたしのメイド服姿を見て、兄様はなんとも言えない顔をしていた。
「そんなにおかしいかしら?」
フリルがついたふんわりした膝までの長さの白と黒のワンピース。
少し恥ずかしいけど勇気を出して着たのに。
自分的には似合っているつもりだった。
「おねえちゃま、とってもかわいい」
エイルくんはにこにこして何度も可愛いと言ってくれた。
「エイルくんありがとう」
そして、三人でエイルくんを心配して待っているご両親のところへ向かった。
こんな格好でご両親にお会いするのは恥ずかしかったけど、エイルくんがわたしから離れるなら行かないと言って聞かなかったので仕方なくついて行ったのだった。
ーーどうしよう?
わたしもこの男の子も迷子になってしまったわ。
男の子に話しかけた。
「おうちはわかる?」
「うっ、わ、わかんない」
「わたしもわからないの!」
「おねえちゃまも?まいご?ぼくといっしよ!」
泣いていた4歳くらいの男の子は、大きなわたしが迷子だと知って泣くのをやめてクスクスと笑い出した。
「わたしもこの国に来て初めてこの街に来たの。だから迷子になっちゃった。さあ、どうしようかしら?」
わたしはとりあえず雨宿りのために、お店の前の屋根の下に二人で手を握り合って立った。
たぶん逸れたことに気がついた護衛がわたしを探しに来てくれると思う。
それよりも男の子はどうしよう。
男の子は金髪に翠色の瞳、服も濡れているけど高価な服を着ている。話し方がとても綺麗だしどこかの貴族の子息だと思う。
たぶんこの男の子も護衛騎士が探しているだろう。
「たぶん待っていたら探してくれると思うの。でも服が濡れて寒いからせめて暖まりたいわね。先程入ったカフェに戻ろうかしら?」
カフェはすぐそこ。マリーナがいるケーキ屋さんは少し離れていた。
「走りましょう!」
わたしは男の子を抱き抱えると雨の中走った。
「おねえちゃま、ぼくおもいよ?」
「大丈夫よ、すぐそこだから!」
店の扉のベルのところにわたしのスカーフを結ばせてもらった。
中に入るとお店の人がタオルを貸してくれた。
「ありがとうございます。あの……フォーダンの屋敷と連絡を取りたいのですが……」
「フォーダン様のところのお方ですか?」
「あ、はい、ジェシカ・フォーダンと申します。護衛騎士と逸れてしまったのです。一応わたしのスカーフを扉のベルのところに結んだのでみつけてもらえるかもしれないのですが……服が濡れているしこの男の子も迷子みたいで……なんとか連絡を取りたいのですが……」
「フォーダン公爵様のところのお嬢様?」
「あ、はい」
「すぐに連絡を取って来ますのでこちらでお待ちください!」
「あ、あの、馬車乗り場に我が家の馬車が待ってくれていると思うのですが、馬車乗り場もわからなくて……」
「ぼくといっしょのまいごなんだ!」
「ふふふ、そうね。同じ迷子さんなのよね?」
「うん!」
「ところで僕のお名前は?」
「僕は、エイル・マーサン!」
「マーサン?誰か知っている?」
お店の人に聞いたけど首を横に振る。
「そっか、みんな知らないのね。どこから来たの?」
「うーんとね、大きな船で来たの!」
「船?そうなのね。外国の貴族の子息だったら今頃大変な騒ぎになっているわね」
ーー屋敷に戻れば誰かわかる人もいるからなんとかなりそうね。でも今も探しているわよね?
「ねえ、エイル君、ここのお姉さん達と待っていてくれる?わたし表に出てエイル君を探している人がいないか見て来るわ」
「うん、わかった」
そう言うとわたしは急いで表に出て、彼を探している人がいないかキョロキョロとして回った。
傘を貸してもらってこれ以上は濡れないですむが、しっかり濡れた体は寒くて、傘を持つ手が震えていた。
しばらく外を歩いていると
「ジェシカ⁉︎」とわたしを呼ぶ声が聞こえた。
振り返るとそこには驚いた顔をした人が立っていた。
「セルジオ兄様?」
「そんな濡れた姿で一人でどうして歩いているんだ?」
兄様は慌ててわたしのそばに来ると上着を脱ぎかけてくれた。
「ありがとうございます。
兄様は騎士様ですよね?迷子の男の子を探している方はいませんか?エイル・マーサンと言うのですが、たぶん貴族の子で外国から来ている子ではないかと思うのです。エイルくんのことを探している人がいたら困ると思って表にいるのです」
「エイル様?まさしく今俺たちが探し回っているところなんだ」
「………そう…よかった……すぐそこのカフェで雨宿りをさせてもらっています……こちらです、ついて来てもらえますか?」
わたしは寒くて震える体を誤魔化しながら歩き出した。
すると「大丈夫か?」と、心配そうにわたしの顔を覗き込む兄様。
「大丈夫です、貸していただいた兄様の服のおかげで暖かいです」
服は暖かい。でも、濡れた服がピッタリと肌にくっついて体温を下げる。
わたしはなんとか兄様をカフェまで連れて行った。
「おねえちゃま、おかえりなさい」
わたしの顔を見るとホッとしのか嬉しそうにエイルくんが走ってきた。
「エイルくん、君を探している騎士様を連れてきたわ」
「きしさま?ほんもの?」
さすが貴族の子息、まずは知らない人のことは疑うことから。これは鉄則。
「エイルくん、こちらの騎士さんはわたしの従兄弟なの。だから本物よ」
「おねえちゃまのいとこならほんものだ。おとうさまのところ、かえれる?」
兄様はエイルくんの前に跪くと、いつも無愛想な顔がふわっと優しい顔になり
「わたしはセルジオ・フォーダンと申します。そこにいるおねえちゃまとは従兄妹同士です。あなたの父上であるエルビス・マーサン様からの依頼でエイル様をお探ししておりました」
「そっかあ、おとうさま、さがしてくれたんだね」
嬉しそうにエイルくんが笑った。
「いっしよにいこう、おねえちゃまもまいごだもん」
「え?わたし?わたしは……お迎えの馬車が来てくれると思うの。ただ……ここがどこだかよくわからなくて……今家に連絡をしてもらっているの」
わたしは恥ずかしくて兄様をチラッと見て下を向いてしまった。
「ジェシカ、君も迷子?」
驚いた兄様がわたしを見た。
「雨が降り出して護衛の人と急いで走っていたらエイルくんとぶつかって気がついたら二人とも迷子になっていたの。馬車の止まっているところがわからなくて……それでとりあえず一度きたカフェに入って……それで……」
ブツブツと言い訳をしていたら、兄様がプッと笑った。
ーー兄様の笑った顔……初めて見たかも。
カッコよくて綺麗な顔の兄様、でもいつも表情が硬い。笑ったところなんて見たことがない。
ティム曰くすっごくモテるんだけど、あまりにもクールなのでご令嬢達も近付きにくいらしい。
「ヘックシュン」
わたしは寒くて大きなくしゃみが出た。
「あら、大変。服が濡れているから寒いんでしょう?うちには仕事着しかありませんが濡れているよりはマシだと思います。急いで着替えてください」
お店の方の好意で服を貸してもらい着替えることにした。
エイルくんはその間、りんごジュースを飲みながら美味しそうにケーキを食べていた。
兄様はエイルくんに捕まり、色々話しかけられて困った顔をしながらも二人で仲良く話をしていたみたいだ。
「お待たせしてすみますん」
わたしのメイド服姿を見て、兄様はなんとも言えない顔をしていた。
「そんなにおかしいかしら?」
フリルがついたふんわりした膝までの長さの白と黒のワンピース。
少し恥ずかしいけど勇気を出して着たのに。
自分的には似合っているつもりだった。
「おねえちゃま、とってもかわいい」
エイルくんはにこにこして何度も可愛いと言ってくれた。
「エイルくんありがとう」
そして、三人でエイルくんを心配して待っているご両親のところへ向かった。
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