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20話
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「セルジオ!俺がアンナと付き合ったのはジェシカのためだとわかっていただろう?なぜジェシカから目を離した?」
ギルス殿下は俺の襟首を掴んで締め上げた。
「……………」
言い訳なんて出来なかった。
「…………ジェシカを守ることができませんでした」
俺は項垂れるしかなかった。
殿下が帰ってから俺は何も出来ずに部屋でじっと動けないでいた。
これからどうすればいい?
アンネは今牢に入れられて取り調べを受けているが彼女をいくら裁こうとジェシカの心の傷は治らない。
殿下はあえて悪者になってジェシカを守ろうとしてくれた。
『なんで?ジェシカが辛い目に遭うんだ?お前がアンナと結婚すれば良かったんだ!そしたらジェシカは辛い思いをしなくて済んだんだ!』
俺は?
俺がアンネを受け入れさえすればジェシカがこんなひどい目に遭うことはなかったのに。
だけどもしジェシカが記憶を取り戻した時、俺が他の女と婚約したなんて知ったらジェシカはもっと傷つくだろうし、たとえジェシカが俺を恋愛対象として見てもらえなくても他の女と婚約なんてましてや結婚なんて考えられなかった。
いずれは父上の跡を継がなければいけないなら、俺は弟に爵位を譲るつもりだった。俺はただの騎士としてジェシカを守ろうと思っていた。
なのに欲を出した。もう一度俺と新しい関係を築けるかもしれないと。
「はあ、俺はどうすればいいんだ?」
ジェシカがどうなったか誰も伝えにこない。
ーーーーー
「あ、っあーーいやあーーーー!!」
ーーはっ!こ……こは?周りを見渡すと何もない部屋のベッドに寝かされていた。
「どうしました?」
部屋に入ってきたのは騎士服を着た女性と白衣を着た女性の二人だった。
「お目覚めになったのですね?ジェシカ様」
「こ、ここは?わたしは……」
「ジェシカ様?」
「ごめんなさい……ジェシカ?」
「え?記憶が?」
「まさか……また?」
「あ、あの……わたしは………あ、っああ、ここは」
ハアハア……息が苦しい。
「過呼吸です、早く処置を!」
「あ……紙袋「それはだめです!」
「ジェシカ様、いいですか?静かに座った状態で、吸った息を10秒ほどかけてゆっくりと吐く方法が有効なんです。何も考えず、息を吐くことに集中しましょうね?
できるなら息を数秒ほど止めてみると、呼吸が落ち着きやすくなります」
わたしはこの息苦しさをどうにかしたくて頭をコクコクと頷いてみせた。
背中を優しく摩ってくれる女の先生の手の温もりのおかげで息がしやすくなった。
「あ、ありがとう……ございます、あの、わたしはジェシカと言う名前なのですか?」
何度もわたしに対してジェシカと呼ぶ二人に尋ねた。
その名前を呼ばれても何も感じない。
「今あなたはいくつですか?」
白衣を着た女性が尋ねた。
「わたし?わたしは今……何歳なのかしら?」
どんなに考えてもわからない。名前もどうしてここにいるのかも、年齢も、この目の前にいる人たちがなぜわたしを心配するのか……
……あ、頭が痛い!
頭を押さえ込んで唸っていると
「大丈夫ですか?」
白衣を着た女性が「すみません、もう何も考えなくても大丈夫ですゆっくりしてください」と言ってくれた。
それからしばらく一人にさせてくれてわたしはベッドの中で寝転がっていた。
今のわたしは恐怖しかなかった。
ここにいていいのか。でもどこにも行けない。
だってわたしには居場所がない。
名前も何もわからないのに………
ーーーーー
「入りますね」
扉をノックして声が聞こえた。
さっきの白衣の女性が女の人を連れてきた。
「はいどうぞ」
中に入ってきたのは40代くらいの綺麗な女性だった。
「……ジェシカ?」
ーーまたわたしをその名前で呼ぶ。知らない名前で呼ばれて違和感しかないはずなのに、その人の声が何かを感じた。
顔を見ても知らない人なのにこの人の声は柔らかくて暖かい。
どうしてなのだろう。近くに寄ってきても嫌だと思わない。
「あの……誰だか知りませんがどうして泣いているのですか?」
ーーそんな悲しそうに泣かないでほしい。わたしの方が辛くなるのは何故なのだろう。
「あなたはわたしのことを覚えていないかもしれない。でもわたしはあなたの母親なの」
「お、母様?」
「そうよ、あなたの名前はジェシカ・フォーダン、ここはグリス領でわたしと一緒に暮らしているの。高等部に通う15歳よ」
「ジェシカ・フォーダン……わたしの名前?」
「体調が落ち着いたらお家へ帰りましょう?少しずつあなたのことを教えてあげるわ」
ーー不思議だわ、何故かこの人の言うことは素直に心に入っていく。
わたしは頭をコクッと下げて頷いた。
「ふふ、わたしの可愛いジェシカ、顔色も良くなったし元気になってよかったわ」
そう言って優しくわたしの頭を撫でてくれた。温かな柔らかい手が優しくてとても心地良い。
「あ、あの、わたしはどうしてここで寝ていたのでしょう?」
「…あなたはね、階段から落ちて大怪我をしたの、そのせいで記憶をなくしたのだと思うわ」
「だから体がまだ痛いのですね」
ーーお腹とか腰が痛いのは階段から落ちたから…その所為で記憶をなくしてしまった?
やっと納得して「どうして?」が一つ減った。
わたしは目覚めてから一週間入院して「お母様」の屋敷へと帰ることにした。
その場所は大きな屋敷の離れになっていてこぢんまりとしているけど「お母様」の趣味の良い家具が配置された素敵な家だった。
「わたし」の部屋だと言う場所は可愛らしく白い家具を置いて花柄のカーテンが使われていた。
「ここが「わたし」の部屋なんですね?」
わたしはキョロキョロと見てまわったが初めての場所なのでなんだか落ち着かなかったけど
「疲れたでしょう?少しゆっくりしていてね?」
「お母様」がわたしを一人にしてくれた。
わたしはこの部屋の机の中の引き出しを開けて物を確認したり、クローゼットの中の服を確認したりした。
一つ一つ手に取り見てまわったけどやはり思い出すことはなかった。
でも「わたし」の過去を「お母様」が教えてくれたのである程度「わたし」と言う人間のことは覚えた。
ジェシカ・フォーダン 公爵令嬢
「お父様」と「お母様」そして「お兄様」がいる。
「お兄様」はジャックスという名前らしい。
そして「お母様」は体調を崩してグリス領で静養中。
ここは「お父様の従兄弟でブルック・フォーダン伯爵」のお屋敷。
そして息子の「セルジオ様」と「ティム様」と「奥様」が住んでいる。その場所の離れに「お母様」は住んでいる。
わたしは「お母様」と一緒に暮らしていた。
そしてわたしには「マリーナ様」という名前のお友達がいたらしい。
しばらく部屋でゆっくりすると
「お嬢様、食事の用意が出来ました、本邸の方へご案内致します」
と、侍女が呼びにきてくれた。
わたしは離れを出て中庭を通って本邸へと向かっている。
「このお庭とても手入れされて綺麗だわ」
わたしが思わず立ち止まって周りをキョロキョロ見回していると侍女が教えてくれた。
「お嬢様はお暇な時ここで時間を過ごすことが多かったのですよ」
「そうなの?………何も思い出せないわ」
思い出そうと見つめたがやはり無理。
溜息を吐くと「行きましょう」と言って屋敷へと向かった。
食堂には見知らぬ人達と「お母様」が座って待っていてくれた。
わたしを優しく見つめる人達。
「皆様、初めまして。わたしは皆様のことを全く覚えておりません。ご迷惑をおかけすると思いますがこれからよろしくお願い致します」
緊張の中とりあえず挨拶をした。
ギルス殿下は俺の襟首を掴んで締め上げた。
「……………」
言い訳なんて出来なかった。
「…………ジェシカを守ることができませんでした」
俺は項垂れるしかなかった。
殿下が帰ってから俺は何も出来ずに部屋でじっと動けないでいた。
これからどうすればいい?
アンネは今牢に入れられて取り調べを受けているが彼女をいくら裁こうとジェシカの心の傷は治らない。
殿下はあえて悪者になってジェシカを守ろうとしてくれた。
『なんで?ジェシカが辛い目に遭うんだ?お前がアンナと結婚すれば良かったんだ!そしたらジェシカは辛い思いをしなくて済んだんだ!』
俺は?
俺がアンネを受け入れさえすればジェシカがこんなひどい目に遭うことはなかったのに。
だけどもしジェシカが記憶を取り戻した時、俺が他の女と婚約したなんて知ったらジェシカはもっと傷つくだろうし、たとえジェシカが俺を恋愛対象として見てもらえなくても他の女と婚約なんてましてや結婚なんて考えられなかった。
いずれは父上の跡を継がなければいけないなら、俺は弟に爵位を譲るつもりだった。俺はただの騎士としてジェシカを守ろうと思っていた。
なのに欲を出した。もう一度俺と新しい関係を築けるかもしれないと。
「はあ、俺はどうすればいいんだ?」
ジェシカがどうなったか誰も伝えにこない。
ーーーーー
「あ、っあーーいやあーーーー!!」
ーーはっ!こ……こは?周りを見渡すと何もない部屋のベッドに寝かされていた。
「どうしました?」
部屋に入ってきたのは騎士服を着た女性と白衣を着た女性の二人だった。
「お目覚めになったのですね?ジェシカ様」
「こ、ここは?わたしは……」
「ジェシカ様?」
「ごめんなさい……ジェシカ?」
「え?記憶が?」
「まさか……また?」
「あ、あの……わたしは………あ、っああ、ここは」
ハアハア……息が苦しい。
「過呼吸です、早く処置を!」
「あ……紙袋「それはだめです!」
「ジェシカ様、いいですか?静かに座った状態で、吸った息を10秒ほどかけてゆっくりと吐く方法が有効なんです。何も考えず、息を吐くことに集中しましょうね?
できるなら息を数秒ほど止めてみると、呼吸が落ち着きやすくなります」
わたしはこの息苦しさをどうにかしたくて頭をコクコクと頷いてみせた。
背中を優しく摩ってくれる女の先生の手の温もりのおかげで息がしやすくなった。
「あ、ありがとう……ございます、あの、わたしはジェシカと言う名前なのですか?」
何度もわたしに対してジェシカと呼ぶ二人に尋ねた。
その名前を呼ばれても何も感じない。
「今あなたはいくつですか?」
白衣を着た女性が尋ねた。
「わたし?わたしは今……何歳なのかしら?」
どんなに考えてもわからない。名前もどうしてここにいるのかも、年齢も、この目の前にいる人たちがなぜわたしを心配するのか……
……あ、頭が痛い!
頭を押さえ込んで唸っていると
「大丈夫ですか?」
白衣を着た女性が「すみません、もう何も考えなくても大丈夫ですゆっくりしてください」と言ってくれた。
それからしばらく一人にさせてくれてわたしはベッドの中で寝転がっていた。
今のわたしは恐怖しかなかった。
ここにいていいのか。でもどこにも行けない。
だってわたしには居場所がない。
名前も何もわからないのに………
ーーーーー
「入りますね」
扉をノックして声が聞こえた。
さっきの白衣の女性が女の人を連れてきた。
「はいどうぞ」
中に入ってきたのは40代くらいの綺麗な女性だった。
「……ジェシカ?」
ーーまたわたしをその名前で呼ぶ。知らない名前で呼ばれて違和感しかないはずなのに、その人の声が何かを感じた。
顔を見ても知らない人なのにこの人の声は柔らかくて暖かい。
どうしてなのだろう。近くに寄ってきても嫌だと思わない。
「あの……誰だか知りませんがどうして泣いているのですか?」
ーーそんな悲しそうに泣かないでほしい。わたしの方が辛くなるのは何故なのだろう。
「あなたはわたしのことを覚えていないかもしれない。でもわたしはあなたの母親なの」
「お、母様?」
「そうよ、あなたの名前はジェシカ・フォーダン、ここはグリス領でわたしと一緒に暮らしているの。高等部に通う15歳よ」
「ジェシカ・フォーダン……わたしの名前?」
「体調が落ち着いたらお家へ帰りましょう?少しずつあなたのことを教えてあげるわ」
ーー不思議だわ、何故かこの人の言うことは素直に心に入っていく。
わたしは頭をコクッと下げて頷いた。
「ふふ、わたしの可愛いジェシカ、顔色も良くなったし元気になってよかったわ」
そう言って優しくわたしの頭を撫でてくれた。温かな柔らかい手が優しくてとても心地良い。
「あ、あの、わたしはどうしてここで寝ていたのでしょう?」
「…あなたはね、階段から落ちて大怪我をしたの、そのせいで記憶をなくしたのだと思うわ」
「だから体がまだ痛いのですね」
ーーお腹とか腰が痛いのは階段から落ちたから…その所為で記憶をなくしてしまった?
やっと納得して「どうして?」が一つ減った。
わたしは目覚めてから一週間入院して「お母様」の屋敷へと帰ることにした。
その場所は大きな屋敷の離れになっていてこぢんまりとしているけど「お母様」の趣味の良い家具が配置された素敵な家だった。
「わたし」の部屋だと言う場所は可愛らしく白い家具を置いて花柄のカーテンが使われていた。
「ここが「わたし」の部屋なんですね?」
わたしはキョロキョロと見てまわったが初めての場所なのでなんだか落ち着かなかったけど
「疲れたでしょう?少しゆっくりしていてね?」
「お母様」がわたしを一人にしてくれた。
わたしはこの部屋の机の中の引き出しを開けて物を確認したり、クローゼットの中の服を確認したりした。
一つ一つ手に取り見てまわったけどやはり思い出すことはなかった。
でも「わたし」の過去を「お母様」が教えてくれたのである程度「わたし」と言う人間のことは覚えた。
ジェシカ・フォーダン 公爵令嬢
「お父様」と「お母様」そして「お兄様」がいる。
「お兄様」はジャックスという名前らしい。
そして「お母様」は体調を崩してグリス領で静養中。
ここは「お父様の従兄弟でブルック・フォーダン伯爵」のお屋敷。
そして息子の「セルジオ様」と「ティム様」と「奥様」が住んでいる。その場所の離れに「お母様」は住んでいる。
わたしは「お母様」と一緒に暮らしていた。
そしてわたしには「マリーナ様」という名前のお友達がいたらしい。
しばらく部屋でゆっくりすると
「お嬢様、食事の用意が出来ました、本邸の方へご案内致します」
と、侍女が呼びにきてくれた。
わたしは離れを出て中庭を通って本邸へと向かっている。
「このお庭とても手入れされて綺麗だわ」
わたしが思わず立ち止まって周りをキョロキョロ見回していると侍女が教えてくれた。
「お嬢様はお暇な時ここで時間を過ごすことが多かったのですよ」
「そうなの?………何も思い出せないわ」
思い出そうと見つめたがやはり無理。
溜息を吐くと「行きましょう」と言って屋敷へと向かった。
食堂には見知らぬ人達と「お母様」が座って待っていてくれた。
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