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29話。
絵本が出来て数日後、旦那様に執務室に呼ばれた。
「ダリアの絵本の販売が正式に決まったよ」
「あっ…本当に販売されるんですね」
ーー実感がわかなかった。でも目の前に絵本がある。だからこれは現実。
「頑張って仕上がったんだから、この絵本を子ども達に見てもらわないともったいないよ」
「ありがとうございます」
ーーおばあちゃんに伝えなきゃ。そしておばちゃんにも……
おばちゃんとはロードのお母さんなんだけど、ずっとわたしのことも娘のように可愛がってくれた人。
子供の頃から人見知りで人と関わるのが苦手で、いつもロードの後ろに隠れてばかりだった。そんなわたしを心配してみんなの仲間に入るように上手く声をかけてくれていたおばちゃん。
ロードとの関係はうまくいかなかったけど、だからと言っておばちゃんとの関係まで壊したくはない。
おばちゃんに会ったらいっぱい話をしたい。
旦那様と話をして少しの間お暇をいただくことになった。ずっと休みの日も絵本を書いていたので、実際に最近体を休めていなかった。
そのことを心配した旦那様が『休んで家族に報告に行っておいで』と言ってくれた。
『坊っちゃまの本の読み聞かせをそんなに休んだら、坊っちゃまが寂しがりませんか?いつも本を読みながら眠りにつかれるのに……』
ーー本当はわたしも寂しい。あの可愛い笑顔に毎日癒されているのに会えないのはとても寂しい。
『リオンは寂しがるだろうね。だけどダリアがまた元気になって屋敷に帰ってきてくれる方がリオンも喜ぶと思うよ』
『わたし……そんなに疲れて見えますか?』
思わず顔に手を当てて頬を触った。
『うーん、色々あったからね。
……君には辛い思いをさせて申し訳ないと思っているんだ。家族に会ってゆっくりとした時間を過ごせば身も心も少しは軽くなると思うんだけど、どうかな?嫌なら無理は言わないけど』
旦那様の優しい心遣いに甘えさせてもらうことになった。
先輩達の件が落ち着いたので、ロードやバイザード様にお詫びを言わないといけないと、そう思って手紙を出したところ、とても忙しいとの返事が両方から返ってきた。今大きな事件が起きていてその事件の解決に追われているらしい。
ロードからは事件が落ち着いたらぜひゆっくりと話したい、との返事だった。
バイザード様からは美味しいケーキでも食べに行こう、と返事が来た。
なのでまだ二人には会えず。
ロードとはきちんと話さなきゃいけないのにずっと先延ばしになっていて流石に内心焦っていた。
ーーずっと落ち着かない気持ちでいるのもそろそろ疲れてしまったから、はっきりさせたかったんだけど……
訪ねてくれた村の友達とは連絡が取れて、この前久しぶりに食事に行った。
ロードと恋人だと思っている友達は、浮気しているロードのことをかなり怒ってくれた。
『あんな男だと思わなかった』
『今度会ったら文句言ってやる!』
と、ロードの噂を聞いていたらしくかなり怒っていて……怖かった。
『仕方ないよ、あんな可愛い人なんだもの。わたしなんかじゃ勝てないよ』
自嘲気味に言うと友達が……
『ダリアの“わたしなんか”って言うのは絶対ダメ!禁止だよ!ダリアは十分綺麗なんだからね!』と言ってくれた。
お世辞でもなんだか嬉しかった。最近落ち込むことが多いなかで幼い頃からの友人と話せるのは心落ち着かせてくれた。
田舎に帰る前夜、坊っちゃまにご挨拶に行くと。
「ダリア、げんきにかえって、くる?やくそくだよ?」
ーー小さな坊っちゃまにまで心配かけてたなんて……しっかりしないとダメだな。
「はい、おばあちゃんに絵本のことを話したらまた屋敷に帰ってきますので、少しの間だけ絵本を読んであげられなくてすみません」
「おとうさまがね、がまんして、いいこにしてたほうが、ダリアがはやくかえってくるって。だからぼく、いいこでまってるね」
「出来るだけ早く帰って来ますね」
後ろにいたミサさんが「慌てなくて大丈夫よ。その間はわたし達が順番に絵本を読むことになってるの」と教えてくれた。
大好きな坊っちゃまと少しの間お別れだけど、元気になって帰ってくると約束した。
「ダリアの絵本の販売が正式に決まったよ」
「あっ…本当に販売されるんですね」
ーー実感がわかなかった。でも目の前に絵本がある。だからこれは現実。
「頑張って仕上がったんだから、この絵本を子ども達に見てもらわないともったいないよ」
「ありがとうございます」
ーーおばあちゃんに伝えなきゃ。そしておばちゃんにも……
おばちゃんとはロードのお母さんなんだけど、ずっとわたしのことも娘のように可愛がってくれた人。
子供の頃から人見知りで人と関わるのが苦手で、いつもロードの後ろに隠れてばかりだった。そんなわたしを心配してみんなの仲間に入るように上手く声をかけてくれていたおばちゃん。
ロードとの関係はうまくいかなかったけど、だからと言っておばちゃんとの関係まで壊したくはない。
おばちゃんに会ったらいっぱい話をしたい。
旦那様と話をして少しの間お暇をいただくことになった。ずっと休みの日も絵本を書いていたので、実際に最近体を休めていなかった。
そのことを心配した旦那様が『休んで家族に報告に行っておいで』と言ってくれた。
『坊っちゃまの本の読み聞かせをそんなに休んだら、坊っちゃまが寂しがりませんか?いつも本を読みながら眠りにつかれるのに……』
ーー本当はわたしも寂しい。あの可愛い笑顔に毎日癒されているのに会えないのはとても寂しい。
『リオンは寂しがるだろうね。だけどダリアがまた元気になって屋敷に帰ってきてくれる方がリオンも喜ぶと思うよ』
『わたし……そんなに疲れて見えますか?』
思わず顔に手を当てて頬を触った。
『うーん、色々あったからね。
……君には辛い思いをさせて申し訳ないと思っているんだ。家族に会ってゆっくりとした時間を過ごせば身も心も少しは軽くなると思うんだけど、どうかな?嫌なら無理は言わないけど』
旦那様の優しい心遣いに甘えさせてもらうことになった。
先輩達の件が落ち着いたので、ロードやバイザード様にお詫びを言わないといけないと、そう思って手紙を出したところ、とても忙しいとの返事が両方から返ってきた。今大きな事件が起きていてその事件の解決に追われているらしい。
ロードからは事件が落ち着いたらぜひゆっくりと話したい、との返事だった。
バイザード様からは美味しいケーキでも食べに行こう、と返事が来た。
なのでまだ二人には会えず。
ロードとはきちんと話さなきゃいけないのにずっと先延ばしになっていて流石に内心焦っていた。
ーーずっと落ち着かない気持ちでいるのもそろそろ疲れてしまったから、はっきりさせたかったんだけど……
訪ねてくれた村の友達とは連絡が取れて、この前久しぶりに食事に行った。
ロードと恋人だと思っている友達は、浮気しているロードのことをかなり怒ってくれた。
『あんな男だと思わなかった』
『今度会ったら文句言ってやる!』
と、ロードの噂を聞いていたらしくかなり怒っていて……怖かった。
『仕方ないよ、あんな可愛い人なんだもの。わたしなんかじゃ勝てないよ』
自嘲気味に言うと友達が……
『ダリアの“わたしなんか”って言うのは絶対ダメ!禁止だよ!ダリアは十分綺麗なんだからね!』と言ってくれた。
お世辞でもなんだか嬉しかった。最近落ち込むことが多いなかで幼い頃からの友人と話せるのは心落ち着かせてくれた。
田舎に帰る前夜、坊っちゃまにご挨拶に行くと。
「ダリア、げんきにかえって、くる?やくそくだよ?」
ーー小さな坊っちゃまにまで心配かけてたなんて……しっかりしないとダメだな。
「はい、おばあちゃんに絵本のことを話したらまた屋敷に帰ってきますので、少しの間だけ絵本を読んであげられなくてすみません」
「おとうさまがね、がまんして、いいこにしてたほうが、ダリアがはやくかえってくるって。だからぼく、いいこでまってるね」
「出来るだけ早く帰って来ますね」
後ろにいたミサさんが「慌てなくて大丈夫よ。その間はわたし達が順番に絵本を読むことになってるの」と教えてくれた。
大好きな坊っちゃまと少しの間お別れだけど、元気になって帰ってくると約束した。
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