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31話。
「ダリア、君が帰ってきていると聞いたんだ。久しぶりなんだから一緒にお茶でもしようよ」
ーーえ?嫌です。ディーン様が嫌いではないけど親しくすればまた何を言われるかわからないもの。
心の中でそう思っていたので、わたしの顔は引き攣っていたのだろう。
「そんな嫌な顔しないでくれよ、流石に傷つくよ」
「……申し訳ございません。平民のわたしが席をご一緒するわけにはいきません。ご挨拶だけして帰らせてください」
「君が僕を避けている理由は知ってる。だけどもう大人だ、友人として話すくらいで陰口は言われないよ。なんなら叔母に同席してもらうよ」
「わかりました……失礼な態度をとって申し訳ございませんでした」
「……はあ……ダリア、僕は今も友人だと思っているよ」
「ありがとうございます」
そしてすぐに客室に案内された。
おばちゃんが現れると「ダリア!お帰りなさい!」と明るく元気な声が聞こえてきた。
「ディーンがいきなりお茶に誘ってごめんね。ディーンは今うちの商売を手伝ってくれているの」
ロードの実家は村ではお金持ち。
庶民をお客とした商会を手掛けている。そして、ディーン様が手伝うことで貴族との繋がりが増えてきたらしい。
次男のディーン様はいずれ貴族としての地位はなくなり平民になるか貴族令嬢と結婚して婿に入ることになる。
「僕は婿になるのは嫌なんだ。自分の力で生きていきたい。だから叔母の仕事を手伝いながら自分の商会を立ち上げたいんだ」
「すごい!夢があるんですね」
「ダリアこそ幼い時の夢が叶っただろう?」
「それどう言うこと?」
おばちゃんがキョトンとしてわたしとディーン様を交互に何度かキョロキョロと見るので、わたしは首を振った。
わからない……と。
「僕は今貴族達を相手に商売をしてるんだ。バルス子爵の噂は耳にしてるよ。初めは子爵の愛人?そして今度は絵本作家。ダリアは話題が尽きないね」
「あっ、あの、その愛人はちがいますから!」
「愛人?だ、誰が?嘘っ?ダリアあなたまさかそんなふしだらなことをしていたの?」
おばちゃんが驚いてバンっとテーブルに手をついたと思ったら立ち上がりわたしににじり寄る。
「えっ?いや、だから違う!わたしは、あ、あの…「人の噂は面白おかしくするものだからね、本当は違うと後で流れてきたよ。侯爵家からわざわざ、訂正の噂がね」
「………もしかして…ジャックさん…バイザード様ですか?」
「そうそう。君は周りの人に恵まれているんだね。バルス子爵もかなりお怒りだったしバイザード卿も君を守るために動いてくれたみたい。あ、ちなみに僕も仕事の合間その噂を消すのに頼まれて使われたんだ」
ディーン様の笑顔がなんだか怖かった。
「知らなかったです。お二人が動いてくれたのはチラッと聞いたけどわたし屋敷の中から出してもらえなくて情報がなくて」
ーー言い訳しかできない。
「あはは、ごめんごめん。これちょっと仕返し!ずっと僕のこと避けてたからね。だけど最近知ったんだ。ダリアが僕と仲良く遊んでいたことを君のおばあちゃんは周りから責められてたんだってね?それを知って君はおばあちゃんが辛い思いをしないように僕を避けていた。嫌われてると思ってたよ」
「ごめんなさい、ちゃんと説明しないで。あの頃はディーン様に会うのも怖くなってたの。ロードにそのことを話すと大事になりそうだし、誰にも言わないでいたの。それがディーン様を傷つけてると思わなかった……です」
「ダリアは相変わらず我慢ばかり、変わらないね。だからみんなが守ろうとするんだよ」
「助けてもらってありがとうございました」
「で、絵本は持ってきていないの?」
「そう、絵本?作家って何?」
おばちゃんがわたしに尋ねる。
「ダリアはずっと絵本を書きたいって子供の頃から言ってたんだよね」
「覚えてくれていたんですね?」
「うん、だっていつもここに遊びに来ると言ってたからね。おめでとう、出版が決まったんだろう?」
「はい、これです」
もぞもぞと鞄から取り出して二人の前に置いた。
ーーえ?嫌です。ディーン様が嫌いではないけど親しくすればまた何を言われるかわからないもの。
心の中でそう思っていたので、わたしの顔は引き攣っていたのだろう。
「そんな嫌な顔しないでくれよ、流石に傷つくよ」
「……申し訳ございません。平民のわたしが席をご一緒するわけにはいきません。ご挨拶だけして帰らせてください」
「君が僕を避けている理由は知ってる。だけどもう大人だ、友人として話すくらいで陰口は言われないよ。なんなら叔母に同席してもらうよ」
「わかりました……失礼な態度をとって申し訳ございませんでした」
「……はあ……ダリア、僕は今も友人だと思っているよ」
「ありがとうございます」
そしてすぐに客室に案内された。
おばちゃんが現れると「ダリア!お帰りなさい!」と明るく元気な声が聞こえてきた。
「ディーンがいきなりお茶に誘ってごめんね。ディーンは今うちの商売を手伝ってくれているの」
ロードの実家は村ではお金持ち。
庶民をお客とした商会を手掛けている。そして、ディーン様が手伝うことで貴族との繋がりが増えてきたらしい。
次男のディーン様はいずれ貴族としての地位はなくなり平民になるか貴族令嬢と結婚して婿に入ることになる。
「僕は婿になるのは嫌なんだ。自分の力で生きていきたい。だから叔母の仕事を手伝いながら自分の商会を立ち上げたいんだ」
「すごい!夢があるんですね」
「ダリアこそ幼い時の夢が叶っただろう?」
「それどう言うこと?」
おばちゃんがキョトンとしてわたしとディーン様を交互に何度かキョロキョロと見るので、わたしは首を振った。
わからない……と。
「僕は今貴族達を相手に商売をしてるんだ。バルス子爵の噂は耳にしてるよ。初めは子爵の愛人?そして今度は絵本作家。ダリアは話題が尽きないね」
「あっ、あの、その愛人はちがいますから!」
「愛人?だ、誰が?嘘っ?ダリアあなたまさかそんなふしだらなことをしていたの?」
おばちゃんが驚いてバンっとテーブルに手をついたと思ったら立ち上がりわたしににじり寄る。
「えっ?いや、だから違う!わたしは、あ、あの…「人の噂は面白おかしくするものだからね、本当は違うと後で流れてきたよ。侯爵家からわざわざ、訂正の噂がね」
「………もしかして…ジャックさん…バイザード様ですか?」
「そうそう。君は周りの人に恵まれているんだね。バルス子爵もかなりお怒りだったしバイザード卿も君を守るために動いてくれたみたい。あ、ちなみに僕も仕事の合間その噂を消すのに頼まれて使われたんだ」
ディーン様の笑顔がなんだか怖かった。
「知らなかったです。お二人が動いてくれたのはチラッと聞いたけどわたし屋敷の中から出してもらえなくて情報がなくて」
ーー言い訳しかできない。
「あはは、ごめんごめん。これちょっと仕返し!ずっと僕のこと避けてたからね。だけど最近知ったんだ。ダリアが僕と仲良く遊んでいたことを君のおばあちゃんは周りから責められてたんだってね?それを知って君はおばあちゃんが辛い思いをしないように僕を避けていた。嫌われてると思ってたよ」
「ごめんなさい、ちゃんと説明しないで。あの頃はディーン様に会うのも怖くなってたの。ロードにそのことを話すと大事になりそうだし、誰にも言わないでいたの。それがディーン様を傷つけてると思わなかった……です」
「ダリアは相変わらず我慢ばかり、変わらないね。だからみんなが守ろうとするんだよ」
「助けてもらってありがとうございました」
「で、絵本は持ってきていないの?」
「そう、絵本?作家って何?」
おばちゃんがわたしに尋ねる。
「ダリアはずっと絵本を書きたいって子供の頃から言ってたんだよね」
「覚えてくれていたんですね?」
「うん、だっていつもここに遊びに来ると言ってたからね。おめでとう、出版が決まったんだろう?」
「はい、これです」
もぞもぞと鞄から取り出して二人の前に置いた。
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