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36話。
ロードの話を聞いて一晩考えたけど結論は出なかった。
「おばあちゃん、昨日言ったように今日帰るね」
「寂しくなるけど……またいつでも帰ってきなさい。ここはダリアの家なんだから、待ってるからね」
おばあちゃんとの別れはとても寂しい。もう仕事なんて辞めたい。おばあちゃんのそばにずっといたい。
だけど仕事をサボるわけにはいかない。坊ちゃまも待ってくれている。マリアさんも帰ってきたらすぐに打ち合わせをするからと言われている。
ロードから今回は逃げるように街へと帰ってきた。今はロードに会いたくない、
まだ休みは四日ほど残っている。久しぶりに以前暮らしていた家に向かい、大家さんに挨拶をした。
必要な荷物はお屋敷の使用人部屋に持ち帰って残りの家具や小物は大家さんに頼んで処分してもらった。
お世話になったのに忙しくて挨拶もしていなかった。おばあちゃんが作った美味しい紅茶の茶葉を持って挨拶した。
「ダリアちゃんのところのお茶は美味しいからありがたくいただくわね。そう言えばダリアちゃんが引っ越したばかりの頃ロードさんが何度も家を訪ねてきてたわよ。もう引っ越すと言ったら驚いてだけど連絡は取れた?」
「あっ、はい。すみません、突然だったので連絡しそびれてたんです」
ロードという名を聞くとドキッとしてしまう。
顔が引き攣っていたかもしれない。
挨拶も終わり一人歩いて屋敷へと帰っていたら「ダリアちゃん?」と聞き慣れた声。
振り向くとやはり……「バイザード様……」
「ダリアちゃん、なんでここに居るの?村に帰ってるんじゃないの?ロードに会ってないの?」
「会いました……話も聞きました」
「だったらなんで一緒にいないの?」
「バイザード様……はわたしが可哀想だから声をかけてくださっていたんですよね?その節はありがとうございました」
ペコッと頭を下げた。
八つ当たりかもしれないけど、今はこの方とも話したくなかった。責めてしまいそうだもん。悪くないのに、みんな仕事なだけ。仕方なくしたのだもの。
頭では理解しても心がついていかない。
元々(偽)だったし、わたしの片思いだった。まさかロードから好きって言われるなんて思っていなかった。
「好き」って言われたら嬉しいはずなのに、すっごく憧れてたのに、今は苦しいだけ。
二人の仲睦まじい姿を見てしまったので信じられないし、あの苦しかった日々を思い出すとやっぱり簡単には受け入れられない。
バイザード様にも嫌な態度しか取れない自分が惨めに感じる。
「用事があるので失礼します」
わたしは急いで見えるように、駆け出した。
「待って!」背中に声が聞こえた。でも待たなかった。貴族の方に対してこんな態度を取るなんて絶対してはいけないのに……
今のわたしは少し人間不信。知っててみんな黙ってる、街の平和を守ることも悪い人を捕まえることも大切なことなのはわかってるのに……気持ちがついていかない。
とりあえず屋敷へ帰ろう。坊ちゃまの笑顔を見れば少しは気持ちも変わるはず。
突然だった。
後ろから口を押さえられて誰かに抱きつかれた。
「やっ………」
そして前からも、もう一人男の人が現れてお腹を殴られた。
わたしは意識を手放した。
ーーロード……助けて……
「おばあちゃん、昨日言ったように今日帰るね」
「寂しくなるけど……またいつでも帰ってきなさい。ここはダリアの家なんだから、待ってるからね」
おばあちゃんとの別れはとても寂しい。もう仕事なんて辞めたい。おばあちゃんのそばにずっといたい。
だけど仕事をサボるわけにはいかない。坊ちゃまも待ってくれている。マリアさんも帰ってきたらすぐに打ち合わせをするからと言われている。
ロードから今回は逃げるように街へと帰ってきた。今はロードに会いたくない、
まだ休みは四日ほど残っている。久しぶりに以前暮らしていた家に向かい、大家さんに挨拶をした。
必要な荷物はお屋敷の使用人部屋に持ち帰って残りの家具や小物は大家さんに頼んで処分してもらった。
お世話になったのに忙しくて挨拶もしていなかった。おばあちゃんが作った美味しい紅茶の茶葉を持って挨拶した。
「ダリアちゃんのところのお茶は美味しいからありがたくいただくわね。そう言えばダリアちゃんが引っ越したばかりの頃ロードさんが何度も家を訪ねてきてたわよ。もう引っ越すと言ったら驚いてだけど連絡は取れた?」
「あっ、はい。すみません、突然だったので連絡しそびれてたんです」
ロードという名を聞くとドキッとしてしまう。
顔が引き攣っていたかもしれない。
挨拶も終わり一人歩いて屋敷へと帰っていたら「ダリアちゃん?」と聞き慣れた声。
振り向くとやはり……「バイザード様……」
「ダリアちゃん、なんでここに居るの?村に帰ってるんじゃないの?ロードに会ってないの?」
「会いました……話も聞きました」
「だったらなんで一緒にいないの?」
「バイザード様……はわたしが可哀想だから声をかけてくださっていたんですよね?その節はありがとうございました」
ペコッと頭を下げた。
八つ当たりかもしれないけど、今はこの方とも話したくなかった。責めてしまいそうだもん。悪くないのに、みんな仕事なだけ。仕方なくしたのだもの。
頭では理解しても心がついていかない。
元々(偽)だったし、わたしの片思いだった。まさかロードから好きって言われるなんて思っていなかった。
「好き」って言われたら嬉しいはずなのに、すっごく憧れてたのに、今は苦しいだけ。
二人の仲睦まじい姿を見てしまったので信じられないし、あの苦しかった日々を思い出すとやっぱり簡単には受け入れられない。
バイザード様にも嫌な態度しか取れない自分が惨めに感じる。
「用事があるので失礼します」
わたしは急いで見えるように、駆け出した。
「待って!」背中に声が聞こえた。でも待たなかった。貴族の方に対してこんな態度を取るなんて絶対してはいけないのに……
今のわたしは少し人間不信。知っててみんな黙ってる、街の平和を守ることも悪い人を捕まえることも大切なことなのはわかってるのに……気持ちがついていかない。
とりあえず屋敷へ帰ろう。坊ちゃまの笑顔を見れば少しは気持ちも変わるはず。
突然だった。
後ろから口を押さえられて誰かに抱きつかれた。
「やっ………」
そして前からも、もう一人男の人が現れてお腹を殴られた。
わたしは意識を手放した。
ーーロード……助けて……
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