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37話。
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目覚めると知らない部屋にいた。
殴られたお腹はズキズキと痛む。
小さな窓が壁の上の方にある。逃げることはできない。窓を見ると外は暗いようだ。
部屋には小さな明かりが灯されていた。
「ここはどこなんだろう……どうしてこんなことに……」
一人呟いても返事をしてくれる人はいない。
こんな時でもお腹がグーっと鳴る。喉も乾いた。
「わたしって結構根性あるのかしら?怖いしどうしていいのかわからないけど、しっかりお腹が空いてるわ」
部屋には灯りだけ。何もないからなのかわたしはロープで縛られたりしていなくて自由に動くことはできた。
「誰かいませんか?」
扉にむかって声をかける。
なんの返事もない。扉に耳を押し当ててみた。
ガサゴソと音は聞こえる。誰か人はいるようだ。
ーーどうしよう。どうしたらいいのかな。
本の話とかならここでヒーローが助けに来てくれる。だけど現実はそんなことはないだろう。
ロード……思わず頭に浮かんだけど、ロードは村にいるはず。助けてなんてもらえるわけがない。
もう外は暗い。今日は坊っちゃまのために新しい絵本を読んであげるつもりだった。
おばあちゃんの家にいる間、絵本を書き進めていた。
絵本を読んであげられなくてがっかりするだろうな。自分の今の状況より坊っちゃまのことばかり考えてしまう。
何もすることがなく大人しく座っていると知らない男の人が顔を出した。
「目を覚ましていたのか。あんたなんで連れてこられたかわかるか?」
「……全く……人違いではないですか?わたしお金も持っていないし、しがない平民ですよ?」
「ククッ、確かにあんたを拐っても金にはならない。だが脅すにはちょうどいい。あんた、バイザード卿のお気に入りらしいな?拐う前も二人で話していただろう?」
「バイザード様?彼は知人です」
「まぁ知人だろうよ、平民にとってはお貴族様は遠い存在だ、親しくしてもらえるだけでもありがたいことだ。知り合いより上になりたいなら愛人になるしかないもんな」
「愛人?わたしがですか?」
「そうだ、愛人なんだろう?」
「違います!バイザード様は恋人に振られたわたしを気の毒に思ってくれただけです」
「ふうん、ま、何でもいいよ。大人しくしていれば危害は与えない。ほらパンと水、死なれたら困るからな」
すぐに扉を閉められた。
わたしは薄暗い部屋でパンを食べた。
よく見るとわたしの鞄が床に無造作に落ちていた。中身を確認すると財布はあったけどお金はなくなっていた。しっかりと抜き取られていた。わずかしか入っていないお金だけどわたしにとっては大切なお金。
なんだか悔しい。
カバンに入っていた小さなスケッチブックとクレヨンはそのまま。パラパラとめくる。
「よかった、なにも弄られていなかった」ホッとしてすることがないので小さな灯りを頼りに絵本の下書きを始めた。
何かしていないと不安に押しつぶされそうになる。だけどやはり下書きも進まず、ため息ばかり。
それでもいつの間にか眠ってしまっていた。
小さな窓から朝日が差していた。
夜が明けたようだ。
「ほんと、これからどうなるのかしら?」
目が覚めてもすることはなく仕方なくじっと座っていた。
また扉から男の人が現れた。
「ほら朝めしだ」ぶっきらぼうに昨日と同じ人がパンと水を渡してくれた。
「あ、あの、わたしこれからどうなるんでしょうか?」恐々と質問する。
「あら?貴女はロードの幼馴染よね?貴女がジャックの新しい恋人なの?」
目の前にいるのはカリナさんだった。
ロードからカリナさんは捕まったと聞いていたのに……何故?
殴られたお腹はズキズキと痛む。
小さな窓が壁の上の方にある。逃げることはできない。窓を見ると外は暗いようだ。
部屋には小さな明かりが灯されていた。
「ここはどこなんだろう……どうしてこんなことに……」
一人呟いても返事をしてくれる人はいない。
こんな時でもお腹がグーっと鳴る。喉も乾いた。
「わたしって結構根性あるのかしら?怖いしどうしていいのかわからないけど、しっかりお腹が空いてるわ」
部屋には灯りだけ。何もないからなのかわたしはロープで縛られたりしていなくて自由に動くことはできた。
「誰かいませんか?」
扉にむかって声をかける。
なんの返事もない。扉に耳を押し当ててみた。
ガサゴソと音は聞こえる。誰か人はいるようだ。
ーーどうしよう。どうしたらいいのかな。
本の話とかならここでヒーローが助けに来てくれる。だけど現実はそんなことはないだろう。
ロード……思わず頭に浮かんだけど、ロードは村にいるはず。助けてなんてもらえるわけがない。
もう外は暗い。今日は坊っちゃまのために新しい絵本を読んであげるつもりだった。
おばあちゃんの家にいる間、絵本を書き進めていた。
絵本を読んであげられなくてがっかりするだろうな。自分の今の状況より坊っちゃまのことばかり考えてしまう。
何もすることがなく大人しく座っていると知らない男の人が顔を出した。
「目を覚ましていたのか。あんたなんで連れてこられたかわかるか?」
「……全く……人違いではないですか?わたしお金も持っていないし、しがない平民ですよ?」
「ククッ、確かにあんたを拐っても金にはならない。だが脅すにはちょうどいい。あんた、バイザード卿のお気に入りらしいな?拐う前も二人で話していただろう?」
「バイザード様?彼は知人です」
「まぁ知人だろうよ、平民にとってはお貴族様は遠い存在だ、親しくしてもらえるだけでもありがたいことだ。知り合いより上になりたいなら愛人になるしかないもんな」
「愛人?わたしがですか?」
「そうだ、愛人なんだろう?」
「違います!バイザード様は恋人に振られたわたしを気の毒に思ってくれただけです」
「ふうん、ま、何でもいいよ。大人しくしていれば危害は与えない。ほらパンと水、死なれたら困るからな」
すぐに扉を閉められた。
わたしは薄暗い部屋でパンを食べた。
よく見るとわたしの鞄が床に無造作に落ちていた。中身を確認すると財布はあったけどお金はなくなっていた。しっかりと抜き取られていた。わずかしか入っていないお金だけどわたしにとっては大切なお金。
なんだか悔しい。
カバンに入っていた小さなスケッチブックとクレヨンはそのまま。パラパラとめくる。
「よかった、なにも弄られていなかった」ホッとしてすることがないので小さな灯りを頼りに絵本の下書きを始めた。
何かしていないと不安に押しつぶされそうになる。だけどやはり下書きも進まず、ため息ばかり。
それでもいつの間にか眠ってしまっていた。
小さな窓から朝日が差していた。
夜が明けたようだ。
「ほんと、これからどうなるのかしら?」
目が覚めてもすることはなく仕方なくじっと座っていた。
また扉から男の人が現れた。
「ほら朝めしだ」ぶっきらぼうに昨日と同じ人がパンと水を渡してくれた。
「あ、あの、わたしこれからどうなるんでしょうか?」恐々と質問する。
「あら?貴女はロードの幼馴染よね?貴女がジャックの新しい恋人なの?」
目の前にいるのはカリナさんだった。
ロードからカリナさんは捕まったと聞いていたのに……何故?
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