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39話。 ロード編 ④
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ダリアに嫌われた。
『ごめん、今は気持ちの整理がつかない』
仕事だと説明すれば分かってもらえるかもしれないなんて少しだけ期待していた。
だけど彼女が草の上で寝転んでいる姿を見つけ近寄ったとき……
『………ダリア……起きて!』
『……だ…れ?………』
寝ぼけた声でダリアの声が……久しぶりに聞いたダリアの声。嬉しいし切ないし本当はすぐにでも抱きしめたかった。
『ロード……もうすぐ…さよならだね…幸せになって……』
なのにその後のダリアの言葉に俺はショックを受けた。仕方ないと何度も思いながらもカリナの恋人役として仕事をした結果ダリアに嫌われた。
『……ダリアは……俺と別れたいんだ……』
『………ロードの馬鹿、嫌い……』
『嫌いか………』
俺はダリアの横に座りしばらくダリアの寝顔を見ていた。
『う、うう…ん……』
目覚めたダリアはやっぱり可愛くて大好きだった。
ーーくそっ、騎士なんて辞めればよかった。この仕事が成功すれば王立騎士団への昇進があると言われて最後は結局受けてしまった。
ダリアと早く結婚したくて、今度こそ好きだと言ってプロポーズしたくて、昇進すれば俺の安い給料が上がって、生活も楽になると思った。
まさかこんなことになるなんて……実家に帰ってきたら母さんに
『よくも帰って来れたわね!』と、母さんが手に持っていた本を投げられた。
『あんたなんか縁を切ってやる!ダリアをうちの娘にするわ!出て行きなさい!』と、次はそばにあったトレーを投げつけられた。
母さんが女でよかった。力がないから俺のところまで届かなかった。もし当たっていたらかなり痛かっただろう。
結局家には入れてもらえず今は宿に寝泊まりしている。ダリアのばあちゃんのところへ顔を出したら物は投げつけられなかったけど
『ダリアの居場所は教えられない』と冷たく言われた。
家には居ないとわかり、必死でダリアの行きそうな場所を探してこの森に辿り着いた。
幼い頃二人で遊んだ秘密の場所。
今も変わらず静かでゆっくりと過ごせる場所にダリアが居てくれたことが嬉しかった。
俺との大切な思い出をまだ捨てないでいてくれたことに。
だけど、ダリアは明日帰ってしまうと言われた。やっと会えたのに。やっと話せたのに。
次の日にはダリアの姿はこの村にはもうない。街に帰ればまたすぐ会える……なんてことはない。
ダリアは今屋敷で住み込み中だからなかなか会えない。一人暮らしの時は何かしら理由を作っては会いに行けていた。
今は住み込みのせいもあるし、あの屋敷の人達に邪魔されて会わせてもらえなかった。せめて会わせてもらえていれば、カリナのこと全ては話せなくても、仕事だから信じて待っていてほしいと言えたのに……
まっ、今更だよな。
もう村にいても仕方がないので次の日には俺も街に帰った。しばらくは休みをもらっていたので俺はなんとなくダリアの屋敷の近くをぶらついていた。
そして、ダリアがぐったりして馬車に乗せられるところを見た。俺は走ってダリアの乗せられた馬車へと向かったが馬車は走り去ってしまった。
「くそっ!ダリア!」
俺はそれでも必死で走った。
だが途中息が切れて走れなくなった。馬車はどんどん見えなくなっていく。
「なんなんだよ!あいつら誰なんだ?ダリアはどこに行ったんだ?」
俺は息を切らしながら地面に座り込んだ。
必死で頭の中で考えていた。
ダリアが拐われたのはなんでなんだ?
「ロード!そんなところに座り込んでどうした?」
「ジャック!ダリアが拐われたんだ。馬車を追って走ったが追いつかなかった」
「はっ?ダリアちゃんが?」
「なあ?今回の事件が関係しているとかないのか?」
「ある程度今回の関係者達は捕らえているはずだが……」
ジャックは少し考えてから言った。
「警備隊の詰め所に行ってみよう。闇雲に探しても見つからないだろう?馬車はどんな形だったか覚えているか?馬は?」
「大体覚えてる。男の人相も」
「じゃあ詰め所へ行こう。立てるか?」
「キツイなんて言ってられない。ダリアが拐われたんだ」
俺達は急いで詰め所へと向かった。
「ロード?休暇中じゃなかった?」
同僚達から言われたが
「そんなことよりダリアが……俺の恋人が拐われたんだ。何かカリナ達のことで動きがなかったか?」
「それが……さっき留置所から連絡があってカリナが逃亡したらしい」
「逃亡……?どうやって?」
「カリナは口が上手いからな。警備に当たっていた騎士に色仕掛けをしたところを、カリナを助けに来ていた男達に襲われて気絶させられていたらしい。そのまま他の警備の者達も殴り飛ばして逃げたみたいなんだ」
「カリナを助けるために手を回した者がいたのか?」
ジャックの目が鋭くなった。
「そうみたいです」
「カリナは普段明るくて人懐っこいが執念深いところがあるからな。もしかしたらロードや俺に対しての恨みをダリアちゃんに向けたかもしれない。さっき俺、ダリアちゃんと道で会って話したんだ。その後すぐに拐われたみたいだ。カリナは薬でかなりやられてるからあいつならやりかねない」
「そんな話聞いてない……ダリアが巻き込まれるなんて……」
俺は詰め所を慌てて出ようとした。
「待て!どこに行く?当ては?それよりも馬車はどんな形だった?馬は?色は?男の人相は?」
『ごめん、今は気持ちの整理がつかない』
仕事だと説明すれば分かってもらえるかもしれないなんて少しだけ期待していた。
だけど彼女が草の上で寝転んでいる姿を見つけ近寄ったとき……
『………ダリア……起きて!』
『……だ…れ?………』
寝ぼけた声でダリアの声が……久しぶりに聞いたダリアの声。嬉しいし切ないし本当はすぐにでも抱きしめたかった。
『ロード……もうすぐ…さよならだね…幸せになって……』
なのにその後のダリアの言葉に俺はショックを受けた。仕方ないと何度も思いながらもカリナの恋人役として仕事をした結果ダリアに嫌われた。
『……ダリアは……俺と別れたいんだ……』
『………ロードの馬鹿、嫌い……』
『嫌いか………』
俺はダリアの横に座りしばらくダリアの寝顔を見ていた。
『う、うう…ん……』
目覚めたダリアはやっぱり可愛くて大好きだった。
ーーくそっ、騎士なんて辞めればよかった。この仕事が成功すれば王立騎士団への昇進があると言われて最後は結局受けてしまった。
ダリアと早く結婚したくて、今度こそ好きだと言ってプロポーズしたくて、昇進すれば俺の安い給料が上がって、生活も楽になると思った。
まさかこんなことになるなんて……実家に帰ってきたら母さんに
『よくも帰って来れたわね!』と、母さんが手に持っていた本を投げられた。
『あんたなんか縁を切ってやる!ダリアをうちの娘にするわ!出て行きなさい!』と、次はそばにあったトレーを投げつけられた。
母さんが女でよかった。力がないから俺のところまで届かなかった。もし当たっていたらかなり痛かっただろう。
結局家には入れてもらえず今は宿に寝泊まりしている。ダリアのばあちゃんのところへ顔を出したら物は投げつけられなかったけど
『ダリアの居場所は教えられない』と冷たく言われた。
家には居ないとわかり、必死でダリアの行きそうな場所を探してこの森に辿り着いた。
幼い頃二人で遊んだ秘密の場所。
今も変わらず静かでゆっくりと過ごせる場所にダリアが居てくれたことが嬉しかった。
俺との大切な思い出をまだ捨てないでいてくれたことに。
だけど、ダリアは明日帰ってしまうと言われた。やっと会えたのに。やっと話せたのに。
次の日にはダリアの姿はこの村にはもうない。街に帰ればまたすぐ会える……なんてことはない。
ダリアは今屋敷で住み込み中だからなかなか会えない。一人暮らしの時は何かしら理由を作っては会いに行けていた。
今は住み込みのせいもあるし、あの屋敷の人達に邪魔されて会わせてもらえなかった。せめて会わせてもらえていれば、カリナのこと全ては話せなくても、仕事だから信じて待っていてほしいと言えたのに……
まっ、今更だよな。
もう村にいても仕方がないので次の日には俺も街に帰った。しばらくは休みをもらっていたので俺はなんとなくダリアの屋敷の近くをぶらついていた。
そして、ダリアがぐったりして馬車に乗せられるところを見た。俺は走ってダリアの乗せられた馬車へと向かったが馬車は走り去ってしまった。
「くそっ!ダリア!」
俺はそれでも必死で走った。
だが途中息が切れて走れなくなった。馬車はどんどん見えなくなっていく。
「なんなんだよ!あいつら誰なんだ?ダリアはどこに行ったんだ?」
俺は息を切らしながら地面に座り込んだ。
必死で頭の中で考えていた。
ダリアが拐われたのはなんでなんだ?
「ロード!そんなところに座り込んでどうした?」
「ジャック!ダリアが拐われたんだ。馬車を追って走ったが追いつかなかった」
「はっ?ダリアちゃんが?」
「なあ?今回の事件が関係しているとかないのか?」
「ある程度今回の関係者達は捕らえているはずだが……」
ジャックは少し考えてから言った。
「警備隊の詰め所に行ってみよう。闇雲に探しても見つからないだろう?馬車はどんな形だったか覚えているか?馬は?」
「大体覚えてる。男の人相も」
「じゃあ詰め所へ行こう。立てるか?」
「キツイなんて言ってられない。ダリアが拐われたんだ」
俺達は急いで詰め所へと向かった。
「ロード?休暇中じゃなかった?」
同僚達から言われたが
「そんなことよりダリアが……俺の恋人が拐われたんだ。何かカリナ達のことで動きがなかったか?」
「それが……さっき留置所から連絡があってカリナが逃亡したらしい」
「逃亡……?どうやって?」
「カリナは口が上手いからな。警備に当たっていた騎士に色仕掛けをしたところを、カリナを助けに来ていた男達に襲われて気絶させられていたらしい。そのまま他の警備の者達も殴り飛ばして逃げたみたいなんだ」
「カリナを助けるために手を回した者がいたのか?」
ジャックの目が鋭くなった。
「そうみたいです」
「カリナは普段明るくて人懐っこいが執念深いところがあるからな。もしかしたらロードや俺に対しての恨みをダリアちゃんに向けたかもしれない。さっき俺、ダリアちゃんと道で会って話したんだ。その後すぐに拐われたみたいだ。カリナは薬でかなりやられてるからあいつならやりかねない」
「そんな話聞いてない……ダリアが巻き込まれるなんて……」
俺は詰め所を慌てて出ようとした。
「待て!どこに行く?当ては?それよりも馬車はどんな形だった?馬は?色は?男の人相は?」
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