【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです

たろ

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番外編   ラフェ&アルバード

 ◇ ◇ ◆ ◆  アルバード


「グレン様………僕、多分父と弟に会ったと思う………」

「思う?」

「うん、この前僕にそっくりの男の人と僕に似た男の子に街で出会ったんだ。怖い男の人たちに絡まれている時に助けてくれたんだ。だけどお礼も言えず僕たちは帰ってしまったんだ」

 グレン様にその時のことを話した。

「そうか……アル、会ってお礼を言いたいんだな?」

「普通ならお礼を言えば終わりだよね?
 だけど、会ってくれるかな?それにもし会ったらお母さんが嫌な思いをするかもしれない……僕はお母さんを悲しませたくはないんだ」

「ラフェは今お腹に赤ちゃんがいて不安定な時だから、俺もなんとも言えないな。俺はアルと違って粗雑だから女の細やかな気持ちなんてわからないしな。だがラフェはアルのことを一番思ってる。だからお前がどんなことをしても認めてくれると思うぞ」

 グレン様が困った顔で頭をガシガシ掻いていた。

「……だよね?相談する人間違えたかも……」

「お前、はっきり口に出すな!傷つくだろう!」
 グレン様がゲラゲラ笑いながら

「じゃあ、仕方ないからラフェの親友のエリサさんのところへ行こう。彼女なら話を聞いてくれるさ」

「そっかぁ、おばさんに相談するのが一番だよね」





 僕はその後おばさんのところへ行って話をした。グレン様も着いてくると言ったけど断った。
 だってもう一人でなんでも出来るようになったからね。

「アルはもう自分の気持ちを優先していいと思うの。会いたいなら会いに行けばいい。それでラフェが悲しい思いをしてもそばにはグレン様もアルもいるもの。ちゃんと話せばわかってくれると思う」

 おばちゃんが「ラフェはアルの気持ちを尊重してくれると思うよ」と後押ししてくれた。

 ただし、「隠れて会うんじゃなくて会った後、ラフェに伝えてあげて欲しい」と言われた。

 ーーーそうか、そうだよね。隠れて会ったら僕だって嫌だもん。会った理由と会ってどんなだったかちゃんと伝えよう。

 そう思うと、重たかった気持ちが軽くなった。




 ◇ ◇ ◇  ラフェ

 グレン様は王都に来ても相変わらず忙しそうに動いて回っていた。
 騎士団の団長の仕事は辺境伯領だけではなく王都にある騎士団の方もあるので、執務室で書類に追われていた。

 それに自分の自領であるノーズ領の執務もある。わたしが手掛けている服飾の仕事も手伝ってくれる。

 販路が王都の貴族や庶民と多岐に渡るため、エリサの衣料品店が庶民用に売り出してくれている。
 店として構えてはいるけど責任者がいないと、素人では困ることが多いのでエリサの夫が助けてくれている。おかげで辺境伯地で収入の少ない女性たちが夫が亡くなっても一人で子供を養うだけの収入を得ることができるようになった。

 貴族の方はアレックス様の奥様の実家が侯爵家なので、顔の広い侯爵家が動いてくれている。
 争いの多い土地なので、夫が怪我を負い働けなくなったり亡くなったりすることも多い辺境地。元々土地柄、作物の育ちも悪く王都から遠い辺鄙なところなので物流も悪かった。

 みんな貧しい中、肩寄せ合って頑張って生きてきた人たち。

 それが今は汽車が走り王都へ行くのも交通の便利がよくなり治安も良くなって来た。

 アレックス様たちは国の治安が安定してきて戦いよりも領民たちが暮らしやすい生活をと、今頑張っている最中だ。
 だからグレン様が忙しくてもわたしは何も言わず、彼が疲れたら帰ってこられる場所をいつでも作っておいてあげたい。

 お腹の赤ちゃんのための産着を縫ったりオムツを縫ったりしながらタウンハウスでのんびりと過ごしていた。

 寮に住むアルバードも時間を作っては顔を出してくれる。

 あの子も毎日騎士になるため鍛錬が忙しそうなのに。

 頑張りすぎて無理をしていないかしら?
 食事は摂れているのだろうか?
 勉強はついていけてるかしら?
 お友達はいるの?いじめられていない?

 いつも心配ばかりしていた。

 キズリー様がアルバードと一緒に顔を出しに来てくれた時、そんな心配は無用だとわかった。アルバードは学校の友人たちと楽しく過ごしているようだ。

 わたしに負担をかけたくないと勉強を頑張って奨学金をもらいながら、それに見合う結果をしっかり出している。

 わたしには勿体無いくらいとてもいい子のアルバード。

 気がつけばわたしの手を離れて少しずつ大人になっていっているのね。とても寂しいけど、とても誇らしくもある。


 そんなことを思いながら気がつけば赤ちゃん用の服をたくさん作ってしまっていた。

 知人たちにも赤ちゃん服を出産祝いとして贈ったことはあった。

 これは売り物としていいかも……

 思わずアレックス様の奥様のミリア様のところへ向かった。

「ラフェどうしたの?走ってはダメよ?」

「すみません、あの、赤ちゃんの服……売りに出せませんか?たくさんのレースを使って可愛いお出かけ用はもちろん、部屋の中で眠っている時用とかハイハイの時期用とか実用的な服をもっと検討して作ってみたいと思って……」

「ラフェの作ったベビー服ね?見せてちょうだい。これは……確かに細かいところまで考えられているのね。脱ぎ着しやすそうだし、眠る時は赤ちゃんもリラックス出来そうね。
 こっちは外出用かしら?すごいわ、これだけ繊細に作られていたら着せるのがもったいないくらいよ」

「この服は生まれたミリア様のお孫様用にと思って。女の子だと聞いたので可愛らしいものをと思い縫ってみました」

「うちの孫用だったの?嫁が喜ぶと思うわ、ラフェの縫い物はなかなか手に入らないからみんなこぞって欲しがっているもの」

「喜んでいただけたら嬉しいです。デザインは出来れば子育て中の人達の意見を聞いて考えていければと思っています」

「そうね、ラフェがここにいる間に是非話を進めてしまいましょう」

「はい!」

「でもね、先に夜会の準備をしなくっちゃ。ラフェはまだ妊娠初期だからお腹があまり出ていないけどあまり締め付けないドレスがいいと思うの。用意は出来てるの?」

「はい、コルセットをつけられないので悩みました。
 明るくて華やかなイエローのドレスを選びました。シアーなチュール素材のギャザースリーブが華奢見えかつ華やかな印象にしてくれます。光沢のあるサテンのウエストリボンがついているので後ろ姿も可愛いんです」

「ほんと、お洋服のことになるとラフェは目が変わるわね?」

「すみません、お話聞いてくださる方がいるとつい話が止まらなくて」

「では当日を楽しみにしているわ。さっきのベビー服の話はこちらでも色々考えておくわ、だから今は無理をしないでちょうだいね?」

「ご心配をかけてすみません」







 そして、王都へやってきた理由である、夜会の日。

 グレン様にエスコートされて夜会に参加することになった。









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